March,2000

ボルドー、左岸の白と右岸の赤

Ch.Haut-Brion (Blanc) '87
L'Esprit de Chevalier (Blanc) '92
Ch. de Valandraud '94
Ch. Rol Valentine '96
Ch. Le Pin '92
Ch. La Conseillante '87
Ch. Haut-Tropchaud '94
Ch. Beau Soleil '95
Ch. Jean-Louis Doparis '95
Ch. Haut-Carles '94
Ch. Talbot Caillou Blanc '98
Blanc de Lynch Bages '97


Bordeaux-Grave

Ch.Haut-Brion (Blanc)
シャトー・オー・ブリオン(ブラン)

グラーブ(ペサック) 白 (Se63,SB37)
('87 \22,000)

 シャトー・オー・ブリオン、当然このグラーヴ地区のワインらしく白も造っています。その品質は、グラーブの白としてトップに数えられるものの、生産量は年間800ケースと少量のため、所有者の要請により、格付けの対象にはなっていないもの。
 87年の白は、最初香りが開きませんでした。時間と共に乾燥フルーツの甘さ、まろやかなミネラルを感じ、薬草の風味を伴うドライで長いフィニッシュ。エレガントな個性なのでしょうが、この控えめなワインは、もう少し早く飲んであげたほうが良かったようです。


L'Esprit de Chevalier (Blanc)
レスプリ・ド・シュヴァリエ(ブラン)

ペサック・レオニャン 白 (SB50,Se50)
('92 \8,800)

 ドメーヌ・ド・シュヴァリエは、グラーヴ地区のレオニャン村南部、森に囲まれた場所にあります。赤と白のワインを産出するこのドメーヌは、その生産量が少なく、ワインの質も高いため、ワイン好きの間では大変人気のあるもの。
 特に白ワインは垂涎の的。このレスプリ・ド・シュヴァリエは、セカンド・ラベル。白の生産量は、ファーストラベルで1000ケース、セカンドもたったの500ケースです。
 まず樽から来るふくよかなバニラ。洋ナシを思わせる甘さと、ライムやレモンの柑橘を感じます。シャープで立体的な酸味が印象的で、ワインの大きさが加われば文句ないかも。一段とファーストラベルへの想いを募らせる出来栄えです。


Bordeaux - St-Emilion


Ch. de Valandraud
シャトー・ドゥ・ヴァランドロー

サンテミリオン 赤 (M75,CF20,Ma5)
('94 \80,000前後)

 元銀行マンのジャン・リュック・テュヌバン氏がこの畑を買ったのが1989年、ファーストヴィンテージは1991年で、わずか2年後の1993年ヴィンテージにパーカー氏が最高得点が与え、一躍シンデレラ・ワインとして、この地区最高値で取引されるワインとなったのが、このヴァランドロー。手がけたのは、やはりミッシェル・ロラン氏。新樽100%、18〜30ヶ月の熟成。年間約600ケースという少量生産。

このワインは、こちらで詳しく特集しています。



Ch. Rol Valentine
シャトー・ロル・ヴァランタン

サンテミリオン 赤 (M90,CF5,CS5)
('96 \12,000位)

 昨年あたりから一部のワイン通の間で話題になっているワインでボルドー・サンテミリオンの入手困難なワイン、ロル・ヴァランタン。平均生産量は7000〜9000本という少量生産のワインは、シンデレラの予感?ラベルには天使がハートを抱きかかえている絵が描かれていて、プレゼントにも最適。
 96年はまだまとまるのに時間がかかる印象。健康的な深い赤紫をしたワインは、まずローストされた樽を感じ、アタックに渋み、メルローの個性を現した豊かなボディ。これから注目かもしれません。未来を期待して「RECOMMEND」マークです。
(サンテミリオン地区特級)


Bordeaux-Pomerol


Ch. Le Pin
シャトー・ル・パン

ポムロール 赤 (M92,CF8)
('92 \46,000〜80,000)

 現在、ポムロール地区にて、ペトリュスと肩を並べる価格で取引されるのが、ル・パン。隣接するヴィユー・シャトー・セルタンのティアンポン家がポムロールの丘中央に位置するこのシャトーを買ったのは1979年。その2haの畑から造られるワインは年間たったの600ケース。このワインも仕掛けたのは、あのミッシェル・ロラン氏。まさにシンデレラ。

このワインも、こちらで詳しく特集しています。


Ch. La Conseillante
シャトー・ラ・コンセイヤント

ポムロール 赤 (M65,CF30,Ma5)
('87 \9,800)

 ポムロールとサンテミリオンのAC境界に位置するこのシャトー。つまりポムロールのペトリュスやル・パン、サンテミリオンのシュバル・ブランの中間にあります。1874年以降、ニコラ家が運営し、12haの畑からは毎年5000ケース前後のワインが生まれます。
 87年、さすがですね、コンセイヤント。87年というオフでも、ちゃんとそのエレガンスが伝わってきます。良い意味でのみずみずしい(水っぽいというではなく)ワインという表現がピッタリ。繊細なお料理と合わせてみたくなります。
 先日飲んだ92年とこの87年。もし同じ位の価格でしたら、87年をおすすめします。

Ch. Haut-Tropchaud
シャトー・オー・トロショー

ポムロール 赤 (M100)
('94 \9,500位)

 ペトリュスとトロタノワの中間でル・パンの隣という絶好の位置にあるシンデレラシャトーの一つ。メルロー100%で造られ、そのメルローの一部は、樹齢100年を越える物もあるということ。畑の広さは約2ha、年産約1万本。アリエ産新樽100%にて18ヶ月熟成。
 このワインに関しては、熟成されたもので評価したほうがいいのかもしれません。94年の現時点での感じでは、かなり激しいタンニンと樽香のため果実自体が見えず、収斂味を感じます。手の込んだワインである事は間違いなさそうですが、やや派手さが先に感じられました。


Ch. Beau Soleil
シャトー・ボー・ソレイユ

ポムロール 赤 (M95,CF5)
('95 \12,000位)

 ジャン・ミッシェル・アルコートとミッシェル・ロランと言えば、同じポムロールの「クリネ」や「ラ・クロワ・デュ・カス」を成功に導いた人物。そのコンビの手になる新しいシンデレラ候補は、95年がファースト・ヴィンテージとなるシャトー・ボー・ソレイユ。約3haの畑から1850ケースのワインが産出されます。
 杉やカシスの香りにヨード香が混ざるワインは好ましく、樽香もありながら、きれいにまとまっているので気にならない。ふくよかなボディと高めながら気品のある酸味がフィニッシュをしめるメルローの個性が良く出たミディアムからフルボディのワインは、熟成が進むにつれて、もっとよくなる気がしました。


Ch. Jean-Louis Doparis
シャトー・ジャン・ルイ・ドパリ

ポムロール 赤 (M,CF)
('95 \7,000位)

 このワイン、その詳細について分からないのですが、なんでもル・パンのセカンド的なワインだとか「シャトー・ラパン(うさぎ)」と呼ぶ人もいるとか??とにかく昨年の干支、うさぎがラベルに描かれているので見かけた方も多いと思います。昨年初めの試飲では、あまり良い印象ではなかったのですが、今年になってまとまってきているようです。
 健康的な明るめのルビー色のワインは、やはり今流行りの造り方を感じさせるロースト香。しかしながら飲み口はマイルドになり、バランスもとれてきたようです。昨年、プレゼントされた方、もう少しの辛抱です。


Bordeaux-Fronsac


Ch. Haut-Carles
シャトー・オー・カルル
フロンサック 赤 (M99,CF1)
('94 \4,000位)

 ポムロールに隣接するフロンサック地区は、知る人ぞ知るワイン産地。ここで今騒がれているワインがこのオー・カルル。ほぼメルロー100%で作られるワインは、栽培面積は5ha、年間約800ケースという少量生産。評価の高いシャトー・ド・カルルが1994年から作り始めたスペシャルキュヴェで、100%新樽、18ヶ月熟成、ノンフィルターで瓶詰め。
 ファースト・ヴィンテージ94年、さすがと思わせる造り。その色調が物語るものは、深みのある果実。まだまだ若々しいワインは、プラムに似た香りと滑らかな飲み口。ワイン全体はしっかりしたタンニンが余韻まで続き、このワインの成長を見届けたい気持ちにさせてくれました。



Bordeaux AOC

Ch. Talbot Caillou Blanc
シャトー・タルボ・カイユ・ブラン

サン・ジュリアン(AOCボルドー)白 (SB100%) 
('98 \4,320)

 メドックの格付け第4級シャトー・タルボの造る辛口白。今でこそメドックの格付けシャトーが白を造るのも人気になっていますが、このタルボがその先駆けで、元はシャトー内のプライベート用だったものが評判になったというもの。畑も拡張され、年々安定感が増しているようです。
 実際にこの98年という若いワインは、そのフレッシュ感が良く出て、まろやかさもある香りと共に好印象。ただ値段を考えると少しボディが物足りない感じかな。難しいとこですが。


Blanc de Lynch Bages
ブラン・ドゥ・ランシュ・バージュ

ポイヤック(AOCボルドー) (Se40,SB40,Mu20)
('97 \5,000)

 こちらもメドック格付け第5級シャトー・ランシュ・バージュが1990年より生産を始めた辛口の白ワイン。すでにメドックでも人気の白となっています。
 97年のワインはややオイリーで、はしばみや樽からのバニラを感じます。飲んでみると、スッキリしたボディと、シャープな酸味が印象的でフレッシュさが好ましい白。このワインはあまり置かずに早めに飲んだほうが美味しくいただけるように思います。

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