July,1999

Clos La Roche '88
(France-Bourgogne)
クロ・ラ・ロッシュ

Bonnes-Mares '89
(France-Bourgogne)
ボンヌ・マール

Echezeaux '89
(France-Bourgogne)
エシェゾー

Grands Echezeaux '88
(France-Bourgogne)
グラン・エシェゾー

Vosne-Romanee Les Beaux Monts '92
(France-Bourgogne)
ヴォーヌ・ロマネ・レ・ボーモン

Pommard Grands Epenots '89
(France-Bourgogne)
ポマール・グラン・ゼプノ

Blagny La Piece sous le Bois '87
(France-Bourgogne)
ブラニー・ラ・ピエス・スー・ル・ボワ

Meursault En La Barre '95
(France-Bourgogne)
ムルソー・エン・ラ・バール

Meursault Les Narvaux '88
(France-Bourgogne)
ムルソー・レ・ナルボー

Puligny Montrachet Champ Gain '78
(France-Bourgogne)
ピュリニィ・モンラッシェ・シャン・ガン

Bourgogne Passetoutgrain '96
(France-Bourgogne)
ブルゴーニュ・パストゥグラン

今月はブルゴーニュ特集



France-Bourgogne

Clos La Roche
クロ・ラ・ロッシュ

モレ・サン・ドニ 赤 (PN,Pb,PL)
('88 \8,000位 375ml)

 モレ・サン・ドニに本拠を置くデュジャック。今では超有名なこのドメーヌは、ジャック・セイセスが一代で築き上げました。彼が目指すのは「いじりすぎないブルゴーニュワイン」。無干渉を貫くスタイルは、いわゆる有機栽培。新樽は特級に100%、1級に50%。当然、ノンフルターです。
 クロ・ラ・ロッシュは、モレ・サン・ドニ村のグラン・クリュ。デュジャックの本拠地でもあります。しかしこのハーフボトルはもっと早く飲んであげるべきでした。かなりオレンジがかかり、すでに老年を思わせる揮発香も。フル・ボトルならどうだったのか、保存状態が良ければどうだったのか、気にかかるところです。
(ドメーヌ・デュジャック)グラン・クリュ

Bonnes-Mares
ボンヌ・マール
シャンボール・ミュジニー 赤 (PN,Pb,PL)
('89 \15,500)

 コート・ド・ニュイで、最も女性的と言われるワインを産出するシャンボール・ミュジニー村。この村のグラン・クリュは、この「ボンヌ・マール」と「ミュジニー」の二つ。「ボンヌ・マール」っていう言葉の響きがとても素敵でしょ。
 このワイン、香りはまさしくグラン・クリュ!「湿った土」と表現される香り、カシスのような黒果実系のボリュームに溢れた香りは官能的。これぞブルゴーニュの醍醐味という風です。
 しかしながら、その味わいは???やや粗いタンニンが多く、果実の味自体が伝わって来ない。決して薄くはないのですが、収斂味があり、焦点があっていないような。香りと味のイメージが、どうしても結びつかない不思議なワイン。
 実際、昨年同じロベール・グロフィエ、89年のシャンボール・ミュジニィ・アムルーズを2度飲んだのですが、同じイメージ。当然このボンヌ・マールの方が全体的な凝縮感はあるのですが、ピンとこない。年によって出来に差があると言われるこの造り手は、89年は良くないのかな?
(ドメーヌ・ロベール・グロフィエ)グラン・クリュ

BEST TASTY WINE OF THIS MONTH

Echezeaux
エシェゾー
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('89 \30,000位)
Grands Echezeaux
グラン・エシェゾー
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('88 \35,000位)

 DRCというワインに関して、そうそう飲める代物ではありませんし、こうやってレポートを書くこと自体、class30にとって、無理のある感はありますが、この2本を同時に頂く機会に恵まれました。(DRCに関しての詳細はこちらをご覧下さい。)

 最初にこの2本を飲んだ感想としては、今までの中で、最も飲み頃、そして最良の状態だったという事。それだけにこの偉大な造り手について、一段と興味が湧いてきたという実感です。
 2本とも、ブルゴーニュとして、凝縮されたワインである事が分かる深いガーネット色、それは未だに活々としています。ややグラン・エシェゾーの方が、濃く感じたのですが「これは先入観によるものかもしれない」と思ったほど、大きな差はありません。また、どちらも約1時間前に抜栓しデキャンタージュ、魅力を感じ始めたのは、2時間以上経ってからでしょうか。
 当然、2本ともに共通するイメージがあり、スパイス、プラムやカシス、そこにコーヒーやトーストされたオークの燻した感じが品良く加わります。

 ’88グラン・エシェゾーは、どこまでも深い黒果実といった風で、骨格の大きさを感じます。最後まで完全に開ききらなかったのは事実で、あと5年は十分置いてから飲みたかった。しかしながら最高の飲み頃を迎えた時には、「偉大なるブルゴーニュになるのでは?」という期待でいっぱいです。
 ’89エシェゾーは、時間と共に、熟した赤い果実の甘さを感じ、より親しみやすさを覚えます。果実味、タンニン共に芳醇で繊細、しかしグラン・エシェゾーよりはマイルドでバランスが良い。今まさに、飲み頃に入ったという時期なのでしょう。

 多分、今飲んでやっと美味しく感じられるエシェゾー、もっと置いて更なる「偉大さ」を感じさせてくれるグラン・エシェゾーだったように思います。この2つのヴィンテージ、畑の差を垣間見た、貴重な体験でした。
(ドメーヌ・ドゥ・ラ・ロマネ・コンティ)グラン・クリュ

Vosne-Romanee Les Beaux Monts
ヴォーヌ・ロマネ・レ・ボーモン
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('92 \5,000位?)

 ヴォーヌ・ロマネ村のプルミエ・クリュ、レ・ボーモン。ミッシェル・ノエラは、もともとネゴシアンに大半のワインを売っていたワインを、近年ドメーヌ元詰めにしているらしい。レ・ボーモンの他に、レ・スショ、クロ・ド・ヴージョなどの畑も所有しています。
 中位のルビー色、高めの酸と比較的多めに感じるタンニン。造りはしっかりしているのですが、やや果実味がおとなしいのかな。
(ドメーヌ・ミッシェル・ノエラ)プルミエ・クリュ


Pommard Grands Epenots
ポマール・グラン・ゼプノ
ポマール 赤 (PN,Pb,PL)
('89 \9,000)

 醸造桶の中に人が入りブドウを足で踏みつぶしたり、3週間にも及ぶ長期発酵、1/3の新樽の使用、ノン・フィルターと伝統的な醸造法を踏襲する生産者、ミッシェル・ゴーヌー。当主ミッシェル亡き後(84年)、未亡人が意志を受け継いでいると言われます。ポマールの1級畑グラン・ゼプノに2.9haを所有。
 10年経った今、ようやく飲み頃と思わせるワイン。芳醇な香り、深みのある果実味。酸が柔らかなため、極端に言えば「甘味、旨味の詰まった海苔」のような凝縮感。ちょっと言い過ぎかな。でも、久しぶりに飲んだ美味しいポマールでした。
(ドメーヌ・ミッシェル・ゴーヌー)プルミエ・クリュ

BEST VALUE WINE OF THIS MONTH

Blagny La Piece sous le Bois
ブラニー・ラ・ピエス・スー・ル・ボワ
ブラニー 赤 (PN,Pb,PL)
('87 \3,980)

 ブラニーというワインを侮っていました。ムルソーとピュリニー・モンラッシェの二つの村の境、斜面上部に位置するブラニー。この村にあるLa Piece sous le BoisLa JeunelottSous le Dos d'Ane(あのルフレーヴが造る赤ワインとしても有名)という3つの区画は、白ワインは「ムルソー・プルミエ・クリュ」、赤ワインは「ブラニー・プルミエ・クリュ」となるようです。
 ムルソーの秀逸な白ワイン生産者として名高いドメーヌ・ロベール・アンポーが造る赤ワインのブラニー、87年。すべてにおいて、びっくりのワインです。
 中心のルビーがエッジに近づくにつれ茶褐色を帯び、すでに飲み頃の様子。最初はチェリーのような果実も感じるのですが、その熟成香は優雅そのもの。味わいは動物的なニュアンスがはっきり感じられます。やや高目の酸がワイン全体を律したイメージに仕立てています。コスト・パフォーマンス抜群のワインだと思います。ブルゴーニュの古酒の好きな方に是非飲んでみてもらいたいワインです。
(ドメーヌ・ロベール・アンポー)プルミエ・クリュ


Meursault En La Barre
ムルソー・エン・ラ・バール
ムルソー 白 (Ch,PB)
('95 \5,650)

 フランソワ・ジョパールは、パーカー氏、タンザー氏共に4ツ星(Excellent Producer)として評価しているムルソーの秀でた造り手。新樽の使用率は1/3〜1/10と少なく、2年近い熟成の後、無濾過にて瓶詰めされます。
 この「エン・ラ・バール」という区画は、プルミエ・クリュではありませんが、コント・ラフォンのモノポールとして有名な「クロ・ド・ラ・バール」の畑と道1本挟んですぐ隣に位置します。
 噂に違わず、洗練された造りです。深い黄金色をしたワインは、余計な味付けを施さず、ブドウのストレートな風味が感じられます。ムルソーに見られる「ナッツっぽい」感じもあまりなく、きれいなミネラルとしっかりした余韻が印象的。どちらかと言えばムルソーらしくない?パーカー氏によると、「ピュリニー・モンラッシェの姿に似ることも多い」との事。このワイン、そうだったような気がします。ただ、今飲むのは少し早かったかな。置くともっと良くなるような気がします。
(ドメーヌ・フランソワ・ジョパール)

Meursault Les Narvaux
ムルソー・レ・ナルボー

ムルソー 白 (Ch,PB)
('88 \8,350)

 星谷さんの書かれた「マダム・ルロワの愛からワイン」。この素晴らしい書籍を読みながら向かった北欧の国で、たまたま出会った1本。
 この本のインタビューによると、「レ・ナルボー」はマダム・ルロワのひいお祖父様が、この地に移り住んでいた場所で、その小屋がいまでも現存しているといいます。プルミエ・クリュである「ペリエール」のすぐ斜面上に位置し、ムルソーの畑がすべて見渡せる場所。また、88年はマダムが、かのニコラ・ジョリーのもとへ行き「ビオディナミ」を実践する事を決意した年。そんなワインの持つストーリーに感激し、大切にしていたワインです。
 やや保存の状態に疑問を持ったのですが、その香りや果実味は、控えめでやや細身。しかしながら、どこまでも優しく調和を保った味わいは、マダムの言葉に現れているのかもしれません。
 「私は、私以前にいろいろ成し遂げた人々を、とても尊敬しています。彼らの残した足跡、仕事をとても大切に思っています。どこまでも続く大きな鎖の輪の一つだと感じます。」
(ルロワ)


Puligny Montrachet Champ Gain
ピュリニィ・モンラッシェ・シャン・ガン

ピュリニィ・モンラッシェ 白 (Ch,PB)
('78 \16,000)

 ピュリニィ・モンラッシェ、プルミエ・クリュの中でも斜面上部、ブラニー村に接する場所にあるのが「シャン・ガン」。実はこの辺りでは、ACピュリニィ・モンラッシェの赤も産出しているらしいのですが、生産量が極めて少ないため、ほとんど市場に出る事はないという事。シャサーニュの赤はたまに見かけますが、私自身、ピュリニィの赤は見たことがありません。
 それはともかく、このシャン・ガンにはびっくり。ピュリニィ・モンラッシェというワインは繊細で硬めの酸が特徴の上品なワインだというイメージだったのですが、20年以上も熟成し、そのボリュームが増しているようです。まるで熟したパイナップルのようなフルーツ香が溢れ、丸みを帯びたボディを持っています。やはりどちらかというと、シャサーニュに近い性質を持ったワインなのかもしれません。このヴィンテージの白ワインにして、とても面白いと思います。
(ルロワ)プルミエ・クリュ



Bourgogne Passetoutgrain
ブルゴーニュ・パストゥグラン

ブルゴーニュ 赤 (Ga,PN)
('96 \2,500)

 今や伝説ともなりうるアンリ・ジャイエの跡を継ぐエマニュエル・ルージェ。彼が造るワインもすでに注目の的で、発売と同時に完売するという。今では主にジャイエ3兄弟の畑からワインを造り、自身で所有するのは、ヴォーヌ・ロマネ村にある約1haのパストゥグラン用の畑だけという事。
 唯一の自己所有畑という意味でも価値のある(?)このワイン。パストゥグランは、ガメイ2/3、ピノ・ノワール1/3の混醸で造られるものを指します。
 噂に違わず素晴らしい造り手なのでしょう。その香りは、ピノ・ノワールを主に感じさせ、ガメイの快活な部分も持ち合わせています。上質な酸味がしっかりした果実の味わいを飲みやすくし、その後に驚くほどの甘味。この甘味は何なんだろう。とても「熱い」。パストゥグランなのに2時間たっても落ちる気配も見せない。まいった。
(エマニュエル・ルージェ)



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