交 流 会

古川宇宙飛行士の話

「君も宇宙へ行こう!」
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
宇宙飛行士   古川 聡

 今日は、いろいろな絵を使いまして宇宙について楽しいお話をさせていただいたきと思います。
 最初に宇宙ステーションのお話をします。その後、後半は宇宙飛行士の訓練のお話をしたいと思います。

 これが宇宙ステーションです。昨年の暮れに撮影したものですが、現在もこのような形をしていると思ってください。トンボの羽のように見える、上に見えるのが、太陽電池です。ここで太陽の光を使って電気を作っています。それから真ん中のあたり、この真ん中のところが人が住めるところですね。手前側に向かって飛んでいるんです。手前側の方にアメリカの部分があって、後ろ側の方にロシアの部分があります。そしてここに伸びている腕みたいなやつがロボット・アームですね。ここに見えている、小さな羽根が見えている宇宙船、これが緊急時に地球に帰ってくるソユーズという宇宙船ですね。こんな風になってます。今真ん中の背骨にあたるところができあがっているところで、半分くらいできあがっているところです。

 さて、この宇宙ステーションなんですが、地上から400キロぐらいのところを飛んでいます。この福山から大阪の倍くらいの距離のところなんですが、これが目でみえるでしょうか?
 望遠鏡がなくても普通に目で見えます。これは日が昇る前、日が落ちた後に、スーと動く明るい星のように見えます。これはどういうことかといいますと、宇宙ステーション自体は光ってないですので、太陽の光が当たってないと見えません。で、地上が明るいとやっぱり見えないんですね。地上が暗くて上空にあるステーションに光が当たっているという条件を満たすのが日が昇る少し前か、日が落ちた少し後ということなんですね。
 ここ、スーと動いている線が見えるでしょうか。一等星ぐらいの明るさで、スーと動く星のように見えます。ピカッピカッと点滅するのは飛行機ですから。宇宙ステーションは点滅しません。これは福山に住んでいらっしゃいます佐藤さんという方の写真をインターネットから採りました。もしかしてこちにいらっしゃいますか?いらっしゃいませんか。福山市の山手町というところに住んでおられる方です。(注「アストロ・クラブふくやま」の会長、佐藤昌三さん)
 次に福山で動く宇宙ステーションが見えるのがいつかといいますと・・・
 今度の土曜日です。
 夕方6時34分ぐらい。南西の空に現れて、だいたい59度くらい、これくらいですね、てっぺんから下までを3つに分けた時の上から3分の1くらいのところに見えます。スーと動きますので、ぜひみなさん見てください。
 こういう情報がインターネットで得られます。このようなアドレス(http://kibo.tksc.jaxa.jp/)を入れてください。
 そうしますとこのように出ますので、国際宇宙ステーションというところをクリックしていただきますと、日本の主な都市がズラーと出てきます。その中に福山もありますので、福山をクリックしていただきますと、いついつの何時ごろにどの方角に見えるかということが全部出てきます。向こう10日間の情報が出ていますので、是非ごらんください。

はい、この宇宙ステーションに現在住んでいるクルーです。2人が住んでいます。左側がロシア人。右側がアメリカ人です。この2人が先月打ちあがりまして、約半年宇宙に滞在します。私も夏7、8、9と3ヶ月間ロシアで訓練を受けていたんですけれど、その時彼らも打ち上げ直前の訓練を受けてまして、食事の時には隣のテーブルでお昼ごはんを食べていたんですが、その2人が今宇宙にいると思うと何か変な感じがします。
 宇宙ステーションが完成しますとこんな風になります。先ほどの図でいいますと、真ん中の部分だけ半分くらいが今できている状態ですね。あと残り半分くらいでこのような形になります。出来上がるとサッカー場ぐらいの大きさになるんですね。 
ここでどんな実験をするかということで、これがね、先ほどの宇宙ステーションの先端のところにくっついている日本の作る実験室「きぼう」です。簡単に言いますと、こちら、日の丸付いていますけどね、こちら地上と同じ空気がある1気圧の実験室があります。外に出ている真空の実験室もあるんですね。そこで宇宙の環境を利用していろんな実験をおこないます。ロボット・アームがついてて、実験道具を取り替えたりすることもできるんですね。
 どんな実験をやるかという1つ例をあげます。例えばですね、魚とか小さな動物を長い間宇宙で飼います。そうしますと・・・
 みんなが将来気軽に宇宙に行くための準備になるんですね。例えばそんな実験をおこないます。

 じゃあ、こっから宇宙飛行士の話をします。ここに写っている5人はわれわれの先輩の5人です。この5人はNASAで主に訓練をおこなってきました。
 私を含めて同級生の3人がおります。この3人はいってみれば国産第一号といいますか、最初の小学校にあたる基礎訓練を日本が初めて中心になっておこなった飛行士なんですね。で、日本が宇宙飛行士として認定しました。そういう意味で国産第一号となります。その後はNASAとかロシアあるいはヨーロッパとかカナダ、こういうところに行ってももちろん訓練をしております。日本だけが訓練したわけではないですが、日本が中心になっておこなったということです。
 じゃ、どんなことを訓練しているかということを紹介します。教室での訓練なんですが、みんなの教室と比べてどうかな?生徒さんがすくないよね、3人しかいません。ですのでこうやって一所懸命やるんですね。こうやって教室でもたくさんいろんなことを勉強します。宇宙のことを勉強しますし、ロケットがどんな風にして飛ぶかとか、軌道がどうなっているかとかそういうことも勉強しますし、あるいは医学のこととか、いろんなことを勉強するんですね。
 体も鍛えます。こういうトレイニング室がありまして体を鍛えてるんですね。

 特別な訓練をご紹介します。これはサバイバル訓練といわれるやつです。どういうことかといいますと、宇宙から急ぎで帰ってくる時とか、あるいは急ぎじゃなくても帰ってくるとき、ロシア側から帰ってくる時にですね、先ほどの3人乗りのカプセルに乗って帰ってきます。そのカプセルはロシアの技術、非常に高い技術を持っていますので計算した場所にちゃんと落としまして助けがすぐに来るような仕組みになってますが、何か、例えばエンジンがうまく動かなくなったとかそういうトラブルがあった時にはとんでもない所に落っこってしまうことがあるんですね。それは海の中かもしれないんです。そういった時に海の中に落っこっちゃった時にも無事助けが来るまで生きていられるようにと、生き残りの訓練、サバイバル訓練というのをやりました。ロシアの黒海というところでやりました。今着てるのが宇宙船の中で着ている服なんですね。
あの服を着ましてこのカプセルの中に、これは実際に宇宙から戻ってきたものを訓練用に改造したものです。この中に入って、クレーンで吊られて、水の中に落ちます。その中でですね、今回の訓練は、通常はカプセルの中が一番安全なので、カプセルの中で助けを待つのですが、今回の訓練は何らかの理由で、例えばカプセルに穴が開いてしまったとかで、外に出なければならないという設定になりました。本当は夏なんですけども冬の海だという設定で中で着替えるんです。さっきの宇宙服を脱ぎまして、セーターとかを5,6枚重ね着するんですね。なんですが、満員電車みたいなすごい狭いところなんです。そこにこう3人座ってますから、交代でですね、全員同時に着替えられませんので、最初にあなたがこっちでズボンをはいて、次に私がこっちから手をのばしてとかですね、交代で着替えるんですね。という形で着替えるだけで2時間もかかりました。で2時間経ってみたら体重が2キロも減っていました。(会場おどろき)
 最後にこういうゴムの服を着るんですけれども、実はこれはサウナみたいな状態なんで、汗だくなんですね。そんなような状態でした。で飛び込んだ後・・・
 これはですねオレンジ色の煙なんですけども、上を飛んで助けに来た飛行機とかヘリコプターにここにいるよということを知らせるためのものです。このような訓練をやりました。

 はい、今度は冬です。そのカプセルはトラブルがあった時に、冬のシベリアに落っこってしまうかも知れません。そんな時も力を合わせて宇宙飛行士が生きていなきゃいけないんですね。冬の、これはモスクワのそばですけど、そこでやりました。同じようにオレンジの煙です。雪の中でこれをやりますと非常に目立つんだそうです。上を飛んで助けに来た飛行機とかに知らせるための信号です。
カプセルの中にサバイバル・キットといいまして、こういう道具袋が入ってます。その中に斧とかナイフとかが入ってまして、それを持って森に入っていきます。木を切ってきて焚き火をします。マッチも入っているんですね。こういう風に木を組んでヒモで縛って、これはパラシュートのロープなんですけれども、ロープで縛ってテントのような物を作ったりしますね。こうパラシュートを使っておうちを作るんですが、なにぶんマイナス20度くらいあるんですね。風が吹いててとっても寒いんです。床が、地面が凍ってるんですね。その中でいくらテントを組んでも寒いんですね。私、外科の医者をやってましたんでどこでも眠れるのが特技なんですが、その時生まれて初めて寒さのため眠れない、そんな珍しい経験をしました。朝9時頃日が昇ってくるんです。で夕方4時か5時には日が落ちちゃうんですね。とっても夜が長くて交代で仮眠をしたりとかして、火の番をしたりしてということで、3人のチームワークも鍛えられましたし、精神的にもとても鍛えられたいい訓練でした。

 所変わってアメリカです。飛行機、そうセスナですね、セスナを操縦している操縦席からです。こんな訓練もやるんですね。
 操縦席です。何でセスナを操縦するかというと、スペースシャトルとかを操縦するということではないんです。どういうことかといいますと、いろんなメーターがあります。これが速さですね、これが高さ、これがどういう姿勢で飛んでるか、これはどの方角に飛んでるかとか、いろんなメーターがあるんですけども、こういうメーターを同時に見て状況を判断して英語でラジオで交信しながら、しかも決まった方向に飛行機を飛ばすというのは宇宙飛行士の訓練として非常に優れてるんです。そういう目的でこういう訓練もやります。

続いて宇宙遊泳。これは筑波にこういうプールがあるんですけれども、プールの中に入って水の浮力、ふわふわ浮きますね水の中に入ると、それをうまく利用すると無重力と同じような状態を作り出せるんですね。それを利用して宇宙遊泳の訓練をやります。
この宇宙服が130キロぐらいありますもので、これを着たままで地上ではとても飛び込めないんですね。ですので、このようにクレーンを使って水の中に入っていきます。
水の中には宇宙ステーション実験室の「きぼう実験室」と、実物と同じ大きさのものが沈んでいまして、そこでこういう訓練をおこないます。

 次はですね、ヒューストンでおこなった訓練です。宇宙ステーションのアメリカの実験室の訓練をやりました。まずは教科書を読んで予習して教室でこうやって授業を受けるんですね。みなさんの授業と同じような授業です。
その次は実際の宇宙ステーションと同じようなコンピューターを使います。異常が起こったときにどうするかということを勉強します。例えば電気が止まったちゃったらどうしようか、とかですね。実は電気もAとBと二つあって、Aから来なくなった時もBからの電気でどうにかなるんですけれども、そういう時にあわてずにどうしたらいいかということを勉強するんですね。
その次の段階としては、実際の宇宙ステーションと同じようなこういう装置があります。コンピューターとか機械があるんですけれども、この機械が地上に揃ってまして、離れたところに、ちょっと難しいけれども、「地上管制室」といいますけれど、宇宙ステーションとかスペースシャトルを地上で見張っている部屋があります。それの本物と同じ装置のある部屋がありまして、そこと無線でつないで訓練をします。先生にあたる人がわざと故障を起こすんです。突然コンピューターが止まってみたりとか、エンジンが動かなくなったりとか、そういうわざとちょっと意地悪な故障とかを起こして、そういう時にも落ち着いてできるようなことをやるんですね。

 では最後の2枚になりましたけれども、みなさんへのメッセージです。一つ目は、先ほども申しましたけれども、いろいろなことに興味を持ってください。はい、その続き、その中から夢を持ってください。将来こうなりたい、こうしたいというような夢を持ってください。そしてその夢に向かって是非努力をしてください。夢を持ち続けて、かつそれに向かって努力を続けていれば、きっとその夢はかなうんじゃあないかと思います。先ほど教育長がおっしゃっていらっしゃいましたけれども、その通りだと思います。
 最後、宇宙飛行士を目指す君へ。はい1つ目、勉強をがんばってください。やっぱり勉強は大切です。(会場ため息)スポーツで体を鍛えてください。何でもいいです、自分の好きなスポーツでいいですから、何か自分の好きなこと、得意なスポーツをやって体を鍛えてください。例えば団体でやる、みんなでやるスポーツなんかだとチームワークが鍛えられていいと思います。一人でやるスポーツでも自分に対して厳しくということで鍛えられます、とにかく何か好きなスポーツをやってください。そして最後、友達を大切にしてください。以上です、どうもありがとうございました。(拍手)