December,2000

ボージョレとフランスのデイリー

Beaujolais Villages Nouveau '00
Beaujolais Villages Primeur '00
Beaujolais Villages Nouveau '00
Beaujolais Nouveau Cuvee Superieur '00
Beaujolais Blanc '98
Chenas '99
Morgon "Cote du Py" '97
Brouilly '86
Bourgogne Passetoutgrain '97
D-Vin (Ch. Lauduc) '98
Gigondas '96
Viognier (Vin de Pays des Collines Rhodanienne) '97
Grand Ardeche Chardonnay (Vin de Pay des Coteaux de l'Ardeche) '90 '97
Les Cailloux du Paradis "Racines" '97
Ch. Mourgues du Gres Capitelles des Mourgues '97
Chardonnay (Vin de Pays des Coteaux de Laurens) '97
Vin d'Alsace Riesling Kaefferkopf Grand Reserve '86
Arbois Pupillin '93

(特にお気に入りのワインには マークを付けています)



France-Bourgogne

Beaujolais Villages Nouveau
ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー
ボージョレ 赤 (ガメイ)
('00 \1,900位)

 「ボージョレの帝王」ジョルジュ・デュブッフ。素朴な地酒でしかなかったボージョレを世界の銘酒にまで磨き上げた人物。
 今年のボージョレはしっかりしたワインとなったようです。さすがにデュブッフ、軽やかで新鮮味あるボージョレの良さを引き出したワインは安心して飲めます。華やかなラベル、今年はかなり洒落てます。
(ジョルジュ・デュブッフ : Georges Duboeuf)

Beaujolais-Villages Primeur
ボージョレ・ヴィラージュ・プリムール
ボージョレ 赤 (ガメイ)
('00 \3,500)

 ブルゴーニュ随一の造り手、ルロワ。このワインは「Nouveau」ではなく「Primeur」と記されています(詳しくはこちらで)。
 ルロワの新酒は初めて頂いたのですが、ガメイのフレッシュさよりも、酒質のしっかりしたワインはタンニンも感じられ、いつもルロワを飲まれている方々には、満足いくルロワらしいヌーボーなのだと思います。一緒に飲んだ方も言ってましたがヨーグルト的な香りもありました。他のボージョレと造り方が違うかな?
(ルロワ : Leroy)


Beaujolais Villages Nouveau
ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー
ボージョレ 赤 (ガメイ)
('00 \2,300位)

 今年日本初上陸のドメーヌ・ジョヴェール。ジョヴェール家はボージョレでは南に位置するブルイイに位置し今の当主は4代目。酸化防止剤もほとんど使わず、無農薬有機栽培で自然な味わいに拘り続けているという事。
 酸化防止剤を入れていないという事を聞いていたので、抜栓直後の揮発香に「ドキッ」としたのですが、時間が経つと全くもってOK!ふくよかな果実の甘味のある美味しいワイン。ブドウのパワーと複雑みのあるボージョレだと思います。エチケットの雰囲気もグッド!
(ドメーヌ・ジョヴェール : Domaine Joubert)


Beaujolais Nouveau Cuvee Superieur
ボージョレ・ヌーヴォー・キュヴェ・スペシュール
ボージョレ 赤 (ガメイ)
('00 \35,000 5Lオーク樽入り)

 ジュリエナ村の秀逸な生産者ミッシェル・ジャイヤール。コンクールなどで金賞を多数獲得する実力派のワインは、樹齢15年から60年の古木に限って仕込まれ、若い樹のワインはネゴシアンに売却されます。
 大好きなミッシェル・ジャイヤール。この時期の樽は一段と美味しく感じますね。フレッシュさとワインの持つ柔らかさは最高の旨さ。樽はちょっと高くついてしまいますが、飲み終わってもディスプレイにするといいですね。皆さんでワイワイどうぞ!
(ミッシェル・ジャイヤール : Michel Juillard)


Beaujolais Blanc
ボジョレー・ブラン

ボジョレー 白 (Ch100%)
('98 \1,700)

 ボジョレーと言えば、やはり赤のヌーボーなんですが、白やロゼも造られているんです。このワインは、ボジョレー地区のコンテストで数々の賞を獲得している隠れた名品ということ。インポーターである新井順子さんのコメントでは「熟れた西洋梨や蜜の入った赤林檎のような、華やかで優しく、また柔らかい香りが漂い、味わいは、初めのアタックに刺すような酸味がありますが、それが自然と口になじみ、もう一杯飲みたくなるような品の良さがあります。食事と一緒に飲んでも邪魔にならず、むしろ無いと淋しい、いわゆる空気のような存在という形容詞がピッタリな、和食に合いやすい1本です。」
 まさにシャルドネというよりソーヴィニヨン・ブランに近い個性を持ったワインで、その爽やかさは食中酒としてうってつけ。ボージョレの白はなかなか見かけませんが、是非試してみて下さい。
 (ドメーヌ・ペロル : Domaine Perol)


Chenas
シェナ

シェナ 赤 (Ga,Ch,Al)
('99 \2,800位)

 シェナは、ボージョレの中では最小のクリュで、シェナ、シャペル・ド・ギンシェの2ヶ村にまたがるブドウ畑はムーラン・ア・ヴァンの区画内にあるので、3/4はその名も名乗れるという事。かつて群生していた樫(シェーヌ)が村名の由来。
 ボージョレで最も気になる生産者といえば、マルセル・ラピエール。有機栽培、高い樹齢、低収量、天然酵母、樽熟成、ノンフィルター、亜硫酸無添加、蝋封という拘り方。
 ヌーボー達と比較しても明るいルビー色。クリュのせいか、ヴィンテージのせいか、今までのマルセル・ラピエールのワインよりは、少しこじんまりとした印象ですが、優しい酵母の香りは健在で、飾り気のないほっとする味わいに心和みます。
 (マルセル・ラピエール : Marcel Lapierre)


Morgon "Cote du Py"
モルゴン "コート・デュ・ピィ"

モルゴン 赤 (Ga,Ch,Al)
('97 \3,800)

 モルゴンは10あるボージョレのクリュの中で最も「男性的」と形容され長熟の可能性を秘めるワインを産出する土地。Cote du Pyは風化した片岩質でこの村の有名な畑のようです。
 ジャン・フォワヤールについてはよく分からないのですが、上記のマルセル・ラピエールと同じく蝋で封がしてあり、有機栽培の造り手かなと思わせます。ワインも素晴らしく、ブルーベリーにロースト香、深みのある果実はかなりしっかりした味わい。ボージョレの中にもまだまだ良いワインがありそうです。
 (ドメーヌ・ジャン・フォワヤール : Jean Foillard)


Brouilly
ブルイイ

ブルイイ 赤 (Ga,Ch,Al)
('86 \2,600)

 クリュ・ボージョレの中では最も南に位置し約1200haの広い栽培面積を持つブルイイ。コート・ド・ブルイイは標高500mある小高い丘の裾野に広がる地域で、ブルイイでも一歩格上とされる地域です。
 ボージョレは早飲みとされますが、クリュ・ボージョレは熟成も出来るということはよく言われます。このワインも86年にして光沢のあるルビー色。心地よい揮発香の中に、お茶っ葉や石灰、ドライ・フラワーといった香りがあり、しなやかな果実が美味しいワイン。ボージョレの別の一面が垣間見ることが出来ます。
(ドメーヌ・ド・シャヴァンヌ - シルヴァン・フェッシー : Domaine de Chavannes - Sylvain Fessy)


Bourgogne Passetoutgrain
ブルゴーニュ・パストゥグラン
ブルゴーニュ 赤 (Ga,PN)
('97 \1,700)

 class30お気に入りの造り手、ロベール・ジャイエ・ジルのパストゥグラン。パストゥグランとは、ガメイ種2/3、ピノ・ノワール1/3の混醸でつくられるワインです。
 梅、チェリーの香り。フルーティーで心地よい果実と酸味とのバランスも良く、余韻に樽からのタンニンを感じます。デイリーにブルゴーニュが飲みたくなったら、パストゥグランもいいですね。
(ジャイエ・ジル : Jayer-Gilles)


France-Bordeaux


D-Vin (Ch. Lauduc)
ディー・ヴァン(シャトー・ローデュック)
ボルドー 赤 (M76,CS24)
('98 \3,000位)

 ワイナート誌「特集 ボルドー第2弾」での高評価も記憶に新しいD-Vin。ファショナブルで印象的な外観、そして重厚なボトル。このシャトー・ローデュックは、ボルドーの市内からサンテミリオン方面に10kmの場所に位置する家族経営の小さなシャトー。若き世代が飛び切り面白い高品質の赤ワインを造ろうと決心、専門家の協力を得て生まれたというこのワイン。
 35hl/haの低収量、収穫後5日間低温浸漬、16日間最高28度と温度コントロールしながら発酵。新樽100%で15ヶ月熟成、フィルターもかけないという念の入りよう。1997年と1998年がリリースされています。
 抜栓後の華やかで甘味のある香り、ふくよかな果実感を酸が引き締める姿は美味しいメルローそのもの。徐々に出てくる樽の要素、そしてワイン全体のイメージは新世界風で、現時点では派手に感じますが、これはまだまだ熟成の能力を持っている証拠でしょう。いずれにせよ、これだけの強さを持つACボルドーは稀でしょうし、これから目の離せないワインとなりそうです。



France-Cotes du Rhone

Gigondas
ジゴンダス
ジゴンダス 赤 (グルナッシュ主体、シラー、ムールヴェードル)
('96 \4,000)

 シャトーヌフ・デュ・パプのやや北東に位置するジゴンダスは、その昔コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュでしたが、1971年ACジゴンダスに昇格。ブドウ品種にはこの地方らしい規定があり、グルナッシュが最高80%まで、シラーとグルナッシュを15%以上使うというもの。
 ルロワが造るジゴンダス。フレッシュなプラムやチェリー、酸味を中心とする優しいミディアムボディのワイン。特徴的な香水や酵母の香りはやはりルロワ的?美味しいんだけどもう少し安ければなあ。
(ルロワ : Leroy)

Viognier (Vin de Pays des Collines Rhodanienne)
ヴィオニエ(ヴァン・ド・ペイ・デ・コリン・ローダニエンヌ)
ローヌ 白 (ヴィオニエ)
('97 \3,600)

 コート・ロティ最高の生産者ドメーヌ・E・ギガルの醸造責任者だったピエール・ガイヤールが独立し1981年に興したのがこのドメーヌ。コート・ロティやコンドリューの評判はめきめき上がってきていますが、これはヴィオニエを使ったヴァン・ド・ペイ。
 ヴィオニエ種の特徴が良く出たキャラメル、ミルク・ティー、トロピカルフルーツの香り。しっかりした酸味から余韻への渋み。ワインの厚みも十分。ただ、少し味わいの中に雑味を感じます。いたしかたないところでしょうが、ヴァン・ド・ペイとしては価格が高いかな。
(ピエール・ガイヤール : Pierre Gaillard )


Grand Ardeche Chardonnay (Vin de Pay des Coteaux de l'Ardeche)
グラン・アルディッシュ・シャルドネ (ヴァン・ド・ペイ・デ・コトー・ド・ラルディッシュ)
コトー・ド・ラルディッシュ 白 (シャルドネ)
('97 \3,000)('90 \2,100)

 ブルゴーニュで長い歴史を持つルイ・ラトゥールが、ローヌ河中流域右岸コトー・ド・ラルディッシュにて造るシャルドネ。
 評判の良いワインは、さすがルイ・ラトゥールと思わせる出来栄え。バニラや焦げたパンにミネラルが溶け込む香り。ボリューム感のあるワインは、柑橘系の酸が全体をキュッと締め付けるバランスの良さ。ブルゴーニュの白に、少し新世界のテイストを加えたという感じでしょうか。
 また90年という古いヴィンテージが酒屋さんに残っていたので、廉価で譲って頂きました。やや酸化が入り、飲み頃としては過ぎていたものの、ワインの持つ甘い果実味は健在。楽しむことが出来ました。
(ルイ・ラトゥール : Louis Latour )




France-Val de Loire


Les Cailloux du Paradis "Racines"
レ・カイユー・デュ・パラディ "ラシーヌ"
ロワール 赤 (カベルネ、コット、ガメイ)
('97 \3,000位)

 あるワインショップでふと目にとまったラベル。土の中に根っこが伸びるイラスト。ラシーヌとは根のことを言うそうで、このワインを手掛けるクルトワ夫妻はロワール渓谷ソローニュにある15haのぶどう畑にて完全な有機栽培を行い、酸化防止剤も使用しない。1haあたり25hlという低収量、収穫はすべて手摘み。ファースト・ヴィンテージの1995年から高い評価を受け、パリの有名レストランやショップにもリストアップされているようです。
 深みのある赤紫色にやや透明感がないのは自然志向の証でしょうか。抜栓後の軽やかな香りは時間と共に重さを増していきます。多分カベルネ・フランが多いと思いますが、野菜的な香りにスパイス、鉄分、オーク。濃厚だけど威圧的ではなく、優しい口当たりでタンニンはまろやか。複雑みと素朴さのあるワインは、個人的には好みの一本でした。
(クロード・クルトワ : Claude Courtois)




France-Languedoc Roussillon


Ch. Mourgues du Gres Capitelles des Mourgues
シャトー・ムルゲ・デュ・グレ・キャピテル・デ・ムルゲ
コスティエール・ド・ニーム : Costieres de Nimes 赤 (シラー主体)
('97 \1,500)

 コスティエール・ド・ニーム??初めて聞いたAOC。調べてみるとローヌ河が地中海に注ぐ手前、右岸にあるニームの町を中心に広がる地域。ここはガール県に入るので、以前はコスティエール・デュ・ガールというVDQSでしたが、1989年AOCに昇格したもの。
 深みのある赤紫。スミレ、ブラック・ベリー、プラムの芳しい香りにスワリング後はスパイス、バターと木の香りが加わる。なめらかな甘味のある果実、中盤から余韻にかけて、酸味と樽の渋みが長く心地よく続く美味しいミディアム。シラー主体ということですが、グルナッシュ、カリニャン辺りも入っていそうです。この価格帯のワインとしては、素晴らしい品質!


Chardonnay (Vin de Pays des Coteaux de Laurens)
シャルドネ(ヴァン・ド・ペイ・デ・コトー・ド・ローラン)
コトー・ド・ローラン 白 (シャルドネ)
('97 \2,400)

 1982年にAOCに昇格したラングドック地方のフォジェール。このシャトー・グレザンは、70haの畑を持ち有力な造り主として昔から地元の評価も高い。
 南フランスではシャルドネはAOCの認定品種ではありませんので、どんなに品質が良くてもヴァン・ド・ペイになるわけですが、このシャルドネ、ちょっとビックリです。この価格にして旨いワインで、心地よいバニラと華やかな香水のような香りは、ボーヌのプルミエ・クリュに負けず劣らずだと思いました。まだまだ知らない所に美味しいワインがあるんだなあ。おすすめです。
(シャトー・グレザン / ドメーヌ・ド・ラ・コマンドリー・ド・サン・ジャン : Ch. Grezan / Domaine de la Commanderie de Saint-Jean )



France-Alsace


Vin d'Alsace Riesling Kaefferkopf Grand Reserve
ヴァン・ダルザス・リースリング・カエフェルコフ・グランド・リザーヴ

アルザス 白 (リースリング)
('86 \2,800位)

 アルザス地方にて1770年から続く名門のドメーヌ・ビネール。醸造に関しては農業本来の姿をモットーとし、無農薬を徹底。SO2も必要最低限しか使用せず6haの畑を丁寧に手摘みするという頑固な生産者。
 1986年のカエフェルコフという畑産は、白い花をイメージさせる柔和な表情、熟成による上質のオイル香が心地よいワイン。柑橘の酸味とほのかな甘味が優しく、ほっと落ち着く一本。こんなワインがこれくらいの価格で買えるのは嬉しいと思います。 
(ドメーヌ・ビネール : Domaine Binner)



France-Jura

Arbois Pupillin
アルボワ・ピュピヤン

アルボワ 赤(プルサール)
('93 \2,700)

 ジュラ地方においてアルボワは800haの耕作面積を持つ、最もよく知られたAOC。ヴァン・ジョーヌ、ヴァン・ド・パイユ、そして赤、白、ロゼが生産される。1936年、フランスで最も早くAOCの認可を受けたのもアルボワであり、かのルイ・パストゥールがここで発酵の原理を発見した事でも有名な産地。アルボワACの中で、この「ピュピヤン」だけは村名を付けることが出来ます。
 畑面積2ha、生産量は年間たった1万本。山本博先生の言葉を借りると「赤、白ともにしばしば驚くべき水準の質に達するが、生産量が限られており、マニア向けのワイン」というピエール・オヴェルノワ。ジュラ独特の黒ブドウ、プルサール種のワインは、完全有機栽培という事。
 やはりジュラ地方のワインは独特ですね。淡い色調は熟成したピノ・ノワールのようで、シェリー風の酸化熟成香。タンニンは少なくライトに感じますが、プラム様の果実と高めの酸がとても印象的。試すと面白いワインです。
(ピエール・オヴェルノワ : Pierre Overnoy)

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