ビジネス情報

2005年11月1日号

この人に聞く
日本宇宙少年団 備後ローズスター分団 代表理事(分団長)
1968年中央大学を卒業後、大和化学工業株式会社入社、その後代議士秘書などを経て、1976年福山市議会議員に初当選。以後8期連続当選。48歳で第33代市議会議長を務めた。現在市議会議員を務める傍ら、2003年に日本宇宙少年団 備後ローズスター分団を設立。国内でも屈指の活動を行っている。福山市出身。1944年生まれ。
森田泰元さん
子どもが自然科学に
触れる基地を建設
 「日本宇宙少年団備後ローズスター分団を立ち上げるのに一年くらいかかったが、毎月の活動を重ね、子どもたちの笑顔を見ると、つくって良かったとつくづく思う」。(財)日本宇宙少年団(YAC)の分団として2003年に発足し、国内でもまれにみる活動を展開。現在小学一年から中学二年まで六一人の団員と、具体的なカリキュラムを運営するリーダーや会計などをサポートする社会人ら三五人が集まり活動を支えている。今年六月にはNPO法人として認められた。
 日本宇宙少年団は、青少年に科学への探究心や協調性を育み、平和な21世紀の国際社会を担う人材育成をめざす団体。理事長は漫画家の松本零士氏、本部団長は宇宙飛行士の毛利衛氏が務める。現在日本国内に八つの支部と一二四の分団を持つ。
 このほど同分団の活動拠点「夢想学舎」を神石郡神石高原町の豊松に建設し、10月30日に落成式を行った。分団の顧問を務める元北海道東海大学学長の三原義男氏から、生家跡地を利用しないかと持ちかけられたことから話が動き始めた。「子どもたちに里山の大切さを教えたいと思った」。ログハウスのキットを購入し、リーダーら有志が手弁当で集まり、半年かけて組み立てられた。「夢想学舎は文字通り学びや。ここをひとつの基地として、子どもたちは家族と集うこともできるし、カリキュラムを受けることもできる」。
 活動は、月に一回集まって、"学校では教えないこと”を体験する。その内容は多岐に渡る。天文分野では、その時々の天体を望遠鏡で観測、天体写真の撮影、空環境の観察などを行っている。また講演会も行っており、大学教授や宇宙航空研究開発機構(JAXA)からなど講師を招いて、宇宙やロケットについて話を聞いた。紙ヒコーキやペットボトルロケットも飛ばした。
 そのほか、化石を掘ったり、山野草を摘み天ぷらにして食べたり、ゲルマニウムラジオを作ったり、万華鏡を作って光や電磁波について勉強したりもした。また今年3月には「地域産業を学ぶ」と題し、造船所を見学した。船形開発室で水の抵抗を実験する装置を見た後、進水式を目の当たりにした。「なぜ巨大な船体がスロープを滑ることができたのかというところをみるのが科学。単に船がスロープを滑って進水するショーを見学するのではない」。身の回りにたくさんの"科学”があることを子どもたちに示した。

まずは団結して楽しむこと
 宇宙に限らず広い分野で科学に触れる。「我々は、宇宙の一員。地球は宇宙の中のひとつの点でしかない。その中で生活しているということは、我々は宇宙人ということであり、我々の生活は宇宙の営みのひとつといえる。だから科学だけでなく、歴史も文化も含めて体験することが大事」。結団一年目に広島県指定無形文化財である豊松の「子ども神楽」と交流。昨年は同市内海町で保存されている打たせ舟に乗船し、みんなで風を感じた。「分団活動は、回を重ねるごとに進化すれば良いと思っている。集まった人数の多さが大切なのではない。参加した子どもが何をどう受け止めているかが大切」。参加した子どもには、作文提出を義務付けている。
 「私は文学部哲学科出身。科学のことは分からないが、各分野に精通したリーダーがいるからこれほど多岐にわたる活動ができる」。全国的にも知られている天文クラブ「アストロクラブふくやま」や日本折り紙ヒコーキ協会の協力のほか、水のプロフェッショナルともいえる福山市水道局の職員やアマチュア無線家、バードウォッチャー、ロケット工学の専門家など自然科学の専門家が集う。そのほかにも公務員やオリエンテーリングのインストラクター、そば打ち名人、玄人はだしの料理人、写真家なども脇を固める。「このリーダーたちはみんなボランティア。会場に行くのも自分の車でガソリン代も自前。みんな一生懸命に、子どもの将来と日本の未来を真剣に思って活動している」。活動場所を提供している山陽自動車学校や休校中の山野北小学校、仙養ヶ原なども分団を支えている。
 「僕は音頭を取るだけ。意気に感じたみんなが、力を合わせて運営している。よくもこれだけの組織ができたと思う」。有能なリーダーが集まり、活動が継続できる秘けつを「まずはリーダーが団結して楽しむこと。そうでなければ子どもたちが楽しめない」と言う。「中核都市にふさわしく、次の世代を担う子どものための施設がぜひとも必要。それが科学未来館」と将来の夢を語る。