今月は、一冊の素晴らしい本を紹介致します。 著者:星谷とよみ 文園社発行 2500円 この本を読んで、私自身、ワインについて感じていたことや、近年の日本のワイン事情について疑問に思っていたこと、それらが、マダム・ルロワを通してストレートに書かれていて、本当に感動しました。 |
マダム・ルロワは、父、アンリ・ルロワのもと、超一流のネゴシアンとして今日のルロワ社の名声を築いた人物。ワインに関して世界最上の味覚、テイスティング能力の持ち主と言われ、厳しい品質管理により素晴らしいワインを造りあげます。 70年代から80年代にかけて、化学肥料や農薬の散布によって偉大なるブルゴーニュの土地、ワインの味が微妙に変化しているのを感じたマダムの舌。その鋭敏な感覚が、彼女自身を苦しめていく事になります。「私が買いたくなるようなワインがなくなってきたのです。」 |
ビオディナミは、植物肥料だけを用いて天体との連動効果を畑にもたらす農業で、中世から行われていたもの。500年にもわたる農業の知恵から生まれた農法です。 「天と地の恵みで葡萄が育つ。」文字にすれば簡単ですが、農薬等を使わないという事は、様々な病気におかされる危険も増大しますし、収穫量にも変化を及ぼします。さらに、最終的により厳しい剪定も必要になるでしょう。 マダムは、それらの困難を乗り越え決断しました。1988年より、この手法により自分の舌に叶うワインを造っています。マダム曰く「自分が納得するワインが造りたかっただけ。」 |
しかし、ワインに聴く人は本当に少ないのです。 ワインを知りたいのなら ひたすらワインに聴くことですよ。 ワインはメモワールです。 さあ、目をつむって、お口に含んでごらんなさい。 - マダム・ラルー・ビーズ・ルロワ - この本を読んで、私達は一番大切な事を忘れているなと思いました。「ワインに聴く」ということです。 |
星谷さんは、1983年、初めてマダム・ルロワに会って以来、マダムのワイン造りを追い続けた方。マダム・ルロワが自分の舌に叶うワインを造るべく、農業を根本から変える間、ブルゴーニュまで何度も足を運び、雑誌「婦人画報」に連載。さらに取材を重ねて、この一冊にされたそうです。 「一億にわかソムリエになって、グラスの中にお鼻を突っ込み、あれこれ知ったソムリエ語を交わす人たちを見るにつけ、胸が苦しくなってその場を立ち去ったことも数知れずありました。」 「ワインに限らず、モノというのは全て、作り手に真実があるかどうかということに尽きます。マダムの苛酷とも思える、自分自身の律し方に圧倒されるものがありました。それゆえ、私は惹かれて、15年も通えたのかもしれません。」 この11月にも、ブルゴーニュへ行かれるという事。なんと、「シュバリエ・タート・ヴァン」を叙勲されるそうです。本当におめでとうございます。 |
10000ヒットを記念して、この「マダム・ルロワの愛からワイン」と「ルロワのワイン」をプレゼントします。 |
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