小豆島2

2.福田から安田・田浦まで


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(1)土庄港南部巡り(11/24)
早朝、自宅を出発し、電車・バス・フェリーを乗り継ぎ、土庄港に着いたのは、午前10:40でした。フェリーのオリーブ丸は、今回は紅葉シーズン中ということもあって、満席とはいかないまでも、多数の乗客であふれていました。

到着後すぐ、今晩宿泊予定の旭屋旅館に向かいました。ご主人と女将さんの懐かしい顔が迎えてくれました。 今日はここに大部分の荷物を預かってもらい、空身に近い姿で土庄港南部の札所を一廻りする予定です。

曇り空で、11月下旬にしては暖かい(次の日から寒気の襲来により、急に寒くなる)。小豆島霊場総本院を過ぎ、64 松風庵に参拝し、すぐ近くの 58 西光寺に着きました。
ここで納経帳に、今回最初のご朱印をいただきます。当寺も含め、実に8コの朱印を押してもらって、納経料〆て、¥500。先ほどの64番を始め、これからお参りする堂庵のすべてをここ西光寺が管理しているのです。
この寺の奥の院は工事中で立ち入り禁止なのですが、ご朱印だけは押してくれました。奥の院はすぐ側にある「誓願の塔」と呼ばれる三重塔のようですが、小豆島では珍しく、しかもかなり新しいもののようです。
境内の町指定天然記念物であるイチョウの大木も見事です。樹齢250年、幹周り3.5m とのことです。まだ落葉していませんでした。

   
58西光寺三重塔
西光寺のイチョウの大木

正午近くなったので、岡山駅で仕入れた弁当で昼食にしました。

ここから南へ県道254号線を、遍路道に入ったり出たりして、歩いて行きます。
途中、不思議な建物に出会いました。大きく傾いているのです。そのくせ、入り口だけは真っ直ぐ立っています。今、杭打ちの偽装で傾いたマンションのことが新聞紙上を賑わしているので、よけいに興味をもちました。

   
傾いた家
59甘露庵入口

59 甘露庵に参拝すべく、県道から遍路道に入ります。間もなく、道端にかなりの大きさの祠があって地蔵様が祀ってあり、新しい花も供えてあります。たくさんの納札も刺してあり、ここが目的の甘露庵かと思いましたが、「甘露庵」という標識も何もない。
ちょうど通りかかった男性に聞きますと、甘露庵はもっと上に上がって、それから長い石段を登った所だと教えられました。ここを札所の甘露庵と間違える人も居るのかと、自分のことは棚に上げて、おかしくなりました。

再び県道に返り、しばらく行くと、目の前にトンネルが現れました。地図によると、 江洞窟はトンネルの手前です。
「これはいかん、行き過ぎた」
と引き返し、海岸に向けて脇道を下りましたが、行けども行けどもそれらしい所に行き合いません。
1軒だけ工場のような、お店のような建物があり、中をのぞくと若い人たち数人がオリーブの実と思われるものを選別していましたので、その一人に道を聞きました。
「この地図にあるトンネルはこの目の前にあるトンネルではなく、この先1キロほど行った先だ」
といいます。とすると、
「このトンネルは地図に載ってないことになりますね」というと、
「そうらしいですね」との答え。
地図にないトンネルのため、脇道への入口を間違えていたのです。とんだバカを見ました。30分以上は時間を損しました。

海岸沿いに県道を行きますが、人も通らず、車も少ない。西風が強く、海は白波が立ってシケ気味です。明日の天気が心配です。
60 江洞窟は、その名の通り、漁港のすぐ側の洞窟の中にあります。入り口に鳥居が建っており、なんとも不思議な感じがします。本尊は弁財天とのことですが、弁財天は神様なのか? 神仏習合の日本人には仏も神も同じことらしい。

   
60江洞窟入口
江洞窟の内

次の札所の浄土庵まで3.1キロの単調な県道を進みます。荷物は少ないとはいえ、いささか歩きにも飽きてきました。
61 浄土庵に着いたときは午後3時をまわっていました。まだあと4キロ以上もある。その間、札所は1ヵ所もない。午後4時までに次の札所に着くのは難しそう。しかも海岸沿いの県道から峠越えの道へと進むのです。
途中、重岩の山が見え、興味はありましたが、とても登る気にはなれません。

   
重岩を望む
62大乗院と63蓮華庵

やっとの思いで着きました。62 大乗院・63 蓮華庵は、同じ場所に並列しています。土庄の市街が見下ろせる快適な場所に建っています。
ここから、今夜の宿に向けて下り、旭屋旅館に着いたのは 午後4時45分でした。
本日の歩行距離 13.5キロですが、道に迷った分を入れると、2キロ程度プラスした距離になるでしょう。

(2)福田から安田・ひろきや旅館まで(11/25)
土庄バスターミナル 8:20発の北廻りバスに乗り、終点の福田ターミナルに着いたのが、9:10。バス料金 1人 \1,180 です。終点まで乗ったのは、私たち2人だけでした。
ここ福田港から姫路行きのフェリーが出ています。
まず、バスターミナルから山側に入り、83 福田庵にお参りします。福田庵から 84 雲海寺・85 本地堂 までは遍路道を少し歩けば到達します。昔ながらの遍路道です。

   
84雲海寺への遍路道
雲海寺から福田市街を望む

雲海寺・本地堂は高台にあり、福田市街を見渡すことができます。
さらに、1キロほど遍路道を歩くと国道436号線に合流し、この後は小豆島東岸に沿ってこの国道を延々と歩いて行きます。道路は切り立った海岸の絶壁の上をどこまでも伸びています。
車は走っていますが、歩いている人は私たち以外は誰もいません。にもかかわらず、カーブした道路を曲がる度に、カーブにできる小さな広場に石彫りの彫刻が、何ヵ所にも展示されているのを見ることができます。車の人はもちろん見ることはできず、また歩いている人もほとんどいないこの道に、このような芸術作品を展示するのは、どういうことでしょうか。

この海岸は、福田海岸といって「さぬき百景」のひとつとのことです。

   
さぬき百景 福田海岸
路端の石彫作品
86当浜庵

4.7キロという長丁場を歩いて、86 当浜庵に到着しました。11時過ぎていたので、先はまだ遠いし、ここでコンビニで仕入れたおにぎりで昼食にしました。
30分程休んだ後、「さて、出発」と思ったら、残念、雨が降ってきました。雨具を着けて1キロあまり歩いたところで、さいわいに雨は上がりました。

地図に「大阪築城残石 八人石」と書かれたところにさしかかりました。「八人石」とは何だろう、と疑問に思っていたところですが、下の写真で御覧になるように、大坂築城のため働いていた石工が八人も一度に犠牲になったという巨大な残石があるのです。この石のほか数百個の石が積み出されないまま、ここに放置されています。

   
八人石の案内板
大坂築城残石の数々
八人石(一番大きい石)

86 当浜庵から国道を 2.9 キロ歩いて、87 海庭庵、さらに 2.1 キロ歩いて 88 楠霊庵。この間、国道は緩やかなアップダウンを繰り返し、車にとっては何でもない勾配が、歩きにはひどく堪える。四国遍路の 36 青龍寺から須崎までアップダウンの続く、長い横浪スカイラインを歩いたことを思い出していました。

楠霊庵の手前でおへんろらしい人を見かけたので、嬉しくなって駆け寄りかけましたが、この庵にお賽銭か何かを集めに来た若僧で、車に乗って行ってしまいました。前回の時もそうですが、全くといっていいほど、おへんろに会わないのは寂しいものです。

午後2時、橘で国道に別れを告げ、遍路道に入ります。人の踏み跡のほとんどない山道です。次の札所 岡ノ坊まで、地図によれば、2.5 キロあります。
登り口で地元の人らしい一人の男性から
「これを登るのか」と聞かれました。
「国道を、トンネルを通って行った方が楽だよ」
「トンネルは嫌だ。やっぱりこれを登る」と私。

長い石段の上は、鉄パイプの手すりの急登です。これがどこまでも続き、やっと峠に着きました。下り道を見通すと、下りもやはり手すりが続いています。
しかも、道のいたるところにイノシシが掘り返したらしい跡があり、歩きにくいことおびただしい。山道が終わり、里に近くなった辺り、イノシシが入って来ないように鉄柵が広く巡らされています。山道から出て人里に入るには、この鉄柵に結びつけてある戸を解いて出なければなりません。出たら、また元のように結びつけておきます。
ここでも福山の我が家の周りと同じように、イノシシの出没に手を焼いているのだな、と少々おかしくなりました。(イノシシはタンパク源としてのミミズが目当てで掘り返すのです。)

   
手すりのある遍路道
イノシシよけの鉄柵
13栄光寺

午後4時前、12 岡ノ坊に到着。
今夜の宿はすぐ隣のひろきや旅館です。荷物を預けて空身で、近くの13 栄光寺に参拝。ここで、これまで参拝してきた5ヵ所のご朱印をまとめていただきました。
本日の歩行距離 15.6 キロ、登り下り高低差 170m 。

(3)寒霞渓へ(11/26)
3日目の今日、「寒霞渓へ」といっても、観光一筋の一日ではありません。寒霞渓にも、明日の「二十四の瞳映画村」にも、その近くにちゃんと札所があるのです。行かないわけにいきません。

昨夜、今日の計画について宿の主人に相談にのってもらい、やっと当初の計画通り歩くことを決心したのでした。寒霞渓へ4キロ近い急坂の遍路道を経て、更に自動車道のブルーラインを長々と歩くことにいささか恐れをなしていたのです。でも、一昨日も女性グループの人たちがその道を行ったと聞き、「あなたたちなら大丈夫」と主人におだてられて、ようやく決心がつきました。
さらにありがたいことに、宿のご主人の好意により、不要不急の荷物は次の宿に(ここから1キロほどの所にある)送っておいてあげるということで、それならばと、一層やる気を起こしたという次第です。
ひろきや旅館はおへんろの希望をしっかりと受け止めてくれます。朝食 6:00 のお願いを聞いてくれ、おかげで 6:50 には宿を出発しました。

昨日参拝した栄光寺の横を通り、緩やかに遍路道を上っていくと、粟地ダムの大きなダム堤がみえてきます。さらに進んだ湖尻の辺りから「14 清瀧山まで 2230m 、車はここまで」とあります。ここからグリーンラインとの交点にある清瀧山まで山道の登りです。
途中、紅葉がきれいです。

   
粟地ダム堤
清滝山遍路道の紅葉

8:50 に14 清滝山に着きました。標高 530m の山岳霊場です。予想以上に歩きやすい道でしたが、やはり長い登りはこの歳ではきついものがあります。

   
14清滝山の鐘楼門
清滝山からの展望
岸壁の不動明王

ブルーラインに入って、雨が降ってきました。嫌も応もなく、雨具を着けざるを得ません、くねくねとした車道ですが、総体として下りだから助かります。
3キロほど歩いて、20 仏ヶ滝に着きました。ここも山岳霊場です。下の写真でご覧のように、この辺りなかなかの山岳景観です。

   
仏ヶ滝からみる山々
20仏ヶ滝

車道をさらに1.5 キロほど進むと、寒霞渓ロープウエイ登山口の紅雲亭(標高 295m) です。広い駐車場がありますが、天候があまりよくないせいか車の数は非常に少ない。
週初めの三連休中はロープウエイに乗るのに1時間待ちだったと聞いていたのに、私たちはすぐに乗ることができました。5分で寒霞渓頂上(標高 610m) に着きました。10:45 でした。
少し早いですが、頂上レストランで昼食としてうどんを食しました。美味かった。
ここは標高 610m 。天候のせいで、展望は絶景とは行きませんが、内浦湾から、さらに明日訪れる予定の二十四の瞳映画村のある田浦までに見通すごとができます。

   
寒霞渓頂上からの展望
松茸岩とよばれる奇岩

帰りはロープウエイを使わず、「寒霞渓裏八景」と呼ばれる山道を下ります。途中に札所があるからです。
これがなかなかの難場。大きな石がゴロゴロする歩きにくい急坂を1キロあまり下ると、正面や右手にさまざまな奇妙な形をした岩や岸壁がみえてきます。どうやら、それらを「八景」というらしい。
そうして、やっと石門に到達しました。ここに、18 石門洞 があります。靴を脱いでお堂の中に入り、洞窟の奥へ奥へと下がって行き、お参りしますが、荘厳な、というよりなんだか妖しい気分になってまいります。
早々に退散して外に出ると、そこには岩壁に巨大な不動明王が刻まれていて、眼光鋭くカッとにらみつけています。

   
寒霞渓裏八景の石門
18石門洞

さらに、石畳の急坂を鉄パイプの手すりを頼りに下っていきますが、これがなかなかつらい。石門駐車場に着けば、そこからはコンクリートのいい道で、先ほどお参りした仏ヶ滝の猪谷に着きました。
さらに、車の通らない徒歩道から県道29号線へと下って行き、草壁市街に向かう神懸通り(かんかけどうり、カミカケ→カンカケ→カンカケイ→寒霞渓?)に至ります。

17 一ノ谷庵に行こうとしますが、道に迷ってしまい、地元の人に教わってやっと着いたのが、3:30 頃でした。
お参りして出たところで、今回初めておへんろさんに出会い、嬉しくなってしまいました。ちゃんと白衣を着けたマイカー利用のご夫婦で、私たちがそこを去ろうとしていたとき、二人で声を合わせて熱心に般若心経を唱えていました。
16 極楽寺にお参りし、今日最後の札所と決めている 15 大師堂への道で、さんざん迷ってしまって、とんでもない山奥の内海浄水場の方まで行ってしまい、これは「間違い」と引き返したところを、先ほど出会った夫婦へんろにまた出会いました。道を教わって、無事お参りすることができました。
私は、どうも市街に入ると道に迷う悪い癖があるようです。

   
16極楽寺への遍路道
16極楽寺
極楽寺境内

内海海岸の宿に着いたのは、4:50 で、道に迷ったりした分、時間も距離もだいぶ損しました。
今日の歩行距離 17.6 キロ、プラス2キロほど。高低差 登り 530m 、下り(延べ 840m)。

(4)田浦・二十四の瞳映画村へ(11/27)
今日は田ノ浦半島にある「二十四の瞳映画村」までの途中の札所を巡り、映画村からバスに乗って土庄まで戻り、帰宅する予定で、今回の区切り打ち最後の日です。
宿を出発した 7:40 、天気は快晴なれど風強く、とても寒い。ときに吹く突風のような西風は立っていられないほど強い。

まず東に向かって安田交差点からすぐ遍路道に入ります。初めのうちは民家の間を抜けたりして道もなかなかわかりにくい。
9 庚申堂、8 常光寺、7 向庵 と参拝しているうち11 観音堂をスキップしてしまったことに気づきました。しかし、いまさら引き返すのも悔しく、いずれにしてもこの先の山中にある札所4ヵ所は次回の区切り打ちに予定しているので、、その時一緒にお参りすることにして、そのまま田浦に向けて進みました。

   
8常光寺
常光寺本堂内陣
7向庵への道

再び県道26号線に返り、多くの醤油醸造所や倉庫の建ち並ぶ車道を風に悩まされながら進み、10 西照庵、4 古江庵とお参りします。ここから映画村まで 5.4 キロとの表示があり、海の眺めもよいので、休憩することにしました。

すると、そこへ日用雑貨やら食料品やらを満載したトラックが拡声器で歌謡曲を流しながらやってきました。移動スーパーです。今日は寒いせいか、なかなかお客さんは現れません、のぞいてみたら、柏餅を売っていたので、1パック買い求めました。私たちが一番客でした。

さらに県道を進み、5 堀越庵に入るところで道を迷いましたが、すぐ引き返し、山越えの遍路道に入ります。堀越庵を出たのが、11時でした。 2キロの道を山越し、6 田ノ浦庵に到達します。ここから「岬の分教場」は、すぐ近くです。田ノ浦庵で、今回の区切り打ちはお仕舞いです。正午を少しまわっていました。

   
6田ノ浦庵への遍路道
岬の分教場への路地
分教場正門

分教場では結構な人出で賑わっていました。ここからさらに海岸沿いに岬の方へ 800m ほど進むと「二十四の瞳映画村」があります。

さて帰りですが、土庄港行きのバス発車時刻は 2:15pm なので、時間はたっぷりあります。映画村に入場し、古い建物や展示物を見学しました。ここで、親切にも中国人の若い女性が私たち2人のツーショット写真を撮ってくれました。ここにも、中国人観光客が訪れているとは、いささか驚いた次第です。
土庄港発 15:30 のフェリーに乗り、帰宅し、無事第2回区切り打ちを終えました。次回は、来年春を予定しています。


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