観 世 音 菩 薩



かんのんさま 1   ほとけさま、というと
  お釈迦(しゃか)さまを
  はじめとして、本当に
  たくさんのほとけさまが
  あります。
 その、たくさんのほとけさまの中で
 最もポピュラーなのは、
観音さまではないでしょうか。

   善昌寺のご本尊さまも、千手観音さまです。
  詳しくいいますと、
  千手千眼観世音菩薩となりますが、千本の手と、
 そのたなごごろにひとつずつ、千の眼をもった
 観音さまです。 どうして、こんなお姿なのかと
 いいますと、俗世で悩み苦しんでいる人々を救い、
 助け上げるためには二つの眼と二本の手だけでは
 とても足りませんから、無数の眼と無数の手を、
 みずから望まれたとされています。 このように、
 わが子を愛する母親のような、慈愛のあふれる
 観音さまの御心が、観音信仰に代表される人気の
 もとなのでしょう。

 般若心経の冒頭に、「観自在菩薩」とあります
 のも、観音さまのことです。インドからもたらされた
 経典が中国で漢訳されるときに、ある時は観自在
 菩薩と訳され、ある時には観世音菩薩と訳されました
 ので、二つの呼び方があります。
 観自在菩薩は、人々の苦しみの姿を観て、自在に
 その能力を発揮される菩薩さま、という意味ですし、
 観世音菩薩は、世の中で苦しむ人々の声を、
 まざまざと心の眼でしっかりと受けとめ、救いの手を
 さしのべてくれる菩薩さま、という意味になります。

 「菩薩」とは、サンスクリット語のボーディサットヴァの
 音写語で、悟りを求めて修行している人のことです。
 最初は、仏陀となられる前の、修業時代のお釈迦さまを
 菩薩とよびましたが、大乗仏教になり、この世のすべての
 人々が悟りを得て救われるまでは、あえて自分の悟りを
 放棄し、その前の段階にとどまり、人々の救済に身を
 ささげるという願をたてた方のことを、菩薩と呼ぶように
 なりました。「自未得度、先度他(じみとくど、せんどた)」、
 みずからはいまだ悟りを得なくても、先に人々を悟りの
 岸に渡らせてあげたい、というのが、菩薩さまの大願
 なのです。

 ですから、代表的な菩薩さま、観音菩薩、弥勒菩薩、
 文殊菩薩、普賢菩薩、虚空蔵菩薩さまなどは、ゆたかに
 髪をたくわえたり、腕輪や首かざりなどの装飾品を身に
 つけて、在家のお姿で図像化されています。
 ただ例外は地蔵菩薩さまで、出家の僧のお姿をされて
 いることは、道ばたのお地蔵さんとして、みなさまよく
 ご存じの通りです。これに対して、すでにお悟りをひら
 かれた方を、「如来」といいます。釈迦如来、阿弥陀如来、
 薬師如来、大日如来さまなどです。
かんのんさま 2
 観音さまには、なぜか三十三という
数字がついて まわります。
△△三十三観音霊場、とか、
三十三年に 一度のご開帳、とかが
ありますが、これは、観音さまが
相手の立場や素質に応じて、ある時は
 女性の姿で、ある時は子供の姿で、等々、三十三に変化して
 その身を現されると観音経に説かれているからなのです。
 そしてまた、楊柳観音・白衣観音・龍頭観音・水月観音
 等々の三十三の変化観音もあることはご存じの通りです。