April,2000 (2)

アメリカ特集 Vol.2 (Except Cabernet)

Flowers Camp Meeting Ridge Pinot Noir '97
Kistler Chardonnay Sonoma Coast '97
La Crema Pinot Noir '94
St.Clement Merlot Napa Valley '95
Crichton Hall Merlot Napa Valley '95
Dalla Valle Vineyards Pietre Rosse '95
Robert Mondavi Johannisberg Riesling '83
Merryvale Silhouette '96
Mayacamas Chardonnay '95
Calera Jensen '95
Calera Chardonnay Mt. Harlan '95
Au Bon Climat Pinot Noir "Isabelle" '97
Domaine Drouhin Oregon Pinot Noir "Laurene" '96
Hogue Johannisberg Riesling '98


California-Sonoma

Flowers Camp Meeting Ridge Pinot Noir
フラワーズ・キャンプ・ミーティング・リッジ・ピノ・ノワール

ソノマ・コースト 赤 (ピノ・ノワール)
('97 \?)

 ソノマで産出されるブルゴーニュ・スタイルのワインで注目を集めるフラワーズ。冷涼な潮風、朝霧による最良のピノ・ノワールの名畑として名をはせるキャンプ・ミーティング・リッジからのワインは、入手困難な状態。100%自然酵母によるマロラクティック発酵、75%新樽により14ヶ月の樽熟。当然のごとくノンフィルターにて瓶詰。
 フラワーズという可愛いネーミングには似つかない凝縮したワインは、プラム系の香りとタール。控えめながらワインに占める重要な要素となっているロースト香。がっしりとした飲み応えのあるワインは「あれ、これピノ・ノワール?」一瞬ラベルを確認したくなります。
(フラワーズ : Flowers Vineyard & Winery)


Kistler Chardonnay Sonoma Coast
キスラー・シャルドネ・ソノマ・コースト

ソノマ・コースト 白 (シャルドネ)
('97 \9,000)

 1978年にスティーヴ・キスラーが興した、ソノマを代表するシャルドネの生産者。マヤカマス山脈の尾根に位置するワイナリーで年間18000ケースを産出。野生酵母による、オークの小樽でのアルコール発酵、さらに100%のマロラクティック発酵、シュール・リー、バトナージュと伝統的なブルゴーニュの醸造法を踏襲し、数々の畑名入りのワインを造りだします。カリフォルニア・シャルドネの中でもファン垂涎のワイン。
 まず感じられるのは、ヴォリューム感を重視したスタイル。ナッティな感じは日本でいう「栗」のイメージ。やや低めながらシャープな酸と芳醇でクリーミーな果実味が厚みをだし、全体的にまろやか。97年にして、すでに美味しいワイン。当然、数年置いても良いと思います。
(キスラー)


La Crema Pinot Noir
ラ・クレマ・ピノ・ノワール

ソノマ 赤 (ピノ・ノワール)
('94 \3,200)

 1979年設立のブルゴーニュ・スタイルのワイナリー。1993年には、あのケンドール・ジャクソンを所有するジェス・ジャクソン氏が買い取り、ソノマの気候を生かした手工業的なワイン造りを目指しています。
 チェリーの香りが心地よいワインは、フレンチオークと思われるバニラ、切れのよい酸味と凛々しいタンニンの調和もとれた美味しいミディアム・ボディのワイン。ソノマのピノ・ノワールの良さだと思います。
(ラ・クレマ)

California-Napa

St.Clement Merlot Napa Valley
セント・クレメント・メルロー・ナパ・ヴァレー

ナパ・ヴァレー 赤 (メルロー)
('95 \4,850)

 サンフランシスコの外科医、W・ケーシーが1975年に設立。1987年には日本のサッポロが買収。その時から造ることになったのがボルドー・ブレンド・タイプの「オロッパス:OROPPAS」(逆から読むとSAPPORO)。そのネーミングを決めたのも、1980年からワインメーカーを務めるデニス・ジョーンズ。「本当はうちの名前はサンシャイン・フルーツ・カンパニー」と言い、ぶどうの質にこだわる完全主義者。
 濃度のある赤紫のワインは、最初「シップ」のような香りに?だったのですが、徐々に熟したフルーツの甘い香りを漂わせ、整った酸味と下支えするタンニンもほどよく好印象。あと少し置くともっとまとまる気もしました。
(セント・クレメント・ヴィンヤーズ)


Crichton Hall Merlot Napa Valley
クライトン・ホール・メルロー・ナパ・ヴァレー

ナパ・ヴァレー 赤 (メルロー)
('95 \4,950)

 ウォール・ストリートで成功したイギリス人銀行家リチャード・クライトンは、自分の持ち続けていた夢のために仕事をやめ、1983年、マヤカマス山麓にブドウ畑を購入しワイナリーを興しました。カリフォルニア大学デービス校で醸造学を学ぶかたわら、妻ジュディスと二人で理想のワインを造りはじめたというワイナリー。
 まず赤い果実と高めの酸味を感じるチャーミングなワイン。ミディアムボディで茎の香りと、余韻のスパイシーさが複雑味を出す、色んな料理ともマッチしてくれる美味しいワイン。
(クライトン・ホール・ヴィンヤード)


Dalla Valle Vineyards Pietre Rosse
ダラ・ヴァレ・ヴィンヤーズ・ピエトロ・ロッシ

ナパ・ヴァレー 赤 (サンジョヴェーゼ)
('95 \?)

 ファン垂涎のスーパープレミアム「マヤ」を生むダラ・ヴァレ。未亡人ナオコさんのご主人はもともとイタリアのワイナリーの出身。このサンジョヴェーゼには、想いがあるに違いないと考えていた一本。生産量はたったの400ケース、あのマヤ(500ケース)より少ない超レア物。今のところ日本未輸入。
 バラの香り、プラムやチェリーのスムースで温かみのある果実香がその思いを裏切ることなく十分な満足感。サンジョヴェーゼにして凝縮されたワインは、樽の風味が溶け込み、高めの酸に脈々と流れるイタリアの血を感じさせる。ふと思い出したイタリアの銘酒「ティニャネッロ」。このワインにカベルネをブレンドした味を思わず想像していました。
(ダラ・ヴァレ・ヴィンヤーズ)


Robert Mondavi Johannisberg Riesling
ロバート・モンダヴィ・ヨハネスベルグ・リースリング

ナパ・ヴァレー 白 (リースリング)
('83 \?)

 1966年、設立。ナパ・ヴァレーに禁酒法以降、最初にできたワイナリー。”ワイン造りは科学であると同時に芸術である”がロバート・モンダヴィの信念。カリフォルニアのリーダー的存在。
 珍しいモンダヴィ、リースリングの古酒。モンダヴィはあまりこの地で重要視されないリースリングもワイナリー創設当初から生産しています。状態の素晴らしさは、その光沢のある色から推察出来ます。熟成によるミネラルから生まれる石油香、エキス分を感じさせる均整のとれたワインは、知的でいて、優しい甘味が包み込む。
(ロバート・モンダヴィ社)

Merryvale Silhouette
メリーヴェル・シルエット

ナパ・ヴァレー 白 (シャルドネ)
('96 \6,580)

 これは、前回紹介したメリーヴェルが造るシャルドネの上級版「シルエット」。マロラクティック発酵を行わず、新樽100%にて15ヶ月の熟成、ノンフィルターにて瓶詰。年間1000ケースという限定品です。
 最初はバニラを含むヴォリューム溢れる香り、そしてグリセリンの高さを証明する長い脚に期待し、一口めは好印象だったのですが、杯を進める毎に、樽の風味やアルコールが口の中を覆い、舌の上にのしかかる様に閉口。強烈な造りを目指すのは分かるのですが。。。裏ラベルには「R.パーカーが93〜95ポイントを.....」と表記してあるのにビックリ。これには少ししらけてしまいました。
(メリーヴェル)


Mayacamas Chardonnay
マヤカマス・シャルドネ

ナパ・ヴァレー 白 (シャルドネ)
('95 \5,800位)

 1889年創立のカリフォルニアの中では歴史の古いワイナリーは、1968年に元株式ブローカーだったロバート・トラヴァースが買収、その評価を高めます。ナパヴァレーとその西側のソノマヴァレーを分ける標高700メートルの休火山の火口に位置し、最良の条件を満たす20haの自社畑から年間5000ケースを産出。「できる限り自然に」というポリシーで古典的な醸造方法を施し、シャルドネに関してはマロラクティック発酵を行わない。
 このワインに感じるのは、その冷涼な気候を生かしたワイン造り、ミネラル感が印象的。ほどよい樽香、ハーブや柑橘の香りと、きわめてシャープな酸味が持ち味のワインは、ナパのシャルドネとしては特異なスタイル?でもこれ好きです。
(マヤカマス・ヴィンヤーズ)

California-San Benito


Calera Jensen
カレラ・ジェンセン
マウント・ハーラン 赤 (ピノ・ノワール)
('95 \9,000)

 今や日本で大人気のカレラ。ジョシュ・ジェンセンは、エール大学とオックスフォード大学で学び、あのロマネ・コンティ、そしてデュジャックで修行。アメリカへ帰国後、1974年、マウント・ハーランにロマネ・コンティに似た土壌を見つけワイナリーを興しました。ワインの移動をすべて自然の重力によって行う「グラヴィティ・システム(重力移動システム)」他、ほとんどの行程において、人為的な要素を排除したワイン造りを行っています。年間生産量は2万5千ケース。
 ちょうど1年前にも頂いた同じ95年のジェンセン。(カレラ単一畑のテイスティングリポートはこちらへ)
 今回ではやはり熟成の進んだ状態がよく分かりました。未だに果実の新鮮な感じも残り、好ましいワインであることは間違いありませんが、丁度、熟成香が顕著に表れてきた時期のようです。口当たりの良い甘いタンニン、きめの細かなワインは魅力的。バランス的に難しい時期でしょうが、やはり美味しい。95年はあと1、2年でまた違った個性を見せてくれるでしょう。
(カレラ)


Calera Chardonnay Mt. Harlan
カレラ・シャルドネ・マウント・ハーラン
マウント・ハーラン 白 (シャルドネ)
('95 \5,000)

 同じくカレラが造るシャルドネ。マウント・ハーラン・シャルドネは「ミルズ」に接する6エーカーの畑から産出されます。初ヴィンテージ84年。
 ノン・フィルターゆえか、酒石や浮遊物があり、あまり透明感はありません。95年の白としては、熟成の進んだニュアンスのワインは、抜栓直後ではその本来の姿を見せてくれず、約2時間もの間、変化を続けました。柔らかなバニラや蜜を感じさせ、カリフォルニアにありがちな樽の風味は溶け込んでいるため、決して強く感じません。まろやかなアタックのワインは、押し付けがましくなく、余韻にジワッとした渋みを感じます。グラマーではなく品のあるカリフォルニア。フランス出身、ワールド・ワイドに活躍するセリーヌ・ディオンといった風でしょうか。
(カレラ)

California-Santa Barbara


Au Bon Climat Pinot Noir "Isabelle"
オ・ボン・クリマ・ピノ・ノワール "イザベル"

サンタ・マリア 赤 (ピノ・ノワール)
('97 \?)

 1982年、サンタ・バーバラにジム・クレンデネンが設立したブティックワイナリー。かのブルゴーニュ名醸造家、アンリ・ジャイエを師と仰ぎ、畑名入りのワインで、そのテロワールを表現しています。ワイナリーの年間生産量は1万ケース。
 94年から、師のアンリ・ジャイエの反対にもかかわらず、4つの単一畑のいいところを集め、5種類の樽で熟成、ブレンド、愛娘の名を冠したのが、この「イザベル」。幻のワイン。
 とにもかくにも、カリフォルニアワインの中でも、最も飲んでみたかったワインがこれ。幸せの一言。その憧れのワインは、澄んだベリー系の上品な香りに、複雑なミネラルが調和しています。意外にも果実味、タンニンにおいて控えめに感じるのですが、そこにはしなやかな酸味、ワインの細やかさが品位を醸し出すよう。色気のあるワインに感動です。
(オ・ボン・クリマ)

Oregon-Willamette Valley


Domaine Drouhin Oregon Pinot Noir "Laurene"
ドメーヌ・ドルーアン・オレゴン・ピノ・ノワール "ローレーヌ"
オレゴン 赤 (ピノ・ノワール)
('96 \8,000位)

 1880年より続くボーヌの名ネゴシアン、ジョセフ・ドルーアン。そのドルーアンが今オレゴンで大々的に力を入れているのが、このドメーヌ・ドルーアンです。今までにもここのピノ・ノワールは紹介したと思います。
 このワインはベロニカの愛娘ローレーヌの名をつけたもの。選りすぐったキュヴェのみで造られたローレーヌはドメーヌ自ら「プレミアム・キュヴェ」「リザーヴ」として位置付けをする限定品。
 まず驚くのは、その凝縮感、通常のドメーヌ・ドルーアンはもっと気さくなワイン、96年で素直に美味しいワインという印象が、全くスタイルを異にしていた事です。かなりブルゴーニュのスタイルを意識したと思われるワインは、現時点ではその潜在能力を表していないのかも。冷ややかさを感じるエレガントなワインは「物言わぬ大物」の雰囲気。要チェックです。
(ドメーヌ・ドルーアン)

America-Washington

Hogue Johannisberg Riesling
ホーグ・ヨハネスベルグ・リースリング
コロンビア・ヴァレー 白 (リースリング)
('98 \1,700)

 アメリカ北東部のワシントン州。カリフォルニアやオレゴンといった州の陰にかくれがちですが、その生産量は14,200haとオレゴン州の約4倍。冷涼な気候ながら、雨が少ないため、ブドウの完熟にも適しているとされています。
 ホーグは、もともとホップの栽培農家。1974年よりブドウの栽培を始め、1982年より自家製のワインを生産。以降、自社所有畑は242haとなり、契約栽培農家も増やし、この州大手のワインメーカーとなっています。
 ヨハネスベルグ・リースリングとは、アメリカにおけるリースリングの別称で、ホワイト・リースリングとも呼ばれます。優しい柑橘の酸と、フルーティーな中甘口のワインは、親しみやすいと思います。ラベルのデザインもいいですね。
(ザ・ホーグ・セラーズ : The Hogue Cellars)



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