昨年秋頃から、噂されていたロバート・パーカーJr.の 「ボルドー第3版」(日本語版)がようやく出版されました。出版を記念(?)して、この待望のボルドー詳解書を紹介致します。 |
ロバート・M・パーカーJr.1947年生まれ。元、弁護士。 現在、ワイン評論家の中でも、最も影響力を持つ著名な人物。1978年、ワイン情報誌「ワイン・アドヴォケイト」を創刊。ワインに100点満点で評点をつける形式で有名に。彼の評論は、辛口な事でも知られ、その一言でワイン市場の価格が変わるほどになっています。 ここで紹介する「ボルドー」の初版は、1985年に刊行、のち1991年に「ボルドー1991年改訂版」、そして今回の「ボルドー第3版」が出版されました。ちなみに「ボルドー第3版」の定価は13000円(税別、講談社)。 |
「ボルドー(第3版)」 いやはや、びっくりするくらいの厚さ。前回の改訂版(91年)を、さらにパワーアップ。全ページ数は、なんと1671ページ。これ、全部読むだけで大変です。発売が延期になってたのも納得しました。推敲だけでも大変な作業でしょう。 |
そして、いいのは、巻末のIndex。日本語の50音順で、全掲載シャトーが並んでいます。これは、とても引きやすく考えられています。 |
当然、この中でもっとも多くページがさかれ(約1400ページ)、メインとなるのは第3章:ボルドー・ワインの評価でしょう。
上から、そのシャトーについて 畑について そのシャトーのグラン・ヴァンについて セカンド・ワインについて あと、現在の格付けの評価、飲み頃の続く期間が掲載され、のちに、そのシャトーの全体的な総括、そしてヴィンテージ毎の評価(61年から97年)へと続きます。 |
「ボルドー第3版」を読んで(当然、まだすべては読んでませんが)感じたことは、「パーカー氏は消費者の味方」だということ。第1章:この本の使い方の冒頭には、このように書かれています。 「いかに多くのボルドー・ワインが、秀逸なヴィンテージのものだと言われていたにもかかわらず、(中略)ほどんど味わうに値しない、(中略)、その一方で、批評家たちが”はずれ”と評したヴィンテージに、あなたが最高に楽しめたボルドー・ワインのいかに多くあったことか。(中略)本書は、そんな問題を解決するために書かれた、ボルドー・ワインに関する消費者向けのガイド・ブックである。」 この一文には、素直に感動しました。これだけの著書が書かれる場合、よく「専門家やプロ向け」というクダリが多いのですが、きっぱりと「消費者向け」と書かれています。このスタンスこそが、この本のすべてを物語っているように思えました。 |
実際、私自身が飲んだワインから、その評価を読んでみたのですか、当然、感じたイメージがかなり違うものも、少なくありませんでした。この本の中にも、「多くの読者から、このヴィンテージに関する評価はおかしい」と言われ、再度試飲を繰り返し、評価をやり直したとも、書かれています。 今日の今この時間にも、世界中でそんな素晴らしいワインとの「出会い」を求めて、飲み続けている人も多い事でしょう。 自分の嗜好をしっかり持った上で、この偉大なる書を読めば、最良のボルドー・ワイン選びの指標になるように思います。 |
ただ、この国の人々の悪い癖が「情報に流されやすい」事。このサイトの管理者が、一番いい例です(笑)。 そこで、近年出版された、数々のワイン本の中で、おすすめをご紹介するコーナーを新設しました。名付けて「ためになるワイン本」。読んで損をしない著書と思われるものを紹介しています。是非、見て下さい。 (これは、最近の一番お薦め、堀賢一氏の「ワインの自由」。) |
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