July,2000

夏の白ワイン

Chablis 1er Cru Fourchaume '95
Condrieu Le Grand Vallon '97
Condrieu Ayguets '97
Bandol Rose '96
Sancerre Blanc Cuvee Prestige '95
Sancerre Les Romains '97
Cheverny '97
Alsace Riesling '90
Bianco Secco '98
Vintage Tunina '97
Ribolla '97
Penfolds Yattarna Chardonnay '96
Penfolds Brossa Valleys Semillon Chardonnay '97
Villa Maria Sauvignon Blanc Reserve '97
Graacher Himmelreich (Spatlese) '93
Graacher Himmelreich Riesling (QbA) '97
Ch. Mercian Hokushin Chardonnay '98

(特にお気に入りのワインには マークを付けています)



France-Bourgogne


Chablis 1er Cru Fourchaume
シャブリ・プルミエ・クリュ・フルショーム

シャブリ 白 (Ch100)
('95 \4,000位)

 シャブリ・プルミエ・クリュの中でも、34haという広めの畑、そして特級の畑に近いことからも、評価、知名度共に高いのがフルショーム。
 夏にはシャブリってイメージですよね。このコロンビエールのシャブリ、村名クラスの物も美味しいのですが、やっぱり一級は一味違います。綺麗な酸味とミネラルが全体を引き締めながら、甘味を含む果実が膨らみグッドです。
(ドメーヌ・デュ・コロンビエール : Domaine du Colombier)プルミエ・クリュ

France-Cotes du Rhone


Condrieu Le Grand Vallon
コンドリュー・ル・グラン・ヴァロン
コンドリュー 白 (ヴィオニエ)
('97 \5,000位?)

 元料理人というフランソワ・ヴィラールさんが造る評判のコンドリュー。1991年創設という、まだ新しいワイナリーです。このコンドリューには、1〜2割の貴腐ブドウを含み、新樽を3〜4割使用し100%の樽発酵がなされています。
 甘味の強い果実の華やかな香り、一緒に飲まれた皆さんがおしゃっていたミルクティーの感じはコンドリューの特徴をよく表していると思います。むやみにボリュームのあるタイプではなく、余韻まで続く酸味も相まって、ガラスに包まれたイメージを持つクリーンなコンドリュー。これは好み。
(ドメーヌ・フランソワ・ヴィラール : Domaine Fransois Villard)


Condrieu Ayguets
コンドリュー・エゲ
コンドリュー 白 (ヴィオニエ)
('97 \8,000位 500ml)

 有機農法の有力な生産者イヴ・キュイユロン。特にコンドリューは高く評価され、場所はシャトー・グリエの南側に6haを所有。特筆すべきことは、ここでは遅摘貴腐のコンドリューを造っている事。歴史的に見れば本来、コンドリューは甘い貴腐や遅摘のワインだったらしく、このイヴ・キュイユロンが復活させてから、現地では追随する生産者が増えたということで、その先駆けともなったのがこの「エゲ」というワイン。
 ヴィオニエらしい複雑で華やかな芳香は、花梨、完熟のリンゴ、洋ナシ、そこに貴腐であるという事でしょうか、薬草や蜂蜜の香り。口に含むと心地よい甘味が膨らみ、程よく渋みが後についてきます。面白いのは、その甘味が余韻で綺麗に消えること。これは余韻が短いということではなく、サラッとしてる。甘口の苦手な方でも、かなり美味しくいただける貴腐ではないでしょうか。夏に重厚な甘口はちょっと、という時に最適かも。
(ドメーヌ・イヴ・キュイユロン : Domaine Yves Cuilleron)

France-Cotes de Provence


Bandol Rose
バンドール・ロゼ
バンドール ロゼ (ムルヴェードル、グルナッシュ、サンソー他)
('96 \2,800)

 プロヴァンスで、名高いワイン産地バンドール。カシス地区の東にある地中海沿岸の栽培地で、フランスの中でも最も温暖な地域。赤のほかに、白やこのロゼも産出します。1834年から続く名門タンピエのワイン。
 可愛い花のアロマのワインは、酸味がとても穏やかなので、ワインの質感が滑らかに感じます。ロゼとしてはコクがありますし、余韻にほんのりとした苦味。南の太陽を思わすロゼ、やはりブイヤベース辺りと一緒に飲むと美味しそう。夏の昼下がりには、ロゼも似合いますね。
(ドメーヌ・タンピエ : Domaine Tempier)

France-Val de Loire


Sancerre Blanc Cuvee Prestige
サンセール・ブラン・キュベ・プレステージ

サンセール 白 (ソーヴィニヨン・ブラン100%)
('95 \3,300)

 ワインコンサルタントでもあるパスカル・ジョリヴェ氏がワインの瓶詰めを行い、日本ではすでに紹介されたドメーヌ・デュ・コロンビエ。このドメーヌと平行して、3代目を継ぐ長男ローランと次男クロードが醸造に加わり、自分達で醸造・瓶詰めし、独自のドメーヌとしてワインを売り出すことになったのが、このドメーヌ・シャンポールだそうです。標高250m、石灰質土壌の畑コロンビエール。平均樹齢60年のソーヴィニヨン・ブラン種100%。
 冷涼な気候を感じる、余計な雑味のないスタイルの良いワインは、調べるまでは95年のワインとは思えないほどの若さ。一瞬閉じているのかとも?サンセールのワインには、個性の違いに驚かされる機会が多いので、是非この地区の良作とされる97年をもう一度試してみたいワインでした。
 (ドメーヌ・シャンポール : Domaine Champault)

Sancerre Les Romains
サンセール・レ・ロマン

サンセール 白 (ソーヴィニヨン・ブラン)
('97 \3,500位)

 南仏ローヌで今話題になっているクロ・デュ・カイユ。なにやらパーカーやタンザーといった評論家が98年のシャトーヌフ・デュ・パプの中で最高ポイントをつけたとか。そのクロ・デュ・カイユを引き継いだのが、このロワールのドメーヌ・ヴァシュロンの長男ジャン・ドゥニ・ヴァシュロン氏ということ。
 サンセールはライトなイメージを持つ人が多いかもしれませんが、この樽熟のソーヴィニヨン・ブランはしっかりとしたボディ。甘さのあるフルーツ系の香り、まろやかなアタックに反して、沸きあがる果実感。余韻のアルコールの高さと渋みは樽からくるのでしょう。ラベルを見ると、アルコール度数は14%、なるほどと思わせます。
 (ドメーヌ・ヴァシュロン : Domaine Vacheron)


Cheverny
シェヴルニー

シェヴルニー 白 (ソーヴィニヨン・ブラン他)
('97 \1,500)

 ロワール地方のトゥーレーヌの隣にあるシュヴルニーは、日本ではあまり聞きなれない地域ですが、1993年からAOCに昇格し、赤、白、ロゼが認定されているアペラシオンです。このドメーヌ・ド・ヴェイユーのオーナー、ミシェル・クニュー氏はあのニコラ・ジョリー氏の良き友人で、バイオダイナミックでのワイン造りを行っているということ。
 いいですね、グレープ・フルーツや青リンゴ、切れのある酸味がワインを美味しく感じさせるフレッシュでフルーティーなワイン。こんな季節にキリッと冷やして飲みたい。是非デイリーに加えて下さい。
 (ドメーヌ・ド・ヴェイユー : Domaine de Veilloux)


France-Alsace


Alsace Riesling
アルザス・リースリング

アルザス 白 (リースリング) 
('90 \3,000位)

 創立1867年、しかしブドウ栽培においての歴史は1580年まで遡るという高品質で誠実なワイン生産者として名高いレオン・ベイエ家。アルザスで認可されている各種のブドウ品種にてワインを生産し、その生産量は年間約65000本。ここはグラン・クリュ反対派で、計4haのグラン・クリュ畑を持ちながらも、ラベルには表記しない。
 ブラインドで飲んだこのアルザス。リースリングの特徴である石油香、濃い色調、薬草系の複雑なニュアンス。柑橘系のフルーツではない酸味とこの産地にしてアルコールが高く感じるボディ。余韻に心地よい苦味を伴うワインは、このヴィンテージ、この価格ならお買い得だと思います。 
(レオン・ベイエ : Leon Bayer)


Italy-Veneto


Bianco Secco
ビアンコ・セッコ

ヴェネト 白
('98 \2,250)

 ヴァルポリチェエラ,レチョート,アマローネにかけては本物の職人芸をみせるクインタレッリ。900年以上の歴史を持つこの生産者は、その品質の高さ、そして価格もこの地区で最高級。アマローネはファン垂涎のワインです。
 白も美味しいですね。香りはフレッシュで青や赤のリンゴ、ハーブ。控えめなフルーツの酸味と愛らしい果実のバランスよいワイン。ちゃんとこの白も手書きのラベルになっていて、とってもチャーミング。おすすめです。 
(ジュゼッペ・クインタレッリ : Giuseppe Quintarelli)

Italy-Friuli Venezia Giulia


Vintage Tunina
ヴィンテージ・トゥニーナ

ヴェネチィア・ジューリア 白 (品種下記参照)
('97 \6,500位)

 イタリア北部、フリウーリ・ヴェネチィア・ジューリア州。コッリオ区域内にあり、白のトップクラスのVdTを産出することで知られるシルヴィオ・イエルマン。このワインは、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リボッラ、マルヴァージア、ピコリットという品種をフレンド。まさに品種の万国博覧会、この地区らしいワイン。
 なんと言えばいいのだろう「飲んだ瞬間に美味しい」。甘味を含む芳醇なワインは主にシャルドネを感じ、ほっと安心する味なんですが、このワインの醍醐味は、土着の品種をエッセンスとして加えている所。やや価格ははりますが、十分満足出来ると思います。是非お試しを。
(イエルマン : Jermann)IGT


Ribolla
リボッラ

コッリオ 白 (リボッラ)
('97 \6,000位)

 このグレーヴナーもフリウーリ州、コッリオ区域内の精神的指導者とされる造り手。リボッラというのは、ブドウ品種名。リボッラ・ジアッラとも呼ばれ、フリウーリでは古くから栽培されている品種です。
 これは不思議なワイン。深い黄色のワインは見た目から一風変わっています。香りは薬草、花梨、杏、白い花、ホワイトペッパー等なんとでも取れそうな複雑さ。柑橘系の味わいに含むミネラルは白の名産地、フリウリの奥深さを感じさせてくれます。
(グレーヴナー : Gravner)DOC


Australia-South Australia

Penfolds Yattarna Chardonnay
ペンフォールズ・ヤッターナ・シャルドネ
サウス・オーストラリア 白(シャルドネ)
('96 \12,000位)

 1844年創立、オーストラリアのトップブランドであるペンフォールド社は、最も偉大そして高価である赤ワイン「グランジ」でも有名。今、主任醸造家ジョン・デュヴァルを中心に「グランジのホワイト版」として研究、開発を続けているというのが、このヤッターナ。アボリジニ語で「少しずつ」という意味を持つワインは、現在アデレイド・ヒルズとマクラーレン・ヴェイルのブドウを使い、オーストラリア最上の白を目指しているらしい。かなり希少性の高い一本。
 これは個性のあるシャルドネと言っていいでしょうか。ファーストノーズで感じる上品な樽香、ナッツやオレンジのフルーツが印象的。ミネラルを含む均整のとれたボディ、舌を刺激する酸はどこかリースリング風で、このワインが偉大なものであるならば、もう少し熟成させた状態を確認する必要がありそうです。今の時点では、日本での価格の兼ね合いから、少し厳しく「RECOMMEND」マークは付けませんが、期待できるワインだと思います。
(ペンフォールド社)


Penfolds Brossa Valleys Semillon Chardonnay
ペンフォールズ・バロッサ・ヴァレー・セミヨン・シャルドネ

バロッサ・ヴァレー 白 (セミヨン、シャルドネ)
('97 \1,200)

 これもペンフォールド社の白。オーストラリアのワインは独自の「ヴァラエタル・ブレンド」(二種以上の品種のブレンド)というカテゴリーがあり、このワインの「セミヨン・シャルドネ」という風に表記されます。この場合、使用ブドウ品種の比率が多い順に表記されます。
 黄色いフルーツの香りのワインは、酸味とのバランスがとれ、心地よい飲み口と満足感のあるコスト・パフォーマンス。ヴァラエタル・ブレンドのワインも、たまには目先が変わって面白いと思います。
(ペンフォールズ社)



NewZealand-Marlborough


Villa Maria Sauvignon Blanc Reserve
ヴィッラ・マリア・ソーヴィニヨン・ブラン・リザーヴ
マールボロ地区 白 (ソーヴィニヨン・ブラン)
('97 \3,500位)

 ニュージーランド、特にソーヴィニヨン・ブラン種の品質にかけては、有名になった感のあるこの国で、また新しく注目されているワイナリーがこのヴィッラ・マリア。1997年のインターナショナル・ワイン・チャレンジでは堂々のトロフィーを獲得。その噂は本当なのか確かめたかった頃、ある展示会にてこのワイナリーを発見。ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネの数種を試飲できました。
 これはいいワインですね。独特の青リンゴやハーブ、鉱物的なミネラルの感じが素晴らしく、アルコールの高さが生み出す、何層にも重なるワインの質感がグッド。ニュージーランド、見逃せませんね。
(ヴィッラ・マリア)


Germany-Mosel Saar Ruwer


Graacher Himmelreich (Spatlese)
グラッヒャー・ヒンメルライヒ(シュペトレーゼ)

ベルンカステル地区 白 (リースリング)
('93 \3,600位)

 ドイツで最も地価の高い畑といわれる「ベルンカステラー・ドクトール」で有名なDr.H.ターニッシュ。1901年以来かわらない石版画のラベルはおなじみかもしれません。ベルンカステル地区のグラーハ村、「ヒンメルライヒ」とは「天国」を意味します。
 93年のシュペトレーゼ、リースリング独特の石油香も品が良く、小石、青草といった特徴をよく表したワイン。マスカット様の甘味の中にもシャープな酸味が全体を引き締める流麗なワイン。やはり夏こそドイツか。
(Wwe.Dr.H.ターニッシュ)


Graacher Himmelreich Riesling (QbA)
グラッヒャー・ヒンメルライヒ・リースリング(QbA)

ベルンカステル地区 白 (リースリング)
('97 \2,000位)

 ベルンカステル地区のグラーハ村「ヒンメルライヒ」とは「天国」の意。このヴィリ・シェーファーという造り手はグラーハで最も上質のワインを産出すると言われているそうですが、その生産量の少なさから、なかなか見かけないワイン。いつもお世話になるホビットさんに頂いたもの。
 いやほんと、たまにドイツを飲むと心洗われるようです。爽やかなリースリングの香り。オレンジやレモンの酸味が気持ちの良いワイン。「甘さの感じが綺麗なのは Q.b.A. でも補糖してないのかな?」と尋ねたところ「実際はカビネット・クラスを格下げして Q.b.A. にしているとの事ですので 補糖はしていないと思います」という答え。さすが、美味しいワインでした。
(ヴィリ・シェーファー : Weingut Willi Schaefer)


Japan-Shinsyu


Ch. Mercian Hokushin Chardonnay
シャトー・メルシャン 北信シャルドネ

山梨県勝沼 白 (シャルドネ)
('98 \5,000)

 我が国日本のワインが世界に飛び立つのか?1999年11月に行われた「ジャパン・インターナショナル・ワイン・チャレンジ」。このコンクールにて、ブルゴーニュの銘酒や新世界のプレミアムワインらを相手に見事ベスト・シャルドネ賞を獲得したのがこのワイン。
 年間生産わずか1600本の北信シャルドネ、私自身は素晴らしいワインだと思います。その個性は「日本独自のシャルドネ」でしょうか?薬草の感じや綺麗なミネラルは繊細。あのコンペティションにおいて、審査員が高く評価されたのは、クリアーでいて密度の高いボディと、余韻での甘味にさえ感じるアルコールの熱さのような気がします。
(メルシャン勝沼ワイナリー)

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