January,2000

ブルゴーニュ名畑特集

Chablis 1er Cru Montmains '88
Chambertin '95
Gevrey-Chambertin Clos Saint-Jacques '88
Musigny Cuvee Vieilles Vignes '86
Clos de Vougeot Vieilles Vignes '94
Clos Vougeot "Musigni" '92
Grand Echezeaux '86
Echezeaux '95
Echezeaux '86
Vosne-Romanee Les Malconsorts '95
Vosne-Romanee Les Hautes-Maizieres '96
Nuits-Saint-Georges Clos des Corvees '96
Nuits St. Georges Clos de la Marechale '95
Pommard (Ch. de Pommard) '90
Pommard Les Epenots '96
Puligny-Montrachet Folatieres '82
Mercurey Clos des Myglands '96
Macon-Pierreclos Le Chavigne '97
Pouilly Fuisse Premier Jue '95



Bourgogne-Chablis

Chablis 1er Cru Montmains
シャブリ・プルミエ・クリュ・モンマン

シャブリ 白 (Ch100)
('88 \7,000位)

 1859年から続くボーヌのネゴシアン、そしてドメーヌでもあるルイ・ジャド社。個人的にもここを訪れ、ブルゴーニュの素晴らしさを教えてもらった想い出のワイナリーです。コート・ドールの赤白ともにその品質の高さ、安定度は定評がありますが、シャブリも造っています。
 シャブリの1級畑「モンマン」はスレン川左岸に位置する三つの小地区から成り立っています。88年のワインは淡い黄色、グレープフルーツ様の香り。ボディ自体はすでに丸みを帯び、酸度も低くなっているため、とてもまろやか。シャブリらしくはないと思いますが好印象です。
(ルイ・ジャド)プルミエ・クリュ



Bourgogne-Cote de Nuits

Chambertin
シャンベルタン
ジュヴレイ・シャンベルタン 赤 (PN,Pb,PL)
('95 \10,000位)

 「シャンベルタン」言わずと知れたグラン・クリュ。その畑は、隣のクロ・ド・ベーズよりかなり遅れて歴史に登場するとは言うものの、今ではこの村の中心をなす名畑。名前の由来は、13世紀に農夫ベルタンが所有する畑「ル・シャン・ド・ベルタン」と呼ばれていた土地だったそうです。あのナポレオン皇帝がこよなく愛したというワイン。
 ピエール・ブレは、1864年創業のジュヴレイ・シャンベルタン村のネゴシアン。村名畑ながら「クロ・ド・ラ・ジャスティス」という秀逸なワインを生み出す畑を単独所有している事でも有名な、手堅い産出者。
 この95年は、やや高めの酸味を伴う赤い果実。ブルゴーニュらしいベジタブルな味わいですが、この村のイメージとは違った気さくなワインでした。
(ピエール・ブレ)グラン・クリュ

Gevrey-Chambertin Clos Saint-Jacques
ジュヴレイ・シャンベルタン・クロ・サン・ジャック
ジュヴレイ・シャンベルタン 赤 (PN,Pb,PL)
('88 \12,000位)

 こちらもルイ・ジャド社のワイン。ルイ・ジャドは、ネゴシアンとしても一流ですが、50haにも及ぶ自社畑も所有しており、ドメーヌ・ルイ・ジャドとして数々の名品を造り出しています。
 ジュヴレイ・シャンベルタンの一級畑の中でも、重要視される「クロ・サン・ジャック」。ルイ・ジャドはここで最大の面積を所持し、その品質はグラン・クリュに匹敵すると言われます。
 輝きのある綺麗な中程度のガーネット色は、かすかにオレンジを帯び、期待が募ります。抜栓後、30分から香り、味わいともに深みが増し、熟したベリー系のブーケと、みずみずしく芯のある果実味。ただ最後まで香りと味わいが交互に出たり出なかったり。少しじれったい1本でした。
(ドメーヌ・ルイ・ジャド)プルミエ・クリュ


Musigny Cuvee Vieilles Vignes
ミュジニー・キュヴェ・ヴィエイユ・ヴィーニュ

シャンボール・ミュジニー 赤 (PN,Pb,PL)
('86 \23,000)

 シャンボール・ミュジニー村において最も重要視されるドメーヌがこのコント・ジュルジュ・ド・ヴォギュエ。1776年までその家系は遡れ、現在この特級畑「ミュジニー」の70%にあたる6.5haを所有。もう一つの特級畑「ボンヌ・マール」にも約20%に相当する2.5haの畑を持っています。代々銘酒を生み出してきたとされるこのドメーヌ。70年代から80年代の評価はあまり良くないようですが。。。
 いやいやどうして、さすがミュジニーです。艶のある深いルビーをしたワインは、木苺とブラック・チェリーの香り、優雅な揮発香を漂わせています。アタックにやや木樽からの渋みを感じますが、繊細でいて深みのある果実が感じられます。
 ただ一つ気になるのは、やはり価格でしょう。この価格の価値を見出すのは、個人の判断に任せるしかないようです。
(ドメーヌ・コント・ジュルジュ・ド・ヴォギュエ)グラン・クリュ


Clos de Vougeot Vieilles Vignes
クロ・ド・ヴージョ・ヴィエイユ・ヴィーニュ

ヴージョ 赤 (PN,Pb,PL)
('94 \?)

 80人もの造り手がいることでも有名なクロ・ド・ヴージョ(詳しくはこちらへ)。ヴォーヌ・ロマネ村に本拠を構えるエジュラン・ジャイエは、クロ・ド・ヴージョの最上部南端に三角状の区画4.5haを所有。古樹(ヴィエイユ・ヴィーニュ)のブドウを使ったワインは評判の逸品。
 確かに94年というブルゴーニュでは難しい年。しかしながら、良い造り手のワインは、全体が引き締まっています。好ましい赤果実の香りは、中心からふっと甘さが感じられ、しなやかな酸が上品。綺麗なワインです。
(エジュラン・ジャイエ)グラン・クリュ

Clos Vougeot "Musigni"
クロ・ヴージョ ”ミュジニー”

ヴージョ 赤 (PN,Pb,PL)
('92 \5,600位)

 ブルゴーニュのグロ一族と言えば、高品質のワインを生産することでは有名。「アンヌ・グロ」「ミッシェル・グロ」「A.F.グロ」。そして「グロ・フレール・エ・スール」。グロ・フレールが所有するクロ・ヴージョは斜面上部、お城の横でグラン・クリュ”ミュジニー”の隣の区画。
 さすがのグロ、甘く官能的なブルゴーニュの香り。味わいは優しく、ミディアムボディの素直なワインですが、やや風格に欠けるかな?もう一度、近年のヴィンテージで確認の必要がありそうです。 
(ドメーヌ・グロ・フレール・エ・セール)グラン・クリュ


Grand Echezeaux
グラン・エシェゾー
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('86 \27,800)

Echezeaux
エシェゾー
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('95 \24,500)

 もう皆さんご存知のDRC(DRCに関しての詳細はこちらをご覧下さい)。「エシェゾー」という名称は2世紀のガロ・ロマン時代の集落を意味する「シェゾー」が由来。この二つの畑は実際にはフラジェイ・エシェゾー村に位置しますが、隣村のヴォーヌ・ロマネ村のワインとして扱われます。
 86年のグラン・エシェゾー。86年というブルゴーニュではやや難しい年とされるヴィンテージにして、あくまで黒に近い果実と、気品のある酸味がワインに個性を与えています。緊張感のあるワインは、まだ熟成を続けているのかもしれません。
 95年のエシェゾー。DRCのワインとしてはやや明るめの綺麗な色調のワインは、スパイシーで果実のエキスが口中に広がる華麗さ。果実感、酸味、渋みが見事にまとまったワインはこんな若いヴィンテージにして十分。
 DRCの個性、エレガントな甘さと酸っぱさが共存する香り、そしてワインを取りまとめる酸味。ブルゴーニュのフィネスなのでしょう。 
(ドメーヌ・ドゥ・ラ・ロマネ・コンティ)グラン・クリュ

Echezeaux
エシェゾー
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('86 \150,000 1500ml)

 ブルゴーニュの神様、醸造家の中の醸造家と崇められるのが、アンリ・ジャイエ。当然そのワインはブルゴーニュでも別格の扱いをされ入手困難。古典的な醸造法を尊重し、低温浸漬という予備発酵を行います。今では70歳を超えるジャイエは引退、甥のエマニュエル・ルージェがワイン造りにあたっています。
 憧れのアンリ・ジャイエ。これだけ高価で希少なワインは、飲めただけでも幸せですね。まったりとした味わいのワインは、骨格を持ち長命なワインであることには間違いなさそうですが、このマグナム、やや飲みごろが難しいのか。立派なワインは難解です。
(アンリ・ジャイエ)グラン・クリュ


Vosne-Romanee Les Malconsorts
ヴォーヌ・ロマネ・レ・マルコンソール
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('95 \5,800)

 ヴォーヌ・ロマネ村「マルコンソール」畑。その一級畑はニュイ・サン・ジョルジュ村との境界に位置し、あのグラン・クリュ「ラ・ターシュ」の南隣。いいワインが出来て当たり前の立地。5.85haの畑は、現在モワラール、ラマルシュ、ビショー、カティアールの4軒が分割所有しています。
 アンドレ・カティアールは、非常に小さなドメーヌながら、ヨーロッパの有名レストランのリストには載っているという評判。「ワイナート」春号の「ヴォーヌ・ロマネ・ブラインド・テイスティング」にて堂々ベスト・プルミエ・クリュ第2位だったワインです。
 さすがに評判通りのワインは、鮮やかで凝縮感を感じさせる色には、均整のとれた造りが感じられます。ほんのりと甘さを伴う果実には優しさもありますが、少しだけタンニンの硬さも感じられるので、もう少し置いて飲むとさらにいいように思いました。
(アンドレ・カティアール)プルミエ・クリュ


Vosne-Romanee Les Hautes-Maizieres
ヴォ−ヌ・ロマネ・レ・オ−ト・メズィエ−ル
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('96 \14,000)

Nuits-Saint-Georges Clos des Corvees
ニュイ・サン・ジョルジュ・クロ・デ・コルヴェ
ニュイ・サン・ジョルジュ 赤 (PN,Pb,PL)
('96 \14,000)

 このドメーヌのオーナー、アンリ・フレデリック・ロック氏は、92年より、ロマネ・コンティ社の共同経営者。非常に巷を騒がせているドメーヌです。
 ワイン造りのすべての行程において「昔のままに」という造り方。シトー派時代の有機無農薬栽培法を復活、醸造法も房を丸ごと発酵槽に入れる伝統的手法、木樽での発酵、今でも発酵時の攪拌も人間が樽に入って足でかき混ぜています。
 レ・オ−ト・メズィエ−ルは、ヴィラ−ジュ格付けの畑ですが、あの特級畑エシェゾーと1級畑レ・スショに隣接しています。
 クロ・デ・コルヴェは、ニュイ・サン・ジョルジュの傾斜の中腹、最上の場所に位置する1級畑、プリュレ・ロックのモノポール。

 以前、94年を頂いた時に感じた「優しいワイン」という印象。しかしこの年は、複雑さが増し、しっかりしたタンニンと内に秘める動物的なニュアンスを感じさせます。やはりこの村の違いよりも、プリュレ・ロックの造りの大きさを感じさせる2本。強さの中に育ちの良さが見え隠れするようです。
(ドメーヌ・プリュレ・ロック)プルミエ・クリュ


Nuits St. Georges Clos de la Marechale
ニュイ・サン・ジョルジュ・クロ・ド・ラ・マレシャル
ニュイ・サン・ジョルジュ 赤 (PN,Pb,PL)
('95 \4,900)

 ジョセフ・フェヴレイ:ニュイ・サン・ジョルジュに本拠を構える1825年創業のネゴシアン。1社としてはブルゴーニュで最大の115haの畑を所有。ネゴシアンながら、他の栽培農家から買いつけるブドウは全体の2割にすぎず、いわば大規模なドメーヌと言ってもさしつかえないかもしれません。フェヴレイが単独所有(モノポール)のエチケットは、通常とは違うややグレーがかった物が貼付されています。
 ニュイ・サン・ジョルジュのプルミエ・クリュ「クロ・ド・ラ・マレシャル」9.55haは、フェヴレイの単独所有。さすがにフェヴレイの地元、そして自慢の畑産。快活で新鮮なフルーツ香、やや硬めながら精緻なタンニン、スマートな酸味が果実の旨みと調和し、エレガントな仕上がり。今飲んでもよし、あと2、3年でも美味しいワイン。
(ジョセフ・フェヴレイ)



Bourgogne-Cote de Beaune


Pommard (Ch. de Pommard)
ポマール(シャトー・ド・ポマール)
ポマール 赤 (PN,Pb,PL)
('90 \8,200)

 ジャン・ルイ・ラプランシュ博士の所有する、四方をクロ(石垣)に囲まれる約20haの畑「シャトー・ド・ポマール」。ヴィラ−ジュ格付けの畑ながら、特注の印象的な瓶に詰められたワインは、1級同等の評価をなされます。
 特徴のある瓶なので、若い頃に飲んだ美味しさが記憶にずっと残っているワイン。90年もさすがに期待を裏切りませんでした。
 まだまだ若々しいブラックチェリーを思わす香り。ようやくこなれたタンニンと大地を感じさせながら、深みのある酒肉には知的な部分も。美味しいポマール、あと数年置いても良いでしょう。また、ここのセカンドラベル(レ・ナルジョレ)もありますが、そちらもおすすめ出来ます。
(シャトー・ド・ポマール)

Pommard Les Epenots
ポマール・レ・ゼプノ
ポマール 赤 (PN,Pb,PL)
('96 \5,750)

 ポマール村長だったアルマン・ジラルダン。今ではその醸造を娘のアレットが引き継ぎ、伴侶の名を冠して「アレット・ル・ロワイエ・ジラルダン」として90年代初めにドメーヌを興しています。ここの1級畑レ・ゼプノ(0.5ha)は、樹齢90年を超える超ヴィエイユ・ヴィーニュ。醸造は伝統的な手法を用い、新樽は1級でも約1割と少ないということ。だた、このワインは「アレット・ル・ロワイエ」ではなく「アルマン」のラベルでしたが、今この2つはどうなっているのでしょうか?
 96年ということもあり、フレッシュで甘酸っぱい香りが第一印象。時間を置くと、湿った森の清涼感のある香りとやや動物的な要素が。引き締まった酸味が心地よいミディアム・ボディのワイン。
(アルマン・ジラルダン)プルミエ・クリュ

Puligny-Montrachet Folatieres
ピュリニィ・モンラッシェ・フォラティエール
ピュリニィ・モンラッシェ 白 (Ch,PB) 
('82 \13,500)

 ブシャール社は1731年創立のブルゴーニュ最大手のネゴシアン。93haもの自社畑を所有し、その約7割以上が特級と1級だと言うから凄い。70年代から80年代は不調の時期だったようですが、かつての名声を取り戻すべく、醸造施設を一新。95年には、長きに渡る世襲にピリオドを打ち、シャンパーニュのアンリオが買収。
 ピュリニィ・モンラッシェ村の1級畑の中で「ピュセル」や「カイユレ」と並び重要視されるのが「フォラティエール」。
 82年というブッシャールの白。熟成を感じさせる黄金色、やや香りの出方は少ないのですが、薬草、杏のブーケ、低めの酸とまろやかな果実味。飲み頃を過ぎた感はありませんが、もう少しヴォリュームを期待してしまいました。
(ブシャール・ペール・エ・フィス社)



Bourgogne-Cote Chalonnaise


Mercurey Clos des Myglands
メルキュレ・クロ・デ・ミグラン
メルキュレ 赤 (PN,Pb,PL)
('96 \1,850 375ml)

 ジョセフ・フェヴレイの単独所有(モノポール)のワインをもう一本紹介。
 フェヴレイは、コート・シャロネーズのメルキュレにも70ha以上の畑を所有しており、その中でもモノポールの「クロ・デ・ミグラン」5.48haは、名の知られた畑。とても綺麗なルビー色のワインは、甘さとほのかな樽香を伴い、高めの酸と滑らかな渋みのバランスの良いワイン。食中酒としてこんなワインがいいと思います。
(ジョセフ・フェヴレイ)


Macon-Pierreclos Le Chavigne
マコン・ピエールクロ・ル・シャヴィーニュ

マコン 白 (Ch,PB)
('97 \4,200)

Pouilly Fuisse Premier Jue
プイイ・フュイッセ・プルミエ・ジュ

プイイ・フュイッセ  白 (Ch,PB)
('95 \10,000 ?)


 ヴェルジェ社:マコネー地区で最も注目されているこのネゴシアンは、ベルギー出身のジャン・マリ・ギュファン氏が1990年に興しました。このドメーヌ、ギュファン・エナンは、そのジャン・マリ・ギュファン氏が醸造を行っているドメーヌもの。
 白ワインのスペシャリストであるギュファン・エナンは、捕糖もせず、マストの沈殿もしない、澱引きも瓶詰め直前まで行わず、清澄も濾過も無しという徹底ぶり。事情通の間では評判の高いドメーヌです。
 マコン・ピエールクロ・ル・シャヴィーニュ:97年というヴィンテージながらすでに美味しいこのワイン。ほんのりとオークの風味、やわらかな果実味とミネラル感は調和がとれ、この地区最高のワインという評判通り。
 プイイ・フュイッセ・プルミエ・ジュ:これがまた凄いワインです。熟成したムルソーやシャサーニュのような雰囲気を持っています。「完熟した果実からワインを造りましたよ」と言わんばかりのワインは、低めの酸味も相まって、まろやかさとヴォリュームを感じます。コート・シャロネーズの白を飲んで、久々に衝撃を受けた逸品。これから目の離せないドメーヌとなりそうです。
 (ドメーヌ・ギュファン・エナン)

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