December,1998 (2)

今月の御題目

メリー・クリスマス! クリスマス・ワイン特集
 今年もやって来ました、クリスマス。大切な人との大切な時間を過ごすために、もう皆さんも色々考えてる事でしょう。
 レストランの予約は済ませても、その時に頂くワインの予約は?年に一回の事だから、ちょっと気取ってワインもリザーブしたらどうでしょう。
 そこで、今回は「クリスマス・ワイン特集」。こんなワインを二人で飲めたらいいですね。

一番大切なあの人に
「シャトー・カロン・セギュール」

 やっぱり、この季節の定番と言えばこのワイン。11月後半位から、酒屋さんの店頭にこのワインが並びます。
 18世紀、かつての当主セギュール侯爵は「メドックのワイン王」と呼ばれた人物で、このシャトーの他にもラフィット、ラトゥールといったシャトーも所有していました。しかし、最もお気に入りだったのがこのカロンで、「ラフィットとラトゥールを造りしが、我が心、カロンにあり」という言葉を残し、ラベルにハートのマークが描かれたそうです。メドックの格付けワインの中でもハートが描かれているのは、このワインだけ。

 さすがにメドック格付け第3級なので、いいヴィンテージの物は少々高いのですが、92年物が5000円前後で手に入ります。

本当に愛する大人の人へ
「シャンボール・ミュジニー・アムルーズ」

 シャンボール・ミュジニー村のプルミエ・クリュ、アムルーズ。その意味は「恋人たち」。今人気のコミック、ソムリエにも登場しました。
 当然、この畑から造られるワインの品質は折紙付きで、24あるシャンボール・ミュジニー村のプルミエ・クリュの中でもトップクラスです。
 そして、この村で造られるワインはブルゴーニュの中でも女性的と言われ、繊細、優美と形容されます。
 ただ、私個人の経験上、この村のワインは、素敵な女性をもてなすのと同様、気遣いが必要。ゆったりと時間に身をまかせ、会話を楽しみながら頂いて欲しい。子どもには似合いません。
 もし、レストランに予約するのなら、ソムリエの方と相談して、抜栓のタイミングをお任せした方がいいと思います。

 ラベルは、ロベール・グロフィエの89年。12500円。
個人的には、一度ジョルジュ・ルーミエのものが飲んでみたい。

「聖なる愛」というワイン
「サンタ・ムール」

 ボージョレ地区には10のクリュ・ボージョレ(格付け)があり、このサンタ・ムールは、最も格の高い1本。マコンのプイィ・フュイッセ地区と隣り合わせになるボージョレ地区の最北端で産出されます。
 ボージョレのワインって言うと勝手に安物と思う人がいるので、敢えて言う必要はないでしょう。多分、フレッシュで果実味のある味は喜んでもらえます。

 この地区の老舗、モメサンのサンタ・ムール。2000円前後です。他にも、ジョルジュ・デュブッフを始め、色々な造り手のものがあります。

今年もスキーに連れて行って
「マディラン・シャトー・モンチュス・キュヴェ・デ・シム」

 前に紹介した南西地方のワイン。クリスマスのプレゼントには、最適です。シムというのは、フランス語で「頂上」という意味。これを購入したカーブ・タイユバンの方の説明によると、オーナーのアラン・ブリュモン氏が所有するスキー場の名前で、ラベルには雪の結晶がデザインされています。スキー好きの人にはぴったりです。
 このシャトー・モンチュスには、数々の逸話が。
91年の「フィガロ」誌でワインのプロ300人のアンケートにてアラン・ブリュモン氏がこの10年間のフランスでの最優秀ブドウ栽培者に選ばれたとか。
トム・クルーズが自家用ジェットで、ここのワインを買い付けに来るとか。
フランスの三ツ星クラスのレストランにも、よくここのワインが置かれているとか。

87年物で8000円から10000円位でしょう。ちょっと高いですが。

映画大好き
「ニーボーム・コッポラ」

 ワインはよく分からないけど、映画大好きという人にはこのワイン。ニーボーム・コッポラ。そうあの映画界の巨匠フランシス・フォード・コッポラさんがカリフォルニアのナパで造るワインです。
 左は、クラレットというワイン。ボルドータイプのワインです。ラベルがかっこいい。(2500円位)
 他にも、ロッソ(イタリアン・タイプのブレンド、2100円位)やフラッグシップのルビコン(ボルドータイプ、11000円位)などがあります。

 クリスマスは、どこへ行っても人が多いし、部屋でゆっくりこのワインを飲みながら、コッポラの映画を見るのもいいかもしれない。

白はやっぱり
「パヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴー」
 白はなかなか難しい。でも相手が女性だったら赤より白を好む場合も多いはず。
 そこで、やはりこのワイン。パヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴー。そう、あのシャトー・マルゴーが造る白ワインです。
 今年、世間を騒がせたシャトー・マルゴー。しかし、赤のほうは、手の届かない価格へうなぎ昇り。白ならまだ許せます。(それでも6000円から8000円位かな。)くれぐれも、これを飲んだ後に、心中しないように。

心を癒してくれるあの人に
「ムルソー・オスピス・ド・ボーヌ」
 ブルゴーニュ地方のボーヌ地区にある施療院で1443年にブルゴーニュ公の大法官であったニコラ・ロランとその妻ギゴーヌ・ド・サランによって創設されたのがオスピス・ド・ボーヌ。毎年11月第3日曜日に競売会が行われ、その収益金で、ボーヌの人たちの治療にあたっているそうです。
 いつも傍で支えてくれている大切な人に贈るには、このワインです。ムルソーは大好きな白の一つですし、オスピスの物ならば間違いはないでしょう。(オスピスが造るムルソーは7種類あります。10000円前後。)
 「このワインのように、僕が君の心を癒してあげる」なんて言ったら、ぶっとばされそうですが。(笑)

やっぱりシャンパンは必需品か?


 結論から言うと、やっぱり必要でしょう、シャンパン。だって誕生日とか、こんな日くらいしか改まって開ける時はないですよね。
 シャンパンに関しては、あまり詳しくありませんし、もっといいシャンパンってあるような気がします。

 ということで、個人的なお気に入りを3本。
上は、定番のヴーヴ・クリコ・ポンサルダン・ブリュット。大体いつもこれ。5000円。
中は、ルイ・ロデレール・ブリュット・プルミエ。独特の風味を持つ非常にいいシャンパン。6000円。
下は、逸品の風格漂う、クリュッグ・グランド・キュヴェ・ブリュット。11660円。
(価格はすべて希望小売価格です。)

 最近、小規模ながら自社のブドウ畑で栽培するぶどうを中心に造っている造り手も気になります。(先日、ル・ノーブルというシャンパンを頂いたのですが、これも美味しかった。)
 あと、廉価なヴァン・ムスースプマンテも美味しいものが多いですね。シャンパンのページを見て下さい。
 まあ、食前酒にでもシャンパンを頼んで、「ブドウのささやきが聞こえる」とか気障な事もたまには言っちゃいましょう。

ありがとうございました

 今年も早いもので、もう少しになりました。3月の終わりにアップしたこのサイトも、お蔭様で8ヶ月、色々な方に見て頂き、応援してもらいました。来年1999年も寝不足になりながら、出来るだけ皆さんのワイン選びのお手伝いが出来るよう、がんばろうと思います。それでは、また新年にお越し下さい。

Merry Christmas!!

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