May 1999 (2)

Ch.Cos d'Estournel '78
(France-Bordeaux)
シャトー・コス・デストュルネル

Ch.Latour '53 '81
(France-Bordeaux)
シャトー・ラトゥール

Ch. Leoville Las Cases '83
(France-Bordeaux)
シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ

Les Arums De Lagrange '96
(France-Bordeaux)
レ・ザルム・ド・ラグランジュ

Ch. Cheval Blanc '78
(France-Bordeaux)
シャトー・シュヴァル・ブラン

Ch. Beausejour (Duffau-Lagarrosse) '83
(France-Bordeaux)
シャトー・ボーセジュール(デュフォー・ラガロース)

Ch. Nenin '82
(France-Bordeaux)
シャトー・ネナン

Poupille '96
(France-Bordeaux)
プピーユ

Ch. Lamothe Guignard '89
(France-Bordeaux)
シャトー・ラモット・ギニャール



France-Bordeaux


Ch.Cos d'Estournel
シャトー・コス・デストュルネル

サンテステフ 赤 (CS50,M40,CF10)
('78 \15,000位)

 畑は、ラフィットを見下ろす丘に位置し第2級の中では最高の評価。”エストュルネル家の玉石の丘”という意味のこのシャトーは、東洋のパゴタ(神殿)をイメージしています。メドックの中では、メルロー種の比率が40%と高い。
 78年のコスは、予想に反して(?)このワインが「何故スーパーセカンドと呼ばれるか」ということを垣間見た気がしました。ワインライフ5号に掲載されている田崎さんのコメントは、イメージ通りでしたので参照して下さい。
 「色調はやや明るめだが、レンガ色はそれほど強くない。したがってまだ若さも感じる事が出来る。香りはやや還元的で、生肉香、そしてコーヒーのような香りを感じ、空気接触によって開きつつ、すぐに果実のジャム香と枯葉、なめし皮などの熟成香が広がる。調和がとれている。味わいは全体に酸味がしっかりとしており、そのためにエレガントでメドック的。余韻も長く、今、非常に飲み頃。ボリュームより酸味がはっきりしている。」
 そう、本当に飲み頃。酸味がとても「Hot」、辛いくらいに感じました。またそれがエレガント。私にとっては、サンテステフのイメージを一新させてくれたワインとなりました。
(メドック格付け第2級)



Ch.Latour
シャトー・ラトゥール

ポイヤック 赤 (CS80,M15,CF4,PV1)
('53 \150,000位)
('81 \25,000位)

 言わずとしれた、メドックの第1級。1953年はボルドーでの偉大なヴィンテージの一つ。その後1981年のこのワインを飲む機会に恵まれました。
 「いいワイン=重い」という観念は、捨てた方が良さそうです。ラトゥールはよく「男性的」と形容れますが、その意味は表面的なものではなく、ワイン全体の様々な要素が渾然となった複雑さ、内から湧き出るもののように感じました。
 私にとって最も古いヴィンテージとなった53年。色合いは奇麗なレンガ色。これが熟成というものなのでしょう。すでに熟成の頂点、やや枯れはじめ、揮発性の香りが漂い心を打ちます。そのフィネスは「グランヴァン」というにふさわしい。
 81年は、ラトゥールとしては、優しくしなやかなワイン。一緒に飲んだ方々は、香り、味わい共に少し物足りないといった感想。しかしながら、そのワインが持つ果実の豊かさや、質のよいタンニンは「重さ」を求めなければ納得出来るはず。
全世界のワイン生産者が一つの指標とするこの地区のワインは、「重さ」より「深さ」に特筆すべきものがあるように思います。
(メドック格付け第1級)



Ch. Leoville Las Cases
シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ

サン・ジュリアン 赤 (CS65,M18,CF14,PV3) 
('83 \23,000)

 レオヴィル御三家(レオヴィル・ラス・カーズ、レオヴィル・バルトン、レオヴィル・ポワフェレ)の中でも特に評価の高いスーパーセカンド。サン・ジュリアンの中でも北部に位置し、畑はシャトー・ラトゥールの南続き。サン・ジュリアン村の筆頭格です。
 さすがに、素晴らしいワインです。トーストされたオーク、凝縮された果実は、カシスやミネラルを含みます。ただ強いインパクトはなく、おしとやかな感じがする。あくまでバランスよく気品を持ち合わせています。
(メドック格付け第2級)



Les Arums De Lagrange
レ・ザルム・ド・ラグランジュ

サン・ジュリアン(ACボルドー)白 (SB53,Se36,Mu11) 
('96 \4,850)

 1983年にサントリーさんが買取り、多大な努力を重ねていると伝えられるシャトー・ラグランジュ。そのシャトーが96年にリリースした白ワインがこれ。名前の意味は、ラグランジュの敷地内にある池のほとりに咲いている白い花「アルム」にちなんで付けられています。
 初ヴィンテージである96年。とっても好ましいワインです。まずふくよかなボディに樽のニュアンス、そのあと可愛らしい甘味が興味を誘い、スマートな酸味が最後を引き締めます。それぞれのブドウの良さがバランスよくまとまっている印象。いろんな魅力を持った可憐な女性を感じさせてくれるワイン。


BEST TASTY WINE OF THIS MONTH

Ch. Cheval Blanc
シャトー・シュヴァル・ブラン

サンテミリオン 赤 (CF66,M34)
('78 \23,000)

 「第一特別級A」は、サンテミリオンでこのシュヴァル・ブランとオーゾンヌだけが名乗れる格付け。ポムロールとの境界線に位置するこのシャトーは、カベルネ・フラン2/3、メルロー1/3というブレンドで造られ、ボルドーの名シャトーの中でも珍しい。
 感激しました。ルビー色にややレンガ色が混ざり、その華やかなブーケは、気品に溢れ、官能の世界に誘ってくれます。熟した黒い果実、細やかでしなやかなタンニン、ハーブの香りが印象的。こんなに風味のあるワインがあるのですね。「第一特別級A」たぶん本当に別格なんだと思います。さすがにシュヴァル・ブラン、この地区で最も輝ける美しいワインなのでしょう。
(サンテミリオン地区第一特別級A)



Ch. Beausejour (Duffau-Lagarrosse)
シャトー・ボーセジュール(デュフォー・ラガロース)

サンテミリオン 赤 (M65,CF25,CS10)
('83 \8,900)

 この地区の第一特別級。メドックのワインに喩えれば第2級から3級の実力を持つと言われるボーセジュール。もともと1つの畑だったデュフォー・ラガロースとベコは1869年、2人の娘によって分割されました。
 83年は今熟成の高原部。優雅に年をとったワインは、贅肉が落ち、ふくよかな果実を感じさせるもの。特徴的な柔らかさは「乳酸」の感じがしました。このワイン、90年ヴィンテージは100点の評価を与えられています。いいワインなんでしょうね。
(サンテミリオン地区第一特別級B)


Ch. Nenin
シャトー・ネナン

ポムロール 赤 (M75,CF25)
('82 \7,000位)

 ポムロール地区のはぼ中央に位置するというこのシャトーは、名の通ったもの。このページに載せようか迷ったのですが。
 あるレストランで、リストに載っていたこのワインは、「ポムロール、ネナン、82年、意外に安い、でも間違いないはず」という選択。ホストテストの時、色は明るくややレンガ色がかかり、この時点で??香りはベリー系の柔らかなノーズがありながら、どことなく足りない。飲んでみると、酸が高めに感じながら消え、果実もすぐに消え、やや荒いタンニンがほんの少し感じる。「おかしい、ボトルの状態が悪いようには思えない。置けば開いてくるのかなあ?」しかしまったく変わらない。
 不思議に思ったので、帰ってからR.パーカー氏の「ボルドー」を調べてみると。。。この時期のネナンは状態が悪かったようです。彼の採点は76点。久しぶりに飲んだ「薄っぺらなワイン」。ワインのチョイスって難しいなあ。
 ちなみに、97年にレオヴィル・ラス・カーズに売却され、これからが期待出来るということです。


BEST VALUE WINE OF THIS MONTH

Poupille
プピーユ

コート・ド・カスティヨン 赤 (M100%)
('96 \3,000位)

 まだ20代のフィリップ・カリーユという青年がボルドー右岸で造るワイン。スイスで行われたワインコンテストで、あのペトリュスと決勝まで争ったり、ゴーミヨー誌の「消費者が選ぶお買得ボルドーコンテスト」で1位になったということです。
 このワインはこちらでも紹介しています。



Ch. Lamothe Guignard
シャトー・ラモット・ギニャール

ソーテルヌ 白 (Se90,SB5,Mu5)
('89 \2,800 375ml)

 ソーテルヌ地区格付け第2級の貴腐ワイン。シャトー・ラモットは、2つに分割され、ラモット(デピュジョル)と、このラモット・ギニャールに。第1級のギロー、ラ・トゥール・ブランシュ、ラフォリ・ペイラゲイに近い場所に位置します。89年はパーカー・ポイント91点。
 この貴腐ワインはとてもお買い得。柔らかな蜂蜜のような甘味、柑橘系の酸、そこにやや青い複雑な香草。まだボリュームにも溢れており、十分置いておく事も可能だと思います。ちょっと贅沢をしたい時にお薦めの貴腐ワイン。
(ソーテルヌ地区第2級)

今月のワイン 目次
今月のワイン 前回 今月のワイン 次回



class30 "The Wine"