ソムリエ:皆さんご存知のように、レストランにてサービスをするワインのスペシャリスト達。1995年「世界ソムリエコンクール」にて日本代表の田崎眞也さんが見事優勝し、一躍花形の職業として注目を集め始めた「ソムリエ」というお仕事。昨年、労働省は職業分類表を14年ぶりに手直し、職業紹介やハローワークでの職業名に「ソムリエ」を新設しました。 現在のところ、「ソムリエ」という国家資格はありませんが、(社)日本ソムリエ協会がこの呼称資格認定試験を行っています。今回は、そんな資格のお話です。 |
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当初からワインの知識を公に判定するこれらの資格は、ワイン愛好家にとっても魅力的なものだったらしく、プロ達に混じってソムリエやワインアドバイザーの呼称資格を取得しようとするワインラヴァーが後を絶たなかったようです。そこで1996年には一般のワイン愛好家を対象とする「ワインエキスパート」の呼称試験が誕生しました。 |
日本ソムリエ協会が行う3種類の資格制度(実際には上位資格の「シニアソムリエ」「シニアワインアドバイザー」等もあります)についてその受験資格を記しておきます。 |
第一次試験日において、アルコール飲料を含む飲食サービス業経験を通算5年以上有し、現在も従事している方 | |
第一次試験日において、以下の業務経験を通算3年以上有し、現在も従事している方 ・ 酒類製造および販売、コンサルタントなど流通業 ・ 飲食に関する専門学校など教育機関における講師 ・ 調理従事者 | |
ワインの品質判定に的確なる見識をもっている方 年齢20才以上 職種・経験は不問 |
1999年までのそれぞれの資格保有者数は、ソムリエ4769名、ワインアドバイザー5159名、ワインエキスパート806名。 |
この呼称資格認定試験は、毎年8月の末、札幌、仙台、東京、那覇、名古屋、大阪、福岡にて第一次試験が同時に行われます。第一次試験に合格された方のみ9月末の二次試験(二次は東京、大阪の2会場)へ進む事が出来ます。そう、今、その試験真っ最中なのです。今ごろ、第一次に合格された方々は、二次のテイスティング等のお勉強に余念がないことでしょう。
ただこの広範な出題に対して、助け舟を出してくれるのが、協会の主催する「基本技術講習会」。試験の前に二日間(各都市で延べ10回位開かれます)に渡り、試験のための講習が行われます。これはその年の出題を暗に示唆する部分もありますし、講師の面々は著名なソムリエさん達によって行われますので、楽しいお話も聞くことが出来ます。受験される方は、出席したほうが良いでしょう。 第二次試験は、ワインの口頭試問(問題がテープで流れる)とテイスティング。ソムリエにはサービス実技が加わります。口頭試問には、基礎知識だけでなく、ワインの雑学的な分野まで出題されます。 |
イタリアワイン、そしてオー・ド・ヴィーまで出ましたので、受験者もビックリしたことでしょう。またこの年から、テイスティングの解答にも初めてマークシートが導入されました。今年はどんなワインが出るのか楽しみです。 |
第一次受験者数 : 1901名 第二次受験者数 : 1166名 合格者数 : 917名 合格率 : 48.2% | |
第一次受験者数 : 2360名 第二次受験者数 : 1182名 合格者数 : 743名 合格率 : 31.5% | |
第一次受験者数 : 873名 第二次受験者数 : 458名 合格者数 : 391名 合格率 : 44.8% |
まずは一次試験の筆記試験を突破しなければなりませんが、その問題は年々ハイレベルになっている様子。勉強は過去問題を十分にやる必要があります。 早速、今年2000年の出題と回答が発表されました。その内容につきましては、後述する日本ソムリエ協会が発行する機関誌「Sommelier」の最新号No.56に掲載されていますので、ご覧になって下さい。 |
このページを見て頂いている方々は、多分ワイン愛好家の方が多いと思います。ソムリエが付ける「葡萄のバッジ」はかっこいいし、ワインのスペシャリストという感じがします。日本において、協会が行う認定試験は、唯一 公的に「ワインの知識と品質判定に優れた見識」を持つ人と認められるもの。ワインエキスパートの資格が出来た今、是非チャレンジするのも良いと思います。 |
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資格に合格したからどうなるのか??class30が思うに、仕事で役立てる方以外は、なんの得にもなりません。仕事で携わる方々にとっても、ただの通過点でしかないでしょう。 しかしながら、一番大切なことは、試験に向って勉強をするという事ではないでしょうか。先出のように試験範囲は世界のワイン法規が中心となっています。各国のワイン法規は、その土地の気候、歴史、文化などに則って、細かに定められています。この部分を知った上でワインに接するという事はとても大切な事。一本のワインを飲む時にも新たな疑問が生まれたり、違う側面から判断でき得ると思います。また教本の膨大な資料は、今まで全く知らなかった部分に関して、興味を深めてくれると思います。 ワインの楽しさは、学ぶこと。ちょっと知れば、もっと知りたくなる。それだけ奥も深ければ、楽しみも待っている飲物のように思えます。 |
「世界ソムリエコンクール」は3年に一度、世界から優秀なソムリエが集い競う「ソムリエのオリンピック」のようなもの。今年は10月にカナダのモントリオールで開催されます。 青木冨美子理事のインタビューによるこの記事には「バランスのとれたソムリエ」を目指すという石田ソムリエの姿勢が感じられる内容。そこには、世界を目指す後続の若手ソムリエに贈るこんな言葉もありました。 「海外の人達に対して"控えめ"を美徳としないで、多くのコミュニケーションをとって欲しい。(中略)それと、テイスティングできることに"貪欲さ"と"感謝の気持ち"をもって欲しいと思います。」 ソムリエの国内大会にて何度も優勝している石田ソムリエ。そんなトップの方でも直向な努力と向上心が感じられるお言葉。10月の"ソムリエ・オリンピック"での活躍を期待しています。皆さんも応援して下さいね。 |
なおこの57号には、2000年度の呼称資格認定試験合格者、そして第二次試験の問題と解答も掲載されています。 |
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