April,2000

アメリカ特集 Vol.1 (Cabernet Blend)

B.R.Cohn Olive Hill Vinyard Cabernet Sauvignon '94
Kenwood Cabernet Sauvignon Jack London '96
Benziger Cabernet Sauvignon '95
Stag's Leap Wine Cellars S.L.V. '72 etc.
Opus One '96
Niebaum-Coppola Rubicon '86
Dominus '95 '96
Lokoya Cabernet Sauvignon Howell Mountain '96
Harlan "The Maiden" '96
Merryvale Profile '92
Merryvale Hillside Cabernet Sauvignon '96
Viader '96
Justin Cabernet Sauvignon '95


California-Sonoma

B.R.Cohn Olive Hill Vinyard Cabernet Sauvignon
B.R.コーン・オリーブ・ヒル・ヴィンヤード・カベルネ・ソーヴィニオン

ソノマ 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン主体)
('94 \6,800位)

 1970年代から80年代前半にかけて全世界を熱狂させたカリフォルニアを代表するロック・グループ、ドゥービー・ブラザーズ。そのマネージャーを務めていたブルース・コーンが1984年に始めたソノマのワイナリー。ヘレン・ターリーがワインメーカーだったこともあり、ワイン・スペクテイター他から、高評価を受けています。1995年から造る「スペシャル・セレクション」は話題のワインの一つ。
 カベルネというよりメルローを思わせる酸味と果実。滑らかなタンニン、飲み手を威圧しないワインは、やはりパフォーマー。ドゥービーの"Listen To The Music"のように心温まる爽快なワイン。
(B.R.コーン)


Kenwood Cabernet Sauvignon Jack London
ケンウッド・カベルネ・ソーヴィニオン・ジャック・ロンドン

ソノマ 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン75%、カベルネ・フラン24%、メルロー1%)
('96 \3,980)

 セントラル・ヴァレーでぶどう栽培に従事していたジョン・シーラが友人と共に1970年ソノマ・ヴァレーに興したワイナリー。現在は約50haの自社畑を所有。カベルネ以外にもメルロー、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランを栽培。ここのフラッグシップである「アーティスト・シリーズ」は毎年現代画家によるラベルが描かれ密かなコレクターズアイテムになっています。
 ソノマを愛した作家ジャック・ロンドンの小説に出てくる狼の顔が直接ボトルにエッチングされたワインは、ソノマの単一畑から生まれるカベルネ。ソノマという地域性なのでしょうか、冷涼なハーブの香りが印象的。緻密なタンニンに支えられた果実が美味しい。まだ、完全にまとまってはないかもしれませんが、いいワインだと思います。
(ケンウッド)


Benziger Cabernet Sauvignon
ベンジガー・カベルネ・ソーヴィニオン

ソノマ 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン主体)
('95 \2,180)

 元は、ニューヨークでワインの卸し売り業をしていたというベンジガー一家。1980年にカリフォルニアはソノマ・マウンテンにワイナリーを造り、大成功を収めます。一時は300万ケースの生産量を誇ったこのメーカーは、初心に戻るべく、事業の大部分を売却。現在は20万ケースの生産量としています。造られるワインは、様々な品種のヴァラエタル・ワインを始め、多種多様。本国では定評のある造り手。
 鮮やかなルビー色をしたワインは、赤や黒のフルーツ、甘さを含むオークの香り、バターのねっとりしたコクを表現。いい香りだと思いながら飲んでみると、アタックに感じるひねた酸が余韻まで続きます。ボディも少し抜けてる?そう、このワイン、一年位本棚の中に入れられていた物。ちゃんとした状態だったら美味しかったんじゃないかな?
(ベンジガー)

California-Napa


Stag's Leap Wine Cellars S.L.V.
スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ S.L.V.

ナパ・ヴァレー 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン主体)
('72 \?)

世界地図を塗り替えた1976年米仏テイスティング対決。そのコンペティションにて見事、カベルネ部門第一位を勝ち取った「スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ」。
「今月のお題目」で特集しています。こちらをご覧下さい。



Opus One
オーパス・ワン

ナパ・ヴァレー 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン主体)
('96 \20,000位)

 現在、カリフォルニアの”プロプライアタリーワイン(ワイナリーが独自のブランド名を付けて売る高級ワイン)”の中でも、最も有名であろうオーパス・ワン。ロバート・モンダヴィとシャトー・ムートン・ロートシルトのジョイント・ベンチャーによる名作。オーパス・ワンとは”作品第一番”の意。
 かなり高い評価を受けている96年のオーパス。まず驚いたのは、95年とは完全にスタイルを異にしていたこと。デキャンテイングから約1時間半経った時点で、内にこもったような香りと青草を思わす対照的な香り。滑らかな飲み口ながら、その中にある果実はシャープでいて、悠然としたクールな表情。これは偉大なワインになるのか!?要熟成。



Niebaum-Coppola Rubicon
ニーバーム・コッポラ・ルビコン

ナパ・ヴァレー 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン主体、メルロー)
('86 \11,000)

 1970年代半ば、映画界の巨匠フランシス・フォード・コッポラは、ナパの名ワイナリーであった「イングルヌック」を買い取りワイン界へ参入。いかなる分野においても高品質を目指す彼が、1978年に世に送り出したのが、この「ルビコン」。1991年ヴィンテージ以降は、あのトニー・ソーターがコンサルティングに加わり、スタイルが変わったと言われますが、この80年代のルビコンは?
 最初は香りと味わいともに控えめ、ヴェールをまとった印象。時間と共に、ミント、シナモン、柔らかなミルクやなめし皮といった熟成による動物香とシルキーなタンニン、さながらメドックの雰囲気。今のカリフォルニアにありがちな一人よがりな自己主張が強くない分、個人的には好みのワイン。
(ニーバーム・コッポラ・エステート)


Dominus
ドミナス

ナパ 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン主体、メルロー、プティ・ヴェルド)
('95,'96 \14,000位)

 オーパス・ワン、ルビコンと共に現在、カリフォルニアで最上級のプレミアム・ワイン。1982年に、あのペトリュスのオーナー、クリスチャン・ムエックス氏が興したワイナリー。畑はマヤカマス山に向かって緩やかな傾斜を描く約50haの「ナパヌック・ヴィンヤード」。「フランスの手法をカリフォルニアの葡萄で生かす」ことがポリシーだといいます。
 1996:やや茶色を帯びた赤紫のワインは、アタックから、青さを含む渋み。ワインの奥にはカシスや土、動物的な部分がギュッと詰まって見え隠れするようですが、花開くのには時間が必要となるでしょう。
 1995:ドミナスはいつも難解。やや酸が勝り、鋭角的な香りを感じるこのワインは、95年ヴィンテージとしては異様なほどの澱の量。開く気配さえ見せないのは、そのポテンシャル上のことでしょうか?やはり時間が必要なドミナス。
(ドミナス・エステート)


Lokoya Cabernet Sauvignon Howell Mountain
ロコヤ・カベルネ・ソーヴィニオン・ハウエル・マウンテン

ナパ 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン主体)
('95 \18,000位)

 ロコヤ、今話題のワイン。ソノマの大手ワイナリー、ケンドール・ジャクソンを所有する一族であるジェス・ジャクソン氏がナパのペピを買い取り、ペピ、カーディナル、ロコヤのそれぞれのワインを生産しています。ロコヤという名前は白人がナパに入る前からビーダー山に住んでいたインディアンの部族の名前がロコヤという事。ナパ・バレー山岳地域の畑、Mt.Veeder, Howell Mountain, Rutherford, Diamond Mt. をリリースし、いきなり各評論誌で高評価を受けています。
 今の風潮であるスタイルを感じさせるワインは、青さを残した木の風味。山のブドウらしくクールで骨格の良いボディは、今後の熟成による変化が楽しみ。現時点では、やや平坦な果実とまとまりに不満も残るものの、5年から10年後には大化けの可能性あり。より高評価のRutherford, Mt.Veeder に期待したいと思います。
(ロコヤ : Lokoya)



Harlan "The Maiden"
ハーラン "ザ・メイデン"

ナパ 赤 (カベルネ・フラン他)
('96 \?)

 ハーラン・エステート。ナパの高級リゾートホテル「メドウッド」やワイナリー「メリーヴェイル」の共同経営者であるウィリアム・ハーランは、ナパ最上のワインを造るべく、カベルネに適した土地を10年間探し求めたと言います。ナパ・ヴァレーのオークヴィルに、ファー・ニエンテの畑を馬蹄状に囲む斜面。ミッシェル・ロランの助言を受けたワインは、R.パーカー氏が94年ヴィンテージに100点満点をつけ、一気にスターダムに。今の我が国では6万から8万という高価格で取引されます。この「メイデン」は若木のカベルネ・フラン等から造られるセカンド(セカンドではなく、もう一つのワインというお話もあります)。95年がファースト・ヴィンテージ。
 いいワインですね。冷涼な気候でもよく熟すカベルネ・フランの特徴をよく表し、ワインの甘味、控えめなタンニン、柔和でふくよかな果実は、その名の通り「メイデン:乙女」の表情。今飲んで十分美味しいワイン。ファーストラベルとは全く違った個性でしょうが、もし安く流通すれば飲むべきワインですね。ちなみにアメリカ本国での相場は$100前後のようです。
(ハーラン・エステート)


 ちなみにこのワイン、コルクが「56mm」という長さ。Mitsuruさんが主催される「Restaurant Le Tableau Blanc」では「コルク王決定戦」というコルクの長さを競うコーナーがあります。面白いです。


Merryvale Profile
メリーヴェイル・プロファイル

ナパ・ヴァレー 赤 (カベルネ・ソーヴィニオン主体)
('92 \?)
Merryvale Hillside Cabernet Sauvignon

メリーヴェイル・ヒルサイド・カベルネ・ソーヴィニオン

ナパ・ヴァレー 赤 (カベルネ・ソーヴィニオン主体)
('96 \3,200)

 メリーヴェルは、上記のウィリアム・ハーランとロビン・レイルらの共同経営により1983年に創立。現在ワイン醸造は、スティーヴ・テストが担当。フレンチ・オークの採用、フリーラン・ジュースだけを使用するなどヨーロピアン・スタイルを目指すワインは、ミッシェル・ロランのアドヴァイスを仰ぎ、現在人気急上昇中です。
 その最高峰がプロファイル。現時点ではプレミアム・キュヴェらしくゴールドのラベルが与えられていますが、92年はまだ白地。かなり強いというイメージを持っていたメリーヴェイルも、熟成によるまとまりのあるワインに。あくまで控えめな赤と黒を混ぜた果実、ややドライながら整然とした酸とふくらみのあるアルコール。密度のあるワインは、ところどころで柔和な顔を覗かせるよう。やっと飲み頃、まだ置いてもいいワインかも。
 ヒルサイドは、いくつかの小さな畑から収穫された葡萄を厳選し、カベルネ・ソーヴィニヨン種を主体に、メルロとカベルネ・フランを少量ブレンドしています。カシス系の充実した香りと凝縮感のある果実味はこの価格帯にしては、かなりお買い得。ただ、やや荒いタンニンとオークの風味をまだ強く残しているので、もう数年置いて飲むとバランスのとれたワインになるかもしれません。
(メリーヴェル)


Viader
ヴィアデル

ナパ・ヴァレー 赤 (カベルネ・ソーヴィニオン59%、カベルネ・フラン41%)
('96 \7,500)

 セント・ヘレナの町を見下ろすハウエル・マウンテンの中腹にあるワイナリー。オーナーのアルゼンチン女性、デリア・ヴィアデルは、カリフォルニア大学デービス校でワイン醸造を学んだと言います。そしてこのワインが注目を浴びる一因として、あのトニー・ソーター氏が手がけているという事。彼はスポッツウッドやアラーホ、ルビコンのコンサルタントとしても注目の醸造家です。
 カベルネ・フランを約半分近く使うセパージュから、シャトー・シュバル・ブランを目指しているという声も聞かれます。
 いきなり温かみのあるカリフォルニアらしい果実香。確かにまだ、少しロースト香が前面に出ていますが、まろやかな飲み心地で、1時間経つと、酸味とのバランスもとれ、大変美味しく頂きました。いい意味で、ボルドーのエレガンスとカリフォルニアの旨みの中庸をいっているワイン。お薦めできます。
(ヴィアデル)

California-San Luis Obispo

Justin Cabernet Sauvignon
ジャスティン・カベルネ・ソーヴィニオン

パソ・ロブレス 赤 (カベルネ・ソーヴィニオン)
('95 \2,800位)

 セントラル・コーストのパソ・ロブレスは密かに注目される産地。ここで家族経営でワインを生産するジャスティンは、サンテミリオン・ブレンドのジャスティフィケーション(CF53,M47)やメドック・ブレンドのアイササリーズ(CS61,CF14,M15)が有名。他にもオブチューズ・ポートなんていう酒精強化ワインも造ってるようです。
 深い赤紫のワインは、酸味も高めながら、ローストされた香りとまろやかでベリーの甘さも感じる果実味が美味しいワイン。ノン・フィルター故か、このヴィンテージで相当量の澱。ラベルに記されているのは「100% Cab Sauvignon, 100% Estate, 100% Hand haevested, 100% Barrel aged 22month, 100% Family owned and operated」という事です。
(ジャスティン : Justin Vineyards & Winery)


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