September,1998

今月の御題目

シャトー・シャス・スプリーン


Ch.Chasse-Spleen
シャトー・シャス・スプリーン

ムーリス 赤 (CS60,M35,PV3)
('90 \7,620)

 ムーリス村の傑出したワイン、シャス・スプリーン。94年物をよく見かけてて、飲もうかなあと思っていたのですが、シャス・スプリーンはしっかりしてるから、いいヴィンテージを探していた所へ、この90年をたまたま発見。
 美味しいなあ、本当に美味しい。久しぶりに飲み頃のボルドーに出会ったような気分です。抜栓したばかりだとまだまだなのですが、時の流れとともにその香り、味ともにその表情を変えていきます。土の中の香り、ブドウの持つ力強さをいっぱいに表現しています。ブルジョワ級。

憂いを払うワイン
 名前の意味は「憂いを払う」ワイン。chass 「−よけ」の接頭語、spleen 憂鬱、憂い。由来は、ボードレールの詩「スプリーン」に因むといわれます。
 今年のワールドカップ・フランス大会。オーナーのクレール・ヴィラールは、まさに戦いに敗れ心身共に傷ついた選手達に、このワインを贈ったそうです。準々決勝から負けたチームの選手22人全員に、1本ずつ配り、選手達の疲れを癒したようです。こんな憎い心配りが出来る人だからいいワインが造れるんでしょうね。
 98年ヴィンテージはさすがに用意できないので95年が贈られました。

ブルジョワ級 -CRU BOURGEOIS-

 1855年に制定されたメドックの格付けは、61のシャトーが第1級から第5級にランクづけされています。
 ただ、ボルドー全体では8000以上ものシャトーがありますし、格付けされていないシャトーにも素晴らしいワインがあるのは事実です。そんなメドックのシャトーの中でも、高品質でかつお値打ちなワインとして人気があるのが、ブルジョワ級(クリュ・ブルジョワ)と言われるワイン達。約400のシャトーがこのランクに分類されています。

 多くの場合は、ラベルに CRU BOURGEOIS と表示されていますので参考にして買うといいでしょう。


 シャス・スプリーンをはじめとして、ブルジョワ級の中にも、格付けものに匹敵するような品質の高いワインがあります。
 近年特にシンデレラ・ワインとして注目されているのが、シャトー・ソシアンド・マレ(写真上)。新しくオーナーになった、ジャン・ゴートロー氏による努力の結果、かのパーカー氏は第2級の評価をしています。
 そして、サンテステフ村のシャトー・オー・マルビュゼ(写真右)。新樽100%のしっかりしたワインで、これも第3級並みの実力と言われます。
 この3本で気付いたのは、ラベルに CRU BOURGEOIS という表示が無い事。「いいワインなんだからそんなランク付けより GRAND CRU CLASSE が欲しい」とでも言いたげです。
 今では、お値段も格付けもの並みになっているので、あまりお手頃という訳にはいきません。

 他の評判のいいブルジョワ級のワインを挙げておくと、
シャトー・メイネ(サンテステフ)、シャトー・モンブリゾン(マルゴー)、シャトー・プジョー(ムーリス)、シャトー・ダングリューデ(マルゴー)、シャトー・ドゥ・ペズ(サンテステフ)、などなど。
 ちなみに、シャトー・ドゥ・ペズは、一般的にブルジョワ級に分類されますが、自分のワインは格付けに匹敵する品質だと、ブルジョワ級にランク付けされる事を拒否しています。


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