今回は最近徐々に注目を集めはじめているカナダワインのご紹介。日本においてはまだまだワインショップ等でも見かけることは少ないのですが、アイスワインを筆頭にその品質の向上が評価され、人気が高まっているようです。 |
カナダでは1988年に原産地統制名称法に相当する品質協定であるVQA(Vintners Quality Alliance)制度が導入され、現在オンタリオ州で3ヶ所、ブリティッシュ・コロンビア州で4ヵ所の特定栽培地域(DVA、Designated Viticultural Areas)が指定されています。 |
北緯41〜43度、栽培面積は5800haを有し、主に五大湖周辺の産地にて国全体の85%を生産しています。赤ワインが6割、白が4割。 栽培地域表示を許される産地は ・ナイアガラ・ペニンシュラ (Niagara Peninsula) ・レイク・エリー・ノースショア (Lake Erie North Shore) ・ピーリー・アイランド (Pelee Island) この中でもナイアガラ・ペニンシュラには、オンタリオ州の畑の97%があり、オンタリオ湖からの風が背後のナイアガラ山塊に当たり、独自のブドウ栽培地域を確立しています。リースリングやヴィダル種(ユニ・ブランとセイベルの交配品種)によるドイツスタイルのアイスワインも生産しています。 |
北緯49〜50度、カナダ西部に位置し、太平洋岸から150km入った内陸のオカナガン・ヴァレーは、この州の95%を生産しています。畑面積は1200ha。 (写真はオカナガン湖を臨むセント・ヒューバータスの畑) |
ブリティッシュ・コロンビア州、ケロウナ市南部のミッション地区。緩やかな丘陵地帯に広がるこのワイナリーは、スイスからのワイン技術移民であるジェバート・ファミリーによって経営されています。オーナーのジェバート兄弟(兄のアンディと弟のレオ)は、スイス人特有の職人気質で、頑固なまでの徹底した品質管理によってワインを作り上げています。
以下、今回ティスティング出来た、オカナガン・ヴァレーのセント・ヒューバータス社のワインレポートです。 |
![]() British Columbia ブリティッシュ・コロンビア州 |
St. Hubertus Chasselas Vintner's Reserve ![]() セント・ヒューバータス・シャスラ・ヴィントナーズ・リザーヴ オカナガン・ヴァレー 白 (シャスラ85.2%、リースリング14.8%) ('97 \2,300) シャスラはスイス(ファンダンと呼ばれる)で多く栽培され、またフランスではアルザスやロワール、そしてドイツにも見られる白ワイン用の品種。 意外にも濃さのある黄色のワインは、熟したリンゴのアロマ、柔らかな口当たり。味わいはまろやかで、余韻の酸味が綺麗なワイン。特徴的な香りと味わい。 |
St. Hubertus Gamay Noir Vintner's Reserve ![]() セント・ヒューバータス・ガメイ・ノワール・ヴィントナーズ・リザーヴ オカナガン・ヴァレー 赤 (ガメイ・ノアール86%、ピノ・ムニエ8%、フォッシュ6%) ('98 \2,000) ガメイを使ったこのワインは、1999年4月全カナダ・ワイン競技大会オンタリオ州大会にて銀メダル受賞。1999年5月にはアメリカ・ノースウエストワインサミット銀メダル受賞しています。 明るいルビー色のワインはクールでストレートな果実を感じます。冷涼な地域らしくミネラリーで、スパイシーな風味とブドウの皮からくる渋みが余韻へ続く姿はドイツの赤ワインを連想させます。 |
St. Hubertus Northern Summer Vintner's Reserve ![]() セント・ヒューバータス・ノーザン・サマー・ヴィントナーズ・リザーヴ オカナガン・ヴァレー 赤 (ピノ・ノワール75%、ガメイ・ノアール20%、フォッシュ5%) ('97 \2,000) ピノ・ノワールが主体のブレンド。全体的にライトで、酸味もキッチリとしたワインは、カナダワインの体験入門に。食事中だけでなく色んなシチュエーションで飲める赤だと思います。 |
![]() ![]() OAK BAY Chardonnay / Pinot Blanc Grand Reserve オーク・ベイ・シャルドネ / ピノ・ブラン・グランド・リザーヴ オカナガン・ヴァレー 白 (シャルドネ50%、ピノ・ブラン50%) ('98 \2,300) 今回、最もおすすめしたいのがこの白ワイン。シャルドネ50%、ピノ・ブラン50%をブレンドしたワインは、1999年7月アメリカ・インディアナ州ワインコンクール銀メダル受賞。1999年カナダ・オカナガン国際ワインコンテスト銀メダルを受賞しています。 レモン、ライム、白桃のアロマ、バニラやシャルドネの特徴ともいえる菩提樹の香り。ふくよかなボディを輪郭のある酸が整え、余韻も長く、バランスがいいワインなんです。ラベルを見ると、やはりアルコール度数も13%としっかりあります。 ブルゴーニュ地方の品種もしっかりカナダで育つ事を証明するワイン。ジャイエ・ジルのオート・コート・ド・ボーヌ辺りにも通じるものがあると思いました。 |
![]() ![]() OAK BAY Marechal Foch Grand Reserve オーク・ベイ・マーシャル・フォッシュ・グランド・リザーヴ オカナガン・ヴァレー 赤 (マーシャル・フォッシュ100%) ('98 \2,300) 赤の一番人気だったのが、このワイン。マーシャル・フォッシュというブドウ品種は聞きなれないですし、私自身も初めての体験。第一次世界大戦のフランスの有名な将軍の名に因んで付けられた名前で、カナダやニューヨーク州では今でも広く栽培されている早熟型の品種のようです。 深みのあるガーネット色、バター、ミルキーな樽香はアメリカンオークの要素が十分に溶け込んでいます。早熟を感じる濃さと甘さのあるワインは、程よい酸味とタンニンも柔らかで、美味しい。これはいいですね。 |
OAK BAY Gamay Noir Grand Reserve ![]() オーク・ベイ・ガメイ・ノワール・グランド・リザーヴ オカナガン・ヴァレー 赤 (ガメイ・ノアール95%、マーシャル・フォッシュ5%) ('97 \2,500) これも1999年4月オールカナダ・ワインコンクール銅メダル受賞というワイン。10日間の発酵の後、フレンチオークで10ヶ月の熟成をさせています。 これは97年ということ、そして比較的長めの樽熟からか、すでにエッジにレンガを帯びたルビー色。木苺の香り、果実の甘さとほんのりと熟成香も。心地よいタンニンとすっきりとしたフィニッシュ。今飲んで美味しいワインです。 |
OAK BAY Pinot Meunier Grand Reserve ![]() オーク・ベイ・ピノ・ムニエ・グランド・リザーヴ オカナガン・ヴァレー 赤 (ピノ・ムニエ) ('98 \2,500) 珍しいピノ・ムニエ単一品種。ピノ・ムニエというのは、シャンパーニュ地方で有名な品種(シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ)。ピノ・ムニエだけで造られたワインも初体験。フレンチオーク樽で11ヶ月熟成。1999年カナダ・オカナガンバレー秋のワインフェスティバル国際審議会銅メダルを受賞。 明るいルビー色ながら複雑で十分な香り。赤い果実にスパイス、土っぽさ。口の中で甘さがふくらみ、余韻にはしっかりとしたタンニン。肉料理に合いそうですし、もう少し熟成させてみると面白いと思います。 |
アイスワインの前段階で作られるデザートワイン。ブドウ畑が最初に凍りついた12月初旬に収穫されたレイト・ハーベスト・リースリングを71%、ピノブランを29%ブレンド。1998年産は3300本が作られました。1999年アメリカ・ノースウエスト・ワインサミットで銅メダル受賞。 |
ピノ・ブラン100%の本格派アイスワイン。1998年12月19日収穫のピノ・ブランから4920本のアイスワンが造られました。1998年アメリカ・ノースウエスト・ワインサミットで金メダル受賞。 |
今回数種のカナダワインを飲んでみて、そのアイスワインの品質の高さは素晴らしいと思いますし、この国においての特産といえる物であることは間違いなさそうです。 |
今回のレポートに関して、多大なご協力を頂いた「わいん@カナダ」の滝沢様に感謝いたします。ホームページでは、アイスワインの収穫風景他、カナダワインについて楽しいレポートが掲載されています。 |
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