June,1999

Pedroncelli Cabernet Sauvignon '96
(America-California)
ペドロンチェリ・カベルネ・ソーヴィニヨン

Ch. Montelena Cabernet Sauvignon '93
(America-California)
シャトー・モンテリーナ・カベルネ・ソーヴィニヨン

Stag's Leap Wine Cellars Fay '94
(America-California)
スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ・フェイ

Vichon Cabernat Sauvignon Stags Leap District '93
(America-California)
ヴィション・カベルネ・ソーヴィニヨン SLD

Dominus '84 '94
(America-California)
ドミナス

Tria Pinot Noir Carneros '96
(America-California)
トリア・ピノ・ノワール・カーネロス

Niebaum-Coppola Rosso '95
(America-California)
ニーボーム・コッポラ・ロッソ

Ridge Monte Bello '88
(America-California)
リッジ・モンテ・ベッロ

Ridge Geyserville '90
(America-California)
リッジ・ガイザーヴィル

Byron Pinot Noir Reserve '94
(America-California)
バイロン・ピノ・ノワール・リザーヴ

Costa De Oro Pinot Noir '96
(America-California)
コスタ・デ・オロ・ピノ・ノワール

M.G. Vallejo Pinot Noir '96
(America-California)
M.G.ヴァレーホ・ピノ・ノワール

今月はカリフォルニア赤ワイン特集です



America-California

Pedroncelli Cabernet Sauvignon
ペドロンチェリ・カベルネ・ソーヴィニヨン

ソノマ(ドライ・クリーク・ヴァレー) 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン)
('96 \2,000)

 カリフォルニアにおいて、常に品質の安定したお手頃なワインを生産する事で知られるワイナリー。1904年以来、ペドロンチェリ一族が管理し、このドライ・クリーク・ヴァレーには、45haの自社畑を所有しているとの事。
 実際、酒屋さんですすめられたこの1本。この価格にして凝縮され、かなりのボディを感じます。黒果実、インクのような感じは、しっかりした造りの証拠でしょうか。ただ最近、この手のアメリカン・オークと思われる香りが強すぎるワインは、少し敬遠気味。個人的な嗜好の問題なのですが。
(ペドロンチェリ・ワイナリー)


BEST TASTY WINE OF THIS MONTH

Stag's Leap Wine Cellars Fay
スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ・フェイ

ナパ 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン主体)
('94 \8,000)

 1976年、パリで行われた米仏テイスティング対決で、ボルドーの有名シャトーを相手に、見事第一位を獲得した事でも有名なスタッグス・リープ。ワイン造りにおいて大切な要因は3G「グレープ(ぶどう)、グランド(土壌)、ガイ(人)」というマイケル・シチラッチ。
 隣接するSLV(スタッグス・リープ・ヴィンヤード)と共に有名な自社所有畑がこのフェイ(86年にフェイ家より購入)。新樽比率は50%。
 このワイナリーの、そしてカリフォルニアワインの頂点とも言えるカスク23は、現在、SLVとフェイのブドウをブレンドしているという事。「スパイシーで酸味のしっかりした」SLV。「フルーティーで柔らかな」フェイ。
 飲んでみてその意味が分かりました。「ワイナート」冬号に記載されているレポート通りの感想でしたので、そちらのコメントをお借りします。
 「香はそれほどボリュームはないが柔らかな、墨、インクに加え、キノコ、杉そしてカシスなどの複雑な香があり、ワインの質の高さが分かる。味も強烈なインパクトはないが、酸が奇麗でタンニンの強さも適度でまとまりが素晴らしい。」
 とても優雅、洗練されたワインです。
(スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ)



Ch. Montelena Cabernet Sauvignon
シャトー・モンテリーナ・カベルネ・ソーヴィニヨン

ナパ 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン主体)
('93 \10,000)

 このワインも、真っ先に頭に思い浮かぶのが、76年の米仏テイスティング対決。バタール・モンラッシェ等々のブルゴーニュの白ワインを相手に、見事トップに輝いたのが、ここのシャルドネだったようです。
 それ以来、ナパのワイン界をリードしてきた、モンテリーナ。ナパ北部のカリストガ山にある石造りシャトーは、1800年代にフランスから石を運んで造った伝統的なワイナリーを構えます。
 シャルドネと共に評価の高いカベルネ・ソーヴィニヨンもいいワインでした。93年にして、すでに飲み頃。最初の印象は「丸い」。ナパという立地、ワインの厚さもさることながら「熱さ」を感じます。誰が飲んでも素直に美味しいと感じられる事が、このシャトーの持つ、カリフォルニアの伝統なのでしょう。
(シャトー・モンテリーナ)



Vichon Cabernat Sauvignon Stags Leap District
ヴィション・カベルネ・ソーヴィニヨン・スタッグス・リープ・ディストリクト

ナパ 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン主体)
('93 \3,980)

 88年春のブルータス「3000円以下のカベルネ・ソーヴィニヨン」で第1位に輝いたのが、このワイン。(実際に買った夏すぎには、この価格でしたが。)
 ヴィション・ワイナリーは、80年に創業されたワイナリーで、ナパ・ヴァレーを見下ろす小高い丘の上にあり、スタッフ全員が女性だそうです。85年からロバート・モンダヴィの傘下に。このSLD(スタッグス・リープ・ディストリクト)は、ここのフラッグシップ。
 最近人気のソムリエ各氏が高評価をしたというのもうなずけます。香りからしてカシスの風味、ほんのり甘いバニラ香が見えかくれし、ボルドーワインのよう。味わいは、ややオークの風味が勝っている感はありますが、凝縮された果実味。とてもまろやかな口当たりはカリフォルニアの良さですし、最後は柑橘系に近い酸味が引き締めてくれます。全体的にバランスのとれたワイン。ただ、時間が経ってからより、抜栓直後の印象の方が良かったように思います。
(ヴィション・ワイナリー)



Dominus
ドミナス

ナパ 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン主体、メルロー、プティ・ヴェルド)
('84 \16,000)('94 \12,000)

 オーパス・ワン、ルビコンと共に現在、カリフォルニアで最上級のプレミアム・ワイン。1982年に、ポムロールのクリスチャン・ムエックス氏(あのペトリュスのオーナー)が興したワイナリー。畑はマヤカマス山に向かって緩やかな傾斜を描く約50haの「ナパヌック・ヴィンヤード」。「フランスの手法をカリフォルニアの葡萄で生かす」ことがポリシーだといいます。

 84年のドミナスは、クリスチャン・ムエックス氏を描画した旧ラベル(今では文字だけのラベルに)。これがフィネスというものなのでしょう。他のカリフォルニアのカベルネとはやはり一線を画してします。細やかなタンニンがワインに複雑さを与え、このヴィンテージにして動物的と言われるニュアンスがはっきり表れます。果実味よりもワイン全体の調和と上級の質。これがドミナスの目指したところなのでしょう。

 94年のドミナスは、R.パーカー氏が99点をつけたワイン。これは完全に飲みかたを間違ったようです。抜栓して30分は完全に閉じてしまって、何も答えてくれません。黒に近い色調、凝縮された果実は、1時間くらいからデリケートなタンニンと、カシスの風味、スパイスを感じさせます。ただ、魅力が発揮される前でも、ためらいもなく口に入っていくのが恐ろしいほどのスムースな飲み心地。今飲むのは、もったいなかったかもしれません。
(ドミナス・エステート)


Tria Pinot Noir Carneros
トリア・ピノ・ノワール・カーネロス

ナパ(カーネロス) 赤 (ピノ・ノワール)
('96 \2,250 375ml)

 V(トリア)、ピノ・ノワールの産地として名高いカーネロス産。恵比寿の「パーティー」でもお薦めになっていたこのワイン。実は友人が買っていたので、私も試してみようと思ったハーフ・ボトル。
 その友人曰く「すごく良かったでしょ」という。私が飲んだ感想は、これって良く分からないワイン?深いガーネット色からくる味わいは、とてもしっかりしたボディー、しかしやや収斂性が強い。と思いながらついついグラスに手が伸びる。友人との差は、ボトル・ヴァリエーションなのか、それとも勉強不足か?ただ、あまり印象には残っていないのですが。
(トリア)



Niebaum-Coppola Rosso
ニーボーム・コッポラ・ロッソ

ナパ・ヴァレー 赤 (サンジョヴェーゼ他)
('95 \2,100)

 映画界の巨匠フランシス・フォード・コッポラがサンジョヴェーゼ他で造るイタリアン・タイプ。カリフォルニアでは、イタリア系ブドウ品種は、まだまだ少ないようですが、さすがにイタリアの血が流れるコッポラ監督です。
 本当はあまり期待していなかったのですが、なかなかどうして。明るい元気な色をしたワインは、優しい果実と、チャーミングな酸味が効いた、気持ちのいいワイン。よくまとまっていると思います。
(ニーボーム・コッポラ・エステート)



Ridge Monte Bello
リッジ・モンテ・ベッロ

サンタ・クルーズ・マウンテン 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン主体)
('88 \18,000)

 ジンファンデルのスペシャリストとしても名高いリッジ。しかしながらカリフォルニアを代表するカベルネ・ソーヴィニヨンとまで言われるのが、このモンテ・ベッロ。22haの畑から新樽100%を使用しワインを造ります。哲学的ワインメーカー、ポール・ドレイパーは「ぶどう園をもってワインの質を語らせる」と言い、この畑の傍に住んでいます。
 リッジの頂点でもあるモンテ・ベッロ。ビックリした事に完全に熟成してる!中位のルビー色ながら、すでにややレンガがかっています。プラムのような香りにも、やや揮発香が。味わいはほんとうに優しい。太陽を浴びたブドウが熟成のピークに達し、カベルネというより、メルローにも似た、優雅な感じの美味しいワインで、個人的には好ましかった。
 しかし、10年ちょっとでカリフォルニアってここまで熟成するのだろうか?ボルドーなら20年以上は経っていそうな感じ。確かに88年はカリフォルニアにおいてはオフ・ヴィンテージ。ボルドーの87年だと思えば納得かもしれません。カリフォルニアでも、やっぱりヴィンテージの差はかなりあるのでしょうか?興味深いワインでした。
(リッジ社)



Ridge Geyserville
リッジ・ガイザーヴィル

ソノマ 赤 (ジンファンデル64%、プティシラー18%、カリニャン18%)
('90 \2,400 375ml)

 当然のようにジンファンデルについては、名高いリッジ。リッジのジンファンデルは、ソノマにある畑のぶどうから造られ、他にリットンスプリング、パガニランチなどが有名です。
 90年のガイザーヴィルは興奮します。ジンファンデル自体、古いヴィンテージを飲む機会がないのですが、もしブラインドで飲んだら、ブルゴーニュの古酒に間違えたかもしれません。まだまだ鮮やかなガーネット色、ベリー系のアロマは力強く、やや「奈良漬」のような熟成香(いい意味で)。味わいはしっかりしたタンニンを保ちながら、繊細でしなやかな感触があります。さすが、リッジのジンファンデル。今リリースされている若いヴィンテージのものを買って、置いておく気になりました。
(リッジ社)



BEST VALUE WINE OF THIS MONTH

Byron Pinot Noir Reserve
バイロン・ピノ・ノワール・リザーヴ

サンタ・バーバラ 赤 (ピノ・ノワール)
('94 \4,680)

 サンタ・バーバラにおけるワイン醸造の先駆者と言えるケン・ブラウン。70年代後半からこの土地でブドウの栽培を続けてきた彼が、1984年サンタ・マリア・ヴァレーに起こしたワイナリーがバイロンです。オ・ボン・クリマのジム・クレンデネン、キュペのボブ・リンクィストと共にこの土地の可能性に早くから着眼した人物。
 90年より、ロバート・モンダヴィの傘下となり、より高品質のワインを造るべく、「畑とブドウ」の研究に余念がないと聞きます。フレンチ・オークの使用、そして決してポンプを使わないというグラヴィティ・システム(重力移動システム)を採用しています。
 様々な要素の旨味がうまく溶け合い、とても素直に美味しいと感じるワイン。凝縮された果実は、ラズベリーのような甘さを伴い、オークのトーストされた感じと共に心地よく口に入ります。古き良き伝統を受け継ぎながら、カリフォルニアの色を感じさせるワイン。この地区のピノ・ノワールは、やはり目が離せないようです。好みのワインです、おすすめ。
(バイロン・ヴィンヤード・アンド・ワイナリー)



Costa De Oro Pinot Noir
コスタ・デ・オロ・ピノ・ノワール

サンタ・マリア・ヴァレー 赤 (ピノ・ノワール)
('96 \2,880)

 5月に、オ・ボン・クリマとキュペは、醸造所を共有している事をお伝えしたと思いますが、実はこのコスタ・デ・オロもそうなのです。ちゃんと「SANTA MARIA, CA BW 5107」と同じ住所が記されています。畑は「ゴールド・コースト・ヴィンヤード」どうやら単一畑のようです。「ワイナート」冬号のブラインド・テストで、ピノ・ノワール部門第2位だったこのワイン。
 期待通りのワインです。第一印象はブルゴーニュに近い。甘酸っぱいフランボワーズかという香りはとても品が良く、かなりしっかりした酸味、複雑性を帯びるタンニンがほどよく調和を保っています。カリフォルニアにしてオーキーな(樽の感じ)が前面に出てこない所に、かえって好感が持てたのですが。。。
 と思ってたら、時間が経つにつれ、それぞれの要素が自己主張しはじめました。かなり強く。このピノ・ノワールは、ワインを飲みなれた方のほうが印象が良いように思いました。
(コスタ・デ・オロ)



M.G. Vallejo Pinot Noir
M.G.ヴァレーホ・ピノ・ノワール

カリフォルニア 赤 (ピノ・ノワール)
('96 \1,500)

 いまカリフォルニアの中でも、「安くて美味い」と評判のM.G.ヴァレーホ。その斬新なラベルデザインもなかなかです。実際、世界各国をみても1000円台のピノ・ノワールで美味しいものを見つけるのは困難かもしれません。
 いいですね。ブドウの甘さを感じさせ、爽やかな酸味と共に好印象です。このワイナリーの詳細は分かりませんが、その旨味の抽出は、なかなかの技術を持っているのでは?まあ、深く考えずに気軽に飲んだほうがよさそうです。
(M.G.ヴァレーホ)



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