
イヌエンジュ 【犬槐】

マメ科イヌエンジュ属の落葉広葉樹。やや散孔性の環孔材。
学名 : Maackia amurensis var. buergei

北海道から四国、九州までに自生。また、千島、朝鮮半島、台湾、中国にも分布する。蓄積量は極めて少ない。

樹皮は淡黒褐色で割れ目がある。辺心材の差はきわめて明瞭で、辺材は狭く黄白色、心材は暗褐色を呈し、老樹になると濃暗褐色になる。年輪は明瞭で美しく、所々の木肌が黒光りをしている事が特徴。

材はやや重硬で、強くねばりがある。心材は腐れや割れが入りにくい。加工はやや困難であるが、表面仕上げは良好。磨けば光沢が出る。
気乾比重 : 0.63

彫刻や細工物のほか、昔から床柱や床カマチなどの建築装飾材として珍重されてきた。
また、強くねばりのある特質は曲木に適し、手斧の柄の他にも農具や車両の部品などに幅広く活用され、家具、器具材、薪炭などの用途もある。

日本では、この樹に「延寿」という漢字があてられ、病魔を払い、寿命を延ばす木として古くから親しまれている。
なお、木材界では通常“エンジュ”で通っているが、本当のエンジュは中国原産の別属のものである。