New Arrival
ローヌ、ロワール 2002年9月-12月

■ France / Cotes du Rhone

12/9/2002



Saint-Joseph "420 Nuits"
サン・ジョセフ "420 ニュイ"
サン・ジョセフ 赤 (シラー)
('00 \2,700位)

 「420の夜」というロマンティックな名を持つワイン。420日間樽の中で過ごしたという意味からつけられたとか。有機農法を実践するわずか2haの畑から年産5000本。最新のアシェットガイドでは「造り手ベスト500」に選出され、アラン・デュカスなどのレストランでもオンリストされています。
 シラー的な黒胡椒と土、甘いラズベリーとプラムが薫り高く、節度あるオークが心地よいアロマ。豊かで外向きの果実味に伸びやかな酸がよいバランス。
(アラン・パレ : Alain Paret)


■ France / Cotes du Rhone

12/3/2002



Merlot - Cabernet (Vin de Pays de la Principaute d'Orange)
メルロー・カベルネ (ヴァン・ド・ペイ・ド・ラ・プランシポテ・ドランジュ)
コート・デュ・ローヌ 赤 (メルロー50%、カベルネ50%)
('00 \1,100位)

 ヴァケラス、ジゴンダスの優良な生産者として知られているエドモンド・ビュルルが造るヴァン・ド・ペイ。ある日ビュルルさんがベルギーのお客さんにワインを届けに行ったとき、小さなレストランで出会ったトラックの運転手が南仏でワインを造っている人で、その時もらったワインがとても美味しかったため、新たにジゴンダスに買った畑にメルローとカベルネを植えて造ったのだという。
 赤の強いガーネットをしたワインは、甘酸っぱいレッドベリーを中心に、十分な濃さがあるアロマとジューシーな美味しさ。メルローとカベルネなのに、セパージュの特徴より南仏の感じが前面に出ているのが面白い。ヴァケラス、ジゴンダスを寝かせた古樽を使ってるのかな?やや飲み飽きる部分もあるけど、この価格なら十分に納得。
(エドモンド・ビュルル : Vignoble Edmond Burle)


■ France / Cotes du Rhone

11/17/2002



Cotes du Rhone Village Tres Vieilles Vignes Reserve
コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ・トレ・ヴィエイユ・ヴィーニュ・リザーブ

コート・デュ・ローヌ 赤 (グルナッシュ他)
('00 \2,900位)

 1998年96、1999年94、2000年97-99+という怪物的なシャトーヌフ・デュ・パプを送り出したクロ・デュ・カイユーのジャン・ドニ・ヴァシュロン。サンセールの名門、ドメーヌ・ヴァシュロンの長男として生まれましたが、跡取りを弟に譲り、学生時代の同級生プイザンと結婚。そしてプイザンの実家のドメーヌを引き継いだのがこのル・クロ・デュ・カイユー。ボーカステルとシャトー・ラヤスの間に位置する畑、しかも樹齢の高いブドウ樹を持っていながら、ヴァシュロン氏が継ぐまでその大半はギガルのブレンド用のワインになっていました。1995年からヴァシュロン氏の確かなワイン造りが知られるようになり、現在では最上級のパプとして認知されています。しかしながら、2000年ヴィンテージを仕上げた後、彼は交通事故でこの世を去ってしまいました。
 コート・デュ・ローヌの古樹の中でも、さらに樹齢の高いブドウを厳選したのがこのトレ・ヴィエイユ・ヴィーニュ。熟したチェリー、スミレ、キルシュのアロマ。フレッシュな果実は柔らかいけれど、南仏らしい温かい太陽を思わすアルコールの高さからくる果物を頬張るような大きな食感、余韻はドライ。明るい赤色をした外観からは、予想できないほど充実した内容。
(ル・クロ・デュ・カイユー : Le Clos du Caillou)


■ France / Sud Ouest

11/9/2002



Madiran Ch. Montus Cuvee Prestige
マディラン・シャトー・モンテュス・キュヴェ・プレスティージュ
マディラン 赤 (タナ種100%)
('97 \4,000位)

 南西地方で最も注目される醸造家、アラン・ブリュモン。ここの話をする時にいつも取り沙汰されるのが、トム・クルーズがわざわざ自家用機でワインを買いに行くという事(今でもそうなのかは知らないが、笑)。実際に17世紀に建てられた有名なシャトーで、ワイン庫は歴史的建造物に指定されています。このキュヴェ・プレスティージュにはタナ種100%を新樽100%で14ヶ月熟成。パーカー氏も5ッ星をつけている。
 ブラインドで飲んだのですが、北イタリアの土着品種だと勘違い。ハーヴィーなブラックベリーやプラムのアロマ、オールスパイス、樽も効いているが後ろに隠れている。酸味もしっかりとあり、タナという品種らしい土っぽいタンニンも多いが、それを受け止めるだけの若さのある濃厚なボディ。まだ熟成させてもいいでしょうね。
(ドメーヌ・アラン・ブリュモン : Domaine Alain Brumont)


■ France / Cotes du Rhone

10/15/2002



Chateauneuf-du-Pape "La Crau de Ma Mere"
シャトーヌフ・デュ・パプ "ラ・クロー・ド・マ・メール"
シャトーヌフ・デュ・パプ 赤 (グルナッシュ他)
('98 \3,400位)

 ドメーヌ・デュ・ペール・パプはあまり知られていないけれど、高い評価を受ける生産者。ラ・クローという地区はシャトーヌフ・デュ・パプでも最も暑く早熟なテロワールを持つようで、ここからヴィユー・テレグラフ、フォン・ド・ミッシェル、そしてアンリ・ボノーの有名なレゼルブ・デ・セレスタンもここから生まれるという事。パーカーはこのラ・クロー・ド・マ・メール98に92点の評価を与えています。
 中からやや濃いめのルビー。焼いた肉やミネラル。杏、獣香と野性味溢れる香りには熟成感もあり、グラス内に気をそそられる。アタックの酸は強いが、リキュール的な純粋な果実に溶け込むようにキレイなまとまりを見せるバランスの良さ。南仏らしさのある、必要以上に洗練されていないところが好ましいワイン。
(ドメーヌ・デュ・ペール・パプ : Domaine du Pere Pape)


■ France / Sud Ouest

10/5/2002



Jurancon Chateau Jolys Vendanges Tardives
ジュランソン・シャトー・ジョリス・ヴァンダンジュ・タルディヴ
ジュランソン 白甘 (プティ・マンサン種)
('96 \3,800位 375ml)

 南西地方のジュランソン地域は、ピレネー山脈のふもとで、中心都市であるポーの南側と西側に広がる25のコミューンからなります。この地域独自の品種であるプティ・マンサン種、グロ・マンサン種を用い、ソーテルヌにも似た甘口ワインを産出。辛口もありますが、それは「ジュランソン・セック」と呼ばれ区別されます。ジュランソンは貴腐ではないのですが、木についたままの乾燥したブドウを使用します。
 このシャトー・ジョリスの収穫はなんと雪の中で12月25日から開始。凍結したブドウは水分だけ凍り、糖分は氷点下が水分より低いために圧搾の際、甘い部分だけがしたたり落ちる。通常の辛口に対して4〜5分の1だけしか収穫量がないという。
 深みのある黄金色のワインは、ハシバミやハチミツ、熟成した貴腐に間違えそうな複雑なアロマ。リッチでコクのある味わいは、酸も溶けていて十分な甘さもあるのにしつこくない。値段はそこそこするけど、満足感あり。
(ラトリーユ家 : Domaines Latrille)


■ France / Provence

9/27/2002



Bandol Chateau Vannieres
バンドール・シャトー・ヴァニエール
バンドール 赤 (ムルヴェードル95%、グルナッシュ5%)
('90 \8,000位)

 南仏プロヴァンスのバンドールで高い評価を受けるシャトー・ヴァニエール。「バンドールはプロバンス地方のポイヤックである。そしてシャトー・ヴァニエールは最も貴重なドメーヌの一つである」 というヒュー・ジョンソン氏。「多くのワイン通は、ヴァニエールを南仏で農民のドメーヌの1つとして評価することに同意するだろう」と言い、4ッ星を与えるロバート・パーカー氏。畑の広さは31ha、平均樹齢は35年。発酵はバリックで行ない、熟成も一部フードルと呼ばれるオークの大樽を併用。
 エッジは熟成からのレンガ、しかし中央は黒の強いガーネット、粘性のあるレッグ。杏のような赤果実に、スパイス、炭、甘草、枯葉の熟成香。未だ若々しく思えるアルコール感があり、量は多いが丸みを帯びているタンニンが旨い。飲み頃にさしかかった時期で、もう少し熟成させてもいいと思う。
(シャトー・ヴァニエール : Chateau Vannieres)

■ France / Sud Ouest

9/27/2002


Cahors Grezette Cuvee du Printemps
カオール・グルゼット・キュヴェ・デュ・プランタン
カオール 赤 (マルベック他)
('00 \1,200位)

 シャトー・ラグルゼットのオーナーであるアラン・ドミニク・ペラン氏は、かのカルティエ社を含むバンドーム・グループの役員を務め、富と名声を手中にした人物。その傍ら、自身のワイン熱が嵩じて、カオールで5世紀の歴史を持つシャトー・ラグルゼットを購入しました。ペラン氏は、この地区のマルベック種に深い敬意を払い、最高のカオール・ワインを造るべく、最新の設備を導入。そしてミッシェル・ローランをコンサルタントに雇い入れています。
 このキュヴェ・デュ・プランタンは、ラグルゼットのセカンドのような存在なのでしょう。紫の花を思わすボージョレ・ヌーボーのようなフレッシュで甘い香り。カオールのイメージよりも、チャーミングなライトボディの早飲みタイプ。
(シャトー・ラグルゼット / アラン・ドミニク・ペラン : Chateau Lagrezette / Alain Dominique Perrin)


■ France / Languedoc Roussillon

9/17/2002



Mas du Novi Chardonnay (Vin de Pays d'Oc)
マ・デュ・ノヴィ・シャルドネ(ヴァン・ド・ペイ・ドック)
ラングドック 白 (シャルドネ)
('00 \2,000位)

 日本初入荷というオックのシャルドネ。Montagnacという町にあるらしく、黄色い蝋キャップとヴァン・ド・ペイとは思えないボトルの重厚さが非常に興味をそそる。
 黄金を越えて飴色に近い深い色合い。その色から分かるようにトロピカルフルーツ的なボリューム感。パプリカのようなハーブ香もあるけれど、ちゃんとシャルドネらしいアロマ。味わいはきちんと焦点が合って、飲み応えのある果実味と余韻でぴりっとするスパイス的な酸まで美味しい。南仏は面白いです。
(マ・デュ・ノヴィ : Mas du Novi)


■ France / Provence

9/8/2002



Chateau de Beaupre "Collection du Chateau"
シャトー・ド・ボープレ "コレクシオン・ドゥ・シャトー"
コトー・デクス・アン・プロヴァンス 白 (ユニ・ブラン、クレレット、セミヨン他)
('99 \2,500位)

 1739年に建てられ、前庭に4頭のイルカ(ルイ15世の象徴)の像が飾られた噴水を持つプロヴァンス風のシャトー・ド・ボープレ。1890年、エミール・ドゥーブル男爵によって始められたブドウ栽培は、現当主である3代目クリスチァンまで男爵家によって営まれており、有名レストランのワインリストに紹介される他、フランス大統領官邸エリゼ宮にも納められているという。現在、約40haの畑から年間生産量は15000ケース、赤が60%、ロゼ30%、白10%。この「コレクシオン」は上級のスペシャル・キュヴェ(赤もある)。
 ハーブや青草、オリーブや柑橘の風味。白ワインは低温発酵されるということですが、酸も丸く心地よい飲み口。フレッシュ感と柔らかさが上手く調和している素直に美味しい白ワイン。
(シャトー・ド・ボープレ : Chateau de Beaupre)


■ France / Provence

9/1/2002



Chateau Calissanne Clos Victoire
シャトー・カリサンヌ・クロ・ヴィクトワール
コトー・デクサン・プロヴァンス 赤 (シラー60%、カベルネ・ソーヴィニオン40%)
('95 \3,200)

 デクサン・プロヴァンスといえば、トレヴァロンで有名な産地。ここに15haの畑を持つシャトー・カリサンヌ。"Cuvee Prestige"とこの"Clos Victoire"等、評価の高い赤、そしてロゼや白、オリーブ・オイルも造っています。"Clos Victoire"は、平均樹齢25年のシラー60%、カベルネ・ソーヴィニオン40%からなり、それぞれを別に仕込む。約30℃のコントロールされ15〜20日間の発酵、マロラクティック発酵の後、ブレンド。100%新樽にて12〜14ヶ月の熟成。
 端的に言えば「ジャムを割り箸につけて噛んだようなお味」(笑)。深いガーネットはまだ若さのある色あい。主にシラーを感じるアロマは、ブルーベリー・ジャム、黒胡椒、スミレ、やや乾いた生木のアロマ、少しの杉。時間を置くと動物臭が出てくる。ゆったり感のあるボディはある意味、端境期で、構成力のある酸味がまだ熟成できることを語るよう。コスト・パフォーマンスはかなり良いと思います。
(シャトー・カリサンヌ : Chateau Calissanne)


以下、今年「無印良飲」に掲載したものを載せておきます。


■ France / Cotes du Rhone


Cotes du Rhone Villages
コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ
コート・デュ・ローヌ 赤 (グルナッシュ55%、シラー35%、ムールヴェードル10%)
('99 \1,800位)

 BBSにてみこでぶの親爺さんにお薦め頂いたマス・ド・リビアン。このシャトーの所有する畑の土壌はヌフパプ地域に酷似する環境だそうでで、地中1mにも及ぶ石灰岩質の大きな石ころが剥き出しになる畑。グルナッシュの平均樹齢は50年、その収穫量はグルナッシュやシラーで、30〜35hl/ha、ヴィラージュ物にはもっと収穫量の少ないVVのムールヴェードル10%をブレンド。「La Revue du vin de France 2002」にも星4ッ半で激賞されるワインということです。
 BBSで皆さんが書かれていたように、濃いけれど軽やかなワイン。ローヌらしいアロマがいっぱいですが、それぞれが飛び出すとことがなく、渾然一体となった芳しさ。スムースなアタックと、しっとりと艶やかな味わいは果実味に溢れ、すっと一本飲めてしまいます。この価格、本当に嬉しいワインでした!☆
(マス・ド・リビアン : Mas de Libian)


Cotes du Rhone Parallele 45
コート・デュ・ローヌ・パラレル 45
コート・デュ・ローヌ 赤 (グルナッシュ、シラー)
('99 \1,500位)

Cotes du Rhone Parallele 45 Blanc
コート・デュ・ローヌ・パラレル 45 ブラン
コート・デュ・ローヌ 白 (グルナッシュ・ブラン主体、クレレット他)
('00 \1,500位)
 銘酒"エルミタージュ・ラ・シャペル"で有名なローヌ地方を代表する生産者、ポール・ジャブレ。ゲラール・ジャブレ氏が手がけるスタンダードワインがこのパラレル45です。"パラレル45"というネーミングは、ラベルに描かれたそれ以南が「ミディ:南仏」という北緯45°を示すシンボルに由来するということ。
 このワインに初めて出会ったのは、98年に乗ったフィンランド航空の中。機上でも美味しく頂けたワインは今でも安心できる味わい。暖かい南仏の太陽を感じる熟れた黒果実のワイン。この銘柄には白もあって、こちらもなかなか。リンゴ、白い花、低めの酸がゆったり感をもたらしながらも、フレッシュさは忘れていない。双方とも1500円程度で買える旨いデイリー。
(ポール・ジャブレ・エネ : Paul Jaboulet Aine)


Grand Ardeche Chardonnay (Vin de Pay des Coteaux de l'Ardeche)
グラン・アルディッシュ・シャルドネ (ヴァン・ド・ペイ・デ・コトー・ド・ラルディッシュ)
コトー・ド・ラルディッシュ 白 (シャルドネ)
('99 \2,000位)

 ブルゴーニュで長い歴史を持つルイ・ラトゥールが、ローヌ河中流域右岸コトー・ド・ラルディッシュにて造るシャルドネ。
 以前にも取り上げたワインですが、最新ヴィンテージも美味しい。南仏らしいボリューム感のある果実、バニラ香、熟れた桃といった分かりやすいアロマが心地よく、洗練されたブルゴーニュの白に、少し新世界のテイストを加えたという感じ。同社のムルソー、ピュリニー、シャサーニュなどと比べましたが、価格を考えるとベスト・バイ。安いところでは2000円以下で購入することが出来ます。




■ France / Languedoc Roussillon


Habilis de Paul Louis Eugene
アビリ・ド・ポール・ルイ・ウジェンヌ
ミネルヴォア近郊 赤 (カリニャン100%)
('98 \3,000位)

 ポール・ルイ・ウジェンヌは南仏はミネルヴォア周辺に5haの畑を持ち、約15種類ブドウを植え、すべてヴァン・ド・ターブルとして出荷する生産者。当主ポール・デュラン氏は「素晴らしいワインを造るために最も必要なこと?貧乏に耐えることだね」と言い、稼いだお金のほとんどを畑や醸造設備に投資、自分は野草や家畜を食料に自給自足に近い生活をしているという。農薬や化学肥料は使用せず、2月下旬に剪定をし一株につき芽を僅かに2つだけ残します(通常、剪定は8月頃に行い、低収量の造り手でも最低6から8つ程度の芽を残す)。古樽を使い36〜48ヶ月という長期熟成。その間の澱引きはせず、清澄・濾過をせずにビン詰め。SO2の添加は僅か9mg。このアビリはカリニャン100%という珍しいワインで、なんと大樽で4年間熟成させたもの。総生産量3500本、日本には僅か25ケースの入荷。
 非常に深いガーネットをしているワインはカリニャンという品種をよく表現しているのでしょう。長い熟成にも関わらずブドウのフレッシュなアロマ、甘草、ハーブ、そしてウイスキー入りチョコのような香り。印象的な口中での酸度は、カリニャンが何故に南仏で栽培されるのかを物語るよう。抜栓後、時間を置いた方がコクが増していく。カリニャン100%ですので独特な味わいですが、素晴らしいヴァン・ド・ターブルだと思います。
(ポール・ルイ・ウジェンヌ / ポール・デュラン : Paul Louis Eugene / Paul Durand)Vin de Table


Mas Montel Viognier-Muscat (Vin de Pay d'Oc)
マス・モンテル・ヴィオニエ・ミュスカ (ヴァン・ド・ペイ・ドック)
ラングドック 白 (ヴィオニエ80%、ミュスカ20%)
('97 \2,500位)

 ラングドックでもニームに近い所に畑を所有し、シラーを主体にしたトップ・キュヴェ「Mas Granier」や「Cuvee Jericho」などの評判も高いマス・モンテル。これは自家消費用ワインと言える白ワインで、ヴィオニエ種単独のボディの薄さをミュスカ種の配合で補うというグラニエ氏のマジックというワイン。残念ながらこの銘柄は畑の改殖で97がラスト・ヴィンテージとなった。
 ファースト・ノーズでヴィオニエのミルキーで華やかな香り。その後にちゃんとマスカットぽいアロマが出て、ほんとに旨そうな香り。夏に飲んだので、やや酸が低い感じもしたのですが、しっかりしたボディでとても飲み応えのあるワイン。美味しいです。
(セリエ・ド・マス・モンテル / グラニエ : Cellier de Mas Montel / E.A.R.L.Granier)


Mas de Daumas Gassac (Vin de Pays de l'Herault)
マス・ド・ドマス・ガサック(ヴァン・ド・ペイ・ド・ラロー)
ラングドック 赤 (カベルネ・ソーヴィニオン80%他)
('98 \3,500位)

 「ラングドックの特級ワイン」「南仏のラフィット」などと呼ばれる偉大なヴァン・ド・ペイ。中世ではアニアン修道院の農園だったという土地をギルベール夫妻が買取ったのが1970年。ボルドー大学の偉大な地質学者アンリ・オンジャン氏の「コート・ドールに似た土壌、ボルドーに似た気候」という助言を得、様々な品種を栽培、そして醸造はボルドー大学のエミール・ペイノー教授の指導を仰ぐ。
 現在所有畑の面積は約35ha、そのうち最高峰のマス・ド・マス・ガサック用が22ha、年産約10万本。コトー・デュ・ラングドックのほぼ中央、アニアンという村にあるドメーヌ。昨今、この地にカリフォルニアのロバート・モンダヴィが広大な土地を買収し、地元の人々から環境破壊だと猛反対を受けていますが、モンダヴィがこの地に目をつけたのは、マス・ド・マス・ガサックの成功が大きな要因だったとか。
 鮮明な濃い目のガーネットをしたボルドー・スタイル。セージ、コリアンダー、小粒のカシス。南にありがちな緩んだ部分がなく、きっちりとした枠組のミディアム・フル。余韻での密で細やかなタンニン、ドライなフィニッシュ。ラングドックと思えないほどの高い品位を感じるワイン。
(ムーラン・ド・ガサック : Moulin de Gassac)


Moulin de Ciffre Val Taurou (Vin de Pays des Coteaux de Murviel)
ムーラン・ド・シフル・ヴァル・トロー(ヴァン・ド・ペイ・デ・コトー・ド・ミュルヴィール)
コトー・ド・ミュルヴィール 赤 (カベルネ・ソーヴィニオン50%、シラー50%)
('98 \2,200)

 2002年3月発売のワイナート誌No.14の中「ラングドック・ルーションのバリューワイン155」でベスト1に選ばれたワイン。フォジェールに居を構えるレジノー夫妻は、元ボルドー、グラーヴ地区のシャトー・オーナーで、ラングドックに新天地を求め、移住したという事。35hl/haという低い収量、ワインの2/3を樽で、1/3をタンクで12ヶ月熟成。98年産が初めての出荷。
 とても滑らかで「凝縮」というより「濃縮」といった感じ。ワイナート誌のコメント通り、クレーム・ド・カシスのアロマの奥にミント系の香り。カベルネ・ソーヴィニオンとシラーが半々だそうですが、完熟したふくよかなカベルネにシラーの綺麗な酸がマッチしている印象。さすがNo.1ワイン!
(ムーラン・ド・シフル : Moulin de Ciffre)


Ch. Puech-Haut Tete de Cuvee
シャトー・プシェ・オー・テート・ド・キュヴェ
ACコトー・デュ・ラングドック 赤 (シラー65%、カリニャン25%、グルナッシュ10%)
('99 \2,980)

 このワインもワイナート誌No.14「ラングドック・ルーションのバリューワイン155」で堂々第二位に選出されたもの。ジェラール・ブリュ氏は元大企業オーナーで、築きあげた財産を故郷でのワイン造りに賭けた人。1981年、ACコトー・デュ・ラングドックに含まれる12のクリュの中で最も小さいサン・ドレゼリーに15haのブドウ畑を購入。1993年には超近代的な醸造所を建設し、1998年には50haの畑を持つまでになります。収量25hl/ha。シラーとグルナッシュは5週間の長期発酵、カリニャンは21日間マセラシオン・カルボニックにて発酵。14ヶ月の樽熟、そのうち25%が新樽。
 深々とした黒に近い色合い、長くねっとりとしたレッグを持つワインは、外観だけで濃厚。ラングドックの熟れた果実、ボリュームたっぷりながら酸がクリーンで、バランス感が素晴らしい。なんだかグイグイ飲めてしまう。上のワインと同じく、とても現代的なイメージ、これからの南仏、そのポテンシャルを表現したワインでしょう。
(シャトー・プシェ・オー : Ch. Puech-Haut)




■ France / Loire


La Tesniere Pineau d'Aunis (Vin de Pay du Jardin de la France)
ラ・テスニエール・ピノ・ドニス (ヴァン・ド・ペイ・デュ・ジャルダン・ド・ラ・フランス)
ロワール 赤 (ピノ・ドニス)
('00 \1,800位)

Romorantin (Vin de Pay du Jardin de la France)
ロモランタン (ヴァン・ド・ペイ・デュ・ジャルダン・ド・ラ・フランス)
ロワール 白 (ロモランタン)
('00 \1,800位)

 今ロワールでひそかに注目を集めるティエリー・ピュズラのワイン。ここのワインは全てバイオ・ダイナミック、醸造はどの品種も同じで天然酵母による発酵、ステンレスタンクで軽くマロラティックを行いますが、葡萄の味わいを出来るだけ自然にまかせ、自然に忠実に作られるということ。
 ピノ・ドニス : あまり聞かないブドウ品種ですね。別名シュナン・ノワールと言い、ロワール固有の黒ブドウなのですが、やはりカベルネ・フラン等に植替えが進んでいる品種。しかし、ティエリー・ピュズラはこうした固有品種をかたくなに守り続けているそうです。ワインは、淡いルビー色をしており、いちご、チェリーのジャムといったアロマティックで品の良いピノ・ノワール系の甘さ。一口飲むと「野生」を感じるしっかりした味わいにビックリ。独特のアルコール感と熱く感じる余韻。アロマと味わいの対比がユニークなワイン。ワイン好きにブラインドで飲ませたら・・・「いい具合に熟成したピノ・ノワールだねぇ」なんて言いそう(笑)。
 ロモランタン : 1519年、フランソワ1世によって植えられ、以前は北部フランスで栽培されていたロモランタン種も、今では急速に姿を消しているようです。ほんのりと密、栗や金柑に似た和風なアロマが不思議。濃い黄金色、ナチュラルでミネラル感のあるボディで、余韻ではロワールらしいきっちりとした酸と春の山菜を思わすような苦味。非常に個性的、熟成したシャルドネの雰囲気もあります。
(ティエリー・ピュズラ : Thierry Puzelat)



■ France / Savoie


Vin de Savoie Mondeuse Tradition
ヴァン・ド・サヴィワ・モンドゥーズ・トラディション

サヴォワ 赤(モンドゥーズ・ノワール)
('97 \3,300位)

 サヴォワはスイスとの国境に近く、レマン湖の岸とローヌ川、イーゼル川沿いある約1500haの栽培面積を持つ産地。白ワインが全体の7割を占め、残りは赤とロゼ。地理的にもスイスで多く消費されているようで、白ワインはチーズ・フォンデュに合うとも言われます。
 有機栽培を実践するということで気になっていたプリューレ・サン・クリストフ。意外ともいえるほどの深い紅色。フレッシュ感のあるチェリーやスモモの香りとアルコール香。「ミディアムライトの気持ちよいワインだな」と思っていると、酸味が和らぐにつれ、スパイスのニュアンスが増し、果実味にパワーを感じるように。
 山本博氏いわく「この地方独自の赤ワイン品種であるモンドゥーズ・ノワールはきわめて大きな可能性を秘めた品種で、この数年間に素晴らしいボトルを何本か試飲した」ということ。なるほど、これからサヴォワも要チェックです。
(ドメーヌ・プリューレ・サン・クリストフ : Domaine Prieure Saint Christophe / Domaine Roselyne et Michel Grisard)


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