April,2000 (2)

今月の御題目

「新:ためになるワイン本」

 このホームページの「ためになるワイン本」のコーナー。当分、更新することが出来ませんでしたが、ここでまとめて新しく加わったワイン本を紹介します。ほんと昨今のワイン本の出版数の多さは、何を読めばいいのか困ってしまいます。中には、読むのさえ億劫になるほどの本もありますね。以下、紹介する書籍はお薦めできると思います。書店でチェックしてみて下さい。(新刊だけでなく、少し前に発刊されたものも含まれています。)


カタログ本、入門書
ワインってこんなにあるんだ


「世界一ブリリアントなワイン講座」
 上巻 - ワインの基礎知識
 下巻 - 世界のワイン

 ジャンシス・ロビンソン
 (集英社文庫、上巻1048円、下巻1143円)

 ご存知、マスター・オブ・ワインのジャンシス・ロビンソン女史のワイン講座。文庫本サイズで上下併せて2巻が出版されました。
 上巻は、ワインを味わうためのノウハウがジャンシス流のスタイルを通して書かれています。下巻は世界のワイン産地を事細かく紹介。入門書に分別していますが、プロの方や愛好家の方も、今一度、読むにふさわしい内容の深い本。さすがジャンシス!

「タンザーの飲み頃・飲み得 ワイン・ガイド」
 スティーブン・タンザー  (講談社、2500円)

 パーカー氏と人気を二分するワイン評論家、スティーブン・タンザーが、1999年に市場に出たワインを取り上げ評価したガイド。国・地域別にまとめてあり、最低価格、買い得ヴィンテージ表、飲み得グラフ、品質、入手の可能性など、細かく紹介しています。
 各地区のお薦め生産者やワインが紹介されていますが、ワインの写真が無く、コメントがその味わいについてだけ触れられているのがちょっと残念。購入ガイドですが、あまり購買意欲がそそられないかな?タンザー流ワイン表現法の勉強にはなります。


手記、小説、漫画
ワインにまつわるお話


「カリフォルニアワインasナンバーワン」
 飯山ユリ (東京書籍、2000円)

 飯山ユリさんによるカリフォルニアワインの詳解書。品質はフランスワインに肩をならべ、値段はきわめてリーズナブル、注目度No.1のカリフォルニアワインの歴史と現状、とくに知られざる雄「ソノマ」のワインとワイナリーを中心に徹底解説したファン待望の初のガイド。
 ここまで優しくそして詳細にカリフォルニアワインのことを綴られた書は無かったのでは?特にナパの陰に隠れがちで、情報を入手しにくいソノマのワインについて網羅されています。カリフォルニアワインファンの方、是非読んでみて下さい。

「最高のワインをめざして」
 ロバート・モンダヴィ自伝 (早川書房、2600円)

 ワインの素晴らしさを信じ、人生のすべてをワインに捧げた男、ロバート・モンダヴィ。伝統と格式を誇る旧世界(ヨーロッパ)ワインをしのぐ高品質のカリフォルニア・ワインを生み出すため、50代半ばにして自らのワイナリーを起こした彼は、斬新な発想と類まれな行動力で、ワイン界に次々と革命をもたらしてきました。
 尊敬すべきモンダヴィ、カリフォルニアワインを牽引してきた人物の情熱、成功者たる所以がこの一冊に詰まっています。今語られることのない、50年代から60年代のカリフォルニアの移り変わりを知る上でも重要な資料となります。



「あなたに似た人 : SOMEONE LIKE YOU」
 ロアルド・ダール (ハヤカワ文庫、800円)

 「幻想とユーモアと恐怖をちりばめた奇妙な味の短篇を得意とする鬼才ダールが賭博に打ち込む人間の心の恐ろしさと人間の想像力の恐ろしさをテーマに描いた珠玉の15篇を収める代表的短篇集。」
 この文庫の中に収めれている「味」。サンジュリアン村のグラン・クリュ、一本のシャトー・ブラネール・デュクリュをめぐるミステリーは、堀賢一氏がワインの自由の中でも紹介されました。食卓のワインを当てるブラインドゲーム。しかしそ賭け金は邸宅と当主の令嬢。ゾクゾクする短篇です。

「フランスワイン、とっておきの最新事情」
 宇田川 悟 (講談社、1000円)

 現地在住のジャーナリスト、宇田川氏によるワインの生情報。ワインの最新事情から、現地でのワイン観、日本のワイン観などの差も感じられ興味をそそられる内容。全11章からなる文庫ですが、各節がとても簡潔にまとめられており、話題の豊富さが凄い。普通のワイン本に飽きた人は、是非読んでみて下さい。


リファレンス本、詳解書
ワインの事をもっと深く


「世界 ワイン・ヴィンテージ案内」
 マイケル・ブロードベント (柴田書店、2400円)

 世界的にも有名なクリスティーズのオークショニア、M.ブロードベントによるヴィンテージ案内。ワインの産地を使用頻度順に3ブロック、18産地に細分。それぞれの産地の葡萄の作柄、醸造状況を1994年から最長100年前まで遡って簡潔に記述されています。
 ワイン選びにおいて、重要な要素となるヴィンテージ。ボルドー、ブルゴーニュのみならず、他の地方、国についてまで書かれている著書ってなかなかないですね。ヴィンテージ・シャンパン、ポート、マデイラについても詳説してあり、世界各国、その年の気候、作柄が手にとるように分かります。古酒に興味のある方は是非。

「ブルゴーニュワインが分かる : Making Sense of BURGUNDY 」
 マット・クレイマー (白水社、3600円)

 25年もの長きにわたり、ワインと料理の著述に専念し、名著「ワインが分かる」でも有名なマット・クレイマー氏。これはブルゴーニュに関するバイブルとも言うべき著作。各村の特徴、グラン・クリュ、プルミエ・クリュの詳細、名だたる醸造家の紹介など、ブルゴーニュを愛する方にはたまらない一冊。コメントには、経験に基づく自信とワインへの愛が感じられる、今のブルゴーニュを物語る資料としても貴重な存在。



「ワイン逍遥 フランス編
 岩野貞雄 (実業之日本社、2800円)

 帯には「読んで、旅して、飲んで、知る―。」という文言。日本人としてはじめて「ワイン学」を修め、ワイン造りと研究に生涯を捧げたという岩野氏。残念ながら1998年9月他界された岩野氏は、長年にわたる現地取材の成果をもとに、フランス全土のワイン産地と敬愛すべき銘醸家を紹介されています。
 その誠実なお人柄が伝わってきます。フランスワイン全般に関する産地、造り手、法規、扱い方などが、事細かに纏められています。これからワインを勉強、という方にも是非おすすめしたい一冊です。

「ワインの事典」
 山本博、湯目英郎監修 (産調出版、2440円)

 山本博氏、湯目英郎氏監修、他執筆者に日本のワイン界の権威の方々によって書かれたワインのAtoZ。基礎知識だけでなく、醸造法、成分と効用、流通と保存、サービスとマナー、食事とワイン、歴史と文化など、かなり深い内容は、プロの方必携の書でしょうか。いざという時、役に立ちます。


「シャンパン物語」
 山本 博 (柴田書店、3400円)

 日本のワインの大家、山本博氏による、シャンパン物語は、さすがの内容。一種独特の製法、文化、歴史を持つシャンパーニュ地方。ワインのささやきと言われるシャンパンの泡。その魅力の全てを伝える詳解書。
 この本の価格、もしシャンパーニュに興味があるのなら、買って読んでも損はないと思います。


「ワイン用葡萄ガイド : Guide To Wine Grapes」
 ジャンシス・ロビンソン
 (ウォンズ・パブリシング・リミテッド、2700円)

 忘れてならないのがこれ、ジャンシス・ロビンソン女史によるワイン用葡萄ガイド。ワインの世界で最も大切なブドウの品種。カベルネ・ソーヴィニオン、メルロー、ピノ・ノワール、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン等、主要品種はもとより、世界各国の土着の品種まで、詳細に解説されています。その内容を読むだけで、知識の深さに感嘆してしまいます。プロの方は必携でしょう。


「ソムリエ・ワインアドバイザー・ワインエキスパート 教本」
 (社)日本ソムリエ協会

 最後にご紹介は、日本ソムリエ協会の教本。本来、資格受験者のためのテキストですが、当然ワインを勉強するには必ず役に立ちます。日本では考えられないほど、各国のワインに関する法規は、しっかりと定められており、それを覚えると自然とワインについての知識は深まります。
 99年度版で全730頁強。年々、ページ数も増え、試験内容も難しくなっていますので、受験される方は急いだほうがいいでしょう。

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