December,2000 (2)

カリフォルニア&オレゴン
ブルゴーニュ系、ローヌ系品種

William Selyem Pinot Noir Russian River Valley '95
Gary Farrell Pinot Noir Russian River Valley '98
Saintsbury Pinot Noir "Brown Ranch" Carneros '96
Kistler Kistler Vinyard Chardonnay '96
Valley of the Moon Syrah '97
Kongsgaard Chardonnay '97
Patz & Hall Hyde Vineyard Chardonnay '97
Sean Thackrey "Orion" Old Vines '92
Calera Viognier Mt. Harlan '97
Byron IO '97
Sanford Chardonnay Barrel Select '96
Andrew Murray Esperance '97
Au Bon Climat California Aligote '96
Paraiso Springs Vinyards Syrah '97
Ponzi Reserve Oregon Pinot Noir '88
Chehalem Ridgecrest Rion Reserve Pinot Noir '96
Knudsen Erath Oregon Pinot Noir '85

(特にお気に入りのワインには マークを付けています)


California-Sonoma


William Selyem Pinot Noir Russian River Valley
ウィリアム・セリエム・ピノ・ノワール・ロシアン・リヴァー・ヴァレー

ロシアン・リヴァー・ヴァレー 赤 (ピノ・ノワール)
('95 \15,000位)

 1981年設立。ロシアン・リヴァー・ヴァレーの個人宅のガレージからスタートし、今ではカリフォルニアの頂点に立つワイナリーのひとつ。「ワイン・スペクテイター」が5ツ星を付けながら、ほとんどのワインが直売のため、めったにお目にかかれない幻のピノ・ノワール。年間生産約5500ケース。
 かなりワインを頂いた後だったのが残念。しかしワインは意外にも滑らかで、甘さを含むタンニンがワインの秀逸さを物語っているようでした。また飲んでみたい一本。
(ウィリアム・セリエム : William Selyem)

Gary Farrell Pinot Noir Russian River Valley
ガリー・ファレル・ピノ・ノワール・ロシアン・リヴァー・ヴァレー

ロシアン・リヴァー・ヴァレー 赤 (ピノ・ノワール)
('98 \8,000位)

 ソノマにあるデーヴィス・ヴァイナムのワインメーカーでありロッキオリのコンサルタントも務めるガリー・ファレルが造るプライヴェートブランド。初版のワイン・スペクテーター・ガイドブックで5ッ星ワイナリーに輝き、年間6000ケースと希少性が高い。
 98年という若いワインは、ラズベリーや野イチゴといった赤い果実のアロマの可愛い香り。心地よいミディアム・ボディのワインで、強度はなくともバランスの良い仕上がりをみせる活気のあるピノ・ノワールです。
(ガリー・ファレル・ワインズ : Gary Farrell Wines)


Saintsbury Pinot Noir "Brown Ranch" Carneros
セインツベリー・ピノ・ノワール "ブラウン・ランチ" カーネロス

カーネロス 赤 (ピノ・ノワール)
('96 \15,000位)

 イギリスの文芸評論家ジョージ・セインツベリーが1920年に出版した著書にあった「もしボルドーのワインが女王であるならば、間違いなくブルゴーニュはワインの王である」という一節に、デイヴィッド・グレイヴスとリチャード・ワードは深い感銘を受け、1981年、ピノ・ノワール、そしてシャルドネ専門のワイナリーを興しました。リザーヴ・シリーズをはじめ、高い評価を得ているセインツベリーがリリースした最高峰がこの単一畑からのワイン「ブラウン・ランチ」。このワインの生産量は年間350ケース。
 フレッシュなブラックベリーのアロマに凝縮したワインが感じられ、そこに時折覗かせるオークとカリフォルニアの太陽がもたらす甘さ。十分なアルコールを持つ果実はしなやかで、強さと調和を感じさせる素晴らしさ。これは美味しい。
(セインツベリー : Saintsbury)


Kistler Kistler Vinyard Chardonnay
キスラー・キスラー・ヴィンヤード・シャルドネ
ソノマ 白 (シャルドネ)
('96 \12,000位)

 1978年にスティーヴ・キスラーが興した、ソノマを代表するシャルドネの生産者。マヤカマス山脈の尾根に位置するワイナリーで年間18000ケースを産出。オークの小樽でのアルコール発酵、さらに100%のマロラクティック発酵、シュール・リー、バトナージュ、ノン・フィルターと伝統的なブルゴーニュの醸造法を踏襲し、数々の畑名入りのワインを造りだします。カリフォルニア・シャルドネの中でもファン垂涎のワイン。
 やはりこのワイナリーは別格なんだ、という印象。溶かしバターや熟したフルーツの香りが豪華で、滑らかなアタックからパワフルな果実、そしてレモンのエッセンスは溌剌とした余韻とバランスを作り上げています。あまりにも分かりやすい旨さは流石の一言。
(キスラー : Kistler)


Valley of the Moon Syrah
ヴァレー・オブ・ザ・ムーン・シラー

ソノマ・カウンティー 赤 (シラー)
('97 \?)

 ソノマにて、サンジョヴェーゼやシラーも手掛ける生産者。特徴的なボトルデザインはソノマのイメージを直接エッチングしたもので、イタリアで製作されるということ。
 黒味がかった赤紫色。シラーの個性を見せるブラック・スパイスや東洋風のスパイス、つんとくるアシッドな香り。リキュールのような性質を持つワインは、過熟ではない果実を感じさせ、切れの良い酸にローヌ風のシラーを思わせる良質なワイン。現地で購入された方に頂いたワイン。多分、日本未入荷? 本当にありがとうございました。
(ヴァレー・オブ・ザ・ムーン・ワイナリー : Valley of the Moon Winery)


California-Napa


Kongsgaard Chardonnay
コングスガード・シャルドネ

ナパ・ヴァレー 白 (シャルドネ)
('97 \7,000位)

 何やらエキゾチックなラベル。どうも気になるワインだと思えば、ワイン・スペクテーターは五つ星ワイナリーの評価、そしてこのシャルドネには96点を付ける。今をときめくワインメーカー、ジョン・コングスガードが手掛けるワインは1996年にデビューし、一躍話題に。あのハドソン・ヴィンヤードのブドウを27%使用、野生酵母による樽内発酵、12ヶ月に及ぶ樽熟成。現地でもかなり入手困難な銘柄。
 締った洋ナシのアロマとミネラル。肉厚でアルコールによる重厚感があるのですが、スタイルはカリフォルニアとは思えないほどの気品。評論各誌が高得点を付ける所以は、跪きたくなるほどの崇高さゆえ?カリフォルニアのモンラッシェか?この洗練されたスタイルは良い意味で期待を裏切ってくれました。
(コングスガード・ワイン : Kongsgaard Wine)

Patz & Hall Hyde Vineyard Chardonnay
パッツ & ホール・ハイド・ヴィンヤード・シャルドネ

ナパ・ヴァレー 白 (シャルドネ)
('97 \5,500)

 ホニグ・セラーズのワインメーカーだったジェームズ・ホール氏とフローラ・スプリングス・ワイナリーのセールスディレクターだったドナルド・パッツ氏が1988年に週末の趣味として、たったの5000ドルずつの出資で始めたワイナリー。世界最高レベルのシャルドネとピノ・ノワールを目指す二人の意思が産み出すワインは、フレンチオークの小樽で発酵・熟成を行い、高い評価を勝ち得ています。
 深みのある黄金色。石灰やマロン、繊細なフルーツの香り。味わいは、意外にもクリアーで、いくぶん厳しい表情、余韻に渋み(樽?)。この複雑なワインは、高めの温度の方がいいと思いますが、開けて少し時間を置いたほうが良いかもしれません。
(パッツ & ホール・ワイン : Patz & Hall Wine Co.)


Sean Thackrey "Orion" Old Vines
ショーン・タックレー "オライオン" オールド・ヴァインズ

ナパ 赤 (シラー)
('92 \6,000位)

 カリフォルニアにおけるローヌ品種を手掛けるワインメーカーとしてはパイオニア的な存在のショーン・タックレー。1979年にワイン造りを始めた彼はナパの高品質なブドウの供給を受け、素晴らしいシラーやプティ・シラーを造ってきました。多分、この1992ヴィンテージまでは、ヨントヴィルのシュミット・ヴィンヤードのシラーを使っているようです。
 素晴らしく深々とした色から分かるように、凝縮された黒果実の風味には、スパイスの混じるエキゾチックさ。ブドウのエキスとでも言える味わいは、熟成による甘みを含むタンニンが美味しく、強烈な印象を持ちました。珍しくすぐにもう一本買ったワイン。
(ショーン H. タックレー : Sean H. Thackrey)


California-San Benito


Calera Viognier Mt. Harlan
カレラ・ヴィオニエ・マウント・ハーラン
マウント・ハーラン 白 (ヴィオニエ)
('97 \6,500)

 マウント・ハーランで特筆すべきピノ・ノワール、シャルドネの先駆者としても知られるカレラですが、南フランスはコンドリューで知られるヴィオニエも高い評価を受けています。
 ヴォリューム溢れるワインは、芳醇という言葉がピッタリ。アプリコットや花梨、杏といった複雑かつ芳醇な香り。アルコールの高さが辛く感じるほどのワインはやはり秀逸ながら、好みの差はあるかも? 近年のカレラ・ヴィオニエはより洗練されたスタイルに変わりつつあるという噂。また試してみたいですね。
(カレラ・ワイン : Calera Wine)

California-Santa Barbara


Byron IO
バイロン・アイオー
サンタ・バーバラ 赤 (シラー64%、グルナッシュ19%、ムールヴェードル17%)
('97 \6,800位)

 サンタ・バーバラにおけるワイン醸造の先駆者と言えるケン・ブラウン。1970年代後半からこの土地でブドウの栽培を続けてきた彼が、1984年サンタ・マリア・ヴァレーに起こしたワイナリーがバイロンです。オ・ボン・クリマのジム・クレンデネン、キュペのボブ・リンクィストらと共にこの土地の可能性に早くから着眼した人物。1990年よりロバート・モンダヴィの傘下となり、ブルゴーニュ品種の造り手としても評価の高いワイナリーです。
 ギリシャ神話からとられた「IO」というネーミングのこのワインは、南仏のローヌブレンド。ブルゴーニュ品種のスペシャリストが満を持して出してきたワインは1996が初ヴィンテージ。(1994から試験的に造っていたようです。)
 まずスパイス、そこにプラムやベリーの甘い香りが誘い込む。しなやかな果実に中庸な酸味、タンニン。これらのバランス感は抜群。余韻はドライで、十分な旨味とコクを持ちながら、飲み飽きることはないだろうと思わせる。カリフォルニアの新しい可能性が詰まっている素晴らしいワインだと思います。
(バイロン・ヴィンヤーズ & ワイナリー : Byron Vineyards & Winery)


Sanford Chardonnay Barrel Select
サンフォード・シャルドネ・バレル・セレクト
サンタ・バーバラ 白 (シャルドネ)
('96 \3,800位)

 サンタ・バーバラを代表する畑「サンフォード&ベネディクト」のオーナーであるサンフォード・ワイナリー。このワイナリーについては「200000ヒット記念感謝プレゼント」のページで説明しています。
 深い黄金色。ノン・フィルターを証明するかのような浮遊物が混じるワインは、ブルゴーニュの秀逸なキュヴェに近く、引き締まった印象。強さは感じないけれど石灰やアプリコットの品位の高い香り。甘味のある心地よい果実のアタックから酸のエレガントさが際立ち、フィニッシュが長く続くワイン。このワイナリーの良心を感じる造りに、杯の進む好みの一本。
(サンフォード・ワイナリー : Sanford Winery)

Andrew Murray Esperance
アンドリュー・マーレー・エスペランス
サンタ・バーバラ 赤 (グルナッシュ他)
('97 \3,500位)

 サンタ・バーバラで、南仏系の品種を手がけるブティック・ワイナリー、アンドリュー・マーレー。年産5000ケース程度で、シラー、ヴィオニエ、ルーサンヌ等のワインを造り徐々に注目を集めています。
 このエスペランスは、グルナッシュ等の南ローヌ風ブレンド。スミレやスパイスの香り、凝縮感のあるしっかりした酒質。きっちりとした酸味により、飲み口も素直で美味しいワインです。
(アンドリュー・マーレー・ヴィンヤーズ : Andrew Murray Vineyards)

Au Bon Climat California Aligote
オ・ボン・クリマ・カリフォルニア・アリゴテ
カリフォルニア 白 (アリゴテ)
('96 \3,000位)

 何度も紹介しているABC。秀逸なピノ・ノワール、そしてシャルドネはよくご存知だと思います。これはABCが造るアリゴテ。
 第一印象からブルゴーニュとは違うスタイル。樽を感じるバニラ、トロピカルフルーツの甘さのあるカリフォルニアらしい香り。余韻はアリゴテらしくドライ。もう少し早めに飲むと印象も違ったのでしょうが、ふくよかなアリゴテ種のワインでした。
(オ・ボン・クリマ : Au Bon Climat)

California-Monterey


Paraiso Springs Vinyards Syrah
パライソ・スプリングス・ヴィンヤーズ・シラー
モントレー 赤 (シラー)
('97 \3,000位)

 カリフォルニア州モントレーのサンタ・ルチアの山中にあるパライソ・スプリングスは、1988年にワイン造りを開始。それまでは有名ワイナリーに売るブドウの生産農家で、そこで造られたワインはセントラルコーストやカリフォルニアの表示ワインとして高価格で販売されていたということ。オーナーのリチャード氏は「良いぶどうを造る事だけが私の人生」と語る。
 煮詰めたブルーベリーやプラムの香り。まったりとした感触の飲み心地に充実したエキス分を感じさせます。約三日間、素晴らしい香りを放っていた事にもビックリ。これから注目間違いないでしょう。
(パライソ・スプリングス・ヴィンヤーズ : Paraiso Springs Vinyards)


Oregon-Willamette Valley


Ponzi Reserve Oregon Pinot Noir
ポンジー・リザーヴ・オレゴン・ピノ・ノワール

オレゴン 赤 (ピノ・ノワール)
('88 \?)

 1979年、ディック&ナンシー・ポンジー夫妻がオレゴンに設立した家族経営のワイナリー。今ではブルゴーニュでの経験を積んだ娘リサがワインメーカーとして活躍しています。リリースするワインは当然ブルゴーニュ品種、ピノ・ノワール、シャルドネ、そしてピノ・グリ、リースリング等。フランス産のオーク樽で熟成された長期熟成型のピノ・ノワールは評判です。
 「カレラ VS ABC」の二次会で頂くことが出来た80年代のオレゴン。色そして味わいも熟成感のあるピノ・ノワールは、無花果、キャンディー、そして酵母の香りが漂う素晴らしい古酒。ふんわりとした雰囲気のワインは、酔いのある体を優しく包み込むようでした。
(ポンジー : Ponzi)


Chehalem Ridgecrest Rion Reserve Pinot Noir
チェハレム・リッジクレスト・リオン・リザーヴ・ピノ・ノワール

オレゴン 赤 (ピノ・ノワール)
('96 \7,000位?)

 H.ジョンソン氏も「小規模ながら1ランク上のワインを産する」とするワイナリー。ウィラメット・ヴァレー北部、ヤムヒル・カウンティーに1990年創立。「Chehalem」とはインディアンの言葉で「gentle land」「valley of flowers」という意味。1994年からリリースされたピノ・ノワールは高い評価を受け、この「Rion」は同ワイナリーのフラッグシップ。ブルゴーニュのドメーヌ・ダニエル・リオンのパトリス・リオン氏がコンサルティングしているようです。
 こちらも上記のポンジーと同じ時に頂いたもの。綺麗なオレゴンのミネラルと締った果実は、クールなイメージ。印象的なラベルも気になり、もう一度トライしたいワインでした。
(チェハレム・ワイナリー : Chehalem Winery)


Knudsen Erath Oregon Pinot Noir
ヌードセン・エラス・オレゴン・ピノ・ノワール

オレゴン 赤 (ピノ・ノワール)
('85 \?)

 「Knudsen Erath」? 今では「Erath Vinyards Winery」というのはあるけど、そこと関係あるのでしょうか?詳細は分からずともオレゴンの名を世界に知らしめた年、1985という良年のピノ・ノワール。
 いやはやオレゴンもちゃんと熟成するんですね。明るいオレンジがかったルビー色のワインは、苺やバラの香りが華やかで、魅力的な熟成香。アルコールは13%という表示ながらそれ以上に高く感じます。繊細なタンニンとドライな余韻が美しいオレゴンの古酒です。
(ヌードセン・エラス : Knudsen Erath)

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