November,1998

今月の御題目

サッカーも強いけど...アルゼンチンのワイン達

今年のワールド・カップでも、サッカー王国としての実力を見せ付けたアルゼンチン。そして、女帝、エヴィータでも知られますよね。しかし、今の注目はワインです。

世界第4位のワイン生産国
 ワインの輸入量でも、カリフォルニアに並んだと言われるチリ・ワイン。安くて美味しい定番になってますよね。
 海外輸出向けのワインの生産については、チリに遅れをとっていたアルゼンチン。しかしここにきて、ぐっと力を入れてきているようです。もともと、16世紀からワイン造りは行われていた、歴史のある国で、ワインの生産量としては、イタリア、フランス、スペインに次いで第4位。2000以上のワイナリーがあります。

地理的にみるとチリ的
 当然、チリ、アルゼンチンといえば南アメリカ。上左の地図を見ていただければ分かるように、アンデス山脈を挟んでお隣さんです。
 アルゼンチンのワイン生産量の約7割を産出するメンドーサは、チリのサンチャゴとほぼ同緯度。車で移動しても1時間強という位置です。
 チリに比べると、年間の降雨量も少なく(遅摘み)、高地にあるため、昼夜に温度差が激しく(熟したぶどう)、アルプスの雪解け水で灌漑する(ミネラル分)という絶好の気候条件に恵まれています。
 チリの味に少し満足出来なくなってきた方々、以下、紹介するワイン達を是非飲んでみて下さい。

Argentine-Mendoza


Luigi Bosca Cabernet Sauvignon
ルイジ・ボスカ・カベルネ・ソーヴィニヨン
(サントリー限定品 特別瓶熟)

メンドーサ州 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン)
('89 \2,040)

 「ルイジ・ボスカ」の醸造元のレオンシオ・アリス社は、1901年、レオンシオ・アリス氏によって設立され、メンドーサの最も優れた地域とされるルハン・デ・クージョ地区でワイン造りが行なわれています。
 有機無農薬によるぶどう栽培、そして熟成にもフランス産のオーク樽を贅沢に使用して造られたとされるこのワイン。期待を裏切らない出来です。フランスの格付けワインと一緒に飲んだのですが、そのフィネスというものには、かなわないとしても、まだまだ熟成しそうな勢いと力強さのなかにも、滑らかな口当たりで、89年というヴィンテージ・イメージと共に、大変美味しく感じました。これで、2000円ですから、お買い得です。
 (レオンシオ・アリス社)



Trapiche Chardonnay Oak Cask

トラピチェ・シャルドネ・オーク・カスク

メンドーサ州 白 (シャルドネ)
('96 \1,420)
Trapiche Cabernet Sauvignon Oak Cask
トラピチェ・カベルネ・ソーヴィニヨン・オーク・カスク

メンドーサ州 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン)
('94 \1,380)

 いやー、驚きました。堀賢一さんの「ワインの自由」の中で、このシャルドネを「多くの優秀なテイスターが、このワインを高級ブルゴーニュと間違えていました」とありましたが、アルゼンチンの力をここに見た気がしました。
 カベルネ・ソーヴィニヨンもバランスに富んだいいワインなのですが、特筆すべきはシャルドネ。
 フレンチ・オークでの発酵、熟成によるバニラ香をはっきりと感じます。今まで飲んだ1000円台の白で最高です。もし、ブラインドでこのワインを飲んだら、私は「ムルソー!」って言うでしょう(笑)。
 トラピチェ社は、1883年創業、1500haもの自社畑を所有し、輸出量はNo.1。あのエヴィータも飲んでいたと言われます。
 (トラピチェ社)


8月に紹介した
Santelmo Chardonnay

サンテルモ・シャルドネ
メンドーサ州 白 (シャルドネ)
('88 '89 \4,000位)

8月に紹介した88年のこのワイン。やはり、完全に痛んだ物を飲んだようです。1ケ月ほど前、改めて89年を頂きました。やっぱり、いい出来なんです。ミネラル分に富んだしっかりしたボディー。
 トラピチェがムルソーなら、サンテルモはモンラッシェといった所でしょうか。
(サンテルモ社)



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