September, 1999

Ch.Lafite-Roothschild '75
(France-Bordeaux)
シャトー・ラフィット・ロートシルト

Ch.Mouton Rothschild '75
(France-Bordeaux)
シャトー・ムートン・ロートシルト

Ch. Clerc Milon '75
(France-Bordeaux)
シャトー・クレール・ミロン

Ch. d'Armailhac '95
(France-Bordeaux)
シャトー・ダルマイヤック

Ch. Pontet Canet '90
(France-Bordeaux)
シャトー・ポンテ・カネ

Ch.Haut-Batailley '75
(France-Bordeaux)
シャトー・オー・バタイエ

Ch.Leoville Barton '88
(France-Bordeaux)
シャトー・レオヴィル・バルトン

Ch. Talbot '89
(France-Bordeaux)
シャトー・タルボ

Ch. Lalande-Borie '90
(France-Bordeaux)
シャトー・ラランド・ボリー

Ch.Margaux '93
(France-Bordeaux)
シャトー・マルゴー

Ch.Rausan-Segla '88
(France-Bordeaux)
シャトー・ローザン・セグラ

Ch.Palmer '93
(France-Bordeaux)
シャトー・パルメ

Ch. Desmirail '89
(France-Bordeaux)
シャトー・デミライユ

Ch. La Conseillante '75 '92
(France-Bordeaux)
シャトー・ラ・コンセイヤント

Ch. Haut-Fonrazade '88
(France-Bordeaux)
シャトー・オー・フォンラザード

Ch. Moulin Haut-Laroque '86
(France-Bordeaux)
シャトー・ムーラン・オー・ラロック

Ch. Dudon '85
(France-Bordeaux)
シャトー・デュドン



France-Bordeaux


Ch.Lafite-Roothschild
シャトー・ラフィット・ロートシルト
ポイヤック (CS70,M15,CF13,PV2)
('75 \43,000)

 メドック格付け第1級の中でも筆頭の位置を務める銘酒中の銘酒。コンティ王子とのロマネ・コンティの畑の取り合いをしたことでも知られるマダム・ポンパドールが晩餐の席で欠かさなかったと言われるのが、このラフィット。1級格付けの中で、最も広い100haの畑から約2万5千ケースのワインが生まれます。
 初めてこのワインの79年を飲んだ時の印象、それは繊細、優雅。世間の評価も何故か他の1級格付けに比べて、地味な感じがする。今回、このラフィットをいただいて、ふと思った事。それは「このワインは、飲む人にもデリカシーが必要」という事。
 格付け第1級の筆頭、今でもその評価は変わらない。いかに新世界で美味しいワインが造られようと、このワインが持つものを表現するのは、最も困難。「精緻、優美」そして「洗練(フィネス)」、そういう意味では、唯一無二のボルドーワインかもしれません。
(メドック格付け第1級)


Ch.Mouton Rothschild
シャトー・ムートン・ロートシルト

ポイヤック (CS80,CF10,M8)
('75 \35,000)

 メドック格付け第1級ワイン。1855年の格付けでは第2級でしたが、1973年、例外的に第1級へ昇格。毎年、著名画家によりラベルが描かれる事でも有名。75年の画家は、あのアンディ・ウォーホールです。 
 もともと、あのセギュール公爵が所有していた、ラフィットとムートン。畑は隣同士で地続き。どうして出来あがるワインがここまで違うのか?
 ムートンの醸造長曰く「5年までは、グレープジュースでワインではない。25年経たないとムートンにはならない!」
 ようやく25年の年月を過ごしたムートン。彼が言うように、ワインの肉付き、深いカシスの芳香は、まだまだこれから。なにより思ったのは、「ブドウというものが、こんな深い味わいを持った飲物になる」ということ。確かに「男性的、豊潤、荘厳」という言葉が似合う。故バロン・フィリップ・ド・ロートシルト氏、ワインを愛し、ボルドーのワイン産業に数々の功績を残した人物。このムートンはやはり彼の魂だったのでしょう。
(メドック格付け第1級)

Ch. Clerc Milon
シャトー・クレール・ミロン

ポイヤック 赤 (CS70,M20,CF10)
('75 \8,600)

 このシャトーは、あの偉大なる故バロン・フィリップ・ド・ロートシルトの娘、フィリピンヌの所有。ムートンとは兄弟シャトーになります。畑は30ha、ムートンとラフィットに隣接する絶好の場所。現在は、二人のお人形が踊る愛らしいラベルとなっていますが、この年はまだ旧ラベルです。
 クレール・ミロンは、とても外向的で若いうちでも飲めるというですが、さすがに75年という素晴らしい年のものは、未だに大丈夫。たしかに、熟成という意味では、ムートンと比較するものではありませんが、格付けワインの素晴らしいところは、バランスを崩さないということ。すべてに丸みを帯びたワインは、「とても気さくなおじいちゃん」といった風。いいですよ。
(メドック格付け第5級)

Ch. d'Armailhac
シャトー・ダルマイヤック

ポイヤック 赤 (CS50,M32,CF18)
('95 \6,980)

 これもシャトー・ムートンの兄弟シャトー。故バロン・フィリップ男爵がこの畑を入手したのが1933年で、当時はムートン・ダルマイヤックと呼ばれていました。そして、56年にムートン・バロン・フィリップと改名、75年にムートン・バロンヌ・フィリップ、89年からダルマイヤックと改称されています。(出世魚じゃないんだから。。。)
 95年は近年の最良のヴィンテージという評判。まだ紫がかった色で、果実味、タンニン共に親しみやすさがあり、甘味もすでに感じるのですが、やはり今飲むのはもったいなかった。また5年後位に出会いたいワインです。
(メドック格付け第5級)


Ch.Pontet Canet
シャトー・ポンテ・カネ

ポイヤック 赤 (CS63,M32,CF5)
('90 \8,000位)

 メドック格付けシャトーの中でも、120haという広大な畑を持ち、ムートン、ダルマイヤックの南側に位置するポンテ・カネ。セカンド・ラベル(レ・ゾー・ド・ポンテ)を合わせると年間約4万ケースを産出。第5級ながら、それ以上の実力を持つとされる評判のよい赤です。
 このヴィンテージにして、まだインクを思わせるヨード香はあるものの、魅力的なカシスの風味とスパイス香はメドックの格付けワインならでは。抜栓後、1時間くらいに味わいのバランスがとれてきます。「これから飲み頃だよ」と言わんばかりのワインです。
(メドック格付け第5級)


Ch.Haut-Batailley
シャトー・オー・バタイエ

ポイヤック 赤 (CS65,M25,CF10)
('75 \11,800)

 1942年にシャトー・バタイエの畑から分割され、あのボリー家(デュクリュ・ボーカイユ、グラン・ピュイ・ラコストのオーナー)の経営となったオー・バタイエ。この地区にしては22haというこじんまりとした畑は、ポイヤック村の南寄り、ジロンド河からかなり内陸に入った森の端に位置するそうです。
 どちらかといえば、サン・ジュリアンに似た個性を持つといわれるこのワイン。以前80年を飲んだ時には、その頼りなさにややがっかりしたものですが、75年という長熟なヴィンテージは趣が違っていました。
 中くらいのルビー色にややオレンジが入りかけており、飲み頃を思わせます。ボルドーの古酒の良さを伝えてくれる複雑なブーケ、しかしながら未だにタニックで今飲んで最も楽しめる時期に入っているワイン。良い方に期待を裏切ってくれた1本です。
(メドック格付け第5級)


Ch.Leoville Barton
シャトー・レオヴィル・バルトン

サン・ジュリアン 赤 (CS70,M15,CF7,PV8) 
('88 \12,000位)

 メドックの格付け第2級。このシャトーは、1855年の格付け以降所有者が変わらなかった3つのシャトーのうちの1つで、2世紀にもわたってアイルランド系のバルトン一族が所有しています。第3級のシャトー・ランゴア・バルトンと同じシャトー内で醸造されており、この2つのワインからセレクトされた物がレディー・ランゴアという名前でセカンド・ワインとして造られています。
 88年のレオヴィル・バルトン。10年以上経ちながら、まだまだ綺麗でやや深めのルビー色。サン・ジュリアンの個性とも言える土のニュアンス。カシス風のとてもしなやかな果実と、酸味と渋味のバランスに優れた印象。好きなタイプです。
(メドック格付け第2級)


Ch. Talbot
シャトー・タルボ

サンジュリアン 赤 (CS66,M26,PV5,CF3)
('89 \9,000)

 手堅く高品質なワインを生み出すことで知られるコーディア社所有の格付けシャトー。同じコーディア社所有のグリュオ・ラローズに隣接し、102haという広大な単一畑からワインが造られます。新樽は約40%。
 89年という良質のぶどうから出来た事を証明するような、深みのある色。土のニュアンスのある香り。果実自体は思ったほど強くはないのですが、多めのタンニンがワインを形成しています。酸味が穏やかな分、しっかりと感じられるワイン。サンジュリアンらしいエレガントさよりは、しっかりした骨格を持ったワイン。でもこの村のワインはやっぱり落ち着きます。
(メドック格付け第4級)

Ch. Lalande-Borie
シャトー・ラランド・ボリー

サンジュリアン 赤 (CS65,M25,CF10)
('90 \5,700)

 シャトー・オー・バタイエと同じく、メドック格付け第2級のシャトー・デュクリュ・ボーカイユを所有するジャン・ユジェンヌ・ボリー氏のシャトー。18haというこの地区としては、こじんまりとした畑は、もともとシャトー・ラグランジュの一部だったという事。とても評判の良いワインなので期待していたのですが。。。
 酒屋さんで買ったその日に開けたこのワインは、どうやら、入荷後間もなかったようです。ワイン自体の味も判断できず、酸、タンニン、全てがバラバラ。多分これはワインのせいじゃありません、私のせいです。(それとも90年は良くないのかなあ?)
 教訓:入荷後、せめて2〜3ヶ月はワインを休めてあげましょう。


Ch.Margaux
シャトー・マルゴー

マルゴー 赤 (CS75,M20,PV&CF5)
('93 \39,800 1500ml)

 このワインに詳しい説明はいらないほどのシャトー・マルゴー。ボルドーで最も名のしれた87haの畑は、小石が多くその下方に石灰質の土壌が存在、緩やかな傾斜によって適度な排水と保水のバランスを保っているそうです。
 「10年に満たない5大シャトーは飲まないほうがいい」なんてことを聞いたことがありますが、このマルゴーは違っています。
 93年のマグナムボトル。鮮やかなルビー色はまだ若々しいのですが、すでに柔和なカシスやベリーの香り、豊かで包み込むような果実味、タンニンもすでに丸みを帯びコクを感じます。やはりこのワインはエレガントなスタイル、どこまでも優しい味わいは「ボルドーの女王」の風格。
(メドック格付け第1級)


Ch.Rausan-Segla
シャトー・ローザン・セグラ

マルゴー 赤 (CS61,M35,PV2,CF2)
('88 \19,800 1500ml)

 1855年のメドック格付け第2級の中で、トップにランクされたシャトー。パーカー氏の「ボルドー」によると、60年代や70年代の不調の時代を過ぎ、80年代初頭の数々の改良により、その格付けに見合っただけの秀逸なワインを生み出しているということ。(新しい蔵の建設、ステンレス発酵槽の増設、新樽の増加、厳しい選別の強化など)
 また、1994年には、あのシャネルがこのシャトーを買収し、以降「Rausan」の綴りが「Rauzan」となっています。
 88年のマグナムボトル。パーカー氏は「最も内向的な.....筋骨隆々のワイン」という表現をされています。実際、快活な深いルビーレッドのワインは、凝縮感のある果実とミネラルと酸、豊かなタンニン分を含み、ワイン自体の旨みが出てくるのはこれからかな?と思ったほど。しかしながら、そのバランスはブルゴーニュにも似た「気品」を感じさせ、あと5年から10年という歳月を我慢すれば、もっと熟女の魅力を出してくれるのは、間違いなさそうです。
(メドック格付け第2級)

Ch.Palmer
シャトー・パルメ
マルゴー(カントナック村) 赤 (CS55,M45)
('93 \10,000位)

 1855年に行われたボルドーの格付けでは、第3級。しかし、長年にわたり、安定した品質のワインを造り続け、その人気、実力共に、第1級のシャトー同等に評価されています。いわゆる「スーパー・セカンド」の第1号。
 93年のパルメ。このワインは、メドックのワインに見られる比較的多目のタンニン、熟したプラムといった特徴を兼ね備え、確かに「ボルドーを頂きました」という感のある1本。バランスもとれたワインは、一緒に飲んだ方々からも「さすがパルメ」という声しきりだったのですが。。。
 確かに今飲んで美味しいワイン。ただ、パルメという名声のあるワインにしては、全体的な果実、深み、余韻、すべてに少し物足りなさが?と思ったのが正直な印象。ちょっと厳しいですが。
(メドック格付け第3級)

Ch. Desmirail
シャトー・デミライユ

マルゴー 赤 (CS80,M10,CF5,PV5)
('89 \5,400)

 メドック格付けシャトー(ブラーヌ・カントナック、デュフォール・ヴィヴァン等)を有するルシアン・リュルトンのシャトー。このシャトーも、1855年の格付けでは第3級にランクされながら、近年の評価はパッとしないのですが。
 10年目のデミライユは、丁度飲み頃。熟成によるプラムを感じさせるブーケ、依然細やかなタンニンがワインを支え、この村で水準以上のワインである事を認識できます。
 値段の高い評判のよいブルジョワ級を選択するか、評価の低いお買い得な格付けシャトーを選ぶか?たまには、後者を選ぶのもいいかもしれません。
(メドック格付け第3級)


Ch. La Conseillante
シャトー・ラ・コンセイヤント

ポムロール 赤 (M65,CF30,Ma5)
('75 \19,500)('92 13,000)

 ポムロールとサンテミリオンのAC境界に位置するこのシャトー。つまりポムロールのペトリュスやル・パン、サンテミリオンのシュバル・ブランの中間にあります。1874年以降、ニコラ家が運営し、12haの畑からは毎年5000ケース前後のワインが生まれます。
 75年、ラ・コンセイヤント。なかなかこの地区の古いヴィンテージを飲む機会はありませんが、ちゃんと熟成したものは、素晴らしいトリュフのようなブーケを感じます。かなり熟成を感じさせる色をしながら、なめらかな舌さわり、柔らかなボディは丸みと甘味、微細なタンニンが調和を保ちます。このワインが出来あがった時には、かなり肥えたものだったような気がしました。まさにエレガントなワイン!
 92年、ラ・コンセイヤント。やはりこのヴィンテージは難しい年なのかなあ?という第一印象。やや薄めのボディのため、酸が高く感じ、しなやかなイメージはあるのですが。。。1万円以上と言われるとちょっとつらい。

Ch. Haut-Fonrazade
シャトー・オー・フォンラザード

サンテミリオン 赤 (CF,M)
('88 \2,950)

 ワインショップ「エノテカ」さんのおすすめワイン。黒のラベルに金の印字という荘厳なラベル。そのルックスに惹かれます。
 ワイン自体は、外見と違いかなりマイルド。サンテミリオンのカベルネ・フランが熟成すると、「ミルク」のようなニュアンスを感じるのは私だけでしょうか?熟成を感じさせる、コスト・パフォーマンスの高いワインです。飲み頃。
(サンテミリオン地区特別級)

Ch. Moulin Haut-Laroque
シャトー・ムーラン・オー・ラロック

フロンサック 赤 (M65,CF20,CS10,Ma5)
('86 \2,500)

 昨年飲んだ3000円以下の赤ワインで、第1位にあげた「シャトー・エルベ・ラロック」。このワインはそのファーストです。ポムロールに隣接するフロンサック地区で最も重要かつ秀逸な造り手とされるのが、ムーラン・オー・ラロックのジャン・ノエル・エルヴェ氏。
 86年というヴィンテージにしてこのお値段。ややピークがすぎている(?)感もあるのですが、このまろやかなワインは、ボルドー右岸の熟成感が味わえます。「ヴィノス・やまさき」さんの輸入、恵比寿の「パーティー」にて購入。


Ch. Dudon
シャトー・デュドン

ボルドー 赤 (CS,M)
('85 \5,500)

 このワイン、詳細が分からない(もしかしてソーテルヌ地区のワイン?)のですが、素晴らしいワインです。なんと、85年のボルドーAOC。このヴィンテージにして、まだ鮮やかなルビー色をしています。果実味も衰えることなく快活で、わずかな熟成香とカシス。ミディアム・ボディのバランスのとれた味わいに脱帽。探せばあるんですね、もっともっといいワインが。輸入元:ヴァンシュールヴァンマスモト。

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