山行雑感3

山行雑感(その3)


ごあいさつ

「山行雑感(その2)」に続き、2006年11月以降の山行について、このページに掲載します。それ以前については「山行雑感」および「山行雑感(その2)」をご覧ください。
次がいつ掲載されるかは、私の山行次第です。

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11.甲州路・信州路山岳展望の旅(2006/12/03)
12.馬籠・妻籠(旧中山道)を歩く(2007/09/17〜18)
13.星山〜櫃ケ山縦走(2007/10/21)
14.吹雪の鷲ケ頭山(瀬戸内大三島)(2008/01/20)
15.神島88ヶ所巡り(2009/03/08)


11.甲州路・信州路山岳展望の旅(2006/12/03)

11月25、26日の両日、南アルプス・中央アルプス・八ヶ岳連峰などの展望を楽しむべく、紅葉も終わりに近づいた甲州路・信州路を訪ねました。
まずは、中央道双葉サービス・エリアからの甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山のスケッチをご覧に入れましょう。鳳凰三山の山々の説明は自分では自信がないのですが、一応、、展望台の案内説明によっています。

甲斐駒ヶ岳と鳳凰三山(中央道双葉SAから)


(1) 長坂自然観察路を歩く
25日午前9時、北杜市長坂支所(旧長坂町役場)に車を駐車させてもらい、歩き始めました。この道は、正式には「オオムラサキ自然観察歩道」といって、夏のシーズンには国蝶のオオムラサキが群舞する自然遊歩道とのことです。しかし、今回の私たちの目的は、山岳展望にあります。
JR日野春駅までの10キロは、案内標識もよく整備されています。農業大学校の横を通り、大深沢川に沿ってしばらく歩きます。このあたり、盛りを過ぎていますが、全山紅葉(黄色が中心)が見事です。川辺にはススキが一面に風になびいて秋の風情いっぱいです。

4キロを過ぎた頃、「オオムラサキの森」に着きました。
長坂町役場で車を降りた時、甲斐駒ケ岳(2967m)をすぐ目の前にし、もう夢中になってしまっていたものですから、食べ物や飲料を仕入れることを忘れてしまっていました。
困った、困った、喉が渇いた、といいながら歩いていくと、「Cafe こもれび」という小さな看板が目につきました。これは好都合と、道からのぞきましたが、人の気配がありません。通り過ぎようと思ったその時、家から出てきた女性にひきとめられました。ここの女主人です。
早速、お店に入り、お水とお嬢さんが入れてくれたコーヒーをいただき、一息ついてしばらく話をしました。聞けば、この4月に開店したばかりとのことで、家族で営業しているそうです。
近くに、甲斐駒や八ヶ岳の絶好の展望スポットがあること、すぐそばに冬桜が咲いていることなど話してくれました。

見事に咲き誇る冬桜の下で、早速スケッチ帳を取り出し、写生を始めました。
快晴の青空の下、頂に冠雪した甲斐駒は絶好の題材です。麓の方に目をやると、紅葉が見事です。
右に甲斐駒ケ岳(2967m)、この辺りからだと、魔利支天のこぶもよく見えます。仙丈岳はここからは見えません。左の方に目をやると、鳳凰三山の地蔵岳(2764m)、観音岳(2840m)、そして薬師岳(2780m)を望むことができます。
真っ白い北岳(3192m)が見えたような気がしましたが、希望的観測にすぎなかったかもしれません。

甲斐駒ヶ岳(オオムラサキの森付近から)


振り返って、北の方に目をやると、こちらは八ヶ岳連峰です。同じように、頂上は雪に覆われています。
この位置からだと、主峰赤岳(2899m)が一番右に、塔のような奇妙な形に見えます。その左に権現岳(2715m)、奥に阿弥陀岳(2805m)に連なる峰峰を望むことができます。

八ヶ岳(オオムラサキの森付近から)


まさに、絶好のビューポイントです。子どもを連れて散歩に通りかかった女性が、「このあたり、絵描きさんがよく見えますよ」と、いっていました。

花水坂を下り、また上って来ました。谷の開けた目の前に、真っ白な富士山が堂々と姿を現しました。実に、秀麗という形容がぴったりの富士です。なだらかに裾を引いたその姿は,他のどこから見るよりも美しい形をしているのではないでしょうか。
お茶とスケッチに時間を取りすぎたので、釜無川とJR中央線の間の快適な遊歩道を日野春駅に急ぎました。

「Cafeこもれび」の女主人によると、春は桜、夏はオオムラサキと、シーズンを問わず楽しめる道だそうです。そして秋は、私達が実際に目にしたように、紅葉と山岳展望が素晴らしい10キロの散策路であることは、間違いありません。私達もすっかり堪能しました。
それにしては、今日は土曜日だというのに、私たちが出会ったのは、犬を連れた散歩中の地元の女性と、甲斐駒写生中に話しかけてきた、お孫さん連れの年配女性の2人だけでした。

(2) 鹿嶺高原から
翌26日、この日は残念ながら空は曇っています。でも、ともかく出掛けようということになりました。
曇りとはいっても高曇りで、道々、甲斐駒は頂上まで見えています。この分なら大丈夫と、今日は伊那市長谷の鹿嶺高原まで車で登ることにしました。

途中、折角ですから高遠城址に立ち寄りました。高遠城址は春のコヒガンサクラで有名ですが、もちろん今は桜は咲いていません。紅葉ももうほとんど終わりでしたが、それでも何本か見事な紅葉を見ることができました。

高遠から、すっかり水の干上がった美和湖のほとりを通り、途中左折して東へ向けてくねくねと狭い道をかぎりなく上っていきます。やっと、たどり着いた鹿嶺高原。標高は、1800mを超えます。実に寒い。
どこか展望がいいところはないか、見回すとキャンプ施設の上の方、小高いところに展望台が見えます。そこへ急ぎました。
今日も人っ子一人会うことはないだろうと思っていましたが、展望台に一人、若い男性がいました。何台もカメラを持ち、もう何日間もここに陣取っているそうです。聞けば、動物観察の専門家で、周囲の山々を見張っているそうです。

さて、展望台で周囲を見渡しますと、その瞬間!、私は息をのむ思いでした。360度、この素晴らしい展望は、間違いなく日本一です。
まず、東南すぐ目の前に、甲斐駒ヶ岳が堂々たる雄姿を見せています。その右に真っ白な雪に覆われた仙丈岳。この山は周囲に高い山があるため、なかなか見ることができませんが、ここからはバッチリです。

甲斐駒ヶ岳(鹿嶺高原から)


仙丈岳(鹿嶺高原から)


西を向けば、中央アルプスの山々が右から盟主、木曾駒ヶ岳。宝剣岳は伊那前岳に遮られて見ることができません。
その左に、檜尾岳。空木岳(2864m)は東面が真っ白な雪で覆われています。その更に左、南駒ヶ岳、越百山と続きます。
双眼鏡を持参したので、山容をたっぷりと楽しむことができました。

中央アルプスの山々


木曽駒の右には遠く、御嶽山を望むことができます。更に右、乗鞍岳は今日は生憎、頂上は雲に隠れています。

更に北の方に目を移すと、北アルプスの山々が一線上に連なっています。今日は残念ながら、雲がかかっていて頂上の連なりを見ることはできません。
動物観察をしていた男性によると、昨日は快晴だったので、北アルプスは白馬、鹿島槍から槍ヶ岳、穂高岳にいたるほとんど全山が見渡せたそうです。

しかし、それにしても、スケッチをしていても寒くてたまりません。それに腹も減ってきた。
名残惜しくてならなかったのですが、やむなく、動物観察の男性に挨拶をして、車で下山し、道の駅で空腹を満たし、杖突街道を通って山荘まで帰り、今回の展望の旅を終えました。

たっぷりと山岳展望を堪能した2日間でした。


12.馬籠・妻籠(旧中山道)を歩く(2007/09/17〜18)

「木曽路を歩く」ページに移転しました。こちらをご覧ください。



13.星山〜櫃ケ山縦走(2007/10/21)

10月21日午前7時、福山駅北口からチャーターバスで、地元の山の会の仲間と出発。今日は岡山県勝山にある星山(ほしがせん)から櫃ケ山(ひつがせん)へ縦走です。久し振りの中国山地の登山です。

山陽道、岡山道、米子道を経て、313号線に入ります。結構、遠い。道々みる山々は、紅葉にはまだ早いようです。
近くに日本の滝百選に選ばれた「神庭の滝」という勇壮な滝があるのですが、そこに立ち寄らず、私たちのバスは「勝山美しい森」へ向けてまっすぐ、山に分け入ります。

ビジターセンターのすぐわきの東登山口(標高630m)から歩き始めます。出発9時。
しばらく緩やかな登りですが、756mピークを越えたあたりから坂道は緩急を繰り返します。ほどなく目標の星山が見え始め、元気を出して頑張ります。今日はなかなか、リーダーの足が速い。下山の櫃ケ山登山口まで標準所要時間6時間というので、少し焦っていたのかもしれません。
クマザサの尾根からは視界が開け、10時に星山頂上(標高1030m)着。今日は秋とは思われないほど気温は高いが、天気は快晴。視界は申し分ありません。しかし、視界を楽しむ間もなく(私にとっては、スケッチ用具を取り出す間もなく)出発です。確かに、今日は急ぎ足です。

櫃ケ山への縦走コースを、まず扇山へ。隣りを歩いていた一人が「扇山で昼食かな」と言いながら来ましたが、それを無視するように次のピークへ向けて出発し、五輪山(標高980m)にいたって、ようやく昼食にありつきました。

私は昼食もそこそこに、早速、スケッチを始めます。「どちらを向いても、山また山の、山ばかりですねえ」とたまたま出会った二人組の人に話しかけると、「そうですね、山ばかりですねえ、中途半端な山ばかりだけど」。

スケッチは、北の方向に向かって、蒜山から大山にかけての山の連なりを題材に選びました。雲が高度2000mあたりを、その山脈の上に水平に帯状に連なり、それぞれの山頂の上だけ厚く積雲になっているのが珍しく思いました。スケッチは、帰ってから色付けしました。


五輪山頂上から蒜山・大山を望む



昼食時間も40分ほどで、また歩き出します。なかなか眺めのよいコースです。これまでに標高差100mほどの昇り下りを3回ほど繰り返して櫃ケ山(標高954m)に着きました。午後1時ごろでした。

何張りかのテントが張ってあり、幟も立っています。聞けば、今日は櫃ケ山でスカイウォークというイベントが行われ、300人ほどの人たちが麓の櫃ケ山登山口から登ってきたとのことです。
麓の集落では、このイベント参加者のために「しし鍋」やコーヒーの接待、抽選会などが行われているとのこと。それでは、私たちもご相伴にあずかろうとばかり、元気を出して下山に取り掛かります。でもこの下りがなかなかきつい。傾斜も急なうえに、草地でずるずる滑る。これがかなりの距離続いて、樹林帯に入った時はほっとしました。

この下りだけで、1時間半ほどかかり、2時半ごろ、麓に着き、イベント参加者でないにもかかわらず、コミュニティ協議会と書いた大きなテントの下で、しし鍋と熱いコーヒーの接待に預かり、おまけに大きな大根を3本も頂きました。地域起こしの運動の一環と見受けました。

間もなく、迎えのバスがやってきました。これに乗って、これから湯原温泉まで行き、お湯につかろうという算段です。
このグループは、下山すると必ずお湯につかり、飲める人はビールでいっぱやる、というのが習わしになっている“楽遊な”人たちです(この山の会の名前を「楽遊」といいます)。

また、バスに乗り、幸せな気分でバカ話をしながら、福山に着いたら、日も暮れていました。

14.吹雪の鷲ケ頭山(瀬戸内大三島)(2008/01/20)

1月20日、昨夜の「中国地方は雪または雨」の天気予報を気にしながら、早朝6時に自宅を出ました。
福山駅でバスに乗り込む頃、早くも雨が降ってきました。しまなみ海道を走るほどに、ますますひどくなってきます。8時過ぎに、大三島道の駅「しまなみ御島」に着いたところで、雨具を取り出し、完全武装です。

8:45、大山祇神社の脇から登り始めます。長い石段を踏みしめて登る間も、雨は降り続きます。登るほどに雨はみぞれに変わり、そのみぞれが雪に変わってきました。急坂ですが、登山道はよく整備されていてコンクリートで固めてあります。この上に雪が積もるものだから、滑ること、滑ること。まことに歩きにくい。
やっとの思いで安神山(標高257m)に着きました。海抜5mからの登りですから、ここまで結構な標高差があります。
ここからは尾根道で緩やかな上り下りが続きます。でも、雪の降り方はますます激しい。おまけに鞍部に差し掛かると風も強く、雪が横から吹き付けてきます。

途中、休憩も立ったまま、寒いのでそこそこにまた歩き出すという訳で、10:10頃、鷲ケ頭山頂上(標高436.5m)に着きました。積雪はすでに5センチを超えています。気温は氷点下3℃。
頂上は普段でも木が生い茂って展望はきかないようですが、少し下がったところに広場があり、ここからは瀬戸内の島々が一望できるはずです。今日はもちろん、何も見えません。


頂上で昼食の予定でしたが、それどころではありません。とても寒い。早速、下山しようということになりましたが、登って来た道を下るのは全員、気が進みません。おそらく滑りに滑るでしょうから。
頂上から少し下ったところから車道を下ることにします。延々と車道を歩く間も雪は止むことがありません。1時間以上歩いて、車道の取付口、教善寺に着き、しばらく歩いて出発点の道の駅に着いたのが、 12:00ちょうどでした。

雨具をしまい込み、バスの中で昼食としました。
そのあと、「マーレ・グラッシア大三島」で海水を沸かした温泉に浸かって暖を取り戻し、ふたたびバスに乗ってしまなみ海道を通って帰宅しました。しまなみ海道を走る間も雪は降り続き、町々にも白く雪が積もっていました。

15.神島88ヶ所巡り(2009/03/08)

「四国本土は及びもないが、せめて行きたや神島(こうのしま)」とうたわれる、ミニ四国「神島88ヶ所」に行って参りました。全行程29キロあり、1日で参拝するのはかなりハードです。私たちが実際にお参りしたのは、その一部です。
神島は岡山県笠岡市にあり、「島」とはいいながら現在では本土と陸続きになっています。

3月8日早朝、福山駅北口を出発、8時には神島大橋を渡り、まもなく出発点の厄除神島大師堂に到着。準備体操をして歩き始めます。お断りしておきますが、このパーティは巡礼団ではなく、山の会の仲間たちです。


まず最初の札所は76番です。お四国でいえば、金倉寺ですね。民家の間を縫うようにして、76→73→74→75番と続きます。おおむね番号順になっていますが、そうでないところも多い。


お堂も手入れがよく、供花や折り紙などの飾り吊などが見事です。地元の人たちのやさしい心根が伝わってきます。
私はあらかじめ1円玉を88個用意してきましたので、札所ごとに1円のお賽銭(何たるケチ!)をあげながら参拝しました。

75番から79番へ、そこから結願寺88番「大窪寺」に向かいます。この間、アップ・アンド・ダウンの繰り返しで、結構、きついものがあります。道はよく整備されており、四国へんろ道を彷彿とさせる趣あるものです。要所要所に「へんろ道」の石柱や札が掲げられています。その案内に従って歩いていけばいいのですが、時に迷ったりすることもあり、その点は本場そっくりで、懐かしくもあり楽しくもありました。


88番には9:20頃着きました。少し休憩したのち、1番札所に向かいますが、すぐそばでした。
天神社のところで海岸に出ます。確か、ここが4番。
しばらく海岸の防波堤の内側車道を歩きます。まさに、土佐の55号線を歩く感じです。
また山のなかに入ります。11番「藤井寺」は山のなかにありました。ここから、いよいよ「焼山寺越え」か、と期待しましたが大したこともなく、12番は山の中でした。


再び海岸道路に戻り、道路脇の札所を参拝しながら一路南を目指します。
22番札所を過ぎたあたり、「へんろ道」の道標は内陸の方向を指しているのに、先をゆくグループはそのままどんどん海岸通りを進んでしまいます。札所をスキップするのではないかと心配になり、後続の私たち5人は道標通り、右に折れ内陸に向かって進みます。大分入ったところに、23番、24番札所がありました。

地図上は再び海岸通りに返るようですが、道がよくわかりません。通りがかりの地元の人に訪ねて、やっと25番札所を神島神社のそばに見つけました。

もうすでに12時を回りました。バス併用組はすでに昼食予定場所の日光寺に着いているらしく、そこから「早く来るように」と無線で道案内をしてくれます。それに促され、12:30やっと日光寺に着きました。
もう一組、先行したはずの歩きグループはまだ着いていません。無線連絡によると、さらに内陸に進み、27→28→30→29番と参拝しているようです。私たち5人組はこれらをスキップしてしまったことになりました。

瀬戸内海の素晴らしい展望を楽しみながら、昼食をとり、最後に31番に参拝した後、バスに乗って帰りました。

帰りは、恒例の温泉浴を遥照山ホテルで、浴後にビールを頂いて幸せな気分で帰路につきました。
これはお遍路なのか、ハイキングなのか、判然としない軟弱なものでしたが、こういうウオーキングもまたいいものです。まだ、残している札所がたくさんありますから、またいつか訪れたいと思っています。

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