June,2000

ブルゴーニュ特集 Vol.1
ボーヌ、マコネ他

Savigny-Les-Beaune Aux Guettes '95
Beaune Clos des Marconnets '83
Auxey-Duresses Les Clous '98
Beaune Vieille Vigne '96
Meursault Perrieres '83
Meursault La piece sous le bois '85
Meursault '95
Chassagne-Montrachet Morgeot '87
Batard Montrachet '96
Meursault Genevrieres '96
Montrachet '74
Santenay La Maladiere '88
Maranges '94
Montagny 1er Cru '97
Macon Chaintre Vieilles Vignes '96
Macon Clesse '95
Bourgogne Chardonnay '97
Bourgogne Chardonnay '98



Bourgogne-Cote de Beaune

Savigny-Les-Beaune Aux Guettes
サヴィニー・レ・ボーヌ・オー・ゲット
サヴィニー・レ・ボーヌ 赤 (PN,Pb,PL)
('95 \6,000位)

 アロース・コルトンからボーヌの間にある、サヴィニー・レ・ボーヌの村。この地で160年もの間、ワイン造りに携わる定評のある造り手、シモン・ビーズ。現当主パトリックの奥様は日本人の千紗さん。昨年、2世が誕生し、微笑ましいカットが雑誌を賑わせています。パーカー氏も4ッ星の評価を与えるシモン・ビーズは、この村のプルミエ・クリュを数種持っていますが、このオー・ゲットの区画は、わずかに0.5haを所有。
 注がれた瞬間、かなり明るい色をしており、かすかにオレンジが入っていたので、ちょっと?マーク。香り、味わいともにやや希薄な感と頼りない酒質。95年という良い年なのに「サヴィニー・レ・ボーヌの名手、どうしたんだ?」これはボトル・ヴァリエーションでしょうか?
(シモン・ビーズ・エ・フィス : Simon Bize et Fils)プルミエ・クリュ


Beaune Clos des Marconnets
ボーヌ・クロ・デ・マルコネ
ボーヌ 赤 (PN,Pb,PL)
('83 \6,000位)

 1750年創業という古い歴史を持つ、ボーヌのネゴシアンであるシャンソン・ペール・エ・フィス。評価の高いボーヌのプルミエ・クリュである、クロ・デ・フェーヴやグレーブ他の畑を多数所有し、自社畑の合計面積は42ha。
 シャンソンの古酒は、コスト・パフォーマンスがとても良いですね。明るめのルビーのエッジにはオレンジ色が入り、綺麗に熟成している姿が伺われます。まとまりのあるワインは、優しい熟成香、酸と甘味のバランスが完璧。ブルゴーニュの良さを表現する美味しいワインだと思います。
(ドメーヌ・シャンソン・ペール・エ・フィス : Domaine Chanson Pere et Fils )プルミエ・クリュ


Auxey-Duresses Les Clous
オークセイ・デュレス・レ・クルー
オークセイ・デュレス 白 (Ch,PB)
('98 \10,000)

 あのマダム・ルロワが個人所有するのが、このドメーヌ・ドーヴネ。ブルゴーニュ・ファン垂涎のワイン達。ムルソー村の西側にあたるオークセイ・デュレス村は、マダム・ルロワ率いるルロワ社の本拠があることでも知られています。
 このオークセイ・デュレス・レ・クルーは、今年8月にリリースされるものを、一足早く頂くことが出来ました。98年の総生産量は1454本。白い花やリンゴのシロップ煮を感じるアロマ、まだ若さのある鋭角的な酸味。全体的には、ボリュームのあるものではありませんが、層の厚さを感じるミネラリーなワインは、背筋の伸びたスタイリッシュな女性をイメージさせます。さすがのドーヴネ。
(ドメーヌ・ドーヴネ : Domaine d'Auvenay)

Beaune Vieille Vigne
ボーヌ・ヴィエイユ・ヴィーニュ
ボーヌ 赤 (PN,Pb,PL)
('96 \6,800)

 1988年にデビューしたドミニク・ローラン氏は、いまやその優れたワイン造りでブルゴーニュでもトップ5に入るワイン醸造家。元パティスリーのシェフだった彼が造るワインは大人気で、高い評価を受けています。40種類以上のワインを造りながら、全て数樽しか仕込まないので、入手は困難で高価。特に樽と澱にこだわる造り手と言われ、当然のごとく新樽での熟成、そしてノンフィルターです。
 この「ヴィエイユ・ヴィーニュ」というのは、樹齢の高いブドウからつくられたワイン。やや明るめのルビー色ながら、その長い脚に感心します。香りはチェリー系の甘さと高めの酸を感じます。しかしながらこのワイン、タンニンが強烈で、樽の風味が強すぎる。確かに「造り」はしっかりしているワインですが、現時点では飲むべきワインではないのかも。
(ドミニク・ローラン : Dominique Laurent)


Meursault Perrieres
ムルソー・ペリエール
ムルソー 白 (Ch,PB)
('83 \6,500位)
Meursault La piece sous le bois

ムルソー・ラ・ピエス・スー・ル・ボア
ムルソー 白 (Ch,PB)
('85 \5,800位)

 ムルソーの秀逸な白ワイン生産者として名高いドメーヌ・ロベール・アンポー。毎年5万本ものワインを産出しながら、そのワインは販売されずカーヴにストック。すべて飲み頃になった時点でリリースするドメーヌ。現時点で、ようやく1980年代後半のワインが出荷されています。

 ムルソー最上級の畑「ペリエール」の83年は、熟成されたワインが醸しだす要素が満喫できます。白い花、ナッツ、香草の風味が混ざり合い、丸みを帯びたワインはまさにピーク。余韻に心地よいミネラルの苦味を伴う姿に複雑感が増します。今飲むべきワイン。

 赤ならブラニー、白ならムルソーと村名を変えるプルミエ・クリュ「La Piece sous le Bois」。熟成を感じさせる深い黄金色、酸化臭はなく、まろやかなバターやほんのりと蜂蜜の香り。味わいは、低めの酸と穏かな果実は十分美味しいのですが、余韻の水っぽさ、切れの早さが惜しい。古酒の魅力は十分表現しているものの、あと2〜3年早く飲みたかったのが正直なところ。
(ドメーヌ・ロベール・アンポー : Domaine Robert Ampeau)


Meursault
ムルソー
ムルソー 白 (Ch,PB)
('95 \6,500)
Chassagne-Montrachet Morgeot
シャサーニュ・モンラッシェ・モルジョ
シャサーニュ・モンラッシェ 白 (Ch,PB)
('87 \7,500位)

 1859年から続くボーヌのネゴシアン、そしてドメーヌでもあるルイ・ジャド社。コート・ドールの赤白ともにその品質の高さ、安定度は折り紙付き。
 この95年のムルソーを飲んで、改めてその品質の確かさに気づいた一本。バニラやナッツの風味、インパクトのあるアタック。柔和な酸による豊かな味わいは確かな酒質と完璧なバランス感。
 87年のシャサーニュ1級畑モルジョも素晴らしい。熟した果実は、完熟フルーツの香り、白いキノコ、ミネラル。やはりルイ・ジャド、きちんとした造り手です。
(ルイ・ジャド : Louis Jadot)

Batard Montrachet
バタール・モンラッシェ
ピュリニィ・モンラッシェ 白 (Ch,PB)
('96 \10,000位)
Meursault Genevrieres
ムルソー・ジュヌヴリエール
ムルソー 白 (Ch,PB)
('96 \7,000位)

 ブシャール社は1731年創立のブルゴーニュ最大手のネゴシアン。約100haもの自社畑を所有し、その約7割以上が特級と1級だと言うから凄い。70年代から80年代は不調の時期だったようですが、かつての名声を取り戻すべく、醸造施設を一新。94年には、長きに渡る世襲にピリオドを打ち、シャンパーニュのアンリオが買収。徹底的に品質の向上に努めていると伝えられます。
 96年の特級バタール・モンラッシェ、そしてムルソーの一級ジュヌヴリエール。共通する青草、ほのかなナッツ、清純なミネラル。やや高めの酸味は、まだ飲むには早い事を物語っているのでしょう。ただ収穫量の多さも手伝っているのか、この名声あるワイン達にして、やや中身の乏しさを感じてしまう。これがブルゴーニュのクラシックなスタイルなのかもしれませんが。
(ブシャール・ペール・エ・フィス : Bouchard Pere et Fils)


Montrachet
モンラッシェ
ピュリニィ・モンラッシェ 白 (Ch) 
('74 \75,000位)

 ブルゴーニュの白ワインの中でも、最も高貴なワインとされるのがモンラッシェ。アレキサンドル・デュマが「脱帽し、跪いて味わうべし」と言った話はあまりに有名。
 そしてこのモンラッシェにおいても、別格の存在がDRC。もう説明の必要はないと思います。DRCが唯一リリースする白ワイン、このワインを1ケース手に入れるには、輸入業者は同じ収穫年のDRCのワインを50ケース買わなければならない。その為、かなりの高価になってしまう。0.68haの畑から年間約180ケースしか生産されません。(実際にはDRCはバタール・モンラッシェも造っていますが、約300本しか造れないため、販売はされません。)
 この1974年の生産量は2520本。早めの抜栓をしようと思いながら、やや遅れたのが残念ですが、もうそれは素晴らしいワイン!飲みながら考えていたのは、このワインは、究極の「遅摘み」そして「摘果」を施しているのでは?ということです。黄金色のワインは、幾重にも重なる層の厚み、蜜や杏の複雑な甘味。1974でも全く衰えの気配はなく、モンラッシェという畑の素晴らしさとDRCの妥協なき姿勢を感じるワイン。
 (ドメーヌ・ドゥ・ラ・ロマネ・コンティ : Domaine de la Romanee-Conti )グラン・クリュ

Santenay La Maladiere
サントネー・ラ・マラディエール
サントネー 赤 (PN,Pb,PL)
('88 \5,000位)

 サントネーは、コート・ドールの最南端、シャサーニュ・モンラッシェの南に位置し、ほとんどが赤ワイン、そしてごく少量の白を産するアペラシオン。その目立たない産地は、ワインよりも「スルス・カルノ」という温泉やカジノがあることで知られているとか。
 ヴァンサン・ジラルダンは、このサントネー村にて伝統的な醸造法を踏襲する造り手。コート・ド・ボーヌの各アペラシオンに平均樹齢30年の畑を持ち、1haあたり40hlの低収量、アリエ産またはボージュ産の樽(新樽、一年樽、二年樽、約1/3づつ)にて熟成、清澄も濾過もしない。約80%は海外へ輸出されています。
 「コート・ドールのどん尻」と呼ばれるこの村のワイン、いやいや12年経った姿も立派です。明るめのルビー色、ロースト香を伴うチェリーの香り。さすがに線の細さは否めませんが、心地よい酸味と舌の上に残る微細なタンニンは、良いワインの証でしょう。それにしても汚いボトル、銘柄と造り手を判別するのがやっとでした(笑)。
(ドメーヌ・ヴァンサン・ジラルダン : Vincent Girardin)プルミエ・クリュ


Maranges
マランジュ
マランジュ 赤 (PN,Pb,PL)
('94 \5,000)

 サントネーを「コート・ドールの最南端」と書きましたが、現在ではこのマランジュがアペラシオンとしては最も南。マランジュ3ヶ村のワインは、コート・ド・ボーヌ・ヴィラージュとして売られていましたが、1989年より独立したACとして格上げされました。
 今でもコート・ド・ボーヌ・ヴィラージュにブレンドされることの多いという、この村のワインですが、高島屋様が特別に瓶詰めさせているというルロワのマランジュ。94年は、エッジにすでにオレンジが入ったルビー色。チェリー系の甘酸っぱい香り。あたりの良い飲み口、細かなタンニンとバランス感のある可愛いワインは、食事のお供として最適でしょう。
 (ルロワ : Leroy)



Bourgogne-Cote Chalonnaise


Montagny 1er Cru
モンタニー・プルミエ・クリュ
モンタニー 白 (Ch100%)
('97 \5,000)

 3月の御題目「ルロワづくしの夕べ」でも紹介したこのモンタニー。その時の94年は優しいワイン、けれどもRecommendまでは付けられなかったのですが。。。
 この97年は、お気に入りのワイン。なにが良いって、まず分かりやすいこと。フレンドリーなアロマ、酸が充実しながら、それが気にならないのは果実味の豊かさがあるため。この美少女は成長すると、どんな姿になるのか?でも考えるより、飲むことの楽しさがあるワインです。
 (ルロワ : Leroy)


Bourgogne-Maconnais


Macon Chaintre Vieilles Vignes
マコン・シャントレ・ヴィエイユ・ヴィーニュ
マコン 白 (Ch)
('96 \2,500位)

 古酒の専門家としても名高いピーター・ツーストラップ氏が、ブルゴーニュの訪問中に発見したというドメーヌ・ヴァレットは、最近のお気に入り。先代のジェラールに変わり、95年より息子のフィリップがドメーヌを仕切り、今ではこの地区のスター格になっているとのこと。
 ブドウが熟する限界まで収穫を遅らせるスタイルにより、糖度を上げ、ワインに柔らかさと膨らみを持たせるようです。ナッティーでミルクのような甘味を感じるワインは、フルーツ系のきっちりした酸、そして余韻での渋みが程よく調和しています。まだまだこれからが期待出来そうなドメーヌですね。
(ドメーヌ・ヴァレット : Domaine Valette)


Macon Clesse
マコン・クレッセ
マコン 白 (Ch)
('95 \2,000位)

 こちらもピーター・ツーストラップ氏の紹介によるマコン。エチケットはPTラベルになっています。この造り手も知る人ぞ知るという注目株らしく、有機栽培のぶどうを使用する事がラベルにも記載されています。
 このワインもマコンの良さを示すように、親しみやすいフルーツ香に、ほんのりとハーブやバニラ。果実の充実感に切れの良い酸味と樽からくると思われる余韻での渋み。バランスのよさが光るワインだと思います。
(Guillemot-Michel)


Bourgogne-AC Bourgogne

Bourgogne Chardonnay
ブルゴーニュ・シャルドネ

ブルゴーニュ 白 (Ch,PB)
('97 \1,800位)

 ブルゴーニュの著名な白の生産者、コシュ・デュリの親戚筋で、ムルソーを本拠地としているドメーヌ、アラン・コシュ・ビズワール。生産量が少なく、昔からの固定客や知人にワインの多くを販売するため、日本では知名度が低いのですが、あのタンザーも高評価する注目の造り手。
 50%ステンレス、50%樽(10%新樽)で発酵。18ヶ月熟成、収量50〜55hl/ha、平均樹齢35年というACブルゴーニュ。ほのかなナッツの風味、ACブルゴーニュとしては十分な果実感。ただ一年半もの熟成を要して、この凛々しい酸味。通好みのワインのスタイルは「ここのムルソー一級、いつ開ければいいのだろう?」というのが正直な感想。
 (アラン・コシュ・ビズワール : Alain Coche-Bizouard)

Bourgogne Chardonnay
ブルゴーニュ・シャルドネ

ブルゴーニュ 白 (Ch,PB)
('98 \1,800位)

 フランスの三ツ星レストランのほとんどが扱い、ピュリニー・モンラッシェを代表する造り手とも言われるエティエンヌ・ソゼ。ここのACブルゴーニュは面白い体験でした。
 一部マコンのブドウも使い、木樽を使用せず、ステンレスタンクにての発酵、熟成。残糖分は全くゼロに仕上げられたワインは、かなりシャープで辛く感じます。フルーティーな部分を重視しているのでしょうが、ブルゴーニュの白「バニラ」を中心とするイメージとは違ったもの。これだけ飲むのは、少しつらいと思いますが、その分、和食などには合うかもしれません。
 (エティエンヌ・ソゼ : Etinne Sauzet)

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