ワインの格付け

グラン・クリュ?? フランスワインの格付け
 先日、ある友人が
ブルゴーニュのプルミエ・クリュって、グラン・クリュよりいいワインなんでしょ。
このクリュ・ブルジョワって書いてあるワインは、ボルドーで一番いいやつでしょ。だって、ブルジョワだもん。
と尋ねてきました。
 「ンー、ワインの格付けも色々あって.......」
 ということで、ここではフランスワインの格付けについておさらい。地域によって、その呼称が違うので意外と知らない事も多いのでは。

まずは、言葉の意味から
 例えば、「プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ」という格付けがありますが、その意味は?と言われるとちょっと困る。そこで、まず始めにその意味から。

プルミエ
(Premier)
第一の、最初の」。「First」の意。
1er」という表記は、この意味。

グラン
(Grand)
大きい、偉大な」という意味。
英語の「Great」にあたります。

クリュ
(Cru)
(ぶどう酒の)産地」の意味。
畑の中で名前の付いた特定の区画(ぶどう園)。

クラッセ
(Classe)
階級、等級」という意味。
英語の「Class」にあたります。

ブルジョワ
(Bourgeois)
市民、中産階級の人」という意味。
日本での捉え方とちょっと違います。

以下、各地域の格付けを説明します。

ボルドーはこちらへ

ブルゴーニュはこちらへ


ボルドーワインの格付け
ボルドーのワインは、そのシャトーごとに格付けされています。

メドック地区の格付け

第1級から第5級 Grand Cru Classe
 1855年に、約60のシャトーが第1級から第5級まで格付けされました。その時に唯一、シャトー・オー・ブリオンは、グラーヴ地区から例外的に第1級に格付け。また、シャトー・ムートン・ロートシルトは、1973年に第1級へ昇格。
 メドック地区の格付けは、赤ワインに対してのみ与えられます。

ブルジョワ級 Cru Bourgeois
 1932年に、上記の格付けにもれたメドックのシャトーが、「ブルジョワ級」として格付け。実際には、これをまた4段階に分けた格付けがありますが、現在はあまり使われなくなっているようです。「ブルジョワ級」の中にも、グラン・クリュ・クラッセに匹敵するワインがあります。

グラーヴ地区の格付け

特選 Cru Classe
 1953年に、16のシャトーを格付け。格付けの中に等級はなく、赤と白を別々に格付け。よって、赤白両方が格付けされているシャトーと、どちらか一方だけのシャトーがあります。

サン・テミリオン地区の格付け

第一特別級A Premier Grand Cru Classe 'A'
 サン・テミリオンの格付けは、1955年に制定。この中で、別格のオーゾンヌとシュヴァル・ブランは第一特別級の中でも「A級」へ。

第一特別級B Premier Grand Cru Classe 'B'
 11のシャトーがこのB級へ。オーゾンヌとシュヴァル・ブランのために、「B」という格付けは損をしているような?

特別級 Grand Cru Classe
 現在、54のシャトーがあります。メドックで言えば、第3級から第5級といったシャトーでしょうか。

特級 Grand Cru
 やや、紛らわしいこの格付けは、500位のシャトーが名乗っています。格付けは頻繁に見直されます。メドックにたとえれば、ブルジョワ級クラス。サン・テミリオンの場合、最後に「Classe」が付いているかどうかに注目。

ソーテルヌ地区の格付け

特別1級 Premier Grand Cru Classe
 1855年に、メドックの格付けと同時に格付けが行われ、シャトー・ディケムだけがこの別格の特別1級へ。

第1級第2級 Cru Classe
 11のシャトーが第1級へ、14のシャトーが第2級へ格付け。また、ソーテルヌの場合、与えられる格付けは、甘口の白ワインだけ。

ポムロール地区の格付け

公式の格付けなし(10傑、10雄)
 ポムロールに公式の格付けはありませんが、その評判により、10傑、10雄的なシャトーがあります。

ボルドー格付けシャトー一覧

メドック地区

サン・テミリオン地区

グラーヴ地区

ソーテルヌ地区

ポムロール地区(非公式)


ブルゴーニュワインの格付け
 ブルゴーニュの特徴は、何と言っても畑(クリマ)に格付けされている事。つまり、その畑が分割所有されている場合、同じ畑のワインでも、造り手によって違うという事。そこが、ちょっとややこしい。

特級 Grand Cru
 ブルゴーニュで、最も格の高いのがグラン・クリュ。畑の中の特定の区域(クリマ)が、格付けの対象となります。
 ラベルへの表示は、その「畑名」だけで表示します。
 例えば
「シャンベルタン」
(ジュヴレ・シャンベルタン村のシャンベルタン畑)
「モンラッシェ」
(ピュリニー・モンラッシェ村のモンラッシェ畑)など。

第1級 Premier Cru
 この格付けも特級と同じく、畑の中の特定の区域(クリマ)が対象。その畑でとれたブドウだけを使ったワインです。
 ラベルへの表示は、その村の名前を表記し、その下に小さく「Premier Cru」「1er Cru」と付けるか、「畑名」を付けます。
 例えば
「ジュヴレ・シャンベルタン・クロ・サン・ジャック」
(ジュヴレ・シャンベルタン村のクロ・サン・ジャック畑)
「ピュリニー・モンラッシェ・フォラティエール」
(ピュリニー・モンラッシェ村のフォラティエール畑)など。
 一般に、ボルドーの第1級との混同を避けるため、専門家は、わざわざ「プルミエ・クリュ」と呼ぶそうです。

村名ワイン AOC Communal
 同じ村の畑でとれたブドウを使ってつくるワイン。同じ村の範囲であればブレンドしてもいいのですが、他の村との混合は許されません。
 例えば
「ジュヴレ・シャンベルタン」
(ジュヴレ・シャンベルタン村の産)
「ピュリニー・モンラッシェ」
(ピュリニー・モンラッシェ村の産)など。
 たまに、特級や1級に指定されていない「畑名」を付けたものもあるので注意。
「ジュヴレ・シャンベルタン・クロ・ド・ラ・ジャスティス」
(ジュヴレ・シャンベルタン村のクロ・ド・ラ・ジャスティス畑。しかしクロ・ド・ラ・ジャスティスの畑は、特級や1級ではないので、村名ワインに分類されます。)

一般広地域名ワイン AOC Bourgogne
 この他、ブルゴーニュ全域で造られるワインがあります。
「ブルゴーニュ」、「ブルゴーニュ・パストゥグラン」(ガメイ種とピノ種のブレンド)、「ブルゴーニュ・アリゴテ」(アリゴテ種を使った白)など。

ブルゴーニュ格付け畑一覧

シャブリ地区

コート・ド・ボーヌ地区

コート・ド・ニュイ地区

コート・シャロネーズ地区

 また、マコネ地区とボージョレ地区には、畑への格付けはありません。ボージョレ地区は、独自に4つの格付け(というより統制呼称)があるので紹介します。

クリュ・ボージョレ Cru Beaujolais
 村名を表示できる、ボージョレとしては特級格のワイン。北部を中心とする10の村から造られる。銘柄は、「サンタムール」「ジュリエナ」「シェナ」「ムーラン・ア・ヴァン」「フルーリー」「シルーブル」「モルゴン」「レーニエ」「ブルイイ」「コート・ド・ブルイイ」。

ボージョレ・ヴィラージュ Beaujolais Villages
 ボージョレ地区は、北部と南部で地質が異なるため、北部の方が優れたワインができます。ヴィラージュは、北部の村を含む約40の産地で造られるもの。

ボージョレ・シュペリュール Beaujolais Superieur
 普通のボージョレより、単にアルコール度数が0.5%高いもの。

ボージョレ Beaujolais
 ボージョレ全域で造られるもの。実は、赤の他に、白やロゼもあります。


class30 "The Wine"