October,1999

Ch. Carbonnieux '92
(France-Bordeaux)
シャトー・カルボニュー

Ch. Latour-Martillac '95
(France-Bordeaux)
シャトー・ラトゥール・マルティヤック

Clos Floridene '87
(France-Bordeaux)
クロ・フロリデーヌ

Lalande de Pomerol '96
(France-Bordeaux)
ラランド・ド・ポムロール

Cotes de Provence Blanc de Cote '94
(France-Cotes de Provence)
コート・ド・プロヴァンス・ブラン・ド・コート

Sancerre Comte Lafond Grand Cuvee '96
(France-Val de Loire)
サンセール・コント・ラフォン・グランド・キュヴェ

Fetzer Barrel Select Merlot '94
(America-California)
フェッツァー・バレル・セレクト・メルロー

Calera Mills '92
(America-California)
カレラ・ミルズ

Qupe Syrah Central Coast '97
(America-California)
キュペ・シラー・セントラル・コースト

Guenoc Cabernet Sauvignon (The momory of YUJIRO) '97
(America-California)
ゲノック・カベルネ・ソーヴィニオン(石原裕次郎ワイン)

Yarra Yering Pinot Noir '93
(Australia-Victoria)
ヤラ・イエリング・ピノ・ノワール

Yarra Ridge Pinot Noir Reserve '95
(Australia-Victoria)
ヤラ・リッジ・ピノ・ノワール・リザーヴ

Scharzhofberger Kabinett '96
(Germany-Mosel Saar Ruwer)
シャルツホーフベルガー・カビネット

Henkell Trocken
(Germany-Sekt)
ヘンケル・トロッケン



France-Bordeaux


Ch. Carbonnieux
シャトー・カルボニュー

ペサック・レオニャン 白 (SB60,Se38,Mu2)
('92 \4,500位)

 グラーヴのワインとしては、日本でもお馴染み、貝のマークのシャトー・カルボニュー。お中元、お歳暮の時期には、ここのワインが赤白セットでデパートに並んでますね。
 その歴史は13世紀まで遡ることが出来、赤、白ともに、グラーヴの格付けに指定されています。80年代には、白ワインの醸造で知られるドゥニ・デュブルニュー氏をコンサルタントに迎え、より一層品質向上されていると言います。
 やはりいいワインですね。92年という小ぶりな年にここまでの品質ですから。ほんのりオークやハーブの風味、きれいな酸味とゆたかな果実味、美味しいドライな白ワインです。
(グラーブ地区格付け)


Ch. Latour-Martillac
シャトー・ラトゥール・マルティヤック

ペサック・レオニャン 白 (Se60,SB35,Mu5)
('95 \2,900)

 赤、白、共にグラーヴの格付けワインに指定されるシャトー・ラトゥール・マルティヤック。このワインは87年よりドゥニ・デュブルニュー氏をコンサルタントに迎えています。
 レモンのような柑橘系の香りは清々しく、樽の風味がややスパイシーな感じを与えます。味わい自体は厚みのあるものではありませんが、飲み口がよく、やや高めの酸味。少し硬い感があるので、このワインはあと2、3年で本当の姿をあらわすのではないでしょうか。
(グラーブ地区格付け)


Clos Floridene
クロ・フロリデーヌ

ペサック・レオニャン 白 (Se60,SB30,Mu10)
('87 \2,500)

 ドゥニ・デュブルニュー氏が所有するシャトー。ボルドー白ワインの新たな流れとして、自らのシャトーでつくりあげた近年注目のワインは、グラーブ格付けのワインと同等の評価を与える人もいるほど。
 このワインは、新しいヴィンテージを飲んだほうが特徴が分かりやすいのでしょうが、87年という年でも、そのワインのポテンシャルを感じさせてくれました。特に香り、そのアロマは熟した果実、りんごや桃のような芳香をたたえ、飲み手を惹きつけます。味わい自体はさすがにピークを過ぎた感もあり、余韻にやや雑味がありますが、このお値段なら十分許される範囲内でしょう。


ドゥニ・デュブルニュー
白ワインに関して、近年人気のワイン・コンサルタント。ボルドー大学教授。マセラシオン・ペリキュレール(スキン・コンタクト)という醸造法を提唱。それは、破砕したブドウをすぐにアルコール発酵させず、低温のまま一定時間果皮と果汁を接触させ、果皮に含まれる香りの成分を取り入れる方法。樽発酵、樽熟成をさせ複雑味を与えます。上記のシャトー・カルボニュー、シャトー・ラ・トゥール・マルティヤック、クロ・フロリデーヌなどのコンサルティングをしています。

Lalande de Pomerol
ラランド・ド・ポムロール

ラランド・ド・ポムロール 赤 (M, CF)
('96 \2,500位)

 ジャン・ピエール・ムエックス。今やドルドーニュ河右岸で最も影響力を持つネゴシアン。あのポムロール最高峰のペトリュス、トロタノワ、サンテミリオンのマグドレーヌ、そしてカリフォルニアにはドミナスを所有し、惜しみない賛辞を与えられています。
 このムエックス社がつくるジェネリック・ワイン(地方名ワイン)のひとつであるラランド・ド・ポムロールは、ポムロール地区の北側に隣接する場所。
 ジェネリック・ワインにして、黒果実の風味は、鉄分や燻煙のニュアンスを含み、複雑性に富んだ印象。手堅い造りを感じさせるワインです。
(ジャン・ピエール・ムエックス)



France-Cotes de Provence

Cotes de Provence Blanc de Cote
コート・ド・プロヴァンス・ブラン・ド・コート

コート・ド・プロヴァンス 白 (セミヨン主体、ユニ・ブラン、ブールブーラン)
('94 \3,000)

 ドメーヌ・オットは、プロヴァンスで最も有名なメーカーの一つ。胴のふくらんだ洒落た形のロゼワイン(バンドール)は、お馴染みだと思います。オットによる、この地方では珍しいセミヨン(ボルドーの白にブレンドされる)、ユニ・ブラン(コニャックやアルマニャックの原料として有名)といった品種を使い低温発酵により造られる白ワインです。
 白い花を感じさせるフローラルな香り、しっかりしたアルコールと、オリーブ油を思わせるオイリーな味わい。南方系のワインにしては、酸もキチッと感じたのはユニ・ブランという品種のおかげでしょうか。
 ワイン単体で飲むより、やはりブイヤベースや魚介のグリルなど、南仏のオリーブ油を使った料理に合わせたいワインです。 
 (ドメーヌ・オット)




France-Val de Loire


Sancerre Comte Lafond Grand Cuvee
サンセール・コント・ラフォン・グランド・キュヴェ

サンセール 赤 (ピノ・ノワール)
('96 \5,000)

 「シャトー・デュ・ノゼ」と呼ばれる優美な城を取り囲む250haの畑を所有するラドゥーセット男爵。プイィ・フュメの全生産量の過半数を超すワインを生産し、特醸品である「バロン・ド・エル」は特に有名です。
 ラドゥーセット社は、プイィ・フュメのロワール河対岸、サンセールにあるこのコント・ラフォンも所有し、赤白を造っています。もともとブルゴーニュ地方の一部だったというこの地区は、かなり昔からピノ・ノワールの赤が生産されていたということ。
 とても興味深いワインでした。当然のごとく冷涼な地域で造られたクールなイメージ。果実のストレートな風味の奥から、ふっと甘さが感じられ、きめの細かなタンニンと、キレの良い酸味が心地よい。熟度を感じさせないがゆえの、ピノ・ノワール本来の個性なのかもしれません。
(ラドゥーセット)



America-California


Fetzer Barrel Select Merlot
フェッツァー・バレル・セレクト・メルロー

メンドシーノ 赤 (メルロー)
('94 \3,000位)

 ノースコースト地域メンドシーノ地区に位置するフェッツァー社。ここのボンテッラ・シリーズに代表されるように有機栽培ブドウで評判のワイナリーです。またフェッツァー社は、カリフォルニアで唯一、ワイナリー内に樽工場を設け、このバレルセレクト・シリーズ用にぶどう品種ごとにフレンチオークとアメリカンオークの使用比率を変えたり、樽の内側の焦がし方を調整するなどの工夫をしているそうです。
 カリフォルニアらしい熟したブドウ。甘い香りとまろやかな味わいをその名の通り樽の風味が包みこんで、分かりやすいワイン。ピノ・ノワール、シャルドネ、カベルネ、そしてメルロー、ここのワインは素直な味が好きですね。 
(フェッツァー・ヴィンヤーズ)



Calera Mills
カレラ・ミルズ

マウント・ハーラン 赤 (ピノ・ノワール)
('92 \7,700)

 やはり、カレラというワインは、基本的に「好み」です。そして、カリフォルニア、セントラルの中では、非常にブルゴーニュに近い雰囲気を持ったワインではないでしょうか。カレラについての詳細はこちらへ。
 抜栓後30分して、ボトルの口から嗅いだ香りに仰天です。ベリー系のジャムのような甘い香りがしていました。
 そして、約1時間にグラスへ。グラスに注がれるその時、すでに茶褐色がかり、熟成している状態が分かりました。香り、味わい、共に92年とは思えないのですよね。フランスだったら、もっと古いヴィンテージのような熟成感。当然かなり果実味は丸くなっているのですが、非常に細やかなタンニンがワインを下支えしているようでした。いいワインです。コスト・パフォーマンスは最高ですね。是非、もう一度飲みたいワインです。
(カレラ)



Qupe Syrah Central Coast
キュペ・シラー・セントラル・コースト

セントラル・コースト 赤 (シラー)
('97 \3,500)

 キュペは、あのオ・ボン・クリマと同じ醸造所で造られています。キュペのボブ・リンクィストは、ローヌ系品種で脚光を浴びた人物。このシラーなどは、まさに彼の十八番かな。
 確かに美味しいワイン。ブラック・ベリーの香りは芳醇でスパイシー。それでいて果実の甘味も感じられ、ふくよかなボディ。渋み、酸味ともに高次元でバランスがとれています。カリフォルニアのシラーも美味しいのですね。おすすめです。
(キュペ)

Guenoc Cabernet Sauvignon (The momory of YUJIRO)
ゲノック・カベルネ・ソーヴィニオン(石原裕次郎ワイン)

カリフォルニア 赤 (カベルネ・ソーヴィニオン主体)
('97 \3,000位?)

 裕次郎ファン待望のワインが発売されました。
「このワインは、ハワイの名家マグーン家が所有するワイナリーで醸造されており、ハワイで親しまれているワインです。酒と海をこよなく愛した石原裕次郎さんは大好きなハワイでいつもこのワインを楽しんでいたそうです。」という裏ラベルの説明。
 往年の裕次郎さんの写真がラベルに採用されたこのワイン。実際まろやかな飲み心地は、リゾートにも合いそうです。裕次郎ファンの方は是非。ちなみに、このワインは日本酒とセットで、5000円のようです。
(ゲノック)



Australia-Victoria


Yarra Yering Pinot Noir
ヤラ・イエリング・ピノ・ノワール

ヴィクトリア 赤 (ピノ・ノワール)
('93 \5,900)

 オーストラリアのヴィクトリア州にあるヤラ・ヴァレーは高品質なピノ・ノワールで近年注目の産地。「田崎信也のワインライフ」創刊号に掲載され一躍有名に(?)。 このHPの掲示板でも一時期、話題の的になり、みなさんの評価の高さに気になっていた1本です。
 個人的にもその凝縮感に驚きました。抜栓後、時間が経つほどにパワーを発揮し、土のニュアンスが生まれ、ワインの完成度の高さを見せ付けてくれるよう。ピノ・ノワールとは思えないようなワイン。以下、掲示板にお寄せ下さった方々のコメントを参照して下さい。
(ヤラ・イエリング)


「やはりすさまじい凝縮感が印象的なワイン」(Nappeさん)
「ギ・アカの流儀に沿ったかのような過熟し焼けたような独特のベリー系の果実味を覚えました。ただ、時間とともに変化していき、最後はジュヴシャンのような土の香りがでてきて、興味深かったですね。」(こんどうさん)
「青や黒のベリーに覆い尽くされた感じ。チェリー香の後に続く、優しく丸い酸とギシっとしたタンニン。温度がちょっと高かったせいもあるけれど、口の中にアルコールの揮発感がパッと広がりました。これほど、ストレートで凝縮感のあるピノは初めてでした。足りないものは上品さと立体感。ブルに比べるとジュースっぽい。それでも、熟成を期待できる構成感だったようにも思いました。」(Jordanさん)
「終始一貫、ピノとは思えませんでした。茹でた小豆のような味わいがやがて湿った土のような味わいに変化。なかなか面白い。」(たつたつさん)


Yarra Ridge Pinot Noir Reserve
ヤラ・リッジ・ピノ・ノワール・リザーヴ

ヴィクトリア 赤 (ピノ・ノワール)
('95 \5,000位?)

 ヤラ・リッジもヤラ・ヴァレーにある新進ワイナリー。ピノ・ノワールの他にカベルネ、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランも造っていますが、年間生産量は約5万ケースというワイナリー。ピノ・ノワール・リザーブはとても生産量の少ない逸品ということ。
 こちらは、ヤラ・イエリングと対照的なタイプ。赤果実系の香りの中から、甘いドロップのような感じ。ブルゴーニュとは違いますが、新世界のピノ・ノワールの個性をよくあらわした果実味は、細やかなタンニンと規律ある酸味がワインのレベルの高さを証明するかのよう。あと少し置いて飲むともっと可能性が広がるワインでしょうか。
 ヤラ・ヴァレーの造り手の個性を実感出来たワイン達でした。
(ヤラ・リッジ)



Germany-Mosel Saar Ruwer


Scharzhofberger Kabinett
シャルツホーフベルガー・カビネット

ヴィルティンゲン村 白 (リースリング)
('96 \3,790)

 モーゼル・ザール・ルーヴァー地区の中で最も重要視される畑がこの「開墾された山」という名を持つシャルツホーフベルガー。27haの斜面の畑の所有者は数人いますが、比類なきワインを造り上げるのはエゴン・ミュラー家。68年にトロッケン・ベーレン・アウスレーゼが競売会の最高値をつけ、当時世界最高価格のワインとなったこともあるようです。
 とても愛らしい香りは、綺麗なミネラルと白さを感じさせる品のある甘さ。口に含むと、その甘さと爽やかな酸味がマッチして、強くはなくとも、しっかりした旨み。高橋ソムリエの言葉を借りれば「理屈なしに美味しいワイン。」納得ですね。
(エゴン・ミューラー家)




Germany-Sekt


Henkell Trocken
ヘンケル・トロッケン
(NV \2,000)

 ドイツ国内で二次発酵によって造られるスパークリング・ワインをゼクトと言います。また、ドイツ産ブドウ100%のものは、ドイッチャー・ゼクトと呼ばれます。このワインは、タンク内二次発酵(シャンパーニュのシャルマー方式)で造られたドイッチャー・ゼクト。ヘンケル社は140年の歴史を持つドイツ有数の発泡酒メーカーです。
 なるほど「余計な味のしない」という言葉がぴったりのスパークリング。ブドウのストレートな風味が伝わってきます。「瓶内二次発酵」至上主義ではあまりに情けない。どなたにでも愛されるワインでしょう。マグナムやダブル・マグナムもあるので、お祝いにも最適です。
(ヘンケル社)



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