第三回中国地区リーダーズセミナー
(主催:中国地区連絡協議会)


専務理事 中村隆嗣(事務局長)
 
 JAXA(独立行政法人宇宙航空研究開発機構)主催となって2回目の「中国地区リーダーズセミナー」を松江で開催した。昨年度は福山市で開催したが、これまでにYAC本部主催で開催されていた「リーダーズセミナー」は過去には広島市、呉市で開催されている。毎回瀬戸内の都市部での開催より場所を変えて日本海側での開催を模索していた今年5月、「全国分団長会議」の際に「八雲ホシカミ分団」の亀山さんにお会いした。活動的な分団であり、中国地区連絡協議会にも参加してくださっているので声賭けをしてみた。「今年度のリーダーズセミナーを山陰松江で開催されませんか。場所さえ確保していただければ運営ほかについてはこちらで協力します」と、甘言(?)。一度分団に持ち帰られて協議され、「松江市の公民館活動で、水ロケット大会が開催されている。正しい水ロケットの知識やノウハウが身につくのなら」を条件(?)に「開催OK」の回答を得た。JAXA的川先生の思いの中にも「全国津々浦々で開催し、宇宙教育を市民レベルで浸透させたい」というようなものがあり、一つ条件をクリアーしたように思えた。具体的な日程等の詰めはYAC本部の脇さんを交えてトライアングル的にメールと電話でのやり取りとなった。
12月1日(金)
 松江“αワン”に投宿。外は雨で冷え冷えとする。18時30分に松江駅で待ち合わせ。相手は「八雲ホシカミ分団」のスタッフ。こちらはYAC脇さん、育成委員高橋先生と私。定休日のスナックを借りての二日間の日程等についての打ち合わせ。的川先生がお出でになる予定だったが、3日の帰京する飛行機のチケットが取れなかったことでキャンセル。最終日程と運営について詰めをし、決定した。会場を変えてささやかな懇親をし、早めにホテルに戻った。まだ“今日”だった。
12月2日(土)
 昨夜来の雨が続く。昨日よりも寒さを感じた。8時半にロビーで待ち合わせをしていたので、7時に朝食を摂りチェックアウトの準備。予定時刻に下りると「呉やまと分団」のリーダー(6名)と脇さんが居た。八雲の岩田さんの迎えで一日目の会場「八雲町社会福祉センター」へ。着くと、先に森田代表理事と北野リーダーが着いていた。間なしに備後のリーダーが到着したので、会場設営をお願いした。
 「松江市公民館関係者及び生涯学習課職員は本日だけの参加で、明日は来られない」とのことだったので、一日目の講義を多少変更することに。4コマ目の私の講義「危機管理・安全教育」の中に組み込むことにした。
<開会行事>
 JAXA宇宙教育センターの中村全宏さんが主催者を代表しての挨拶を。続いて「中国地区連絡協議会」会長森田泰元(代表理事)さんの挨拶、現地の「八雲ホシカミ分団長」の吉長義親さんの挨拶と続き、最後に講師4名(尾関さんは遅れて参加)自己紹介をして終えた。
<講義 1>
 大分の高橋さんの講義、「宇宙教育の目標:科学する心を育てる」。昨年度の内容よりは精選され、このリーダーズセミナーの開催の狙いなどが話された。
<講義 2>
 呉の岡本さんの講義、「望ましいリーダー像」。テキストをベースにして、講師の体験や体験談を交えて、ていねいに分かりやすく話された。リーダーとしての基本的な考えが示されたと思う。
<昼食休憩>
 時間が惜しいので昼食に充てる時間を削る。参加者は消化が悪かっただろうか。
<講義 3>
 呉の亀崎さんの講義、「子ども理解」。現職の教頭さん(中学校)。長い教職経験を背景にして、分団での活動など実体験や参加者に作業などを組み入れての飽きさせない講義だった。全体として15分程度時間を超えたが、予定時間内に収めるのも講師の能力であろう。
<講義 4>
 福山の私の担当。「危機管理と安全対策」、いわゆる「リスクマネジメント」である。社会教育団体の活動に限らず、色々な意味で大切な内容と捉える。このコマに「水ロケット」関連の内容を組み込むこととなった。「水ロケット」の制作上の安全対策、打ち上げ時の危機管理や安全対策を話しながら、必要な内容を口早に話したように思う。「水ロケット」は座学よりは実体験が一番なのだが、二日目に参加できないのでは仕方ない。ただ、今回松江での開催の狙いの中に「公民館活動のための“水ロケット”の指導」があったので、欠くことはできなかった。
<教材研究>
 予定では「子ども衛星アイディアコンテスト」についての話を入れる予定であったが、<講義 4>と同じような理由で「宇宙教材」についての演習時間を増やした。教材集を紹介しながら、高橋さんが説明を行った。「大気圧と真空」など、身近な教材についての紹介は興味・関心を引いた。また、「水ロケット」に関連しての説明「ロケットはなぜ飛ぶの?」は、難解ではあったが面白かったのではなかろうか。
<懇親会 一次会>
 “ゆうあい熊野館”に場所を移動する。懇親会には一般参加者(こういう表現は適当ではないが)の参加はない。JAXA主催のリーダーズセミナーではあっても、まだまだYAC分団対象のセミナーが実態なのだろう。これが全ての市民対象であるという認識になるには、まだまだ時間が必要なのだろう。
 この施設は“風呂”があり、殆どの参加者は懇親会の前に入浴を済ませていたようだ。18時20分頃に懇親会を始めた。一つのテーブルに同じ団体の人間が集まらないように分散して座らせ、それぞれのテーブル内あるいは渡り歩いて懇親が深められていたように思う。この施設での一次会は20時過ぎに終了し、残った食べ物を上手に梱包(?)して今夜の宿舎へ向かった。
<宿泊施設 星上山スターパーク>
 今回のセミナーに車で参加して来た者は研修会場に駐車したままで懇親会場までマイクロバスで送られてきたが、同じマイクロバスで本日の宿舎「星上山スターパーク」まで移動した。遠く山頂付近に星座のように煌く明かり、それが「本日の宿舎」だという。松江は北部が市街地で、南に移動するほど山間部になる。人の生活の臭いがなくなってくるのだ。道路は段々に狭く急勾配となり、道の両側は竹やぶが迫ってくるような景色。加えて「雪」が舞ってきた。八雲分団の亀山さん曰く「積雪があったら、明日の開始時刻を遅らせなければ」と。夜陰の移動は何も良く分からない。みんなは「雪」に気をとられているようだった。スターパークの駐車場で下車する時にはかなりの降雪で、頭髪がすぐに白髪かした。それぞれがグループに分かれて泊まるコテージの鍵などを受け取り、夜陰の中をコテージへ消える。途中、遠くに見える松江市街地の光景が綺麗だった。冷え込んでいたコテージで暖房機器を作動させ、二次会に参加するために集会所に集合した。
<懇親会 二次会>
 「懇親会」となると頭も体も動きがよくなるようだ。みんな積極的に仕事を見つけて働いている。外は大粒の雪が霙上に舞い(?)落ちているというのに、明日のことは忘れて楽しんでいる。「八雲ホシカミ分団」リーダーが「猪肉」や「自然薯」「きのこ汁」で歓迎してくれた。みんなそっちの美味に箸を伸ばし、一次会での残りの食材には手を出さない。結構な広さの集会所も、人いきれとコンロの熱などで窓は曇り、暖かさの中での歓談は夜遅くまで続いた。終わる頃には雪もやみ、空には所々雲の切れ間も見えていた。遠くに見える松江市街のの明かりは、心なしか寒々としていた。
<宿舎で>
 高橋、尾関それに私の3名の委員。今後について夜中まで論議する。私たちも3年が終わる。ぼちぼち人員の入れ替えが必要だとの認識で一致する。今年度は委員会も残すところ2回。結論を出していただきたいところだ。この3年間で学ぶことも多かった。それは認めるところである。尾関さん曰く「全国を色々と移動したり、泊を伴う会議に参加する回を重ねたので、自分のことは自分で出来るようになった」と。本当だ、荷物をごろごろ引っ張って歩く術を身につけた。
 明日になった頃、本日を終えて眠りにつくことにした。雪はやんでいた。
12月3日(日)
 今日は会場が違う。昨日駐車しておいた福祉センターで車を乗り換えて「松江市営陸上競技場」へ。ここは島根国体でメイン会場だった施設。「役員研修室」との表示はあったが、実質は倉庫状態。空調もなかった。だが、トラックは綺麗だった。1レーンの傷みがないのは使用頻度が低いのだろう。定刻を少し遅れて開始した。理由はプロジェクターの不具合だった。
 マスコミが4社、取材に来た。TVはNHKとBSS(山陰放送)、新聞は産経新聞社と山陰中央新報社。「午前中に“水ロケット”の製作と打ち上げを実施します」と伝えたので、打ち上げ終了まで半日取材して慌しく帰られた。さて、どんな報道になっただろうか。そういえば1日の夕刻のNHKニュースで、テロップと簡単な紹介だったが「宇宙教育セミナー開催」が紹介された。これも八雲ホシカミ分団の方々が頑張った成果なのだろう。
<ロケットはなぜ飛ぶの?>
 昨日の説明についての補足説明。4ページものの資料を詳しく解説された。やはり難解のようだったが、少しは理屈が分かったようだ。「質量保存則」、「ウン、ウン分かった」・・・、本当?
<子ども衛星アイディアコンテスト>
 プロジェクターが正常に動作したので、高橋さんが簡単に報告と説明した。来年度も2回目のコンテストを開催することも伝えた。備後ローズスター分団は2007年1月活動をそれに充てている。そこで出来上がったものをアレンジしたりしながら、来年度のコンテストに応募したいと考えている。
<水ロケットの製作>
 「水ロケット」は何度作っても面白いらしい。そのあたりは子ども達も同じだろう。参加者は嬉々として製作にのめり込んでいた。「危機管理・安全対策」は十分だったのだろうか。今日は4タイプを製作した。「基本型」「パラシュート型」「バルーン型」「高速ペンシル型」と。一時間の枠で作り上げてもらった。
 打ち上げは、風が強く、かつ寒かった。
 最初にランチャーのセットについて留意点を伝える。続いて「限界実験」。500ccのペットボトルで「限界を超えて空気を入れると(圧力をかけると)どうなるか」の検証実験である。旨い具合に大きな音をたてて破裂した。プラスティックの破断面は鋭かった。「水ロケット」のエンジン部分にあたるペットボトルの点検作業の大切さが理解できたことだろう。そののち、打ち上げに際してのノウハウ、管制官制度を実習体験してもらった。今後、この地域での「水ロケット」に関する活動が、安全で楽しく出来ることを確信している。打ち上げた各ロケットは風に流されたが、打ち上げ時の気象条件も「リスクマネジメント」であることは理解していただけただろう。
<昼食時>
 場所が場所だけに周囲に喫茶店なるものはなく、飲み物は自動販売機のみ。だから、という訳ではないが昼食時間を短縮する。12時40分から午後の日程に入る。
<講話:ロケットについて>
 「これからお見せする映像はまだ公表できないものがありますから、撮影はしないでください」とのお願いから中村さん(JAXA)の話は始まった。教育センターに配属される前には種子島の宇宙センターで勤務されていたとのことである。現行のロケット「HU−A」についての話をされた。搬入、移動、組み立て、打ち上げについて、映像を交えて分かりやすく説明をされた。私たち種子島宇宙センターを訪問した経験がある者は、より身近に話が聴けたことだろう。続いて「H U−B」についても話されたが、まだ公表できない部分が多くあるようだ。このロケットは補助ブースター(SRB)が4本つくので、今の射場(第一)では無理なので第二射場を使用するとのことだったが、後で中村さんとの話の中では「第二射場は建設後随分時間が経過しかなり傷んでいるので、現状のままでは使用はできないだろう。修理が必要になるだろう。」といわれた。「あの移動車両で運搬するにしても、カーブがあるので曲がらなければならないが、うまく曲がれるのですか」の問いかけに、「移動させるムカデのような車両、どうやって曲がるのでしょうかね」といわれた。まだまだ課題は多いようだ。
 3つ目には、アメリカの学会で発表されたPPT(全文英語)を示されたが、高橋さんが食い入るように身を出して見ておられた。
<閉会行事>
 予定通りに日程をこなし、14時半頃から閉会行事に入った。「委員講評」ということで、中国地区委員として謝辞を込めながら講評した。続いて「修了証」を中村さんから授与していただき、続けて主催者として閉めの挨拶をしていただいた。これで二日間に渡ったセミナーの全日程を終えることが出来た。
 三々五々参加者は帰路についたが、競技場を出ると黄色のジャケットを着た人間が桜の木(細くて小さいんだよ)に上っていた。備後のTリーダーだった。遊びに来ていた子どもの凧が枝に絡んでいたので取っていたようだったが、運悪く枝を折ってしまった。セミナー参加の記念を作っていたようだ。
 山陰と山陽は自然環境も気象も随分と違う。中国山地を越えると実感する。特にJRを使うと良く分かる。川端康成の「雪国」ではないが、これからの季節「トンネルを越えると雪国だった」が実感できる。1日も3日も瀬戸内は晴れていたが、松江は雨や霙・雪だった。宿泊をした「星上山スターパーク」は12月から2月末までは閉鎖される施設という。このリーダーズセミナーのために一晩だけ開けてくださったようだ。そのような取り組みをされた八雲のリーダーの皆さんに感謝したいと思う。
 「宇宙教育リーダー認定証」は3年間有効であり、その期間内に一度セミナーを受講すれば先の3年間の延長資格が得られる。しかし備後のリーダーは毎年参加し「修了証」をもらっている。「ご苦労様」としか言いようがないが、参加して懇親会で人間関係を作ったり情報を得たりすることも易があることだろう。車両を提供されたリーダー、運転を担当されたリーダー、松江までの往復ご苦労様でした。また、寒い冬季に冷え込むロッジの宿泊体験、よかったですね。来年度はどの地方でセミナーは開催されるのでしょうか。今から楽しみにして、また大挙して押しかけましょう。
 「平成18年度中国地区リーダーズセミナー」に参加されて学ばれた(?)リーダーの皆さん、ご苦労様でした。