September,2000

セカンド・ワイン etc.

Carruades de Lafite '95
Les Forts de Latour '93
La Reserve du Genaral '93
Le Bahans du Haut-Brion '93
Ch. Fontenil '95
Ch. La Mothe de Barry '97
Vouvray Cuvee de Silex '98
Dominus '86
Napanook '97
Leapfrogmilch '98
Sanford & Benedict Pinot Noir '81
Luis Felipe Edwards Cabernet Sauvignon Reserva '96
Luis Felipe Edwards Carmenere '98
Ch. Musar '89


France-Bordeaux

Carruades de Lafite
カリュアド・ド・ラフィット
ポイヤック 赤 (CS,M,CF,PV)
('95 \8,000位)

 メドック格付け第1級の中でも筆頭の位置を務めるシャトー・ラフィット・ロートシルトのセカンドがこのカリュアド・ド・ラフィット。ラフィットでは、通常、全生産量の1/3がグラン・ヴァン用となり、約4割がこのセカンドとなります。
 さすがに抜栓してすぐには開かず、珍しくデキャンタを。後にワインのミネラル分が綺麗に現れ、甘さとロースト香を感じます。ワインの持つ様々な要素がまだまだ溶け込んでいないよう、全体がまとまる時間が欲しいワイン。今開けるには、少しもったいない一本だったようです。


Les Forts de Latour
レ・フォール・ド・ラトゥール
ポイヤック 赤 (CS,M,CF)
('93 \6,000)

 シャトー・ラトゥールのセカンド・ラベル。初ヴィンテージは1966年。メドック全セカンドワインの中でも最上の評価を与えられるワイン。実際、ラトゥールのスタッフは第2級同等のワインを造ろうとしているらしい。平均年産29000ケースのうち60%がシャトー・ラトゥールとして瓶詰めされ、残りがレ・フォール、サード・ワインのポイヤック、そしてネゴシアン売却用にまわされます。
 この93年も素晴らしい出来。秀でたバランス感覚の中に緻密な計算の入った深み。丁子やブラック・ペッパー、シナモン。咽喉にかけてぐっとタンニンを感じ、ワインの組成のよさを感じます。さすがラ・トゥールの弟です。

La Reserve du Genaral
ラ・レゼルヴ・デュ・ジェネラル

マルゴー 赤 (CS,M)
('93 \6,000位)

 マルゴー村の傑出したワイン、シャトー・パルメのセカンド・ラベルがこのレゼルヴ・デュ・ジェネラル。ここのセカンドは毎年造られるわけではないので、あまり見かけない貴重なもの。ワイン界の大御所、ヒュー・ジョンソン氏もある雑誌で「お薦めのボルドー・セカンド・ラベル」として挙げていました。名前にパルメの文字が出てこないので分かりにくいですね。でも98年ヴィンテージから「Alter Ego de Palmer」と名前が変わったようです。
 実はこのワインは澱の部分しか飲めなかったのですが、それでも飲み頃を思わせる柔らかなブーケと、果実感はちゃんとあったように思います。あまり印象の優れなかった93年のパルメ(ファースト)よりこっちの方がお買い得かも?


Le Bahans du Haut-Brion
ル・バアン・デュ・オー・ブリオン
グラーブ(ペサック) 赤 (CS,M,CF)
('93 \5,000)

 1855年メドック地区の格付けの際、あまりにも当時から定評があったため、グラーブ地区ながら例外的に第1級に格付けされたシャトー・オー・ブリオン。数あるボルドーのセカンドワインの中でも、レ・フォール・ド・ラトゥールと共に、最上級のセカンドとされるのが、このオー・ブリオンのセカンドです。
 93年のボルドーは、難しかったと言われますが、このクラスになると、ヴィンテージの良し悪しを感じさせません。ゆったりと姿を現すワインは、香ばしい丁子のスパイスや良い意味での土臭さ。ミディアム・ボディのワインに重さはなく、綺麗な印象の余韻を残します。未だ若々しく、今からが飲み頃かもしれません。


Ch. Fontenil
シャトー・フォントニル
フロンサック 赤 (M85,CF15)
('95 \3,700)

 「ミスター・メルロー」「シンデレラワイン請負人」と絶賛される話題のワイン・コンサルタント、ミッシェル・ロラン。彼がポムロールに隣接するフロンサック地区に所有するシャトーがこのフォントニル。栽培面積7ha、年間3500ケースを産出。エチケットには、誇らしげにロラン氏のサインが入っています。
 まずミントやハーブ、そして木の香り。優しい口当たりながら、黒い果実を感じさせるあたり、ワインの凝縮度が分かります。酸味とのバランスもとれ、しっかりとタンニンが残る余韻。約1時間後には、ワインの持つ要素が溶け合い、甘味も増してきました。抜栓後、少し置いたほうが、美味しいようです。


Ch. La Mothe de Barry
シャトー・ラ・モット・デュ・バリー
ボルドーAOC 赤 (CS,M,CF)
('97 \2,200)

 良いACボルドーの典型とも言えるこのワイン。紫がかったガーネットのワインは、誘うようなジャミーな香り、快適な飲み心地。果実のボリュームはミディアムで、甘味を伴う細やかなタンニンが美味しい。香りとバランス感に秀でたデイリーとして活用できると思います。

France-Val de Loire


Vouvray Cuvee de Silex
ヴーヴレー・キュヴェ・ド・シレックス
ヴーヴレー 白 (シュナン・ブラン)
('98 \2,200位)

 ロワール河中流、トゥーレーヌ地区最上のワインと賞されるヴーヴレー。ここで産するワインは、シュナン・ブラン種(現地名ピノー・ド・ラ・ロワール)で造られる白で、辛口(sec)半辛口(demi-sec)甘口(moelleux)がある。そのタイプはラベルに表記されることが多いのですが、近年はこのワインのように書いてないものもあるので注意が必要。
 このシレックスは石灰岩土壌で造られる辛口タイプ。光沢のある淡い黄色。ミネラル、リースリングを思わすハーブ、黄色いフルーツのアロマ。アタックに果実の甘味。穏やかな酸、アルコールのヴォリュームも優しく、熟したりんごの後味へと続きます。気持ちをホッとさせるような優しさのあるワイン。
(ドメーヌ・デ・ゾビュイジエール : Domaine des Aubuisieres)


California-Napa


Dominus
ドミナス
ナパ 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン主体、メルロー、プティ・ヴェルド)
('86 \18,000位)

 オーパス・ワン、ルビコンと共に現在、カリフォルニアで最上級のプレミアム・ワイン。1982年に、ポムロールのクリスチャン・ムエックス氏(あのペトリュスのオーナー)が興したワイナリー。畑はナパ・ヴァレーのヨントヴィル、マヤカマス山に向かって緩やかな傾斜を描く約50haの「ナパヌック・ヴィンヤード」。「フランスの手法をカリフォルニアの葡萄で生かす」ことがポリシーだといいます。ラベルは従来、様々なアーティストによりムエックス氏が描かれていましたが、1991年からはミシェル・バルダン氏による同一のデザインとなりました。
 ナパの名作。ぎゅっと硬いストラクチャーは、若いうちには、いつも難解なドミナス。今回の86年は期待していました。ようやく柔らかさが出ていたようです。イメージとしては、1986のルビコンに近く、白いキノコ、ミルキーでなめし皮のような熟成香。十分な構成を保ちながら、しなやかな果実が美味しいワイン。
(ドミナス・エステート : Dominus Estate)




Napanook
ナパヌック
ナパ 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン61%、メルロー17%、カベルネ・フラン9%)
('97 \5,000位)

 1996年ヴィンテージより登場したドミナスのセカンドが、このナパヌック。数種の色で描かれたラベルがとってもポップ。1996年ヴィンテージは2000ケースと数が少なく高価でしたが、1997年はドミナスの生産量が8500ケースに対し、このナパヌックも7200ケース造られ、価格的にも落ち着いてきたようです。パーカー氏はこのセカンドに89点という高得点をつけている様子。
 鮮やかな赤紫のワインは、温度を低めで頂くと、チェリーやシダー、タールの要素が感じられ、このワイナリーのボルドースタイルを物語るよう。グラスで時間を置くと、温度の上昇につれ、まろやかな香りに変化し、甘味を含むタンニン、美味しいミディアムボディの果実はカリフォルニアの空気を感じさせます。一つ気になったのは、ドミナスはフレンチオークのはずですが、このナパヌックはアメリカンオークの要素が感じられます。どうやらアメリカン・オークのバリック、20%が新樽ということです。いづれにせよ、若いドミナスを開けるのなら、このセカンドをお薦めしたいと思います。
(ドミナス・エステート : Dominus Estate)

Leapfrogmilch
リープフロッグミルヒ
ナパ 白 (シュナン・ブラン60%、リースリング40%)
('98 \3,000位)

 ラベルに描かれたカエルのマークで有名なフロッグス・リープ。1981年、ジョン・ウイリアムスがパートナーであったラリーとともに、2台のオートバイを売り払って始めたというワイナリー。今では52haの畑を所有。一切の化学肥料を拒否し、すべての畑に有機栽培を実践しています。
 このワイナリーはジョークが大好きで「フロッグス・リープ」という名前自体、あの有名な「スタッグス・リープ」をもじったと言われています。このワインはドイツの「リープフラウミルヒ」のパロディ版。ジョークの効いたワインは、シュナン・ブランらしい優しい甘味のあるフルーティーなワイン。白い花のイメージのワインは、少し冷やしめで飲んだら美味しいです。
(フロッグス・リープ : Frog's Leap)

California-Santa Barbara


Sanford & Benedict Pinot Noir
サンフォード & ベネディクト・ピノ・ノワール
サンタ・イネズ・ヴァレー 赤 (ピノ・ノワール)
('81 \5,000位)

 サンタ・バーバラを代表する畑で、世界にその名を轟かせたサンフォード & ベネディクト。現在はサンフォード・ワイナリーが所有し、オ・ボン・クリマやフォクセン等に高品質のブドウを供給。このワインは、その畑産、81年という珍しい古酒。
 かなり明るめのルビー、エッジはさすがにレンガ帯びています。抜栓直後は主に酸味を感じる香り。後に野イチゴ、イチジク、ドライ・フラワーという愛らしい香りに。野生酵母の仕業(?)と思しきまろやかな甘さ。やや揮発香を感じるワインは、エレガントな果実を残しており、熟成したピノ・ノワールの良さを堪能できます。この価格なら試してみる価値十分でしょう。
(Sanford & Benedict)


Chile-Colchagua


Luis Felipe Edwards Cabernet Sauvignon Reserva
ルイス・フェリペ・エドワルズ・カベルネ・ソーヴィニオン・リゼルヴァ

コルチャグア 赤 (カベルネ・ソーヴィニオン)
('96 \1,942)

Luis Felipe Edwards Carmenere
ルイス・フェリペ・エドワルズ・カルメネール

コルチャグア 赤 (カルメネール)
('98 \1,500)

 チリのセントラル地区、コルチャグア・ヴァレーに位置し、自社畑を約200ha持つワイナリー。樹齢3〜60年のカベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネ、メルローなどが植えられています。チリの有名な醸造家フェリペ・ド・ソルミニャック氏を主任エノロジストに、シャトー・ラフィットのディレクター、ジルベール・ロヴァム氏をコンサルタントに迎えています。厳選されたぶどうのみを使用し、生産、瓶詰め、出荷までを独自に行なうという、厳しくコントロールされたワイナリー。
 カベルネ : このリゼルヴァは樹齢50年以上のブドウを使っているということ。落ち着いたガーネットにやや熟成が入ったエッジの色合い。やや青さを残すカシスの風味、木屑、アメリカン・オークのアロマ。チリとしては締った感じのみずみずしい果実、程よいタンニンが余韻を締める。軽やかながら軽くはない、美味しいミディアム・ボディのデイリーワイン。実際には900円で売っていました。買うべしです。
 カルメネール : カルメネールは、18世紀初頭にはメドックで多く栽培されていた品種。カルメネール100%は体験した事が無かったので購入したのですが、まさかこのワインが堀賢一氏の「ワインの自由」で紹介されるとは・・・確かにチリの生産者がメルローと混同していたというのが頷けます。温かみのある香りと、柔らかな果実味の美味しいワイン。詳しくは「ワインの自由」STEP92をご覧下さい。
(ヴィーニャ・ルイス・フェリペ・エドワルズ)


Lebanon

Ch. Musar
シャトー・ミュザール

レバノン 赤 (サンソー、カリニャン、カベルネ・ソーヴィニオン)
('89 \4,950)

 レバノンの隠れた銘酒シャトー・ミュザール。所有者のセルジュ・オシャール氏は、ボルドー大学で醸造学を学び、イギリスのデキャンター誌の「マン・オブ・ザ・イヤー」にまで選ばれた人物。ボルドー辺りにも似たしっかりしたワインなんだろうなあと思っていたのですが・・・
 色を見て、意外にも明るめ、ほんと苺を思わすような赤みがかったルビー色、エッジにはピンクが入っています。まずロースト香や先入観からか中近東あたりを感じさせるスパイス、紅茶の葉、石灰、金属的なイメージも。酸化熟成された香りがあります。酒質は重くなく、甘味のあるチェリー様の果実が柔らかに広がり、微細なタンニン、そこにビタースや炭の風味、余韻はけっこうドライでした。
 飲んだ後、調べてみると、発酵後、一年間セメントタンクで熟成させてから、樽熟に移るようですね。品種は上記のようですが、もしこれがブラインドで出てきたら、ピノ・ノワール系と答えるかな?イタリアやオーストリア辺りのような・・・それとも古いバローロと言うかも?好みはあるでしょうが面白いワイン。やっぱりワインは飲んでみないと分からない。
(ガストン・オシャール : Gaston Hochar)

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