
イチイ 【一位】
[その他の名称]
アララギ 【蘭】、スダオノキ、 紫松、水松、オンコ (アイヌ語) とも呼ばれる。

イチイ科イチイ属の常緑針葉樹。
学名 : Taxus cuspidata

北海道から九州までの深山に自生。庭樹・生垣などにも利用され、高さ10〜15m、直径50cmほどになる。

樹皮は赤褐色。辺心材の境界は極めて明瞭で、辺材は淡黄白色、心材は紅褐色を示す。木理は通直で年輪幅は狭い。

木目は緻密で、美しく、加工しやすい。心材の耐久性は中くらい。
気乾比重 : 0.45〜0.62

器具材、細工物、彫刻材、鉛筆などに使用。アイヌの熊の木彫りや岐阜県高山の一刀彫りなどが知られる。
また、古来、飛騨国位山(クライヤマ)産のものは笏(しゃく)の材料として有名

イチイの名前の由来は、仁徳天皇がこの木で笏(しゃく)をつくらせ、それで正一位を授けたので「一位」と呼ばれるようになったと云われている。
葉は針葉で尖り、羽状につく。雌雄異株。三〜四月頃葉腋に開花。実は九月頃熟し、橙赤色で甘く食べられる。
よく寺院に植えられている伽羅木(キャラボク)は一位の変種である。