佐渡箪笥 (新潟県佐渡郡)
佐渡島には、小木と八幡の二つに箪笥の産地があり、北前船の寄港地として知られる小木は、船箪笥の三大産地として古くから栄え、その中でも木工と金工の優れた技術は秀でていた。こうした高度な船箪笥の技術を受けて、明治から大正時代にかけて職人の技を競うように豪華な衣裳箪笥が作られた。その特徴は、前板にケヤキの最高の玉杢を使い、杢目が美しく引き立つよう拭き漆を塗って磨き上げ、大きな雲形模様の錠前金具が付いている。
一方、八幡地区の衣裳箪笥は、小木のものに比べ焦げ茶色に濃く塗られ、目出度い図柄を彫り抜いた直線的な金具が箪笥前面を覆い尽くさんばかり取り付けられているのが特徴。
三国箪笥 (福井県坂井郡三国町)
越前三国(みくに)は、古くから北前船の寄港地として栄え、酒田、小木とともに船箪笥の三大産地の一つに数えられる。船箪笥の他にも、衣裳箪笥の下部に車を取り付け、赤みの強い木地呂塗りに仕上げた車箪笥などに個性的なものがある。
三国製の金具は、開き戸に取付けてある蝶番が他産地のものに比べ細長く、その先端は雲形に加飾されていて、蝶番の数も多く付いているのが特徴と言える。