May,2000 (2)

スイート・ワイン

Ch. Suduiraut '90
Ch. La Rame '96
Vin de Paille '95
Coteaux du Layon St. Aubin "Clos des Bois" '97
Avie '93
Reciote di Soave "Le Colombare" '96
Tokaji Aszu 3 puttonos '86
Joseph Phelps Delice du Semillon '95
Cold Heaven Late Harvest Viognier '97
Santa Barbara Winery Late Harvest Zinfandel Essence '99
Elysium California Black Muscat '97
Jackson-Triggs Proprietor's Reserve Riesling Icewine '96
d'Arenberg The Noble Riesling '97


France-Bordeaux


Ch. Suduiraut
シャトー・シュデュイロー
ソーテルヌ 白 (Se90,SB10)
('90 \4,000 375ml)

 ボルドー、ソーテルヌ地区の貴腐ワインの中でも最上のワインの一つ。シャトー・ディケムの畑と境を接し、88haの畑から平均で年一万ケースを産出。温度調節可能なステンレスタンクでの発酵、小樽で18〜24ヶ月の熟成。82年や89年という偉大な年には限定で「クレーム・ドゥ・テット : キュヴェ・マダム」を造りました。
 1990ヴィンテージは、写真のようにかなり熟成の進んだ色をしています。その外観から見ても察するようにやや酸度が低く、その分ボリュームを感じます。当然、蜜の甘さや薬草、オークの風味もありますが、複雑さよりもワインのゴージャスさを堪能したいヴィンテージです。
(ソーテルヌ地区第1級)


Ch. La Rame
シャトー・ラ・ラーム

サント・クロワ・デュ・モン 白 (Se,SB) 
('96 \6,500)

 ボルドー地方の貴腐ワインと言えば、ソーテルヌ地区が有名なのですが、対岸アントル・ドゥ・メールのサント・クロワ・デュ・モンで造られるこのワイン。前々より気になっていたシャトー・ラ・ラームは、冷凍圧搾装置(ドイツのアイスヴァインを造るときに収穫を遅らせ完熟した実を凍らせ極甘口ワインを造る技術を応用したもの)を持ち、貴腐菌がついたぶどうを凍らせ、悪天候などでぶどうが乾燥しにくかったときに使用するらしい。新樽使用比率40〜45%により、18ヶ月の熟成。
 明るめの黄金色を呈したワインは、甘い蜜の香り。しかしボルドーの貴腐に見られがちな柑橘系の香りや、威圧的な重さは抑えられ、無駄な贅肉を省いた均整のとれたボディに流麗なミネラルが調和するスタイルは、ハーブの複雑なニュアンスと共に、食事の最後を締めるに相応しいワイン。かなり好みの甘口です。

France-Jura


Vin de Paille
ヴァン・ド・パイユ

コート・デュ・ジュラ 白(サヴァニャン)
('95 \5,000 375ml)

 ブルゴーニュの東側、スイスとの国境近くに位置するのがジュラ地方。ここで有名(独特)なワインが「黄ワイン(ヴァン・ジョーヌ : vin jaune)」そして「藁ワイン(ヴァン・ド・パイユ : vin de paille)」。藁ワインことヴァン・ド・パイユの名前は、収穫したぶどうを藁の上などで天日乾燥させる(パスリヤージュ)ことに由来。乾燥して糖度の上がったぶどうから造られる、甘口ワインです。
 酒精強化していないはずなのに、シェリーやポートの中間のような香り。甘さが凝縮されたワインは、レーズンやカラメルのニュアンス。これもデザートと共に味わえば面白いですね。
(マルシェル・プー : Marcel Poux)

France-Val de Loire


Coteaux du Layon St. Aubin "Clos des Bois"
コトー・デュ・レイヨン・サン・トーバン "クロ・デ・ボワ"
コトー・デュ・レイヨン 白 (シュナン・ブラン)
('97 \4,800 500ml)

 以前にも紹介したジョー・ピトンは、フランス三大甘口ワインに数えられるコトー・デュ・レイヨンにおいて、注目の造り手。冷涼な気候のため、ヴィンテージに影響されやすいロワールで、補糖に頼らず、収穫も手摘み。バイオダイナミックスによるワインは、パーカー氏もほとんどのワインに90点〜99点を与えると言います。この"クロ・デ・ボワ"は、ジョー・ピトンの持つ畑の中でも、一番西に位置し、作付面積は1.5ha、残留糖度は150g/l。
 黄金色のワインは、花梨や薬草の香りを備え、心地よい酸味。フルーティーな果実と豊かな甘味の中に独特の風味を感じるのは、この地方では珍しいパスリヤージュ(上記のジュラ地方の製法)を用いた結果なのでしょうか。とにもかくにも、あまりに見過ごされがちなコトー・デュ・レイヨン。デザートワインのリストに加えると、ぐっと幅が広がる気がします。要注目です。
(ドメーヌ・ジョー・ピトン : Domaine Jo Pithon)


Italy-Piemonte

Avie
アヴィエ

モンフェラート 白 (モスカート・ビアンコ100%)
('93 \5,000 375ml)

 カッシーナ・カストレットは「パッシウム」や「ポリカルポ」といった印象的なボトル・デザインで有名。この甘口ワインには金の手形がラベルかわりになっています。
 発泡性の「アスティ・スプマンテ」「モスカート・ダスティ」を飲まれた方はその味を思い出してもらえばいいでしょう。マスカットの芳香を持つ甘口ワインです。これは発泡酒ではないので主にデザートワインに。優しい甘味と重過ぎない酒質。この品種のワインにしては価格は高いのが気になりますが、日本人の味覚に合ったワインだと思います。
(カッシーナ・カストレット社 : Cascina Castlet)

Italy-Veneto


Reciote di Soave "Le Colombare"
レチョート・ディ・ソアーヴェ "レ・コロンバール"

ソアーヴェ 白 (ガルガーネガ)
('96 \2,500位 500ml)

 1860年に創業されたピエロパン。現在の当主に至るまで、一貫したポリシーを守る家族経営を続け、ブドウの収量を抑え、凝縮感のあるソアーヴェを造り出します。「レチョート」とは陰干しをしたブドウから造られるワインのことで、ヴェネト州独自の呼び方。他の州では「パッシート」と言われるワインです。また「レチョート・ディ・ソアーヴェ」は1998年よりDOCGに昇格しています。
 畑名付きソアーヴェの先駆者とされるピエロパンが「レ・コロンバール」の畑から造る甘口ワイン。程よいナッツの風味とすっきりとした甘味、軽やかな果実に含まれるミネラル感。すべての要素が主張しすぎず、まとまりとバランスを感じさせます。シチュエーションを選ばない食後酒!是非、一度お試し下さい。
(ピエロパン : Pieropan)


Hungary-Tokaj

Tokaji Aszu 3 puttonos
トカイ・アスー 3 プットニョス

トカイ・ヘジャリヤ 白 (フルミント他)
('86 \1,750 500ml)

 世界3大貴腐ワインであるトカイ・アスー・エッセンシアを生むトカイ。この「プットニュス」という表記は、甘味の尺度で、136リットル入りの樽に26kg単位の貴腐化したぶどうが何杯入れられたかということ。3から6プットニュスまであり、この3プットニュスは最も甘味の抑えられた廉価なタイプです。
 この86年は、たまたま酒屋さんのセラーに残っていたもの。やや茶を帯びたブランデー、褐色のワインは、非常に細かな澱を含んでいるため、持ち運びは出来ない状態ながら、澱を落とせば、とてもクリアーな色。ワイン自体は未だしっかりしており、蜂蜜、ナッツ、はじばみ等の香り、オレンジの酸味には、貴腐の良さを感じます。余韻の渋みに粗さがありますが、食後に一杯味わうには十分。14年前のワイン、長持ちしますね。
(フンガロヴィン社 : Hungarovin )


California-Napa

Joseph Phelps Delice du Semillon
ジョセフ・フェルプス・デリス・デュ・セミヨン

ナパ・ヴァレー 白 (セミヨン100%)
('95 \5,800位 375ml)

 1972年、セント・ヘレナ近郊のスプリング・ヴァレーに設立されたジョセフ・フェルプス。当時からカベルネ、メルロー、シャルドネ、リースリング他、多数の品種を手がけていますが1974年にはカリフォルニアにしては珍しくシラーも生産(後の Vin du Mistral )。このワイナリーの名声を決定づけたのが同じ1974年ヴィンテージに造られた「インシグニア」。これはカリフォルニアにおける第一号のボルドーブレンドの銘柄とされています。
 その「インシグニア」と同じデザインのラベルを与えられるこの「デリス」は、スプリング・ヴァレーのセミヨン100%の遅摘み貴腐ワイン。1983年に初めて生産されたこのワインは、この1995年が4回目のリリース。1995年の収穫は11月29日、フレンチオークにて18ヶ月の熟成。
 肥えた豊満なボディのソーテルヌ・スタイル。熟したトロピカル・フルーツの甘さが豪華なワイン。ただ酸味が少し足りない感じ?現時点では押しが強いワイン。熟成した後に出てくるデザートワインの旨み、これが気になります。美味しい貴腐ですが、ジョセフ・フェルプスの名、この価格を考えるとそこまで期待してしまいます。 
(ジョセフ・フェルプス : Joseph Phelps)

California-Santa Barbara


Cold Heaven Late Harvest Viognier
コールド・ヘヴン・レイト・ハーヴェスト・ヴィオニエ

サンタ・バーバラ 白 (ヴィオニエ)
('97 \2,600 375ml)

 オ・ボン・クリマのジム・クレンデネンが作るデザート。数々の名作を生み出しているサンタ・イネズ・ヴァレーのサンフォード&ベネディクトのヴィオニエ種から造られた遅摘みの甘口ワイン。キャップシールは無く、あのイザベルと同じ紺色のロウで封印されています。南仏系のワイン造りに詳しいキュペのボブ・リンクィストの助言を受けているのではないか、という事です。
 もともとヴィオニエ種で造られるローヌのコンドリューは甘口だったという話も聞きますが、このワインを飲んで「なるほど」と思える美味しさ。アルコール度数15%、白い花を思わす香り。味わい柔らかな酸味が程よく調和し、意外にもクリアーで、渋みを伴う余韻。「コールド・ヘヴン」というネーミングにも何か意味がありそうです。
(コールド・ヘヴン)


Santa Barbara Winery Late Harvest Zinfandel Essence
サンタ・バーバラ・ワイナリー・レイト・ハーヴェスト・ジンファンデル・エッセンス

サンタ・バーバラ 赤 (ジンファンデル)
('99 \4,500位 375ml)

 現在、マンガ:オールマンに連載されている「瞬のワイン」。その物語の中に登場したこのワインはジンファンデル種の貴腐という大変珍しいもの。自然のいたずらにより1993年に初めて収穫されたものの、貴腐のつきにくいサンタ・バーバラでは以後生産できず、この1999年が二度目のヴィンテージ。
 面白いワインです。梅やしそ、杏といったいかにも和風な風味を感じます。ブドウのエキス、綺麗な酸味を持つワインは、当然このままでも美味しいのですが、カクテルに使ったり、料理の風味つけに応用してもいいかもしれません。もうすぐ日本にも入ってくるようなので、是非一度試して下さい。詳しくは、堀賢一氏の「ワインの自由」STEP84をご覧下さい。
(サンタ・バーバラ・ワイナリー)

California-Madera


Elysium California Black Muscat
エリシウム・カリフォルニア・ブラック・マスカット

カリフォルニア(マデラ) 赤 (ブラック・マスカット)
('97 \1,620 375ml)

 ヴァン・ド・コンスタンシアというワインをご存知でしょうか?18世紀から19世紀に、ソーテルヌやマディラと並んで愛された甘口ワインに、ヴァン・ド・コンスタンシアという南アフリカのワインがあったらしく、ナポレオンがセント・ヘレナ島に幽閉された時も、届けさせたとか。そのワインに主に使われていたのは、ミュスカ・ド・フロンティニャン(ミュスカ・ブラン)らしいのですが、マスカット・ハンブルグ(ブラック・マスカット)も使って、赤、白の甘口ワインを造っていたという事です。
 それを意識してカリフォルニアで作ってるのが、このエリシウム(ギリシャ神話で理想郷の意)で、貴腐ではなく遅摘みによる甘口。
 これは面白いワインでした。ブラック・マスカット自体は高貴な品種ではないようですし、赤の甘口自体珍しいのですが、その嫌味のない甘さと、甘口ワインでこの価格は好印象。食事の後に、一度試してみて下さい。
(アンドリュー・クォディー)



Canada-British Columbia


Jackson-Triggs Proprietor's Reserve Riesling Icewine
ジャクソン・トリッグス・プロプライアターズ・リザーヴ・リースリング・アイスワイン
オカナガン・ヴァレー 白 (リースリング)
('96 \10,000位)

 久しぶりにカナダのアイスワインを紹介。ブリティッシュ・コロンビア州の甘口ワイン。アイスワインとは、収穫の時期を意図的に遅らせて、木にブドウがついた状態で凍らせ、水分が凍ったまま、果汁を搾ったもの。とても糖度の高い天然甘口ワインで、ドイツのものが有名です。
 このジャクソン・トリッグスはご当地ではかなり有名らしく、1981年から始まった「オール・カナディアン・ワイン・チャンピョンシップ」というコンテストで1999年のゴールド・メダルを受賞。そして1999年が第一回だった「アイスワイン・フェスティバル」でも同じくゴールド・メダルを獲得しているワイン。
 確かに完熟したマンゴーを思わすフルーツ香、レモングラスやハーブの香りは複雑で、そのワイン自体は当然、蜂蜜のような極甘口。肉付きがいいだけに本来の飲み頃までは時間がかかりそうですが、手のかかったワインであるのは間違いなさそうです。ちなみに現地のお値段は約50ドル。日本に入ってくると1万円近くになるのでしょうか。
(ジャクソン・トリッグス・ヴィントナーズ)



Australia-South Australia


d'Arenberg The Noble Riesling
ダレンバーグ・ザ・ノーブル・リースリング
マクラーレン・ヴェール 白 (リースリング)
('97 \3,000 375ml)

 昨年秋に行われた「ジャパン・インターナショナル・ワイン・チャレンジ1999」。エントリー本数約1500本というこの大会にて見事「Top Riesling」の栄冠を手にしたのがこの甘口ワイン。
 サザン・ウエイルズに古くからあるダレンバーグの作は、濃密なワインであることをオレンジがかった色とレッグが証明しています。アプリコットのアロマ、口の中でふくらんでくる甘さ、フルーツの酸。オーストラリア産のボリュームある甘口は、デザートと共に一杯頂きたいワインです。
(ダレンバーグ)



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