December,1999

今月の御題目

師走のお役立ちワイン
 1999年も残りあと僅か。この12月、1900年代最後ということもあり、数々のパーティーが開かれるのではないでしょうか?そして忘れてならないクリスマス。続いて2000年ミレニアム。今回はそんな時の少し贅沢な「お役立ちワイン」を紹介。ワインもオーソドックスに、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュ、そして小粋なアルザス。


パーティーの必需品
 大切な人をお迎えする時のプロローグはやはりシャンパン。こんな時こそ高品質なものを、と思ってらっしゃる方も多いでしょう。


Michel Maillart Cuvee Prestige
ミッシェル・マイヤール・キュヴェ・プレスティージュ
('85 \6,500位)

 ワインコンサルタント、ロンドン生まれのジェームス氏が選んだ98年のシャンパン・ベスト90に'83 Cuvee Prestigeが選ばれ、シャンパンメゾンとしての名声を不動のものにしたミッシェル・マイヤール。シャルドネ33%、ピノ・ノワール67%で、古典的な木樽発酵後、12年間カーヴの中で寝かせられたもの。
 このシャンパンはまさに好みです。やはり85年という良い年。ワインの厚み、香りの芳醇さ、この価格が安いと思わせるほどです。コース料理に通して頂いてもいい1本。おすすめできます。
(ミッシェル・マイヤール)


Taittinger Collection "Imai Toshimitsu"
テタンジェ・コレクション "今井俊満"
('88 \27,000位)

 アルザス出身のピエール・テタンジェがシャンパーニュに魅せられ、造りはじめた「エレガントなシャンパン」の代表格、テタンジェ。
 テタンジェが88年のコレクション・ボトルに選んだ画家が「花鳥風月」の作風で著名な日本の巨匠、今井俊満。シャンパーニュと言えど、ここまで日本風のデザインがなされているこのボトルは大変珍しいと思います。2000年を祝う、日本のお正月にはピッタリ?今、気になるシャンパーニュです。
(テタンジェ)



Salon
サロン
('85 \13,500位)

 1920年代、パリのマキシムにてハウス・シャンパーニュとして愛飲されたというサロン。このシャンパンはこちらでも詳しく特集しています。
 85年という年は、シャンパーニュ地方の偉大なヴィンテージとして記録され、このサロンも80年代の中で最後のリリース、サロン・ファン待望のミレジムです。
 やはり素晴らしいシャンパンです。サロンは、各すべての要素が繊細。レモンやフルーツの皮のニュアンス、トーストされた感じとビスケット様の香。このサロンの88年以上に、まだ開ききらない固さがあるようですが、それは85年という偉大なヴィンテージによるものなのでしょう。あと数年置くと一段と魅力を増し、花開くことでしょう。
 "S"の頭文字の恋人に、そうじゃない人は"Special"の意味を込めて。。。「特別な君に、最高の年の、最高のシャンパンを」
(サロン)


ワインに纏わるお話
 まだ、打ち解けていないお二人にとって、食事中の会話って緊張するでしょ。そんな時に役立つのが、ワインに纏わる色々なお話。


Corton-Charlemagne
コルトン・シャルルマーニュ
アロース・コルトン 白 (Ch)
('88 \10,000位)

 「コルトン・シャルルマーニュ」大のワイン好きで知られていたシャルルマーニュ大帝。でも自慢のお髭がいつも赤く濡れて馬の尻尾のようだと笑われるのが嫌で、白ワインしか飲まなくなったというのが、このワインの名前の由来だとか。
 アロース・コルトン村のメゾン・ポーランは、1898年に設立され、1956年からはホテルとレストランも始めています。ホテルのすぐ後ろにアロース・コルトンの畑が広がり、宿泊客や食事に来られる人々の目を楽しませているということ。3代目のクリストフは、1985年のコミソムリエ大会では第2位の実力者で、このメゾンの醸造家であると共にレストランのソムリエという、ワインのスペシャリスト。自社畑はアロース・コルトン近辺に合計12haのみの、家族経営の小さなメゾンです。 
 ナッツやバニラ、そして薬草系の香りと、乳酸を含む厚みのあるボディ、独特の渋みと低めの酸味。全体的にかなり複雑な表情を持つワインです。
(ラ・メゾン・ポーラン) グラン・クリュ


Chambertin Clos de Beze
シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ
ジュヴレイ・シャンベルタン 赤 (PN,Pb,PL)
('89 \17,000位)

 「シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ」この名前はブルゴーニュで最も歴史の古い名前、そしてグラン・クリュ。西暦630年にベーズ修道院がこの畑を手に入れ、以来この名前が続いているそうです。またクロ・ド・ベーズで造られたワインは、南隣にある「シャンベルタン」の名前も名乗ることが出来ます。
 やはりシャンベルタン。深いガーネットの色合いをし、ヴォリュームのあるアルコールと黒果実のブーケ、ワインを構成する多めながら、こなれてきたタンニンも微妙にバランスがとれています。
 通常、ブルゴーニュのグラン・クリュは「シャペル・シャンベルタン」等のように核となる「シャンベルタン」畑の頭に言葉がついているのですが、語尾についた場合「クロ・サンジャック」のごとくプルミエ・クリュになるんですよね。そういう意味でも、この「クロ・ド・ベーズ」は特別な畑なのでしょう。1900年代最後、こんな名前のワインにブルゴーニュの歴史が感じとれるかもしれませんね。
(ドメーヌ・ロベール・グロフィエ)グラン・クリュ


想いを伝えるハートのラベル
 恋人達のクリスマス。想いを伝えるには、ハートのラベルのワインを。


Ch.Calon-Segur
シャトー・カロン・セギュール
サンテステフ 赤 (CS65,M20,CF15)
('90 \12,000位)

 この時期の定番となったとも言える、カロン・セギュール。12世紀以来の歴史あるシャトーは、メドックの格付けワインの中では最北端に位置します。
 18世紀、かつての当主セギュール侯爵は「メドックのワイン王」と呼ばれた人物で、このシャトーの他にもラフィット、ラトゥールといったシャトーも所有していました。しかし、最もお気に入りだったのがこのカロンで、「ラフィットとラトゥールを造りしが、我が心、カロンにあり」という言葉を残し、ラベルにハートのマークが描かれたそうです。
 あまりにもそのハートのラベルが先行している印象だったカロン・セギュールですが、この90年は素晴らしいワイン。なんと言っても今飲んで美味しいこと。深さのあるブーケは、スパイシーでプラムのような黒い果実を感じさせます。すでにバランスのとれた味わいは、凝縮感もありながら滑らか。
 メドックの格付けワインの中でもハートが描かれているのは、このワインだけ。今年のクリスマスは90年のカロンで決まりかな。
(メドック格付け第3級)


Tokay Pinot Gris Moenchberg Gran Cru
トケイ・ピノ・グリ・メンシュベルグ・グラン・クリュ

アルザス 白 (ピノ・グリ) 
('92 \4,500位)

 バールの町のやや南にあるアンドローに本拠を構えるドメーヌ。自然の堆肥だけを用いるバイオダイナミックスを実践。約10haの畑から、年間4500ケースのワインを産出しています。メンシュベルグはアンドローの村にあるアルザスの特級畑(グラン・クリュ)。
 ピノ・グリという品種の素晴らしさを確認できた1本。その芳香は柔和でやや香草や蜂蜜のような甘さもあり、この地方で造られるワインとしては、豊かな果実味と低めの酸が特徴的。
 「カロン・セギュールじゃいかにも」という方におすすめ。ハートのアーティストラベルは、とてもお洒落。アルザスのグラン・クリュなんていうチョイスは、粋ですよね。
(ドメーヌ・マルク・クレイデンヴァイス)



白紙に戻して
 こんな大切な時に、気まずくなってしまった二人へ。なんとか食事に誘えたら、こんなワインがいいかも?


Ch.Mouton Rothschild
シャトー・ムートン・ロートシルト

ポイヤック (CS80,CF10,M8)
('93 \23,000位)

 ご存知のメドック格付け第1級ワイン。毎年、著名画家によりラベルが描かれる事でも特に有名。93年はバルティスによる絵画が描かれているはずなのですが。。。
 このムートンのラベルは、真っ白。ラベルの絵画が消されています。(右はオリジナルのラベル。)実はアメリカでこの少女の絵が「ネオ・ピューリタン」による反対を受け、この年のアメリカ向けのムートンでは、左のように絵が消されて出荷された物。
 93年のムートンは、豊かなブーケを持つ上に、素直な飲み口と、濃密ではないものの、バランスのとれた味わい。今飲んでも果実の甘さを感じられるワイン。
 このワインで、今までのことは「白紙に戻して」新しい年を。飲み終えた後には、ラベルに二人の名前を入れ、世界でたった一つのムートンのラベルを作るのもいいかもしれません。
(メドック格付け第1級)


未来を託して
 1900年代も最後。そして最後の大切な集まり。でしたら、ワインの締めくくりも、きっちりと。


Ch. La Tour Blanche
シャトー・ラ・トゥール・ブランシュ

ソーテルヌ 白 (Se65,SB35)
('90 \9,000位)

 やはりボルドーの貴腐ワインがいいのではないでしょうか。蜂蜜の甘さと柑橘の酸、貴腐って、どうしてこんな味わいになるのでしょう。食事の後のデザートワインは「時を贅沢に過ごした」という気分にさせてくれます。
 ソーテルヌ地区第1級に格付けされるラ・トゥール・ブランシュ。このシャトーは、1910年以降、フランス農業省が管理し、ブドウ栽培とワイン醸造における国家教育機関となりました。現在も若き学生たちの手により、ワインが生産されているそうです。
 21世紀を担う、次世代の醸造家に未来を託して、こんなワインでの締めくくりはいかかでしょうか。
(ソーテルヌ地区第1級)


1900年代、最後の夜に

Bourgogne (En Hommage a l' An 2000)
ブルゴーニュ(アン・オマージュ・ア・ラン 2000)
ブルゴーニュ 赤 (PN,Pb,PL)
(NV)

 2000年を迎えるミレニアム。色々な造り手のシャンパンやワインが送りだされています。年越しの夜、あなたは何を選びますか?
 class30が決めているのは、やはりルロワのミレニアム記念ボトル。マダム・ルロワがこの為に複数のキュヴェを特別にブレンド。故にノン・ヴィンテージ。各ボトルには、シリアルナンバーが入っており、キャプシールはゴールド。
 このワインを頂いたのは、マダム・ルロワをよくご存知の尊敬する女性。「年越しの夜に召し上がれ」という暖かいメッセージを添えて.....新しき時代に願いを込めて、マダムの想いと共に、このワインで乾杯です。
(ルロワ)


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class30 "The Wine"