September,2000 (2)

ボルドー 1997ヴィンテージ

Ch. Calon-Segur '97
Ch. Pichon Longueville Comtesse de Lalande '97
Ch. Brane-Cantenac '97
Ch. Giscours '97
Ch. La Mission Haut Brion '97
Ch. Cheval Blanc '97
Ch. Angelus '97
Ch. Pavie '97
Ch. La Gomerie '97
Ch. Bellisle Mondotte '97

(特にお気に入りのワインには マークを付けています)


France-Bordeaux

Ch. Calon-Segur
シャトー・カロン・セギュール

サンテステフ 赤 (CS65,M20,CF15)
('97 \4,000位)

 かつての当主セギュール侯爵が残した言葉「ラフィットとラトゥールを造りしが、我が心、カロンにあり」と共にハートラベルが余りにも有名なカロン・セギュール。メドックの格付けワインの中では最北端に位置するシャトー。
 チリのカベルネ・ソーヴィニオンと飲み比べたこのワインは、メドックらしい土やスパイス、カシスの風味。当然その複雑みはチリとは一味違う趣、スタイルの良さが引き立ちます。この名高いワインとしては、ワインの厚み、奥行きに物足りなさも残りますが、97年は価格的にはとても廉価で販売されているので置いておくとよいかもしれません。
(メドック格付け第3級)


Ch. Pichon Longueville Comtesse de Lalande
シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド
ポイヤック 赤 (CS45,M35,CF12,PV8)
('97 \10,000位)

 第1級同等の評価を受ける第2級の最高峰。50%の新樽で20ヶ月の熟成を行う。オーナーのド・ランクザン夫人が、78年より後を継ぎ現在の評価を作り上げたと言われます。
 赤みがかったルビー色。その色の通り華麗な花のアロマやオークの甘味を感じる気品ある香り。やや中間域の味わいに乏しい分、タンニンの強さが前面にありますが、数年後には美味しく飲めるワインでしょう。
 (メドック格付け第2級)

Ch. Brane-Cantenac
シャトー・ブラーヌ・カントナック

マルゴー 赤 (CS70,CF15,M13,PV2)
('97 \1,950 375ml)

 マルゴーACで、その名の通り、カントナック村にあるメドック格付け第2級。カントナック村のいいワインは、他に「シャトー・カントナック・ブラウン」や「シャトー・ディッサン」など、金色のラベルが洒落てますね。
 抜栓直後にほとんど香りもたたず、余韻に異常なほどの乾きと辛さ(ドライ)を感じて?マーク。それが1時間後くらいには、レッドカラントの香りや甘さも出てきていい感じ。なんだか中華街にいるようなスパイス。これ中華料理と合わせたらワインの甘さも引き立って、美味しいかもしれないですね。
(メドック格付け第2級)

Ch. Giscours
シャトー・ジスクール

マルゴー 赤 (CS,M,PV,CF)
('97 \4,000位)

 マルゴー中心部から南にやや離れたラバルドに240haもの広大なブドウ園を持つジスクール。1952年、タリ家がシャトーを所有して以来、格付け当時の評価及び内容を取り戻そうと努力し、蘇ったシャトー。しかしながら、近年「ウッド・チップを使った」等の違法行為が告発され、ケチがついた感のあるジスクールですが・・・
 鮮やかな紫の強いルビー色。分かりやすい黒果実にすみれのアロマ、そこに土のニュアンスがちらり。終始中庸からやや低めの酸味、美味しいミディアムボディのワイン。
(メドック格付け第3級)


Bordeaux-Grave


Ch. La Mission Haut Brion
シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン
グラーブ(ペサック) 赤 (CS50,M40,CF10)
('97 \13,000位)

 シャトー・オー・ブリオンの向かいに位置するシャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン。1919年にウォルトナー家がこのシャトーを取得し、その名声をオー・ブリオンに匹敵するまでに高めました。1983年、オー・ブリオンがここを購入(ウォルトナー家はその後ナパ・ヴァレーに渡り、秀逸なシャルドネを生産している)。毎年新樽を100%使用し、24ケ月熟成させ、非常に高い評価のワインを産出する。
 赤みがかったルビー色のワインはスモーキーで、黒果実と焼けた石をイメージさせる深みのある香り。旨味のあるジュースに層をなすタンニン。今飲んでも十分美味しく、今後も期待できそうなワインです。 


Bordeaux - St-Emilion


Ch. Cheval Blanc
シャトー・シュヴァル・ブラン
サンテミリオン 赤 (CF66,M34)
('97 \16,000位)

「サンテミリオン・プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(A)」は、この地区でシュヴァル・ブランとオーゾンヌだけが名乗れる格付け。ポムロールとの境界線に位置するこのシャトーは、その土壌がグラーヴと呼ばれるカベルネ・フランに適した地質のため、カベルネ・フラン2/3、メルロー1/3というブレンドで造られ、ボルドーの名シャトーの中でも珍しい。名前の意味は「白馬」、ボルドーで最も深遠なワインと評され、多くのファンを持つシュヴァル・ブラン。
 甘い果実香は、エレガントなカシス、チェリーやトースト。果実味と酸、タンニンのバランスがとれ、親しみやすいミディアム・ボディに仕上がっていると思います。このヴィンテージには「深遠」という言葉は似合わないかもしれませんが、飲み頃を気にせずに開けられる近づきやすい「白馬」でしょう。
(サンテミリオン地区第一特別級A)


Ch. Angelus
シャトー・アンジェリュス
サンテミリオン 赤 (M50,CF45,CS5)
('97 \13,000位)

 有名なサンテミリオンの鐘楼から1キロ足らずの所、南向きの「丘のふもと」にあるシャトー・アンジェリュスは、ブアール・ドゥ・ラフォレ家所有のシャトー。1980年代、ミッシェル・ロランの助言のもと、急激に評価を上げたこのシャトーは、1996年の格付け見直しにおいて、見事「サンテミリオン・プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(B)」に昇格しました。(このシャトーは日本語のHPがあるので、詳しくはこちらで)
 美味しいワインですね。血や肉の焼かれた香ばしさ、赤から黒のベリー、豊満でジュシーな果実にタンニンが溶け込んでいて、複雑、美味。肉料理が食べたくなるほど魅惑的、華麗なワイン。
(サンテミリオン地区第一特別級B)

Ch. Pavie
シャトー・パヴィ
サンテミリオン 赤 (M55,CF25,CS20)
('97 \7,000位)

 この地区第一特別級の中でも最も広い畑(37ha)を持ち、年間18万本ものワインを産出、その名を広く知られるパヴィ。1895年に植えられた古樹を筆頭に平均樹齢45年。1998年を最後にオーナーだったヴァレット氏は、このシャトーを手放し、今後の動向が注目される。
 このヴィンテージはうまく行かなかったのか、黒果実とスパイスのアロマはあるものの、その味わいには、あまり印象に残るものがありませんでした。今後よくなるだろうか?
(サンテミリオン地区第一特別級B)


Ch. La Gomerie
シャトー・ラ・ゴムリー
サンテミリオン 赤 (M100)
('97 \20,000位)

 サンテミリオン地区のシンデレラとも言うべきラ・ゴムリー。ボーセジュール・ベコのジェラール・ベコ氏がル・パンのような贅沢なワインを目指す。100%メルロー、100%新樽、たった3haの畑から産出されるワインは年間9000本。その希少性も後押し、すでに多くのワイン愛好家から支持を受けているようです。
 このワインを二回頂く機会がありましたが、どちらも凄いという印象。濃度のある紫がかったルビー。やはりロースト香、プラム系の甘い果実。凝縮感とボリュームが素晴らしく、骨格のあるワイン。果実味を支えるほどよい酸味とタンニンによる綺麗なフィニッシュ。個人的には新樽の多いメルローに良い印象を持たないことが多々ありますが、これは文句なし。今後も期待できそうですね。
(サンテミリオン地区特級)


Ch. Bellisle Mondotte
シャトー・ベリール・モンドット
サンテミリオン 赤 (M100)
('97 \4,500位)

 シャトー・ベリール・モンドット??なにやらあのシンデレラ・ワイン、シャトー・ラ・モンドットのセカンドワインという噂が飛び交っていましたが・・・実はそうではなく、ラ・モンドットの隣に位置するシャトー。しかしながら醸造責任者はラ・モンドットと同じくステファン・デルノン・クール氏が務め、平均樹齢30年の畑から産出される話題の一本。通常はメルロー70%、カベルネ・フラン30%という事ですが、この97ヴィンテージはメルロー100%にてリリースされたようです。
 メルローの魅力が詰まった、鮮やかなルビーレッドのワイン。赤い果実の香りと親しみやすい中庸な果実ながら、決して単純ではなく、バラ、野生の肉、土といった、秀逸なワインに欠かせない要素もあるように思いました。今後注目ですね。
(サンテミリオン地区特級)

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