December,1999

ちょっとマイナーなフランスワイン特集

Carruades de Lafite '93

Le Petit Mouton de Mouton Rothschild '96

Ch. Saint-Pierre '96

Ch. Camensac '82

Ch.Trotte Vieille '88

Auxey-Duresses '83

Saint-Romain '96

Saint-Veran '97

Macon (Rouge) '97

Moulin-a-Vent '97

Beaujolais Nouveau '99

Beaujolais Villages Nouveau Le Perreon '99

Saint-Joseph '97

Cote du Luberon '88

Cotes du Rhone-Village Rasteau '96

Pinot Noir Jubilee '96

Ch.St Didier-Parnac '96


France-Bordeaux


Carruades de Lafite
カリュアド・ド・ラフィット
ポイヤック 赤 (CS,M,CF,PV)
('93 \8,900)

 ご存知、メドック格付け第1級の中でも筆頭格のシャトー・ラフィット・ロートシルトのセカンドがこのカリュアド・ド・ラフィット。ラフィットでは、通常、全生産量の1/3がグラン・ヴァン用となり、約4割がこのセカンドとなります。
 その出来の良さに驚いた1本。パーカー氏は93年のラフィットに「甘いブラックカラント、青臭いタバコ、鉛筆の香りがちらり」と表現していますが、その複雑で、上品なニュアンスはこのセカンドでも十分伝わってきます。
 「91年、92年と残念なヴィンテージが続いた後、ラフィットのスタッフは、さらにかなりの選別を施したのかな」というのが感想でした。


Le Petit Mouton de Mouton Rothschild
ル・プティ・ムートン・ド・ムートン・ロートシルト
ポイヤック 赤 (CS,M,CF,PV)
('96 \10,800)

 こちらは、シャトー・ムートン・ロートシルトのセカンドラベル。長い間生産されなかったムートンのセカンドは、1993年にル・スゴン・ヴァン・ド・ムートン・ロートシルトとして復活。翌94年からル・プティ・ムートン・ド・ムートン・ロートシルトと改名されています。ラベル・デザインは、ジャン・カルリュ。
 抜栓の後、最初に?だったのが、異様な香り。「多分これは硫黄(So2)によるものかな」という推測。その香りが飛ぶまでは、ワイン自体も閉じていていたのですが、時間と共に秀逸な姿をのぞかせてくれました。カシスやオークの燻した感じ、多めのタンニンを含む果実は、まだまだ本領は発揮していないのでしょうが、期待の出来るワインだと思いました。あと3年から5年後が楽しみです。

Ch. Saint-Pierre
シャトー・サン・ピエール
サン・ジュリアン 赤 (CS70,M20,CF10)
('96 \6,300)

 メドック格付けのワインの中では、何故かとてもマイナーな感のあるサン・ピエール。82年以降はグロリアと同じ経営となっています。
 96年は当然、味わうには早過ぎるのでしょうが、深い赤紫から黒みを帯びたワインは、高めのアルコール香、ハーブや西洋杉というメドックらしい香り。ただ、まだ落ち着かない様子で、タンニンの多めのフィニッシュ。これでもう少し果実感があればよいのですが。
(メドック格付け第4級)

Ch. Camensac
シャトー・カマンサック
オー・メドック 赤 (CS60,M40)
('82 \7,000)

 サン・ローラン村にある格付けシャトー、カマンサック。比較的評価の低いシャトーながら、1960年代にスペイン、マルケス・デ・カセレスのフォルネール兄弟が、このシャトーを買収。新しい設備を導入し、ぶどう樹の植え替えを実施、さらにエミール・ペイノー教授の指導を仰いだとのことです。
 82年のカマンサック。抜栓後はやや落ち着きがなく、香り、味わい共にちぐはぐな感じ。しかしながら、時間をおくにつれ、酸化熟成による優雅な香り、細身ながら甘味を含むタンニン。確かに高原は超えているのかもしれませんが、それなりに古酒の良さのある本。
(メドック格付け第5級)

Ch.Trotte Vieille
シャトー・トロット・ヴィエイユ

サンテミリオン 赤 (M50,CF45,CS5)
('88 \7,800)

 サン・テミリオン・プルミエ・グラン・クリュ・クラッセに格付けされるこのシャトーは、ボルドーの著名なネゴシアン、ボーヌ・マヌー社の所有。86年以降は、新樽90%、厳しい選別などの努力により、その品質も改善されたということ。
 深いガーネットをし、熟成を感じさせる気品のあるブーケ。タンニンもこなれ、やや酸味が強く感じるものの、しなやかな果実が美味しいワイン。今飲んで美味しいワインだと思います。
(サンテミリオン地区第一特別級B)



France-Bourgogne

Auxey-Duresses
オークセイ・デュレス

オークセイ・デュレス 白 (Ch,PB)
('83 \5,800)

 もう、皆さんご存知のルロワ。ブルゴーニュで数々の名品を生み出すネゴシアン、そしてドメーヌとして全世界のワイン愛好家に認められています。
 ムルソー村の西側にあたるオークセイ・デュレス村は、マダム・ルロワ率いる、このルロワ社の本拠があることでも知られています。
 かすかにナッツ風の香りや、ミネラルを含んだ気さくなワインなのですが、ルロワという名声には及ばないかな。早く飲んであげればよかったワイン。いくらルロワといえど、この村のワインとしては、年数が経ちすぎていたようです。
(ルロワ)


Saint-Romain
サン・ロマン

サン・ロマン 白 (Ch,PB)
('96 \3,000位)

 ブルゴーニュの産地の中でも見落とされがちなサン・ロマン。高台のやや冷涼な気候であるこのアペラシオンからは、赤、白のワインが産出されます。
 オリヴィエ・ルフレーヴは、ピュリニー・モンラッシェにある1984年に創立されたネゴシアン。ドメーヌ・ルフレーブの陰に隠れがちながら、多くのブルゴーニュの白ワインを生産しています。
 このサン・ロマンの白は、いいと思います。特徴的なのが甘い飴のような香りで、イーストなどのふくよかさを感じさせます。それに比べ、飲み口は軽めではありますが、雑味のないスマートな印象。こういう白はお徳ですね。
(オリヴィエ・ルフレーヴ)

Saint-Veran
サン・ヴェラン
サン・ヴェラン 白 (Ch,PB)
('97 \2,100)
Macon (Rouge)
マコン(ルージュ)
マコン 赤 (PN,Pb,PL)
('97 \1,500)
Moulin-a-Vent
ムーラン・ア・ヴァン
ムーラン・ア・ヴァン 赤 (Ga,Ch,Al)
('97 \2,300)

 

 ボージョレ地区ブルイィのワイン生産者の5代目として生まれたシルヴァン・フェシーは、1978年にボージョレーとマコネー専門のネゴシアンを設立。R.パーカー氏も高く評価しているというフェシーのワインは、地元で生まれ育った彼ならではの、多くの秀れたグロワーの人脈を持ち、その中から良質なワインのみを選んで買いつけ生産されるようです。
 マコネー地区のサン・ヴェランは白のみの生産が認められているAOC。シャルドネらしいアーモンドや木の香り、シャープなミネラルと丸みを兼ね備える品の良いワイン。
 マコンは白が有名ですが、赤やロゼもあります。果実の甘い香りが印象的なフレンドリーなワイン。
 クリュ・ボージョレであるムーラン・ア・ヴァンは、シルヴァン・フェシーの得意とするところでしょう。ボージョレの特徴であるキャンディードロップの香りもあり、爽快感のある酸味と新鮮な果実味。美味しいボージョレです。
 ただ、このネゴシアンのワイン、デザインがイマイチ。かっこいいパッケージにすればもっと売れるのに。唯一、ヌーボーだけはラベルがかっこいい(笑)。
(シルヴァン・フェッシー)


Beaujolais Nouveau
ボージョレ・ヌーボー

ボージョレ 赤 (ガメイ種)

Beaujolais Villages Nouveau Le Perreon
ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボー・ル・ペレオン

ボージョレ・ヴィラージュ 赤 (ガメイ種)
(共に'99 \2,800位)

 今年も美味しいボージョレ。花の香りや果実そのものを感じるフレッシュでフルーティーな味わいは、最も気軽で楽しいワインです。今年飲んだヌーボーの中で、美味しかったこれらの自然派志向ワイン。

 シャトー・カンボンは、マルセル・ラピエールが畑、醸造所を持っているCh.カンボン内にて畑の工作件を買い、醸造からボトル詰めまで行なったワインです。色はやや明るく、いちごのような果実のフレッシュ感のあるワインは、飲みやすいお気に入りのヌーボー。
 ドメーヌ・ド・ラ・マドンヌは、濃く綺麗な赤紫で、甘味の中にも渋みさえ感じさせるしっかりした造りは、数年置いても美味しくなるワインのようです。
 これらの2本、まだ残っていれば、是非おすすめいたします。
(上:シャトー・カンボン、マルセル・ラピエール)
(下:ドメーヌ・ド・ラ・マドンヌ)



France-Cotes du Rhone


Saint-Joseph
サン・ジョセフ

サン・ジョセフ 白 (マルサンヌ、ルーサンヌ)
('97 \2,500)

 コンドリューの南、ローヌ河左岸に南北に広く広がるサン・ジョセフ。やや軽視されがちな産地ではありますが、シラー種から造られる赤ワイン、そしてマルサンヌ、ルーサンヌ種からは、白ワインが生産されます。
 典型的なこの地方の特徴を表したこの白ワイン。艶のある黄金色のワインは、強い脚。白い花を思わせる香りの中に、蜂蜜やハーブ、バニラの香りも。低めの酸と厚みのあるボディは、渋みも感じさせ複雑。これはこの価格にして好みのスタイル。おすすめです。
(ピエール・ガイヤール)


Cote du Luberon
コート・デュ・リュベロン
コート・デュ・リュベロン 赤 (グルナッシュ、シラー、サンソー)
('88 \4,500位?)

 コート・デュ・リュベロンは、リュべロン山脈の麓に位置する広大な産地で、プロヴァンスに接する、ローヌでも最も南に位置するAOC。
 1535年から続くドメーヌ・ド・フォンテニールは、南仏リュべロンの中でも、標高が高い所に位置している為、葡萄にとって大切な酸味もしっかりと豊富に与えられます。
 畑の面積はグルナッシュ8ha 、シラー4ha 、サンソー3ha。特にグルナッシュの中の1.5ha分は樹齢が100年という古木で、無農薬栽培の畑から取った酵母菌を培養して醗酵を行い、その後昔ながらの伝統的な大樽で熟成するという事。1988年にマコンで行われたコンテストで銅賞、1997年にはオランジェのコンテストで堂々金賞を受賞。また、ロバート・パーカーのワインアドヴォケイトにおいて、1993年に91点をマークしています。
 88年のワインは今が飲み頃。黒果実の風味は、凝縮感のある熟成されたワインに時折感じる「海苔の佃煮」の甘酸っぱさ。まろやかに熟成されたタンニンは、甘味を感じさせ、余韻がホット。美味しいワインです。
 (ドメーヌ・ド・フォンテニール)


Cotes du Rhone-Village Rasteau
コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ・ラストー
コート・デュ・ローヌ 赤 (グルナッシュ)
('96 \3,500位)

 ラストー村は、ヴァン・ドゥー・ナチュレル(天然甘口ワイン)を産する村としても有名ですが、甘口ではなく、普通の赤も多く造っている村。
 このドメーヌのジェローム・ブレシャーは96年にワイン造りを始めたばかりにも関わらず、すでにラストーのリーダー的な存在だそうです。
 前に紹介した「ドメーヌ・ド・ラ・スマード」のラストーも美味しいワインだったのですが、このワインはさらにコクを持たせた感じ。カシス風の香りと柔らかなタンニン、低めの酸が調和して、とても飲み口のよいワインに仕上がっています。
(ドメーヌ・グール・ド・モータン)



France-Alsace

Pinot Noir Jubilee
ピノ・ノワール・ジュビリー

アルザス 赤 (ピノ・ノワール) 
('96 \4,000)

 白ワインのイメージが強いアルザス地方は、8種類のぶどう品種の栽培が許されていますが、その中で唯一の赤がピノ・ノワールです。
 ヒューゲル社は1639年創業のアルザスの名門。日本でもお馴染みのメーカーですね。ジュビリーは、ヒューゲル社の創業350周年を記念して造られた自社畑産のブドウを使った上級キュヴェ。
 フランボワーズの甘い香りと、しっかりした果実味。この地方で造られるピノ・ノワールは、やはりクールなイメージです。 
(ヒューゲル・エ・フェス社)



France-Sud Ouest


Ch.St Didier-Parnac
シャトー・サン・ディディエ・パルナック

カオール 赤 (Ma70,M20,Ta10)
('96 \1,800)

 フランスの南西地方は、ボルドーの南に位置し、かなり広範囲にわたってブドウが栽培されています。その中でも、マルベック種(地元ではオーセロワと呼ばれる)を主体とし、色が濃く、力強い赤ワインが多く産出されるのが、カオール地区。
 このワインは、深いガーネット色、甘味のある熟した黒果実やペッパー、鉄分や土のニュアンスを持ち、細やかなタンニンを感じさせる、輪郭のはっきりしたワイン。サン・ディディエ・パルナックは、創業300年余りの歴史を持つ、この地区でも最上と評されるシャトー。この価格にして素晴らしいですね。



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