November,1999 (2)

今月の御題目

「第一回class30東京オフミ」報告
 このページも開設して早一年と八ヶ月。沢山のみなさんの励ましを受けながら、なんとか続けて来ることができました。
 ワインも美味しく感じだす秋。11月のある日、東京へ行く機会があり、日頃お世話になる関東圏の皆さんとワイン会を行うことになりました。題して「第1回class30東京オフミ」。"class30"という冠をつけてワイン会を開くことも初めてながら、かつ関東でも指折りのワイン好きを招いての会となっただけに、ワクワク、そして若干のプレッシャーを感じながら当日を迎えました。前日、当日と都合上、欠席の方があったものの、男性10名、女性6名、計16名の方に参加いただきました。


 当日の会場は、品川にあるプティ・ホテル。7階のペントハウスを借りてのワイン会。料理は一人3000円のバイキングスタイル。
 皆さんにお願いした事は、一人一本、お好きなワインを持ち込んで頂くという事。テーマは「飲ませてあげたいワイン&自分が飲みたいワイン」、ワインの価格は3000円から1万円(つまりなんでもOK)という形でお願いしました。何故このようにしたかって?そりゃこれだけのワイン好きが集まるのですから、それぞれ個性的なかつ魅力的なワインが集まるに違いないと思ったからです(笑)。
 なお、ご自分で持ってこられない方は3000円のワイン代金を頂き、class30が用意しました。


当日の個性的なワイン達

 いやはやビックリするようなワイン達。class30自身、この会にご用意するワインは、悩んだのですが、結局皆さん、素敵なワインを持ってこられるだろうから、ブルゴーニュ、ボルドーといった「ストレート勝負」フランスを中心に用意したところ、集まったワインは「変化球」どころか「大リーグボール一号」いや「消える魔球」のようなワインばかり(笑)。
 自己紹介と共に、持ちこみワインの紹介をしてもらったら、「うぉぉーー」「ひゃーー」の連続!。以下、そんなワイン達を紹介いたします。

ワインを持ってきてくださった方のお名前は【 】内に記載いたしました。

White Wine

class30 Off-line Meeting
Cremant de Bourgogne '96
クレマン・ド・ブルゴーニュ

フランス、ブルゴーニュ 白 (シャルドネ80%、ピノ・ノワール20%)

 ブルゴーニュ全域で生産される発泡酒がクレマン・ド・ブルゴーニュ。クレマンとは、瓶内気圧が3.6位と通常のシャンパン(5から6気圧)より低いスパークリングの事です。やはりまず最初は泡系から。
 実は当日のお昼にいつもお世話になる「藤小西」さんのワイン会も催され、約半数の方とは、そちらから連続での会となりました。また当初、もっと女性の方が多くなる予定でしたので、炭酸の多いシャンパンより、気軽なクレマンを。それにいきなり高価なシャンパーニュなんか出しちゃうと、みんな話もしなくなると思ったので(笑)。
 ドメーヌ・フィシェは、コート・シャロネーズのマコン地区で無農薬栽培を実践する造り手。マコン地区のコンテストで96、97年と賞をとっている注目のドメーヌです。
 まずはスマートなクレマンで軽快なスタート。
(ドメーヌ・フィシェ・フランシス・エ・フィス)
【class30 持ちこみ】


class30 Off-line Meeting
Pouilly Fuisse Tete de Cuvee '97
プイイ・フュイッセ・テット・ド・キュヴェ
フランス、ブルゴーニュ 白 (シャルドネ)

 ヴェルジェ社:マコネー地区で最も注目されているこのネゴシアンは、ベルギー出身のジャン・マリ・ギュファン氏が1990年に興しました。ネゴシアンといえど、ブドウの栽培から全てにおいて監督、ブドウ原果での買い入れ、基本的に濾過・清澄ともに行わないという、白ワイン専門の人気沸騰中のネゴシアン。
 このヴェルジェという造り手。一時、BBSの話題を独占し、いかに注目されているかを物語ってくれました。やはりここは話題のヴェルジェという選択。
 class30自身、97年のギュファン・エナン(ヴェルジェのドメーヌ物)のスタイルに感動し、このワインも間違いないと思っていたのですが。。。しかしながら、失敗でしたね。これは飲んでない物をチョイスした主催者のミスでした。
 決して悪いワインという意味ではありません。白の最初のほうに出すという意味で、プイイ・フュイッセでOKなのですが、あまりにもスタンダード過ぎる。もう少し「ヴェルジェ・スタイル」があれば。こんなにワイン好きが集まる会で出すには、ちょっと申し訳ない気持ちとなりました。
(ヴェルジェ)
【class30 持ちこみ】


class30 Off-line Meeting
Bourgogne Blanc '96
ブルゴーニュ・ブラン

フランス、ブルゴーニュ 白 (シャルドネ)

 古くからシャンボール・ミュジニー村で最も尊重される旧家、コント・ジュルジュ・ド・ヴォギュエ。すべての畑はシャンボール・ミュジニー村にあり、ボンヌ・マール、ミュジニーといったグラン・クリュの多くを所有。ミュジニーには、7.2haもの自社畑を持ち、その中のわずか0.4haにはシャルドネが植えられ、唯一ミュジニーの白ワインを産出しています。
 そのミュジニーの白、class30自身も、未だにお目にかかったことのない幻の逸品。なんとこのワインは、そのミュジニーの若木から造られているということなのです。その存在すら知らず、ブラインドが明かされたときは、ただ唖然とするばかり。シャルドネの個性に樽の丸みがほんのり漂い、余韻に複雑かつ端正なミネラル感。美味しいワインでした。 
(ドメーヌ・コント・ジュルジュ・ド・ヴォギュエ)
【Thank you ! ホビットさん】
ホビットさんは、ご自分でもHPを開設されています。こちらへどうぞ!


class30 Off-line Meeting
Hermitage '89
エルミタージュ

フランス、コート・デュ・ローヌ 白 (マルサンヌ85%、ルーサンヌ15%)

 1934年に原産地呼称を認められたエルミタージュは、コート・ロティと並び、ローヌを代表するワイン。シャーブ家はエルミタージュの名高い造り手として知られ、現在はカリフォルニア大学デービス校を卒業したジャン・ルイ・シャーヴが運営。主に赤で有名なこのワインは、白の生産も認められていますが、その生産量は少量です。
 シャーブのエルミタージュ、それも白、80年代となれば、かなり珍しいワイン。印象的だったのは、その優しさ。この地方の白独特の蜂蜜とハーブ香が、極めて柔らかな酸味に包まれ、完全に角がとれています。これはゆっくり、レストランで味わいたかったワインですね。
(ドメーヌ・ジャン・ルイ・シャーヴ)
【Thank you !やさかさん】


class30 Off-line Meeting
Dream '96
ドリーム

イタリア、フリウーリ・ヴェネチィア・ジューリア州 白 (シャルドネ、ガルガネーガ)

 イタリア北部、フリウーリ・ヴェネチィア・ジューリア州。コッリオ区域内にあり、白のトップクラスのVdTを産出することで知られるシルヴィオ・イエルマン。この通称「ドリーム」は、リリース当初「Where the dreams have no end...」という名前だったようですが、この96年を見ると「Were Dreams, now it is just wine!」と変更されています。まさに造り手の自信の表れでしょうか。
 このワインも初めてお目にかかった希少品。綺麗なミネラルと余韻にやや苦味を感じさせ、その雰囲気はまさに北イタリア。シャルドネを主体にしながら、地域性を感じさせてくれた繊細なワインに拍手! 
(シルヴィオ・イエルマン)IGT
【Thank you ! こんどうさん】
こんどうさんも、ご自分でもHPを開設されています。こちらへどうぞ!


class30 Off-line Meeting
Cervaro della Sala '97
チェルヴァッロ・デッラ・サッラ

イタリア、ウンブリア州 白 (シャルドネ、グレケット)

 1385年から続くトスカーナの貴族、アンティノリ。イタリアワイン界でも最大の名声を誇る会社であることは、すでにご存知だと思います。ソライア、ティニャネッロという数々の高級VdTの存在は知られていますが、ウンブリア州ではこんな新しいスタイルの白も造っています。
 ドリームと同じく、シャルドネを主体としながら、ウンブリア州で多く栽培されているグレケット種をブレンド。上品な樽の風味と滑らかな飲み心地。素直に果実味が伝わるワインでした。
(アンティノリ)IGT
【Thank you ! t-mipoさん】



ブラインド・テイスティング
 白ワインが一通り周った後は、赤の登場。この頃には皆さん、すでにほろ酔い、いい調子(笑)。
 class30が当初から考えていたのは、ここからのブラインド・テイスティング。飲む前に銘柄を明かさず、当ててもらうのです。男性全員参加、女性は誰が当てるかベットするという趣向。ただ、今回は参加者のブラインド能力を試すものではなく、あくまで優勝者に英雄になってもらいたいという、ただのゲーム。
 それにこの頃になると、みんな酔いがまわってくるので、ただ飲んでいるだけだと、記憶に残らなくなるでしょ。せっかくのワイン、一旦、集中力を取り戻すためにもいいかなと、そんなことを思って行いました。
 当初の予定ではclass30が用意したブラニー、ローザン・セグラの2本だけと考えていたのですが、なんだか調子に乗って、レイヴェンス・ウッドも、そしてシリータでは、Nappeさんより逆指名を受け、class30もブラインドをさせられる事に(笑)。

Red Wine

class30 Off-line Meeting
Blagny La Piece sous le Bois '87
ブラニー・ラ・ピエス・スー・ル・ボワ

フランス、ブルゴーニュ 赤 (ピノ・ノワール)

 ムルソーとピュリニー・モンラッシェの二つの村の境、斜面上部に位置するブラニー。La Piece sous le Boisの区画は、白ワインは「ムルソー・プルミエ・クリュ」、赤ワインは「ブラニー・プルミエ・クリュ」となります。
 ムルソー村の秀逸な白ワイン生産者として名高いドメーヌ・ロベール・アンポー。しかしながら、以前このワインを飲み、赤も素晴らしい品質と確信したもの。その時は、87年より以前のワインかと思わせ、熟成のニュアンスを感じてもらうには、価格以上の物だと思っていたのですが。。。
 ブラインドで出してみた、このワイン。さすがに全員「ピノ・ノワール」という答え。でも、すべての方が90年代という印象だったようです。確かにclass30自身がその印象の差にビックリ。やや熟成香はあるものの、まだ快活な果実を残していました。ワインって難しいですね。
(ドメーヌ・ロベール・アンポー)プルミエ・クリュ
【class30 持ちこみ】


class30 Off-line Meeting
Domaine de Viaud '79
ドメーヌ・ド・ヴィヨウ
フランス、ラランド・ド・ポムロール 赤 (メルロー、カベルネ・フラン他)

 サンテミリオン村のシンデレラワイン「ヴァランドロー」のオーナー、チュヌヴァン氏が推薦するというワイン。ラランド・ド・ポムロールは、ポムロールの北側、栽培面積約1000haの地区です。
 この日唯一の70年代は、持って来られたご本人も心配されていましたが、いやいや大丈夫。滑らかな飲み口に20年の歳月が感じられました。
【Thank you ! やまじゅんさん】


class30 Off-line Meeting
Ch. Carbonnieux '88
シャトー・カルボニュー
ペサック・レオニャン 赤 (CS60,M30,CF7,Ma2,PV1)

 グラーヴのワインとしては、日本でもお馴染み、貝のマークのシャトー・カルボニュー。その歴史は13世紀まで遡ることが出来、赤、白ともに、グラーヴの格付けに指定されています。
 ごめんなさい、このワインはありつけませんでした。飲まれた方の感想は、当然美味しいかったということ。あと、ギリシャのワイン他、沢山お持ち頂いた、やまじゅんさん、ありがとうございました。
(グラーブ地区格付け)
【Thank you ! やまじゅんさん】


class30 Off-line Meeting
Recioto della Valpolicella Amarone '91
レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラ・アマローネ

イタリア、ヴェネト州 赤 (コルヴィーナ他)

 ジュゼッペ・クインタレッリ、900年からヴェネト州のヴァルポリチェッラ・クラシコ地区内でワイン造りを行うというこの地区最上の造り手。とにもかくにも、手書きのラベルも雰囲気で、イタリアファン垂涎の逸品。
 ワインの紹介の際、遠くのほうで見えたこのラベル。「ま、まさか」というクインタレッリ!class30も憧れていた究極のアマローネです。さすがにその味わいは美味しいの一言。女性陣にも特に評判が良かった様子。でも、これは完全に1万円以上ですよ。Sugitaさん、嬉しい反則をありがとうございました。
(ジュゼッペ・クインタレッリ)
【Thank you ! Sugitaさん】


class30 Off-line Meeting
Beringer Cabernet Sauvignon Private Reserve '94
ベリンジャー・カベルネ・ソーヴィニオン・プライベート・リザーブ
アメリカ、カリフォルニア 赤 (カベルネ・ソーヴィニオン主体)

 ドイツ系の移民、ベリンジャー兄弟によって、1876年、ナパ・ヴァレー、セントヘレナに設立されたベリンンジャー。禁酒法の時代にも教会のミサ用にワインの醸造を許されていた由緒あるカリフォルニアの代表的なワイナリー。このプライベート・リザーヴは、ここのフラッグシップです。
 94年というカリフォルニアのビッグ・ヴィンテージ。今飲んでどうなのか興味津々。一口入れた瞬間、ビックリ。すでに凝縮された果実にすべて溶け込み、完璧なバランス。さすがベリンジャー。美味しい!
(ベリンジャー)
【Thank you ! 秋田さん】


class30 Off-line Meeting
Sirita Napa Valley Merlot '97
シリータ・ナパ・ヴァレー・メルロー
アメリカ、カリフォルニア 赤 (メルロー80%、カベルネ・フラン20%)

 なんとブラインドをするつもりが、逆にさせられてしまったこのカリフォルニア・メルロー。やっぱりブラインドで飲むと、よく覚えています(笑)。持ってこられたNappeさんからの情報によると「世界にその名を馳せるマスターソムリエ、ラリーストーンがラベルのデザインも手がけたと言う愛娘"Siri"の名前を冠してデビューさせたワイン」ということです。
 かなりしっかり造られたワインであることは、香りが証明していました。アメリカン・オークを含むローストされた新樽のニュアンス。快活な果実は、やや高めの酸味と、控えめなタンニン。まだ若いワインでしょうが、これが熟成するとどうなるのか、気になりますね。今後注目です!
(シリータ)
【Thank you ! Nappeさん】
Nappeさんも、ご自分でもHPを開設されています。こちらへどうぞ!


class30 Off-line Meeting
Ravens Wood Zinfandel Old Hill Vineyard '92
レイヴェンス・ウッド・ジンファンデル・オールド・ヒル・ヴィンヤード
アメリカ、カリフォルニア 赤 (ジンファンデル主体)

 またまた驚いたのが、レイヴェンス・ウッドの単一畑物。ジンファンデル界の奇才と呼ばれるジョエル・ピーターソンが造るこのワインは、ジンファンデル3Rの一つ(リッジ、ローゼンブルム、レイヴェンス・ウッド)。後で聞いたところによると、やはり海外のオークションで手に入れられた物だそうです。
 続いてブラインドにしたこのワインは、ジンファンデルと言い当てるのは困難だったでしょう。この造り手の強さを期待していたのですが、特有の甘さもあまり感じられず、高めの酸味がスマート。それにこの頃には、だんだん記憶が.....(笑)。
(レイヴェンス・ウッド)
【Thank you ! gen-kyoさん】


class30 Off-line Meeting
Ch.Rausan-Segla '88
シャトー・ローザン・セグラ

フランス、ボルドー 赤 (CS61,M35,PV2,CF2)

 最後にと思い、名の知れたマルゴー村のメドック格付け第2級、ローザン・セグラのマグナム・ボトルを用意。前回全く同じ物を飲み、本来であればあと5年位置いておきたかったワイン。でも、せっかくのオフミですから。
 かなり酔いがまわった状態でのブラインド。きつかったようです(笑)。ただ皆さんこの辺りは飲み慣れていらっしゃるのか、かなり近い人が。。。


 結局ブラインド大会勝者は、Nappeさん、こんどうさんの二人でジャンケンの結果、Nappeさんの勝ち。優勝商品はチリのドムス・アウレア。おめでとうございました!
【class30 持ちこみ】

 また、女性の方々には、美味しい生チョコ、軽井沢から取り寄せたパン、そしてホビットさんからは、素晴らしいモッツァレラ・ブッアァラをご提供頂きました。皆さん、本当にありがとうございました。


「人が主役のワイン会」
 今回のワイン会を催すにあたり意識していたのは「人が主役のワイン会」。10月の「お題目」でワイン会について書いた時からそう思っておりました。やはりワインは楽しい。人が集い、みんなが気楽に、そして自由に飲んで欲しかったのです。
 今回のワイン会、参加された皆様の素晴らしいお人柄ゆえ、class30自身、大変楽しい会となりました。初めて会った方も多かったのに、ワインが結ぶ仲って不思議ですね。すぐに打ち解けてしまいます。
 中には「こういうワイン会は初めて」という方も何名かいらっしゃいましたが、ワインについて知識のあるないに関わらず、皆さんと交流できたように感じております。でも、やっぱりワインが素晴らしいから盛り上がったのも大きな要因かな(笑)。
 参加頂いた皆さん、本当にお世話になりました。そして皆さんの個性溢れたワイン達、ご馳走様でした。今後ともよろしくお願い致します。

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class30 "The Wine"