June 1998
今月の御題目

ヴィンテージの分からないシャトー・グリュオー・ラローズ

Ch.Gruaud-Larose
シャトー・グリュオー・ラローズ
サン・ジュリアン 赤 (CS65,M20,CF10,PV5)

メドックの格付け第2級。サン・ジュリアンでは、最もボディのしっかりしたものの一つ。
セカンドは、サルジェ・ドゥ・グリュオー・ラローズ Sarget de Gruaud Larose。

 そこは、いつものY酒店。
”シャトー・グリュオー・ラローズってあります?”
この言葉から、またまた、はまってしまいました。

 ”92年なら、\5200位かな。でも、このクラスを飲まれるなら、やっぱりいいヴィンテージを飲みたいでしょ!”
確かにその通り。

 ”ちょっと待ってね”と言われて調べる事、約10分。セラーの奥から出てきたこのワイン。ご覧のように、ほこりだらけ。ラベルもこの状態です。しかし、ランプにかざして見た色は、奇麗な色調をしてる。中身は大丈夫そうです。

 ”ところで、これ何年物?”って思い、ラベルを見ても書いてない。本当にどこにも書いてないのです。それに加えて、納品の伝票も、まだ届いていないという。どうやら、ワインを開けなければ分からない。コルクには、刻印してあるはず。

 Y酒店さんいわく、”多分、70年代で、価格は2万円から3万円。”それは、ちょっと危険な買い物ですよね。

 ”まあまあ、持って帰っときなさい。悪いようにはしないから。”ということで、なぜか買ってしまうことに...

プリンセス・ダイアナの飲んだ最後のワイン?

 このワイン、ボルドーのコーディア社の物。よく見せてもらうホームページに、京都の小仲酒店のページがあります。

 小仲さんの記事によると、どうやらあの悲劇の大惨事、ダイアナさんの事故の直前に、パリのリッツで飲んだ最後のワインがコーディア社のワインだったようです。コーディアのグラン・クリュ系といえば、やはり、このグリュオー・ラローズか、タルボの可能性が高いと思います。

 私自身、ダイアナさんのファンでした。心からご冥福をお祈りいたします。
小仲酒店のホームページへ

コルクには、ちゃんと刻印が...1978

 その後、Y酒店にお支払いに。”ヴィンテージは、78年、\19,800です。” ほっと、しました。78年は、いい年です。2万円以下なら、まあお買い得でしょう。

 早速、ビストロ・きゃらくりやヘ予約。ここは、ワインを一本千円で持ち込ませてくれます。(こういうお店は、なかなかないですよね)

 まあ、この季節柄、ビールを注文。ビールを一杯開ける前に、抜栓しておきました。自分で抜栓したのですが、コルクが長い。しかも、20年経ってもコルクはしっかりしている。

 出てきました、ちゃんと1978って刻印してありました。多分状態としては、最高に近い。期待できます。

 華やかな香りです。本当に嬉しくなりました。一口含むと、柔らかくなめらかな口当たり。タンニンもしっかりしているんだけど、予想よりは、まろやかに感じる。少しピリっと舌を刺激する。
 もう少し、置いておこう。ゆっくりと頂きました。
 20年間、成長したボルドーの勝ち気な女の子は、無駄な贅肉を澱にして落とし、優しく、素敵な女性に変身していました。


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class30 "The Wine"