September,1999 (2)

Ch. de Fieuzal (Rouge) '90
(France-Bordeaux)
シャトー・ドゥ・フューザル(ルージュ)

Ch. de Fieuzal (Blanc) '87
(France-Bordeaux)
シャトー・ドゥ・フューザル(ブラン)

Meursault Perrieres '92
(France-Bourgogne)
ムルソー・ペリエール

Gigondas '96
(France-Cotes du Rhone)
ジゴンダス

Bandol Cuvee Special '90
(France-Cotes de Provence)
バンドール・キュヴェ・スペシャル

Coteaux du Layon Saint-Lambert '97
(France-Val de Loire)
コトー・デュ・レイヨン・サン・ランベール

Pinot Blanc (Blanc de Blanc) '95
(France-Alsace)
ピノ・ブラン(ブラン・ド・ブラン)

Stags' Leap Napa Valley Petit Syrah '87
(America-California)
スタッグス・リープ・ナパ・ヴァレー・プティ・シラー

Acacia Pinot Noir Carneros '96
(America-California)
アケイシア・ピノ・ノワール

Robert Mondavi To-Kalon Vinyard I Block '95
(America-California)
ロバート・モンダヴィ・トカロン・ヴィンヤード・アイ・ブロック

Leeuwin Estate Chardonnay '96
(Australia-Western Australia)
ルーウィン・エステート・シャルドネ

Remelluri '96
(Spain-Ribera Del Duero)
レメリュリ

Nederburg Pinotage '96
(South Africa-Paarl)
ネダバーグ・ピノタージュ

Gosset Excellence Brut
(France-Champagne)
ゴッセ・エクセレンス・ブリュット



France-Bordeaux


Ch. de Fieuzal (Rouge)
シャトー・ドゥ・フューザル(ルージュ)

ペサック・レオニャン 赤 (CS60,M33,CF4.5,PV2.5)
('90 \6,000位)
Ch. de Fieuzal (Blanc)

シャトー・ドゥ・フューザル(ブラン)

ペサック・レオニャン 白 (Se50,SB50)
('87 \13,500)

 グラーブの格付けは、赤と白それぞれになされていますが、フューザルは、赤ワインのみグラン・クリュ・クラッセとして認められています。約45haの畑から、年間赤を12000ケース、白を3000ケース産出しています。

 この赤は素晴らしいワインでした。黒に近い濃いルビー色をしており、カシスやブラックベリーといった黒果実の香りと熟成香。しなやかになったタンニンと豊かな果実味が、飲む人を優雅な気持ちにさせてくれます。あまり目立たないシャトーだけに、探せばまだある90年物。絶対にお買い得。

 白ワインは近年の評判が良く、年間3000ケースという少ない生産量も手伝ってか、やや価格が高騰し、お買い得とはいかなくなってきたようです。ホワイトオークでの発酵、熟成。新樽80%、定期的に攪拌を行いながら澱とともに12ヶ月熟成されます。
 やや淡いイエロー、黄果実の柑橘の香り。ほんのり青草とオイルを感じさせるものの、全体的にこじんまりした印象。87年は、少し飲み頃を過ぎていたのかも。もう少し新しいヴィンテージを飲んでみたいワイン。




France-Bourgogne


Meursault Perrieres
ムルソー・ペリエール

ムルソー 白 (Ch,PB)
('92 \8,000位)

 白ワインの名産地ムルソー村。ペリエールは、ムルソーの一級畑の中でもその秀逸なことは知られており、モンラッシェに迫る品質を誇る銘醸畑。
 アルベール・グリヴォーは、そのペリエールの中でも「クロ・ド・ペリエール」というクロ(石垣)に囲まれた1haの畑を単独所有。この畑をグラン・クリュに格上げさせるべくINAO(原産地呼称委員会)に働きかけていると言います。ペリエールには1.5haを所有。
 いや、まさに素晴らしい白ワイン。アプリコットを思わせる甘い香りや、白いキノコのブーケ。芳醇なアルコールを保ちながら、綺麗な酸味が全体を引き締める。ここまで、各要素の個性が際立ったワインも久しぶり。さすがのグリヴォーの白。
(ドメーヌ・アルベール・グリヴォー)プルミエ・クリュ



France-Cotes du Rhone


Gigondas
ジゴンダス

ジゴンダス 赤 (グルナッシュ主体、シラー、ムールヴェードル)
('96 \4,000)

 シャトーヌフ・デュ・パプのやや北東に位置するジゴンダスは、昔はコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュでしたが、1971年ACジゴンダスに昇格。そのブドウ品種にはこの地方らしい規定があり、グルナッシュが最高80%まで、シラーとグルナッシュを15%以上使うというもの。
 この地区評判のドメーヌ・デュ・ケロン。伝統的な仕込みに従い、大樽にて長期間の浸漬と熟成を行うドメーヌ。清澄と濾過も最小限に抑えるといいます。
 個人的には大変好みのスタイル。この辺りのワインは、もっと強烈なものを連想していたのですが、熟したプラムのような風味の心地よいミディアム・ボディのワイン。印象的だったのは、その酸味で、実にエレガント。優美な雰囲気をもつ南仏のワインでした。
(ドメーヌ・デュ・ケロン)




France-Cotes de Provence

Bandol Cuvee Special
バンドール・キュヴェ・スペシャル

バンドール 赤 (ムルヴェードル62%、グルナッシュ21%、サンソー17%)
('90 \5,000)

 プロヴァンスで、最もコクのある赤ワインといわれるバンドール。カシス地区の東にある地中海沿岸の栽培地で、フランスの中でも最も温暖な地域。赤のほかに、白やロゼも産出します。1834年から続くタンピエ、キュヴェ・スペシャルは、樽で30ヶ月熟成させるバンドールでも最も名高いワインです。年間生産量、約1000ケース。
 「しっかりした、コクのある」というイメージを抱いていたので、開けた瞬間は??意外にも果実が出てこなく、酸味が強く感じたのです。ただ、それはワインが空気を必要としていたようです。
 時間と共に、果実感が増し、酸味が柔らかくなっていきます。十分に樽熟され時を経たワインは、スミレのような芳香、スムースな飲み口、柔らかになったタンニンが良いワインであることを証明していました。ただこのワインは、素朴なワイン。プロヴァンスで現地の料理と一緒に飲んでみたいですね。
 (ドメーヌ・タンピエ)




France-Val de Loire


Coteaux du Layon Saint-Lambert
コトー・デュ・レイヨン・サン・ランベール

コトー・デュ・レイヨン 白 (シュナン・ブラン)
('97 \4,000)

 ロワール河流域のアンジュー地区のサン・ランベールという小さな町にある、1978年に始めたまだ比較的新しいドメーヌ、ジョー・ピトン。今や地元では知らない人がいないトップの造り手として、高い評価を受けているそうです。
 アンジュー地区6ヶ所に合計8haの畑を所有、以前より少しずつ試していたバイオダイナミックス農法を、1997年からは全ての畑で実践。自然の状態を尊重する為に、酵母の添加や補糖は一切行わないドメーヌだそうです。
 この地区の甘口ワインの産地として知られるコトー・デュ・レイヨン。シュナンブラン種を用い、補糖を一切行わず自然な甘みを大切にして作られたワインは、甘味がさらっと上品、綺麗なワイン。補糖は行わないため、ジュラ地方で用いられるパスリヤージュ(葡萄の房を長時間放置して干し葡萄状にし糖分を凝縮させる方法)を取り入れており、新樽は使わず1年物の樽で1年間寝かせてから瓶詰め。これは秀逸、本当に飲んでみて頂きたい甘口ワインです。
(ドメーヌ・ジョー・ピトン)




France-Alsace

Pinot Blanc (Blanc de Blanc)
ピノ・ブラン(ブラン・ド・ブラン)

アルザス 白 (ピノ・ブラン)
('95 \2,000)

 1639年創業のアルザスの名門ヒューゲル・エ・フェス社。アルザスで多く見られるピノ・ブランという品種は、この地方ではクレヴネールとも呼ばれます。
 白い花のような香りとミネラルを感じるワイン。やや酸味がきつく、ワインそのもののタイプとしては、個性的なので、ちょっと万人向けとはいかないかも。アルザスのワインって、品種が違っても、全体的なニュアンスは似ているものがあるので、判断が難しいです。
(ヒューゲル・エ・フェス社)



America-California


Stags' Leap Napa Valley Petit Syrah
スタッグス・リープ・ナパ・ヴァレー・プティ・シラー

ナパ・ヴァレー 赤 (プティ・シラー)
('87 \8,000)

 「スタッグス・リープ・ワイナリー」、有名な「スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ」とは同じ地区内ながら、全く別のワイナリーでベリンジャーなどを所有するベリンジャー・エステイトが所有しています。
 プティ・シラーという品種は、カルフォルニア原産の黒ぶどう品種で、ブレンド用に用いられることが多いようですが、単独で醸造されたものは初めて。その名前から間違いやすいのですが、ローヌのシラー種とは関係なくフランス南部のデュリフ種と源を同じくする可能性があるとのこと。イタリアのプリミティーボ種がジンファンデル種のルーツであり、プティ・シラーはジンファンデルの一種兄弟とも言えるそうです。
 初めて見たこのワインにビックリ。やはり日本未輸入だそう。深く黒に近い色調は、ブドウのポテンシャルを感じさせ、どこか酒精強化されたワインのような香りは独特の芳香を漂わせます。けっしてエレガントとは言えないまでも、スパイシーでスケールの大きな黒果実の風味と甘さを伴うタンニンは、特筆すべきもの。まだまだ置いておくと、個性が発揮されそうなワイン。熟成されたプティ・シラー、一度飲んでみてください。決して「小さなシラー」ではありません。
(スタッグス・リープ・ワイナリー)



Acacia Pinot Noir Carneros
アケイシア・ピノ・ノワール

カーネロス 赤 (ピノ・ノワール)
('96 \4,950)

 ナパの中でも秀逸なピノ・ノワールの産地としても評判のカーネロス地区。サン・パブロ湾の影響により比較的冷涼な気候となるため、ブルゴーニュ系の品種に適していると言われます。
 1979年、カーネロスに設立されたアケイシア・ワイナリー。チェリー様の赤果実系の香りが親しみやすい。控えめながらワイン全体を下支えするタンニン、果実感はヴォリュームに富んだものではありませんが、酸味と共にフレッシュで気持ちが良い。
 やや価格的には高い感じもしますが、優等生的なまとまりを持つワインです。
(アケイシア・ワイナリー)


Robert Mondavi To-Kalon Vinyard I Block
ロバート・モンダヴィ・トカロン・ヴィンヤード・アイ・ブロック

ナパ・ヴァレー 白 (フュメ・ブラン)
('95 \12,000)

 カリフォルニアにおけるワイン造りのパイオニア、ロバート・モンダヴィ。カリフォルニアにおいてソーヴィニヨン・ブラン種のことを「フュメ・ブラン」と言う名前で販売し、浸透させたのも実はモンダヴィなのです。このトカロン・ヴィンヤードはモンダヴィ・ワイナリーの中心となっている畑で、「I-BLOCK」はカリフォルニアの中でも最も古い樹齢50年以上のソーヴィニヨン・ブランが植えられているブロック。年間生産量300ケースのレアなワインは、すりガラスのボトルに詰められ、その古樹の描かれたラベルが独特の雰囲気。
 やはりソーヴィニヨン・ブランとしては凝縮され、フルーツのアロマや甘さを感じさせるカリフォルニアらしい香り。味わいもふくよかで素直に美味しいタイプのワイン。ただ、モンダヴィの名、生産量の少なさ、単一畑、お値段を考えるとやや一般的なのかなあ。期待が大きすぎるといけませんね。
(ロバート・モンダヴィ社)





Australia-Western Australia


Leeuwin Estate Chardonnay
ルーウィン・エステート・シャルドネ

マーガレット・リヴァー 白 (シャルドネ)
('96 \6,500位)

 オーストラリアのワインの中でも、大きな成功と国際的評価を得ているのがこのルーウィン・アートシリーズ・シャルドネ。毎年変わるアートラベルも洒落ています。
 実はこのワイナリーは、もともとロバート・モンダヴィとのジョイント・ベンチャーを目指していたらしいのですが、結局1974年に独自で創立、ホーガン家が経営を続けています。よって、モンダヴィ氏の助言がワイン造りの根本に活かされています。
 特徴的なバニラやナッツのヴォリューム溢れる香りはやはり新世界。飲んでみると、やや青草の爽やかさ、きれいなミネラル感が、凝縮された果実味にキレを与え、エレガントなワインに仕立てています。14.5度という高いアルコールからか、余韻はかなり辛く繊細なイメージを長く保っていました。
 ちなみに、1985年より毎年続いている「ルーウィン・コンサート」には、レイ・チャールズやダイアナ・ロスといった豪華なゲストが出演。ワインを片手にコンサート、一度行ってみたいですね。
(ルーウィン・エステート)




Spain-Ribera Del Duero


Remelluri
レメリュリ

リオハ 赤 (テンプラニーニョ80%、ガルナッチャ10%、グラシアーノ10%)
('96 \3,500)

 スペイン唯一のDOCとして認められている生産地リオハ。ボルドー大学で醸造学を学び、ボルドー格付け2級のシャトー・コス・デストゥルネルで修業を積んだテルモ・ロドリゲス氏は、「ワインの味を決めるのは法律ではなく、私とワイン自身だ」というポリシーからこの地での品質表示である、「レセルバ」や「グラン・レセルバ」と表示をせず、世間を驚かせた人物。(スペインは熟成期間についても定められた規定があります。)
 かのR.パーカー氏も「次世代を担うワイン醸造家」として、唯一スペインから彼の名を挙げているといいます。
 出来るだけ自然に近い状態で育てたブドウを独自の理論で醸造したとされるこのワインは、明るく健康的なルビー色をし、気さくな感じで飲める赤。無闇に強さを求めていない姿勢が現れているかのようです。タンニン、果実味、酸味ともに、とても気持ちがいい。これは注目です。




South Africa-Paarl

Nederburg Pinotage
ネダバーグ・ピノタージュ

パール 赤 (ピノタージュ89%、カベルネ・ソーヴィニオン11%)
('96 \1,350)

 南アフリカ、パール地区にある創業200年を超える大規模なワイナリーがネダバーグ。ここのプライベート・ビン(Private Bin)の古いものは、素晴らしいものがあるらしく、一度飲んでみたいワインの一つ。
 このピノタージュというのはピノ・ノワールとサンソーの交配品種。シモンズバーグ山麓の東寄りにある、クーレンホフで栽培されるブドウを使用し、60%をステンレスタンクで10ヶ月、40%を大樽で10ヶ月半の熟成。
 きれいな明るめのルビー色で、最初はピノ・ノワールっぽいプラム系の赤い果実、後に樽香が。軽めのボディなのですが、不思議な酸味を持ったワインでした。
(ネダバーグ社)



France-Champagne


Gosset Excellence Brut
ゴッセ・エクセレンス・ブリュット
(NV \5,000)

 1584年、かつてアイ市長もつとめたピエール・ゴッセにより創業、シャンパーニュ地方で最も古いシャンパン醸造会社がゴッセ社。発泡性ワインが世に知られるようになる1世紀も前からシャンパンを醸造し、現在も 伝統の技にこだわり年間50万本を生産しているということ。
 ノン・ヴィンテージのシャンパンとしては、ボディ自体がとてもまろやかで好ましいタイプ。黒ブドウ(ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ)を約半分使っているためでしょうか。最初はフルーティーな香り中心ながら、ゆっくり熟成香と甘さを感じさせてくれるあたり、ちょっとしたヴィンテージ・シャンパンの品質を感じました。いいですね、定番にしたいシャンパンです。 
(ゴッセ社)



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