August,2000

プレスティージュ&ヴィンテージ・シャンパン特集

Louis Roederer Crystal Brut '90
Louis Roederer Vintage Rose Brut '94
Veuve Clicquot Ponsardin La Grande Dame '89
Salon '88
Louis Pommery '89
Lanson Noble Cuvee Brut '88
Paul Bara '76
Krug Vintage '89
Bollinger Grande Anne '90
Cordon Rose '85
Laherte Brut Prestige '95
Moet et Chandon Brut Imperial Vintage Rose '93

(特にお気に入りのワインには マークを付けています)


France-Champagne


Louis Roederer Crystal Brut
ルイ・ロデレール・クリスタル・ブリュット
シャンパーニュ 泡白 (Ch40,PN60)
('90 \13,600)

 シャンパーニュの中心ランスに1760年創業のルイ・ロデレール。自社畑比率ではシャンパーニュでトップ、約8割のブドウを自社畑から供給する堅実、かつ高品質なワインを産み出すメゾン。
 クリスタルは、ロシア皇帝アレクサンドル2世が、他のものと紛れないように「余のためのロデレールのシャンパンはクリスタルの瓶に詰めよ」と命じたのが始まり。通常シャンパンは光による劣化を防ぐため、濃い色の瓶に詰められていますが、これは透明色。よってオレンジのセロファンに包まれて出荷されます。それがまた高級な雰囲気を醸し出しています。
 このシャンパン、開けた瞬間からテーブルの上に甘い香りが漂い、それだけで気分に浸れました。ほんのりとりんごやナッツ、そして熟成香、華麗な泡、洗練された味わいは、全体のバランスに優れ、至福のひと時を演じてくれます。
(ルイ・ロデレール社)


Louis Roederer Vintage Rose Brut
ルイ・ロデレール・ヴィンテージ・ロゼ・ブリュット
シャンパーニュ 泡ロゼ (Ch,PN)
('94 \7,000位)

 これもルイ・ロデレール社のもの。ヴィンテージのロゼは数も少ないのか、あまり見かけませんね。
 ロゼなんですが、本当に淡いピンクを帯びたワインは、若さを主体に感じるフレッシュなリンゴ、杏、金柑の香り。高めの酸味と柑橘系の余韻。ワイン自体の骨格は大きくないものの、エキス分を感じるのは、良質のピノ・ノワールのおかげでしょうか。やはりルイ・ロデレール、ここのノン・ヴィンテージにも通じる複雑性ある味わい。
(ルイ・ロデレール社)



Veuve Clicquot Ponsardin La Grande Dame
ヴーヴ・クリコ・ポンサルダン・ラ・グランダム
シャンパーニュ 泡白 (PN62,Ch38)
('89 \10,000位)

 1772年、ランスに創業された、名実共に定評のあるシャンパン・メーカー。シャンパンを透明にする事に成功したのが「クリコ未亡人(ヴーヴ)」。class30自身、最もお気に入りのシャンパン・ハウスです。1962年ヴィンテージより、出荷された最上級キュヴェがこの「ラ・グランダム」。
 さすがに89年のグランダムも素晴らしいです。その熟成感、濃縮感がありながら、フレッシュさも感じられる秀逸な一本。骨太ながらきちんとした芯があるワインは、熟した果実と複雑な余韻。このシャンパンはボトルも重い、飲みきってもまだあるのかと勘違いしそうです。
(ヴーヴ・クリコ・ポンサルダン社)



Salon
サロン
シャンパーニュ 泡白 (Ch100%)
('88 \13,000位)

 1920年代、パリのマキシムにてハウス・シャンパーニュとして愛飲されたというサロン。このシャンパンはこちらでも詳しく特集しています。
 約1年前に頂いた時と同じく素晴らしいと思います。独特のイーストの感じ、白桃や赤リンゴのアロマ、酸味がしっかりありながら、広がりのある果実感との調和が絶妙。まだまだ置いておきたいシャンパーニュ。やはり"Special"な人と飲みたいですね。
(サロン)



Louis Pommery
ルイーズ・ポメリー
シャンパーニュ 泡白 (Ch60,PN40)
('89 \13,000位)

 1836年創業、ランスを代表するポメリー社。年間600万本という生産量を誇り、約300haそのほとんどがグラン・クリュという自社畑を持つ。1985年から造り始めたここの特醸物がルイーズ。ピノ・ノワールはこの種トップのアイ村、そしてシャルドネもアヴィズ村のもの、すべてが自社畑、格付け100%のブドウを使う。ポメリー、ルイーズについては、こちらで詳しく説明しています。
 一瞬ロゼと見間違えるかのようなオレンジがかった麦わら色。やや高めの温度で供されたワインは泡が弱めの印象ながら、適温まで冷やすと、さすがの表情。フレッシュな果実も残しながら熟したリンゴや焦がしたオークの香り。柔らかく温和なアタックから、酸と果実の調和のある余韻まで優美なスタイル。奥ゆかしさのあるシャンパンに惚れそうです。
(ポメリー社)


Lanson Noble Cuvee Brut
ランソン・ノーブル・キュヴェ・ブリュット
シャンパーニュ 泡白 (Ch60,PN40)
('88 \8,000位)

 1760年にランスで創立。創業者のフランソワ・デルモットの息子ニコラに男児が誕生しなかったため、ジャン・バプティスト・ランソンが後を任され、社名をランソンに改めました。
 ここの生産量のうち、約9割をノン・ヴィンテージの「ブラック・ラベル」が占めており、この「ノーブル・キュヴェ」はランソンのプレステージ・シャンパン。イギリス王室、スペイン、スウェーデンの王家でも愛飲されている由緒あるシャンパーニュです。
 甘さのある柑橘系の香りとフルーツの酸味。88年というヴィンテージにしてフレッシュな部分を残したワインは、決して出すぎず、おしとやかな王女の雰囲気。マイルド&スタイリッシュ、ゆっくり流れる時の始まりにふさわしい優雅な一本です。
(ランソン)

Paul Bara
ポール・バラ
シャンパーニュ 泡白 (Ch40,PN60)
('76 \20,000)

 資本力の大きい会社が多いシャンパーニュにおいて、このポール・バラは希少な存在。レコルタン・マニピュラン(葡萄栽培者が同時にシャンパン造りを行う、ブルゴーニュでいうドメーヌのようなもの)は、ストックの量を確保しなければならないこの地方では数が少なく、その先駆者的存在がこのポール・バラ。
 ピノ・ノワールで有名な格付け100%ブージィ村に15haの畑と隣のアンボネ村に0.5haの畑を所有、約8割はピノ・ノワールを栽培し、当然多くの比率でピノ・ノワールが使用されます。
 76年というシャンパーニュ地方での偉大なヴィンテージ。その泡立ちはさすがに優しく、香りは揮発香を感じます。黒ブドウではなく、熟成された繊細な白ワインのイメージですが、その風味は豊かで柔らかさを持ち、ワイン自体の腰を感じます。好みはあるかもしれませんが、私はもう一度出会いたい。そしてここの「スペシャル・クラブ」も飲んでみたいですね。
(ポール・バラ)

Krug Vintage
クリュッグ・ヴィンテージ
シャンパーニュ 泡白 (Ch30,PN48,PM22)
('89 \18,000)

 「クリュギスト」と呼ばれる熱烈なファンを持つ別格のシャンパンこそクリュッグ。この「ヴィンテージ」は、良年のみに造られるもの。89年は、ピノ・ノワール48%、ピノ・ムニエ22%、シャルドネ30%というブレンド。クリュッグはすべてのブドウを小樽にて1次発酵させます。
 89年ヴィンテージとして、まだまだ若さを感じさせる香りは、焼いたリンゴ、ナッツやバターを感じます。余韻に薬草風の苦味。だた、この名声あるクリュッグとしては、何か心が動かない。全体的に小さい感じがします。ちょっと贅沢でしょうか?
(クリュッグ社)


Bollinger Grande Anne
ボランジェ・グラン・ダネ
シャンパーニュ 泡白 (Ch35,PN65)
('90 \9,000位)

 ほとんどのシャンパンの大手が、ランスかエペルネに本拠を置く中、アイ村にあるのが1829年創業のボランジェ。クリュッグと同じく木樽での発酵を行い、しっかりした酒質のシャンパンを生むことでも知られるメゾンです。「グラン・ダネ : 偉大な年」の名の通り、良作年のみに生産されるこのワインは、グラン・クリュ、プルミエ・クリュのブドウのみを使用。5年以上の瓶熟後、出荷されます。
 アップル・パイと表現できる焼きリンゴとパイの発酵した風味。白桃を思わす柔らかな果実にシャープでミネラル感のある酸が美味しい。強さも感じさせながら、ほどよくまとまったスタイリッシュなシャンパンです。
(ボランジェ)


Cordon Rose
コルドン・ロゼ
シャンパーニュ 泡ロゼ (Ch,PN,PM)
('85 \?)

 映画「カサブランカ」でも有名なマムのシャンパン(こちらのお題目でも紹介しています)。そして今年はF1のシャンパン・ファイトにも使われてる!? スタンダードの「コルドン・ルージュ」や特醸物の「ルネ・ラルー」「グラン・コルドン」が有名ですが、このシャンパン、珍しいヴィンテージ・ロゼなんです。その名もマムらしく「コルドン・ロゼ」。
 右上の写真のように、このロゼの肩ラベルには、バラの絵が入っています。実はこれ、マム社と縁のあるパリで活躍した日本人画家、藤田嗣治が描いた「ラ・プチ・フィーユ・ア・ラ・ロゼ(バラの花と女の子)」という作品からモチーフをとったもの。このボトルがエリゼ宮に初めて登場した時、藤田のサインをもらうために、招待客は空ボトルを欲しがったとか。
 泡も細かく淡いピンクのシャンパンはエレガントな雰囲気。ドライフラワーや杏、サクランボの香りは優しく、やや苦味を残しながら余韻へと続きます。スリムだけどセンスが良く女性的な一本。愛する人に、バラを贈るつもりでこのシャンパンを。
(G.H.マム社)


Laherte Brut Prestige
ラエールト・ブリュット・プレスティージュ
シャンパーニュ 泡白 (Ch,PN,PM)
('95 \7,200位)

 ラエールト・フレール、あまり聞かないシャンパーニュのメゾンですが、ラベル表記を見るとS.R.(ソシエテ・ド・レコルタン)と表記されていることからも、小規模で同族の栽培家で運営されるメーカーのようです。
 ここが2000年ミレニアム記念のボトルに瓶詰めして出荷したシャンパン。クリーミーな泡、グレープフルーツの黄い果実を感じさせる柑橘系のアロマ、ワインの厚みと酸が程よく調和し、立体的でくっきりとした印象の美味しいシャンパンです。
(ラエールト・フレール)

Moet et Chandon Brut Imperial Vintage Rose
モエ・エ・シャンドン・ブリュット・アンペリアル・ヴィンテージ・ロゼ
シャンパーニュ 泡ロゼ (Ch28,PN62,PM10)
('93 \7,500)

 1743年、クロード・モエによりエペルネ市に創立されたモエ・エ・シャンドン社。現在では年間2500万本を販売し、自社畑の総面積800haというこの地方最大手のメーカー。20世紀後半より多方面の企業と合併吸収を繰り返し、現在世界でも最も大きな企業グループ(モエ=ヘネシー=ルイ・ヴィトン・グループ : LVMH )となっています。プレミアム・キュヴェ「ドン・ペリ」でもお馴染み。日本でも最も名の通った生産者でしょう。
 ここのヴィンテージ・ロゼ 1993。サーモンピンクのエレガントな色彩。しかしながら、香り他がいつまで経っても出てこず、困惑気味?あれだけのメーカーが出してきたヴィンテージ・ロゼとは思えない。これはボトルのせいでしょうか?
(モエ・エ・シャンドン社)

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