July,2000 (2)

Hermitage La Chapelle '85
Chateauneuf-du-Pape '96
Lirac '97
Clos Milan '93 '95
Chinon Jeunes Vignes '96
Gamay (Vin de Pay du Jardin de la France) '98
Domaine Peyre Rose Clos Syrah Leone '93
Ch. de Bagnoles Cuvee Prestige '97
Yarra Yering Pinot Noir '94
Dalwhinnie Moonambel Shiraz '95
Salitage Pinot Noir '97
Pipers Brook Vinyard Pellion Pinot Noir '98
Cloudy Bay Pinot Noir '98
Dominio de Pingus '98
Fente de Irache Gran Reserva '76
Vina Albali Gran Reserva '91
Sena '96
Ch. Lumiere '90

(特にお気に入りのワインには マークを付けています)


France-Cotes du Rhone


Hermitage La Chapelle
エルミタージュ・ラ・シャペル
エルミタージュ 赤 (シラー)
('85 \15,000位)

 1834年に創設された、この地区の重要な生産者ポール・ジャブレ。そしてこの地区で最も高名なワインの一つであるジャブレの最高峰エルミタージュ・ラ・シャペル。「ル・メアル」と「レ・ブレッサンド」の区画に植えられた平均樹齢40年を越えるシラーは、天然酵母による発酵、一ヶ月にも及ぶ浸漬を経て、この地区の伝統を守るようにブルゴーニュ地方の生産者から購入する二年間使用した古樽にて12ヶ月の熟成が施されます。
 1985は、まだまだ5年から10年置いてもよいのでしょうが、飲み頃としてはばっちり好み。魅惑的なスパイシーさ、柔らかみを帯びたボディと甘味のある滑らかなタンニンがバランス良く、女王のような姿。抱きしめたいほどの美しいワイン。
(ポール・ジャブレ・エネ : Paul Jaboulet Aine)


Chateauneuf-du-Pape
シャトーヌフ・デュ・パプ
シャトーヌフ・デュ・パプ 赤 (グルナッシュ他)
('96 \5,000)

 ルロワが造るシャトーヌフ・デュ・パプ。少し前に1978年物が好評でしたが、1996もリリースされるようです。
 とても親しみやすい香り、トップノーズはジャミーで、後にスミレの花やスパイス香。面白いのは、果実と酸のバランスが上品で、やはりルロワが造るとブルゴーニュ風になるの?って感じ。同じワインを2本開けたのですが、一本目は甘さを、二本目は酸を強く感じるボトル差があったように思いました。
(ルロワ)


Lirac
リラック
リラック 赤 (グルナッシュ、シラー、ムルヴェードル)
('97 \2,340)

 ローヌ河右岸、シャトーヌフ・デュ・パプの対岸にタヴェルとリラックの地区があります。ロゼで横綱級のタヴェルに比べ、地味な存在のリラックですが、ワイン造りの歴史は2000年前に遡り、ローヌ発祥の地として有名。赤、白、ロゼの産出が許されています。
 1986年創業のドメーヌ・ド・ラ・モルドレ。今このリラックの地において最新の設備と醸造法、有機栽培、新樽の採用など、新しい試みと「AOC批判」とも言うべき確固たるオーナーの意思により、現代風のワインを生産。人気急上昇中だと言います。
 確かに美味しいワインですね。ラズベリー、小さな赤果実の凝縮した甘い香り、バニラの風味に誘われ口に含むと、まろやかなアタックと快活でジューシーな果実。小気味よい酸味により焦点も定まり、余韻にじっくりと広がる渋み。美味しいビストロで飲みたい南仏ワインです。
(ドメーヌ・ド・ラ・モルドレ : Domaine de La Mordoree)


France-Cotes de Provence


Clos Milan
クロ・ミラン
コトー・デクス・アン・プロヴァンス 赤 (下記参照)
('93,'95 共に\4,200位)

 1972年からという浅い歴史にも関わらず、新しい試みを推進する革新的な志向、バイオダイナミックスの理論を基にワイン造りを行うドメーヌ・ミラン。美術品にも興味があり、このクロ・ミランは毎年南仏に住む芸術家に限定してラベルが描かれています。
 バリックで約18ヶ月熟成されるワインは、グルナッシュの特徴を生かす為、その年のブドウの出来によりセパージュが変えられるという拘り方。例えば93年はグルナッシュ50%、シラー50%、94年はグルナッシュ80%、シラー20%、95年はグルナッシュ100%。
 1993は、ブラックベリーやカシスの香り。ふくよかでみずみずしい果実はタンニンも滑らかで、豊かなアルコールを感じるスタイル。
 1995、グルナッシュの出来が素晴らしかったというこの年は、グルナッシュ100%。可愛いピンク地ラベルのワイン。熟した黒果実の甘い香り。まだエッジに硬さもあり、背後にしっかりとしたタンニンがあるものの、凝縮感のある果実の旨さにより、今でも十分なバランス感と飲み心地。当然、熟成させてみたいワインでもあります。
(ドメーヌ・ミラン)


France-Val de Loire


Chinon Jeunes Vignes
シノン・ジュヌ・ヴィーニュ

シノン 赤 (カベルネ・フラン100%)
('96 \1,800)

 ロワールの赤ワインとして有名なシノン。この地区で熱心な研究家として知られるシャルル・ジョゲは、樹齢別、畑区画別にワインの仕込みをし、異なる5種類のシノンの赤、そして1種のロゼを造っています。この「ジュヌ・ヴィーニュ」は、樹齢の低いブドウを仕込んだもの。
 廉価なタイプのシノンですが、この地区のワインの良さがギユッと詰まっています。スミレの花、青野菜と言われる香り、チャーミングな赤い果実と出しゃばらない酸味。カベルネ・フラン(ここではブレトンと呼ばれます)が好きな私には美味しいワインです。
 (シャルル・ジョゲ : Charles Joguet)


Gamay (Vin de Pay du Jardin de la France)
ガメイ(ヴァン・ド・ペイ・デュ・ジャルダン・ド・ラ・フランス)

ロワール 赤 (ガメイ)
('98 \1,600)

 大好きなドメーヌ・レ・オート・ノエルのミュスカデ。栽培面積20haと中規模なこのドメーヌの3代目の醸造家であるセルジュ・バタール氏は、日照量に恵まれないこの産地で有機栽培を行い、素晴らしい品質のワインを生み出す生産者。今回はここのヴァン・ド・ペイ、ガメイを頂きました。
 「Vin Non Filtre」と表示されたワインは、ガメイの本家ボージョレよりも甘さや濃さを感じます。野イチゴ、キャンディーの甘さ。フレッシュな果実、心地よく滑らかなタンニン。これはデイリーに飲みたいですね。
 (ドメーヌ・レ・オート・ノエル : Domaine Les Hautes Noelles)


France-Languedoc Roussillon


Domaine Peyre Rose Clos Syrah Leone
ドメーヌ・ペイル・ローズ・クロ・シラー・レオン
コトー・デュ・ラングドック 赤 (シラー85%、グルナッシュ15%)
('93 \4,950)

 評論家ステファン・タンザーが「知られざる宝の山」と言い、その評価もうなぎ上りの注目のワイン、ペイル・ローズ。ファースト・ヴィンテージは1988年、以後常識では考えられないほどの低収量、そして無清澄、無濾過により造り上げられる。20haの畑から15hl/haの低収量、生産量は約3300ケース、そのうちの1/3が上級キュヴェの「Clos des Cistes」と「Clos Syrah Leone」になります。
 93年のClos Syrah Leone、深みのあるルビー色、ブラック・ベリーや華麗な花のアロマ、スパイス。中間の味わいは大柄で、低めの酸と余韻へ続くこなれた渋み。まったりとした感のあるバランスのとれたワインです。
(ドメーヌ・ペイル・ローズ)


Ch. de Bagnoles Cuvee Prestige
シャトー・ド・バグノルス・キュヴェ・プレスティージュ
ミネルヴォワ 赤 (カベルネ・ソーヴィニオン、カリニャン他)
('97 \2,100)

 古酒の専門家としても名高いピーター・ツーストラップ氏が、あるレストランで偶然飲み、日本への独占販売権まで取ったというワイン。ミネルヴォワ産のこのワインは、カベルネにカリニャンをブレンド、30%を木樽で熟成させるということです。
 綺麗な赤紫色のワインは、そのイメージ通りスミレ、日差しを感じる甘味とブラックペパーの食欲をそそる香り。まろやかなアタック、中盤から余韻にかけてのタンニンが心地よいワインは、野外でのバーベキューなどにも合いそうです。
(シャトー・ド・バグノルス)


Australia-Victoria


Yarra Yering Pinot Noir
ヤラ・イエリング・ピノ・ノワール
ヴィクトリア 赤 (ピノ・ノワール)
('94 \6,000位)

 オーストラリアのヴィクトリア州にあるヤラ・ヴァレーは高品質なピノ・ノワールで近年注目の産地。昨年辺り、このHPのBBSでも一時期、話題の的になり、1993を飲んでその品質の高さに納得したワイン。
 しかしながら今回の1994はそれを凌ぐ素晴らしいもの。1993は美味しいながら、やや抽出の強い感じがしたのですが、これはよりナチュラルで高バランス。ブラインドで飲んだこのワインは、間違いなくピノ・ノワール、それも高級な。深いガーネット、凝縮感、黒いベリーと土のニュアンス。押し寄せるような果実味。そして特徴的な酵母の香りが混ざり合い、なんとも印象的なワインでした。
(ヤラ・イエリング : Yarra Yering)


Dalwhinnie Moonambel Shiraz
ダルウィニー・ムーナンベル・シラーズ
ピレニーズ地区 赤(シラーズ)
('95 \6,000位)

 1976年、著名な建築家エワン・ジョーンズが、ヴィクトリア州ピレニーズに創立したワイナリー。このムーナンベル・シラーズは、粘土と小石の土壌を持つ畑で栽培、低収量のシラーズから造られ、非常に高い評価を受けています。
 黒に近い深みのある色、凝縮感のあるワインは、ほのかなスパイス、カカオやタールの風味を持ちます。ただそのワイン自体、むやみに強いものではなく、きめ細かな果実とタンニンが優しく舌の上でアピールします。抜栓直後は閉じていたワイン。あと5年は置いても十分かもしれません。
(ダルウィニー・ヴィンヤーズ : Dalwhinnie Vineyards)

Australia-Western Australia

Salitage Pinot Noir
サリタージュ・ピノ・ノワール

ペンバートン 赤 (ピノ・ノワール)
('97 \3,600)

 密かに注目されつつある西オーストラリア。このサリタージュのオーナー、ジョン・ホーガンは、ブルゴーニュのドメーヌ・ド・ラ・プス・ドールの共同経営者。またルーウィン・エステイトの所有者家族の一員ということで、彼自身、モンダヴィの影響を強く受けているそうです。
 プラムやブラックベリーにペッパーが混じる香り。骨格のあるワインは好ましく、どこか動物的で、独特の「熱く」感じる酸味が印象的なワイン。難解な感じがするのは高品質の証?
(サリタージュ・ワインズ : Salitage Wines )

Australia-Tasmania


Pipers Brook Vinyard Pellion Pinot Noir
パイパース・ブルック・ヴィンヤード・ペリオン・ピノ・ノワール

タスマニア 赤 (ピノ・ノワール)
('98 \2,800)

 オーストラリア、メルボルンの南にあるタスマニア島産。堀賢一氏の「ワインの自由」でも取り上げられたワインです。シャンパーニュやラインガウにも匹敵するほど寒冷なこの地で、日当たりの良い北向き斜面の畑に冷たい海風を遮る防風スクリーンを備え、リースリングやシャルドネ、ピノ・ノワールの栽培に成功しているということ。98年という若く感じるヴィンテージも、南半球のため、収穫は半年早く、「97.5年」と考えてもいいかもしれません。
 ラベルの雰囲気も好きなのですが、確かに美味しい。フレンドリーな甘さのある香りと目の詰まった質感を感じるワイン。有機栽培を施す生産者のワインに通じるイースト香を感じたのですが、考えすぎでしょうか?
(パイパース・ブルック・ヴィンヤード)



NewZealand-Marlborough

Cloudy Bay Pinot Noir
クラウディー・ベイ・ピノ・ノワール
マールボロ地区 赤 (ピノ・ノワール)
('98 \2,800)

 西オーストラリアのケープ・マンテルを経営する、デヴィット・ホーネンが1985年に創業したワイナリー。1990年にあのヴーヴ・クリコに買収され、ルイ・ヴィトン・モエ・エ・ヘネシーの傘下となりました。ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランを世界に知らしめた立役者でもあるクラウディー・ベイが近年リリースしてきたのが、このピノ・ノワールです。
 素直に美味しいとも言えるこのピノ・ノワール。優しいバニラの香り、旨みのあるワインは手の込んだ造りを感じるのですが、あまりにも白の品質が高いため、どこか洗練されていないイメージが先行します。決して悪くないのですが。
(クラウディー・ベイ・ヴィンヤーズ)


Spain-Ribera Del Duero

Pingus
ピンガス
リベラ・デル・ドゥエロ 赤 (テンプラニーニョ)
('98 \50,000位)

 ボルドー大学で醸造学を学び、ボルドーのシャトーで修行したというベルギー人のピーター・シセック氏がリベラ・デル・ドゥエロに惚れ込み、造り出すワイン。樹齢60年以上のテンプラニーニョ、1本のぶどうの樹から500g程度の低収量。長期熟成の理論を徹底して造られるワインは、R.パーカー氏を始め、世界のジャーナリストに絶賛され、あっという間にスペインのトップクラスへ。
 ABCのジム・クレンデネン氏に会った日、同じ店内でピーター・シセック氏にも会うという幸運。最新ヴィンテージのこのワインを頂くことが出来ました。やはり新時代のスペインなのでしょうが、華麗でクリーンなスタイルという印象。新樽なのにそれを感じさせない果実の凝縮感と飲み手を惹き付けるグリップ。立体的なタンニンと余韻に残るアルコール。熟れた赤果実の華やかな甘い香り、これだけ余韻に甘さを残すワインも珍しいし、このヴィンテージですでに美味しく頂ける辺り、さすがの逸品。やはり値段が高すぎるのが唯一の欠点?
(ドミニオ・デ・ピンガス : Dominio de Pingus)

Spain-Navarra


Fente de Irache Gran Reserva
フェンテ・デ・イラチェ・グラン・レゼルバ
ナバーラ 赤 (テンプラニーニョ主体、グラシアーノ、ガルナッチャ)
('76 \4,000)

 スペインのナバーラ地方は、リオハの東側に位置する注目の産地。ここで長い歴史を持つレアル・イラチェ社はナバーラの名ボデガで80年以前のワインは特に高い評価が与えられているようです。日本にも1950年代から70年代の比較的廉価な古酒が輸入されました。この1976ヴィンテージはイラチェ社100周年記念ボトルとなっています。
 その年月を感じさせない鮮やかなルビー色のワインは、イチゴの甘い香りを漂わせ、気さくなブルゴーニュにも近い心地よさと、炭や干しぶどうのニュアンスを持っています。親しみやすくバランス良く、プラム様の果実は、時間と共にバターのねっとりした風味を感じさせる秀逸さ。飲んでみるべし、おすすめです。 
(レアル・イラチェ社)

Spain-Valdepenas


Vina Albali Gran Reserva
ヴィーニャ・アルバリ・グラン・レゼルバ
ヴァルデペナ 赤 (テンプラニーニョ)
('91 \1,800位)

 ヴァルデペナはスペイン中央内陸部に位置する「石の谷」という意味を持つDOワイン産地。97年度パリ国際コンクールにて銀賞受賞したというこのワインは、発酵後、アメリカンオークの新樽にて6ヶ月熟成。のち古樽に移し替え18ヶ月以上の樽熟成を行います。グランリゼルヴァの規定以上に42ヶ月前後の瓶熟成を経て出荷されるようです。
 プラム系の香りに樽の要素が溶け込みんだ優しい香り。熟成された良さの出た柔和な味わいは、アルコールの余韻が気持ちいい。美味しいデイリー、この地区のワインは好感が持てます。
(ヴィーニャ・アルバリ)


Chile-Central Valley


Sena
セーニャ

アコンカグア・ヴァレー 赤 (カベルネ・ソーヴィニオン90%、カルメネール10%)
('96 \8,500)

 高品質なワインも続々登場してきたチリ。ロバート・モンダヴィとチリのエラスリスのジョイント・ヴェンチャーによるワインがこのセーニャ。チリのアコンカグア・ヴァレーにある、エラスリスの自己所有畑「ドン・マキシミアーノ」のブドウから造られ、新樽比率は40%としています。
 チリのプレミアムの中でも美味しいという人が多いセーニャですが噂通りですね。あくまで黒に近い深みのある色、凝縮されたカシスにブラックペッパーやハーブ。この時点で滑らかなタンニンを持ち、律した酸味と共にとまどいもなく口に入っていきます。パワーとエレガンスの両立、さすがプレミアムと呼ぶに相応しい品質でしょう。


Japan-Shinsyu

Ch. Lumiere
シャトー・ルミエール

山梨 赤 (カベルネ・ソーヴィニオン、カベルネ・フラン、メルロー)
('90 \10,000位)

 1885年の創業以来の長い歴史を持ち、国際的にも高い評価を受けているルミエール。自社畑で獲れた良作年のブドウのみで造られる同社自慢のワインがシャトー・ルミエール。権威ある本場ヨーロッパの国際コンクールで連続受賞した日本を代表するワイン。他のヴィンテージは\3,000位で購入できますが、この90年ヴィンテージの相場にはプレミアが付いているようです。
 ブラインドで飲んだこのワイン。まず色の綺麗さ、そして香りにも熟成香はほとんど感じられず、まさか1990とはビックリ。ボルドーブレンドのワインらしい香りと味わいは冷涼な気候を感じるクールな黒果実系。みずみずしい果実、凝縮感より樽の風味といった造り込みが感じられるワインは、強いタンニンのフィニッシュ。エレガントな個性に世界標準のワインの質を追求する姿勢が感じられるワインでした。
(ルミエール)

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