情熱の国イタリア。古くより「衣食住」に関する文化の基礎を築き、一歩先を行くその独自性には、いつの世も世界が注目。 ワインにおいても、何千年にもわたる歴史を持ち、今なお一大生産国として君臨するイタリア。今回はそんなイタリアワインについて。 |
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イタリアは生産量で、フランスと毎年世界第一位、二位を争うワイン大国。その約80%は、国内で消費されるにもかかわらず、輸出量でも一位、輸出先は80ヶ国にもなります。 古代ローマにワイン造りの知識をもたらしたのはキリシャ人で、彼らがイタリア南部やシチリア島に到達した時、あまりにもその気象条件や土壌がワイン造りに適していることに感動し、「エノトリーア・テルス(ワインの大地)」と呼んだと言います。 その証拠に今でもイタリア国内20州すべてでワインが造られ、他の国には見られない程多くの(1000種類以上といわれる)ブドウ品種が栽培され、多種多様なワインが産出されます。 南北約1200km、北緯37〜47度の間に位置する長靴の形をしたワインの大地がイタリア。 |
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とにもかくにもDOCG。イタリアのワイン法において最も上位に位置する21銘柄のワイン。この名前を覚えておくと、ワイン選びが楽になると思います。ただしイタリアのワイン法は、毎年改定され、98年もこのDOCGに3銘柄(19、20、21)が昇格しています。 |
No 認定年 |
主な使用品種 | |
1 81年 |
Barolo バローロ |
ピエモンテ州 ネッビオーロ |
2 81年 |
Barbaresco バルバレスコ |
ピエモンテ州 ネッビオーロ |
3 89年 |
Gattinara ガッティナーラ |
ピエモンテ州 スパンナ |
4 87年 |
Albana di Romagna アルバーナ・ディ・ロマーニャ |
エミリア・ロマーニャ州 アルバーニャ |
5 80年 |
Brunello di Montalcino ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ |
トスカーナ州 ブルネッロ |
6 89年 |
Carmignano Rosso カルミニャーノ・ロッソ |
トスカーナ州 サンジョヴェーゼ |
7 84年 |
Chianti キアンティ |
トスカーナ州 サンジョヴェーゼ |
8 81年 |
Vino Nobile di Montepulciano ヴィノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノ |
トスカーナ州 プルニョーロ・ジェンティーレ |
9 89年 |
Torgiano Rosso Riserva トルジャーノ・ロッソ・リゼルヴァ |
ウンブリア州 サンジョヴェーゼ |
10 92年 |
Montefalco Sagrantino モンテファルコ・サグランティーノ |
ウンブリア州 サグランティーノ |
11 92年 |
Taurasi タウラージ |
カンパーニア州 アリアーニコ |
12 93年 |
Asti アスティ |
ピエモンテ州 モスカート・ビアンコ |
13 93年 |
Vernaccia di San Gimignano ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ |
トスカーナ州 ヴェルナッチャ |
14 95年 |
Franciacorta フランチャコルタ |
ロンバルディーア州 シャルドネ、ピノ・ビアンコ他 |
15 96年 |
Brachetto d'Acqui ブラケット・ダックイ |
ピエモンテ州 ブラケット |
16 96年 |
Vermentino di Gallura ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ |
サルディーニャ州 ヴェルメンティーノ |
17 96年 |
Chianti Classico キアンティ・クラッシコ |
トスカーナ州 サンジョヴェーゼ |
18 97年 |
Ghemme ゲンメ |
ピエモンテ州 スパンナ |
19 98年 |
Valtellina Superiore ヴァルッテリーナ・スペリオーレ |
ロンバルディーア州 キアヴェンナスカ |
20 98年 |
Gavi ガヴィ |
ピエモンテ州 コルテーゼ |
21 98年 |
Recioto di Soave レチョート・ディ・ソアーヴェ |
ヴェネト州 ガルガーネガ |
イタリアのワインをやや難解なものにしているのが、そのブドウ品種。1000種に近いブドウが存在し、実際にワインとなる主な品種だけでも約80種にものぼると言われます。 またその呼び名がややこしい。ブドウの品種分類においては同じ品種でもその土地により呼び名の違うことがよくあります。DOCGの中にもそういったものがありますので、まとめると、 |
例えば「サンジョヴェーゼ・グロッソ」は、サンジョヴェーゼより少し実が大きく、長熟用に品種改良したタイプで、「サンジョヴェーゼ・グロッソ」のことを、ブルネッロの村では「ブルネッロ」、モンテプルチアーノの村では「プルニョーロ・ジェンティーレ」と呼びます。 他にも、バローロやバルバレスコで有名な「ネッビオーロ」は、ゲンメやガッティナーラでは「スパンナ」、ヴァルッテリーナになると「キアヴェンナスカ」と呼ばれ、これらは同一品種です。 イタリア含めフランス他でも、ヨーロッパの国々の人達は、自分の村や土地での名称は、気安く変えないそうで、よって、同じ品種でもぞれぞれの土地で呼び方が今でも違うということです。 |
イタリアのワイン法は、様々なタイプのワインが存在する同国のワインを統制し、認識させる上で大きな役割を果たしていますが、その反面、この法律はあくまで生産地やブドウ畑の「原産地」を保護することを重視したため、ワインの品質向上の面で特に高品質と言えないワインがあるのも事実です。 そんな生産者の不満(?)の結果として生まれてきたのが、今話題の「スーパー・VdT(ヴィーノ・ダ・ターヴォラ)」と呼ばれるワイン達。お上の法に縛られない高品質なヴィーノ・ダ・ターヴォラを指して、こう総称しています。主にトスカーナのキャンティ地区で生産されているものが多く、それらは「スーパー・タスカン」とも呼ばれています。 |
左から、スーパー・タスカンの元祖、サッシカイア。アンティノリ社の両雄、ティニャネッロとソライア。弟が造るオルネライア。メルロー100%のラッパリータ。ラベルが印象的なサンジョヴェーゼ100%のペレゴル・トルテ。そしてランポーラのサンマルコ。 |
ブドウ品種も様々で、DOC法による格付けも、フランスの格付けに比べ、その品質を表すことの少ないイタリアワイン。さらにスーパー・VdTなるワインの登場により、多様性を増しています。「イタリアワインってどれが美味しいの?」と思った時に、その資料の少なさも問題になります。 そんな時、役に立つのがイタリア「ガンベロ・ロッソ(Gambero Rosso)」社のガイドブック。ワインそしてレストランに関する評価を毎年行っており、それぞれのガイドとして発刊。ワインガイド「vini d'Italia」にて、ワインに関する評価はグラスの数で表され、最高の評価(90点〜100点)はスリー・グラス(トレ・ビッキエリ:Tre Bicchieri)を与え、イタリアワインファンの指標となっているようです。 |
数々の雑誌を賑わすイタリアワイン。何故、今イタリアなのでしょう。 しかしながら、現時点では、それらの生産者もブドウの栽培や醸造技術の改革に取り組み、高品質のワイン造り、そしてカベルネ・ソーヴィニオンやシャルドネといった、世界のマーケットに目を向けた品種の栽培も進んでいるようです。 南北に広がる長靴の形をしたワインの大地。古くて新しい、最も可能性を秘めた国。そして知れば知るほど魅力的な国なのかもしれません。 |
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