バースディ・ヴィンテージ、そうワインの良いところは、熟成された年月を感じられること。特にご自身が生まれた年のワインは、また違った感慨深いものがあります。1900年代最後のお題目は「生まれ年のワイン」です。 |
お誕生日のお祝いに生まれ年のワインをと思っても、古酒って高いですよね。でも、こんなワインもあります。 |
1750年創業という古い歴史を持つ、ボーヌのネゴシアンであるシャンソン・ペール・エ・フィス。評価の高いボーヌのプルミエ・クリュである、クロ・デ・フェーヴやグレーブ他の畑を多数所有し、自社畑の合計面積は42ha。グレーブには2.2haを所有しています。 |
キャンティは世界で最も名の通ったイタリアワイン。早くから美味しく気さくなワインは、トマト系のイタリア料理との相性もバッチリ。でも、こんな古酒もあるし、今でも美味しく頂けるんですよね。 78年のルフィーナ・リゼルヴァは、依然として果実の甘味、ボディも健在で、今飲んでまとまりを感じさせるワイン。いい意味で飲み頃。おすすめ出来ます。 |
プレゼントしたいけど、先方はかなりのワイン通。「ボルドーやブルゴーニュじゃちょっと」という時、スペインのオールド・ヴィンテージがいいかも。 |
"Historic Vintages" ('59 \18,000位) |
ペルー生まれで、ボルドー・ワイン・ファンだったというドン・ルシアーノ・ムリエタは、ボルドーで本格的な醸造法を学び、1870年にリオハ・アルタ地区最南にあるイガイの畑を購入。以後、マルケス・デ・ムリエタのワインはこのイガイの畑のブドウのみから造られてきました。 59年のヒストリック・ヴィンテージは、レンガがかった輝きのある明るいルビー色で、シェリー様の香り、ポートのようなプラムの甘さ、律した酸味と微細なタンニンを持つ魅惑的なワイン。20年間も樽熟成されたワインは、未だにワインの持つ力と、まとまりを感じさせます。 |
生まれ年ともなれば、かなり古いお酒。そんな古酒になったワインを扱う時に注意したいこと。 |
Ch.Ducru-Beaucaillou ![]() シャトー・デュクリュ・ボーカイユ サン・ジュリアン 赤 (CS65,M25,CF5) ('66 \30,000位) サン・ジュリアンのベイシュヴィル村にあるシャトー。シャトー名は”美しい小石の畑”。その名の通り、小石混じりの土壌から上品なワインを生み出します。 これだけの高価な古酒。大切に飲んであげたいですよね。確かに柔らかく熟成されたワインは、優雅な熟成香を放ちエレガントな個性を満喫されてくれるはず。ただ、飲んでみると、苦味が多い。これは多分、扱い方によるもの、澱が舞っているように思いました。 |
このワイン、ある会で供されたものですが、酒屋さんの話によると、前日に会場に持ちこまれたという事。また、コルクがかなり痛んでいたため、ソムリエさんも手間取り、抜栓時にボトルが暴れていたのが気になりました。 古酒を飲むときに注意しなければならないのが、澱(おり、フランス語で lie:リー)の存在。これはワインの成分(色素やタンニンなど)が時間と共に不溶性化し、ボトルのそこにたまって出来たもので、ワインによっても違いますが、10年以上経ったものには、ある程度見られます。澱の入ったワインは、飲んでも人体に影響はありませんが、どうしても苦味が感じられます。 そしてデキャンティング。ワインを瓶から他の容器に移し替える事で、主な目的は、年代物の赤ワインなどにできた澱を取り除くためです。 おすすめのやり方は、写真のように、まずキャップシールを全て取ってしまう事。こうすると、澱がよく見えます。また、レストランなどでは、ろうそくを使用することが多いようですが、一般の家庭などでは、懐中電灯で十分。class30は、携帯用の電灯を使っています。 ゆっくり、ゆっくりデキャンタに移せば、そんなに難しいものではありません。ボトルの口に澱が見えてくれば、そこでストップです。 |
リコルクとは、古くなったワインのコルクを打ちかえる事。その最大の理由は、コルクの寿命が25年から30年と言われ、それ以上、ワインを熟成させる時に施されるものですが。。。 |
Ch.Clos de Sarpe サンテミリオン・グラン・クリュに指定されるこのワイン。これもあるワイン会にて供されたもの。その抜栓を頼まれたのですが。。。真さらなラベル、綺麗なキャップシール。「おや」って思いながら開けて見ると、やはり一昨年リコルクされたもの。 |
リコルクの作業と同時にワインの目減り分を新しいワインで補い、またSo2(二酸化イオウ)を添加することがあります。この作業により、ワインが還元されることがあるようです。 日本の市場においてリコルクされたワインを多く見かけるようになったのは最近のことのようです。リコルクが悪いものとは思いませんが、なんだか少し悲しくなったオールド・ヴィンテージでした。 |
天候に恵まれず、葡萄の成長が思わしくなかった年を「オフ・ヴィンテージ」と言います。こういった年は通常、長期の熟成には適さないと言います。 |
1855年、メドック地区の格付けの際、あまりにも当時から定評があったため、グラーブ地区ながら例外的に第1級に格付けされたオー・ブリオン。英国で最初に有名になり、初めて単独シャトー名を名乗ったのも、このワイン。ステンレスの発酵タンクも早い時期から導入し、現在も意欲的なワイン造りをしています。 |
73年:熟成したワインの良さを感じた一本。完全なる飲み頃だったようです。当然、エレガントなブーケは、上質のブランデーやスパイス香。その飲み口は、まさに「シルク」「ビロード」という表現がピッタリでしょう。全てに調和がとれ、しなやかで果実のふくらみも感じさせるワイン。 73年と83年をヴィンテージ・チャートだけで判断すると、83年のほうが一般的に評価が高い年です。しかしながら、味わいは、その通りにならないのが面白いところ。 |
このページを見て下さる方は30代の方が多いでしょうか?1960年代や70年代のワイン、やはり「vin
de garde」(長期熟成に耐えられるワイン)と呼ばれるワインを選ぶほうが良いでしょう。 |
ワインに、生産された年号(ヴィンテージ)が表記される理由として、お酒の中でも最も純粋な農作物に近いという点が挙げられると思います。その年々の天候による葡萄の出来具合によって、ワインの個性が微妙に異なってきます。 しかしながら「オフ・ヴィンテージ」の年でも、生産者は一生懸命ワインを造っています。天候や気象条件に恵まれなかった年に秀逸なワインを造りあげる人の努力。そんなワインには、一段と感銘を受けます。 |
ワインは、葡萄という原料が自然の力によってお酒になった最も歴史の古い飲物。文献の上でも「ギルガメッシュ叙事詩」(紀元前4000年〜5000年頃)にワインの存在が記述されています。 自分の生まれ年、バースディ・ヴィンテージ。そのワインを飲む時に、心の中に湧き上がる想いは「ワインと自分の生」を感じるからでしょう。 |
今年も早いもので、あと少しになりました。昨年アップしたこのサイトも、お蔭様で1年8ヶ月、色々な方に見て頂き、応援してもらいました。今回は1900年代最後という事もあり、「時を感じさせる」ワインを紹介させて頂きました。 |
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