April,1999 (2)

今月の御題目

偉大な女性に捧げられたシャンパン
ーヴ・クリコ 「ラ・グランダム」


 ヴーヴ・クリコ社、1772年、シャンパーニュの中心地、ランスに創業された、名実共に定評のあるシャンパン・メーカー。ここの印象的なイエロー・ラベルは、ずっとお気に入り。いろんな思い出が詰まったシャンパンでもあります。

ルイ・ヴィトン・ジャパン輸入??
 ワインに関心を持ちはじめた頃、ある雑誌でこのシャンパンを見かけました。そして、その輸入元として表記されていたのが「ルイ・ヴィトン・ジャパン」。そして、当時は三越しか扱っていませんでした。また、銀座の三越には、「ヴーヴ・クリコ・シャンパン・カフェ」なるものが登場。とってもお洒落。ミーハーな私は単純に「いいシャンパンに違いない」と思い込む始末(笑)。
 実際、巨大コングロマリットとなった「ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー」の傘下で、日本には「ルイ・ヴィトン・ジャパン」を通して輸入されています。
(写真は、シャンパン・クーラー。プラスチック製でとても丈夫でかわいい。プレゼントには最適です。)

未亡人クリコの功績

 ここを語る上で欠かせないのがバルブ・ニコル・クリコ・ポンサルダン。1805年、28歳の若さで夫を亡くしたヴーヴ(未亡人)・クリコは、その後、このワイン・ハウスの基礎を築き、透き通ったシャンパンを造る技法「ルミヤージュ」を発明します。シャンパーニュ地方では、彼女の事を尊敬を込めて、「ラ・グランダム(偉大な女性)」と呼んだと言います。

 シャンパンが生まれ19世紀初頭までの間のシャンパンは澱が混ざり濁っていました。右の写真がクリコ未亡人が発明した「ピュピートル(澱下げ台)」という澱を取り除くための台。
 瓶内二次発酵の後、この台にセットした瓶を、3〜4ヶ月もの間、毎日8分の1ずつ回転させて、徐々に瓶を下向きにさせます。この作業を「ルミュアージュ(動瓶)」といい、澱を口部に集めます。後、氷点下25℃くらいの塩化カルシウム水溶液に瓶の首をつけ凍らせ、口抜き(澱引き)をします。

ヴーヴ・クリコ・ポンサルダン・ラ・グランダム


Veuve Clicquot Ponsardin La Grande Dame
ヴーヴ・クリコ・ポンサルダン・ラ・グランダム
(ピノ・ノワール62%、シャルドネ38%)
('90 \12,000)

 1962年ヴィンテージより、マダム・クリコに捧げられた、この「ラ・グランダム」が出荷されました。ボトルはロシア皇帝に贈られた当時のものを再現しています。
 8つの特級畑(5つのピノ・ノワール畑、3つのシャルドネ畑)から、ピノ・ノワール62%、シャルドネ38%のブレンドで造られ、最低6年間の熟成を経てから出荷されます。
 まさに「厚みのある」シャンパン。その力強さと複雑さ、繊細さとなめらかさ、すべての要素を持ったワインでしょう。重厚な味わいは、コースの料理を、この1本で通してもいいように思いました。
 マダム・クリコは、このシャンパンのように、尊大で律した姿勢を持った人物だったのでしょう。
(ヴーヴ・クリコ社)

今月のお題目 目次
今月のお題目 前回 今月のお題目 次回


class30 "The Wine"