ワインには、文化があります。世界各国の名産地で、土地の特色を引き出しながら、伝統を守ってきた生産者達。しかしながら近年、また新しいワイン造りが始まっています。ここに、あげる2本のワイン、世界的に定評のあるワイナリーが手を結び、新しい可能性に挑戦したものです。 |
オーパス・ワンとは、音楽でいう「作品番号一」という意味。この命名は、バロン・フィリップ氏の「一本のワインは交響曲であり、一杯のグラス・ワインは、メロディーのようなもの」によるもの。なんとも洒落たネーミングです。 初ヴィンテージは、1979年。畑はカリフォルニアのナパ・ヴァレーのオークヴィル。生産量、年間約二万ケース。セパージュは、カベルネ・ソーヴィニヨンが90%前後、残り10%がカベルネ・フランとメルローで構成されています。 このワインのリリース当初、話題を独占し、現在でもカリフォルニア・スーパー・プレミアムの中でも、最も有名な物の一つです。 |
前出のロバート・モンダヴィが、今度はイタリア、トスカーナの名門、フレスコバルディと組んで創り出すこのワインは、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノで生まれるVdT(ヴィノ・ダ・ターヴォラ)。「オーパス・ワン」同様、ボトルには両氏のサインが。 93年と94年が同時にリリースされ、現在は95年まで、出荷しています。セパージュは、サンジョベーゼ・グロッソとメルロー。サンジョベーゼ・グロッソという品種は、イタリアの「キァンティ・クラシコ」や「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」といった名品を生む、サンジョベーゼを改良した品種。それと、メルローという組み合わせに、飲む前からとても興味が湧きます。ちなみにルーチェとは、「ブドウの樹の光」という意味。 |
America-California |
なにはともあれ「作品番号一」。これいいワインです。なにがいいかと言えば、95年という、まだ若いかな?とも思った懸念が一気にふっとばされました。抜栓直後から美味しく頂けるのです。そして約2時間の間、渋味と酸味が少しづつバランスを取りながら増して、ヴォリュームも一層出てきます。 |
Italy-Toscana |
全体的な印象としては、やはり今までに味わったことのないタイプ。このワインのすべてを理解できる人は、かなり精通されてる人かなという印象です。そして意外だったのは、どんどん表情が変わっていく事。 |
現在、ロバート・モンダヴィとバロン・フィリップ・ロートシルトを中心として、ジョイント・ベンチャーの動きが激しくなっているようです。 98年の1月にリリースされたのが「セーニャ:SENA」。これは、ロバート・モンダヴィとチリのエラスリスのジョイント。チリのアコンカグア・ヴァレーにある、エラスリスの自己所有畑「ドン・マキシミアーノ」のブドウから造られ、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、そしてカルメネレという品種のブレンド。これを飲んだイタリア・レストランのオーナー曰く、「今まで飲んだチリワインの中で最高」というのですが。 そして最新の話題作が「アルマヴィヴァ:ALMAVIVA」。98年9月に発表された、このワインは、バロン・フィリップ・ロートシルトとチリのコンチャ・イ・トロの合作。名前の由来は、モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」の登場人物、好色アルマヴィヴァ伯爵だとか。 |
数々のジョイント・ベンチャーの作品達。確かに巷を騒がせています。そこで「はて、ジョイント・ベンチャーとは?」と考えると。 ルーチェは、まだまだ可能性が残されている気がします。当然のことながら、質の高さは感じられますし、いいワインです。ただ、私にはどんな味を目指しているのか理解出来なかった部分もありました。(多分、セーニャ、アルマヴィヴァもそうなのでは?) ものづくりには、時間が必要です。「名作は一日にして成らず」、あまり急がず、騒がず、ゆっくり毎年毎年、「作品」の新しい挑戦と変化を期待したいと感じた今回でした。 |
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