New Arrival
その他の国々 2002年9月-12月

■ Argentine / Mendoza

12/12/2002



Alta Vista Alto
アルタ・ヴィスタ・アルト
メンドーサ 赤 (マルベック80%、カベルネ・ソーヴィニオン20%)
('98 \6,000位)

 ポムロールのシャトー・クリネをはじめ、数多くのワインを手掛けていたジャン・ミッシェル・アルコートが1998年、アルゼンチンに興したワイナリー。アルゼンチンで重きを置かれるマルベックを主体とし、100%の新樽にて約16ヶ月の熟成。残念ながらアルコート氏は急逝したので、現在はガム・オーディ社の共同経営者でもあるパトリック・ドウラン氏が引き継いでいる。
 赤紫の色調で、アルコールの高い凝縮したアロマは華やか。冷涼な気候を感じるワインは、マルベックという事を意識させない流麗な果実に、梅系の酸が余韻まですっきりと終わらせる上品さ。価格は高いと思うが、これからアルゼンチンが目指す方向性を示すワインなのかもしれない。
(アルタ・ヴィスタ / ガム・オーディ社 : Alta Vista)


■ Spain / Alicante

12/9/2002



Al
アル
アリカンテ 赤 (モナストレル主体)
('01 \1,100位)

 近年、非常に人気の高いテルモ・ロドリゲスが、スペイン南東部にある港町、アリカンテのモナストレル種(ムールヴェードルのスペイン名)から造るワイン。このワイナリーのオーナーの息子と、トロで一緒に仕事をした事が、このワインを造るきっかけになったとか。
 ボージョレのような軽やかさと素朴さ。チェリーやいちご、赤い花の香と、すっと終わる余韻が可愛いミディアム・ライト。
(テルモ・ロドリゲス : Telmo Rodriguez)


■ Spain / Ribera del Duero

11/30/2002



Tinto Valbuena 5.°
ティント・ヴァルブエナ・キント
リベラ・デル・ドゥエロ 赤 (テンプラニーリョ主体)
('95 \11,000位)

 スペイン最高峰のワイン「ウニコ」のセカンドワイン的存在で、少なくとも樹齢20〜25年のブドウを使用し収穫から5年を経てリリースされるワインです。(5.°: キントとはこの意味。)2000Lの大樽で6〜12ヶ月、新樽225Lで6〜8ヶ月、古樽で16〜24ヶ月間過ごし、さらに瓶内熟成が約2年。1984、1993年はウニコは造られず、ウニコのブドウはヴァルブエナにまわりました。ウニコについてはこちらをご覧下さい。
 新たに造られた「アリオン」が果実のボリュームを持つ新世界的な味わいなのに対し、このヴァルブエナはウニコの血筋を引いているという事でしょう。古さの見えない鮮やかな赤紫のワインは、小粒の赤いスパイス、八角、少しの獣香といった静かな個性。香り、味わい共に、どこか東洋風で中華に合わせたいと思わせ、辛味と苦味のある細やかなタンニンが大人の風情。もし「ウニコ」という大看板がなければ、この価格は高すぎると思いますが、まだ寝かせる価値があるとも思う。フィネスというには大袈裟か?
(ボデガス・イ・ヴィニュドス・ベガ・シシリア : Bodegas y Vinedos Vega Sicilia)


■ Spain / Rioja

11/17/2002



AGE Bodegas Unidas
アヘ・ボデガス・ウニダス

リオハ 赤 (テンプラニーリョ主体)
('54 -)

 アヘ社は現在「シグロ」や「アヘッシモ」という銘柄でも有名なスペインの大ボデガ。しかしここは1960年代に3つのボデガが一緒になって、その頭文字である「AGE」と付けたというから、1954は多分合併前の古いストックをAGEのラベルで蔵出しさせたものかもしれません。
 コルクの状態から多分ノン・リコルクですが、約半世紀を経たワインとは思えないほどの、若々しさを持つスペイン古酒。年代物のポートに間違えそうなブーケが素晴らしく、ドライな花束の華やかさ。綺麗に年を追った果実は繊細さの中に、スペインらしいこってりとした質感を残す。なかなかこういう古酒に出会えない状態のよさ。1954生まれの方に飲ませてあげたいと感じた一本。
(アヘ・ボデガス・ウニダス : AGE Bodegas Unidas S.A.)


■ Spain / Toro

11/9/2002



Pago la Jara Gago
パゴ・ラ・ハラ・ガーゴ

トロ 赤 (テンプラニーリョ100%)
('99 \5,000位)

 2001年12月に特集したテルモ・ロドリゲスのワイン。1994年以来、トロ地区のボデガス・トレサナスの醸造所を借り、開放型発酵樽やバリックを持ち込みワインを造り始めたもの。パゴ・ラ・ハラはガーゴのプレステージワインで、昨年リベラ・デル・ドゥエロにて行われた試飲会であのウニコを抜く評価を受けたとか。樹齢67〜70年のブドウを用いバリック熟成17ヶ月。
 濃さのある赤紫の外観から分かるように、様々なフルーツのコンポートの甘さ。練れたタンニンを持つ柔らかなボディ。曇りのない旨さにフォーカスされたワインは、なるほど新時代のスペインだと思う。ボトルに直接彫られた「g」もかっこいい。
(Telmo Rodriguez - Bodegas Toresanas)


■ Japan / Yamanashi

10/15/2002



Rubaiyat Koshu Barrel Aged
ルバイヤート 甲州樽貯蔵

山梨県勝沼 白(甲州)
('99 \2,000位)

Rubaiyat Petit Verdot
ルバイヤート・プティ・ヴェルド

山梨県勝沼 赤(プティ・ヴェルド他)
('98 \4,000位)

 1890年、創業者大村治作氏により山梨県勝沼に創立された丸藤(マルフジ)葡萄酒工業は、以来親子4代、ワイン造りに携わる。ブランド名「ルバイヤート」は、酒と美女を讃えたペルシャの四行詩集に由来し、詩人日夏耿之介の命名によるもの。現当主大村春夫氏は、伝統の辛口甲州をはじめ、カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルネなどの欧州の代表品種の栽培・醸造を試み「世界に誇る日本のワイン」を目指す。
 甲州樽貯蔵 : 勝沼産甲州種100%使用、1,800本限定醸造。レモン色にややグリーンがかった色調ながら、レッグの強い外観に熟したワインが見てとれます。やわらかく心地よいフルーツ、ミネラル香に可愛い甘味のある香り。溌剌とした辛口の味わいで、余韻の渋みが甲州種の良さを示しているようです。
 プティ・ヴェルド : 北畑収穫、プティ・ヴェルド100%、309本限定醸造。「収量を制限し収穫もギリギリまで待ち、凝縮した果実味のあるプティヴェルドーが収穫できた。一部、試験園のカベルネ・ソーヴィ二ヨンもアサンブラージュしている。」ということ。プティ・ヴェルド88%、カベルネ・ソーヴィ二ヨン12%、新樽100%にて12ヶ月の樽熟成。
 ボルドーにおいては補助品種として用いられるプティ・ヴェルド主体のワイン。土や黒胡椒の風味が交ざる、ブラックベリーのアロマ。ギッシリとしたタンニンが感じられるが、アルコールの浮遊感が心地よいボルドー・スタイル。プティ・ヴェルドという品種はカベルネよりも晩熟だと聞いた事があるけれど、この品種を日本で育てるのは想像を絶する忍耐と信念が必要なのではと考えてしまう。
 「瞬のワイン」で日本のワインが取り上げられた時、イメージとなったのは、大村氏だという事。勝沼に行く事があれば、最初に訪ねてみたいワイナリー。大村氏はBVCにもご入会して下さっています、感謝!
丸藤葡萄酒工業


■ Spain / Penedes

10/1/2002



Jaume Serra Tinto Reserva
ハウメ・セラ・ティント・レゼルバ
ペネデス 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン、テンプラニーニョ)
('95 \1,300位)

 スペイン東部のペネデス産。以前、90ヴィンテージが美味しくてかなり気に入っていましたが、この95年もGOOD。明るめの奇麗なルビー色で、軽く煮詰めたイチゴに、枯葉、木、タバコなどのスペインらしい香り。カベルネとテンプラニーニョがうまく溶け合って、マイルドな仕上がり。飲めばホッとする、重さはなくとも旨いワイン。スペインに抵抗がなければ是非お薦めしたいデイリー。


■ Spain / La Mancha

9/21/2002



Estola Reserva
エストーラ・リゼルヴァ

ラ・マンチャ 赤 (テンプラニーリョ主体)
('92 \1,200位)

 スペイン中央部、ラ・マンチャ地方の老舗のワイナリー、ボデガス・アジュソのリゼルヴァ。エッジに少々レンガが入る程度の鮮やかなガーネット・ルビー。赤い花、スペインらしいヨード香、なめし革的な熟成香が出始めた時期。瑞々しい果実はミディアムからライトですが、細く長い酸とチェリー系の果実は好印象。全体的に10年も経ったワインとは思えない若々しさ。スペインってよく持つなぁ。
(ボデガス・アジュソ : Bodegas Ayuso)


■ Chile / Central Valley

9/8/2002



Montes Folly
モンテス・フォリー

コルチャグア・ヴァレー 赤 (シラー)
('00 \8,500位)

 1988年に「チリ産プレミアム・クオリティ・ワインを造る」という志を持つ4人の出資者によって設立されたモンテス・アルファ。「モンテス・アルファ・エム」も話題になりましたが、シラーを使った新たなプレミアム・キュヴェがこのモンテス・フォリー。輸入元エノテカさんの説明を記しておきます。
 「アタルタ・ヴァレーにある畑、ラ・フィンカ・デ・アパルタの高度の高い斜面にフランス産シラーが植えられ、斜度は場所によって45度に達する。DO(原産地呼称)はサンタ・クルーズ・ヴァレー(コルチャグア)。ここで造られる葡萄は果実も房もかなり小さく、斜面の低いところにある畑で造られる葡萄より凝縮しており、色合いが濃く、複雑でパワーがあり、アルコール分14%以上というモンテス・フォリーが生まれる。葡萄はすべて手摘みされ、収穫量は1haあたり4トン以下。発酵は、天然酵母、熟成は18ヶ月、100%フランス産のオーク樽によって行われる。生産量はわずか9000本。」
 黒に近い赤紫、ねっとりとしたレッグ。グラスからせり出すアロマは、完熟したプルーンやカシス、黒胡椒、バニラ、果物の甘。これだけ濃密な大柄な果実を整える酸、そしてハーヴィーな感触が洗練された味わい。タンニンはまだ荒い部分、少々置いておきたい。チリのポテンシャルを感じさせる素晴らしいシラー。
(モンテス社 : Montes S.A.)


Echeverria Family Reserve Cabernet Sauvignon
エチェベリア・ファミリー・リザーブ・カベルネ・ソーヴィニオン

クリコ・ヴァレー 赤 (カベルネ・ソーヴィニオン)
('98 \5,000位)

Echeverria Family Reserve Chardonnay
エチェベリア・ファミリー・リザーブ・シャルドネ

クリコ・ヴァレー 白 (シャルドネ)
('99 \5,000位)

Echeverria Sauvignon Blanc Special Selection
エチェベリア・ソーヴィニヨン・ブラン・スペシャル・セレクション

クリコ・ヴァレー 白甘 (ソーヴィニヨン・ブラン)
('99 \3,500位 375ml)

 エチェベリアはセントラルヴァレーの中央、クリコヴァレー・モリナ地区にあるワイナリー。300年前にスペインのバスク地方から移住してきたエチェベリア家は「良いブドウを作ることが良いワインを作ること」が信念。チリでは珍しくすべて自社畑(80ha)からワインを生産。13代目オーナーのロベルト氏は、毎日のように自分の目でブドウの木をチェック。総生産量の95%が海外へ輸出され、世界中で評判の高まった今日でも、ブドウ畑をこれ以上大きくするつもりはないという。ワイナリーの上級ラインがこのファミリー・リザーブ。
 カベルネ : 深い赤紫色。ブラックベリーにスパイス、ややピーマンが入るアロマ。十分なフルーツ系ボディは輪郭と深みがあり、しっとり落ち着いた風格。一口飲んで「高級感」を漂わすあたり、さすがのプレステージ。
 シャルドネ : 緑色の強い若さのある色合い。これは外交的ないかにも新世界のシャルドネ。ミルキーな甘さがあり、主張の強いボリューム溢れる果実味。
 ソーヴィニヨン・ブラン : 以前、ワイナート誌のチリ特集において、デザートワインの最高峰として絶賛されていたエチェベリアの貴腐ワイン。通常の収穫時期から約2ヶ月後に貴腐菌のついたブドウを摘みとるということ。マーマレード風味の純粋な甘さ。厚みのあるボディと酸のバランスが絶妙、現時点ですごく美味しい。焦点の定まったナチュラルで複雑な甘口。
(ヴィーニャ・エチェベリア : Vina Echeverria)エチュベリア エチベリア


■ Slovenija

9/1/2002


 近年、ワイン業界の中でも徐々に注目を集める東欧圏を中心としたワイン達。社会主義の下で世界市場に出回らなかったものが、ソ連の崩壊と共に流出しはじめたのが数年前。これからのワイン・トレンドとしても注目の価値あり。


 1991年、旧ユーゴスラビアから独立したスロヴェニアは、紀元前6世紀頃からというワイン造りの歴史を持つ国。国民一人当たりの消費量も多く、世界第七位。
 2001年5月、藤小西様が主催された「スロベニアワイン会」出席させていただきました。多くのワインを体験でき、その個性の多彩さと東欧の実力を知ることができました。イタリア、ハンガリー、オーストリア、クロアチアに囲まれた国、基本的にワイン造りの技術のあった国であること、そして独立を機に海外からの資本投下も行われ、年々質が向上している事が伺われます。若いワインは近代的でフレッシュな心地よさ、そして歴史の古い国であることを証明するオールドヴィンテージの素晴らしさには、感激です。非常に高い将来性を感じる国。

 この国については、藤小西様のHPにて詳しく掲載されていますので、是非ご覧になって下さい。

スロヴェニアワインについて

スロヴェニアワインのリスト


■ Romania

9/1/2002



Feteasca Alba
フェテアスカ・アルバ

デヤルル・マレ地区 白 (フェテアスカ・アルバ)
('94 \2,000位)

 スロヴェニアと同じく、古いワイン造りの歴史を持つルーマニアですが、今まではソビエトへのワイン供給国として機能していたため、あまり目立たなかった国。もともとポテンシャルのある国のようなので、これからが期待。このフェテアスカ・アルバ種はルーマニア2番目に多く栽培されているブドウ品種です。
 ラベル代わりに首にかけられた説明を見ると「Medium dry white wine」と書いてある。ほんのりと蜜、黄色い花や青草の爽やかさ、スモークのアロマもある。1994年というヴィンテージにして、とても溌剌とした酸味で、発泡酒ではないのに炭酸飲料を飲んだ後のようなオレンジや柑橘系の余韻が面白い。夏に美味しい白です。
(ブクル・ヴィラ : Bucur Villa / Wine Reserch Institute)


Sienna Merlot Premium Oak
シエナ・メルロー・プレミアム・オーク

ヴァンジュ・マーレ 赤 (メルロー100%)
('99 \1,700位)

 ルーマニアでも近年新しい動きが見られ、カベルネ・ソーヴィニオンやシャルドネ等の外来品種にも力を入れだしているようです。そんな一例がこのメルローで、甘いバニラ香、温かささえ感じる柔らかで濃縮感のある味わいはちょっとビックリ。あまりにも分かり易い美味しさなので、どこかわざとらしい風にも思えますが、こってりめのワインが好きな方にはお薦め。まさかルーマニアとは思わない一本。
(テラス・ダヌビアンヌ : Terase Danubiane)


■ Lebanon

9/1/2002



Ch. Musar
シャトー・ミュザール

レバノン 赤 (サンソー、カリニャン、カベルネ・ソーヴィニオン)
('88 \5,000位)

 レバノンの隠れた銘酒シャトー・ミュザール。所有者のセルジュ・オシャール氏は、ボルドー大学で醸造学を学び、イギリスのデキャンター誌の「マン・オブ・ザ・イヤー」にまで選ばれた人物。初めてこのワイン(89年)を飲んだ時は「面白いワインだなぁ」と思いました。サンソーやカリニャンという品種を用い、発酵後一年間セメントタンクで熟成させてから、樽熟に移るため、特有の熟成香を帯びるようです。
 ややレンガの入る赤いルビー色のワインは、88と共通したニュアンス。ロースト香、タール、ミックススパイス、紅茶の葉、石灰。金属的なイメージに酸化熟成された香り。

 以前、感想をアップさせた時に「ブランイドだったら古いバローロと言うかも?」と書いたのですが、今回のこのワイン、まさしくブラインドで「古めのバローロ?」と言ってしまいました(笑)。独特なワインなので、かなり近い線までいったのですが、レバノンが出てこないのは悔しい。しかし、ブラインドでこれを出す人もいぢわるです。
(ガストン・オシャール : Gaston Hochar)


■ Greek

9/1/2002


Retsina
レッチーナ

ギリシア 白 (サヴァティアノ)
(\1,000位)

 「ワインの故郷」ギリシャでは、エーゲ海に浮かぶ島々を含め、全土でワインが造られます。この国の生産量の約4割を占めるのがこのレッチーナ。かつてワインを運搬したり貯蔵したりする時に使用されたアンフォラの壷口を封じるために使われた松ヤニが、ワインの中に溶け込んだ事を名残とするギリシャの代表的なワイン。
 まさに松ヤニの香り、ギリシャ国内では人気が高いというが、私にはよく分からない。ソムリエ試験を受ける人はこの名前だけは覚えておいた方がいい(笑)。
(Creta Olympias)


■ Tunisia

9/1/2002


Domaine Magon Merlot 50 Anniversaire
ドメーヌ・マゴン・メルロー 50周年記念ボトル

チュニジア 赤 (メルロー)
('97 \1,500位)

 北アフリカのチュニジアは、地中海に面したボン岬、カルタゴ、モルナグ等でワイン造りが行われています。10年前には5万haのブドウ栽培面積がありましたが、現在では約9000haに絞込み、クオリティーの向上に取り組んでいるということ。1/3がフランスに輸出され、そのほとんどがバルク(樽)で売られていますが、近年では少しづつ、小量生産のブティックワイナリーも出現していて、楽しみな国。
 U.C.C.V.は首都チュニスに本拠を置く協同組合。このメルローもよく出来ていて、柔らかな酒質の中にも旨味があり、しっかりと造られたワインであることが分かります。個人的にはややアメリカンオークの香りが強いのが気になりますが、チュニジアに目を向けたくなるワインです。
(チュニジアワイン協同組合醸造所 : U.C.C.V.)


以下、今年「無印良飲」に掲載したものを載せておきます。


■ Spain / La Mancha


El Vinculo
エル・ヴィンクロ
ラ・マンチャ 赤 (テンプラニーリョ100%)
('99 \2,600位)

 ラ・マンチャがあるスペイン中央部、メセタと呼ばれる果てしなく続く高原には、約60万haという広大なブドウ畑が広がり、スペインの全ワイン生産量の半数がここから産出されています。この地に多いのが、白ブドウのアイレン種で、このブドウ品種の栽培面積は、世界中で一番多い。

 いわば日常消費用の白ワイン生産地と思われていたラ・マンチャで、「ペスケラ」のアレハンドロ・フェルナンデスが赤ワインをリリースすると聞いた時は、不思議に思いながらも興味津々。アレハンドロはデエーサ・ラ・グランハ農園を復活させる時、ブドウを植樹する権利を得るためにラ・マンチャの畑を広範囲にわたって探し回りました。その際、ラ・マンチャの地に古いテンプラニーリョの樹を発見し、その可能性を見出したと言います。テンプラニーリョ100%、ステンレスタンクで発酵、マロラクティック発酵を経て、オーク樽で16ヶ月の熟成。エル・ヴィンクロとは「団結、絆」の意。

 黒々とした色調。カシス、プルーンといった黒果実、甘さのあるバニラ香。アタックに微発泡っぽい特徴的な酸味が白ワインを思わす。この価格としては十分に凝縮した果実をその酸が飲みやすくしています。これは期待以上!
(ボデガス・アレハンドロ・フェルナンデス : Bodegas Alejandro Fernandez)




■ Chile


Torreon de Paredes Chardonnay Reserve
トレオン・デ・パレデス・シャルドネ・レセルヴァ
レンゴ 白 (シャルドネ)
('99 \1,750位)

 トレオン・デ・パレデス社は、150haの自家農園を所有し、創設者の名前を冠した「ドン・アマド」をはじめ、世界のワインコンクールで数々の賞に輝いているワイナリー。レンゴ : Rengo というDO(チリの原産地呼称)はあまり聞き慣れませんが、中央地方のラペル・ヴァレーの中のエリア、アンデス山脈の麗レンゴ市にワイナリーがあるようです。

 ブラインドで飲んで「ソーヴィニヨン・ブラン?」と言ったワイン(笑)。リングもそれほど厚くなく、若々しさのある淡い緑がかった色調。グレープフルーツとハーブの爽やかなアロマ。酸と果実のバランスがとてもいい。飲みなれたシャルドネとは違うのですが、素直に美味しいと言えるワイン。このワイナリーのポテンシャルは分かりませんが、最近のチリワインは、前のようにただボリュームあるものではなく、洗練されたスタイルのものも増えているのでしょうね。
(Torreon de Paredes : トレオン・デ・パレデス)




■ Austria / Burgenland


Chardonnay "Darsho"
シャルドネ・ダールショー
ノイジードラーゼ地域 白 (シャルドネ)
('99 \2,600位)

 ちょっと驚いたオーストリアを紹介。オーストリアはあまり飲む機会がありませんが、通常ドイツに似た白ワインのイメージが強い国。しかしこれはシャルドネなんです。
 ブルゲンラント地方のノイジードラーゼという地域、その中のApetlon(アペトロン)という町にあるヴァイングート・フェリッヒ。お爺様の代から3代に渡りワイン造りを行っており、最初は地の品種が畑に植わっておりましたが、良いワインを造ろう最終的に選んだのがシャルドネだったということ。オーストリア最高のシャルドネと評されるワイ唐ヘ、かのジャンシス・ロビンソン女史も「ブラボー!」と誉め称えたとか。(←ジャンシスにそう言われると放っておけない、笑)

 "Tiglat"とこの"Darsho"というキュヴェがあり、こちらは廉価な方ですが、これが旨い!濃い麦藁、アプリコット、練れたフルーツ香が強いためイヤミにならない程度に感じるハニーとバニラ。洗練されたブルゴーニュ・スタイルに近年流行りのNZのミネラル、透明感をプラスしたイメージ。この価格、だまされたと思って飲んでみて下さい。上級キュヴェ"Tiglat"(虎の意味)を開けるのが楽しみ。
(ヴァイングート・フェリッヒ : Weingut Velich)




■ Portugal


Quinta do Vesuvio Vintage Port
キンタ・ド・ヴェスヴィオ・ヴィンテージ・ポート

ドウロ川流域 ポート (トーリガ・ナシオナール他)
('98 \9,000位)

 キンタ・ド・ヴェスヴィオはドウロ川上流にある19世紀から続く歴史のあるブドウ園。現在はダウやグラハムといった最上のシッパーを所有するイギリスのシミントン(Symington)によって運営されています。
 丸の内にある有名フレンチに行った時、デザートワインとしてお願いしたシングル・キンタ・ポート。このポート1998年産と非常に若い!ヴィンテージ・ポートは熟成させなければいけないという先入観があるため、少し驚いたのです。お話によると、これは新樽で熟成されており、若いうちから楽しめる新しい風潮のポートらしい。
 これが美味しいワインで、薫香にバニラ、ビターチョコのアロマ。純粋でフレッシュな果実感とほどほどの甘さ、上品な酸が一体となって心地よい。食後のデザートと一緒に食すのなら、こういう飲み方もいいなぁと思いました。レイト・ボトルドの若めのものを頂くことはありましたが、ヴィンテージ・ポートをこうした形で供出されたのは初めて。ソムリエ氏の力量と柔軟性に驚いた一本。
(キンタ・ド・ヴェスヴィオ社)




■ Israel


Margalit Cabernet Sauvignon
マルガリット・カベルネ・ソーヴィニオン

イスラエル 赤 (カベルネ・ソーヴィニオン)
('94 -)

 実はこのワイン、1999年の夏に飲んだもの。当時、ある友人がお土産にもらったという事で「それがイスラエルのワインなんだよね」という言葉に半信半疑だった私。ところが飲んでみると意外にイケル。深いルビー色をしてて、カシスやプラムの黒果実の風味は、親しみやすい新世界のカベルネのよう。ミディアムからフルボディで、コクとまろやかさがあって、とても美味しい。でも素性も分からないワインなんで、HPに載せるわけにもいかないなぁと思っていたんです。

 2000年の12月に発行された「田崎真也のワインライフ」をめくっていると、なんと田崎氏が「世界のベストワイン64」の中にイスラエルのワインを2本も取り上げているではありませんか!そしてこのマルガリット社のスペシャル・リザーブを紹介されていてビックリ。

 マルガリットのオーナー、イエール・マルガリット氏は、カリフォルニア大学の醸造学の講師をした後、イスラエルに戻りワインを造り始め、89年より市場に出しているということです。誌面で取り上げられていたスペシャル・リザーブは、イスラエル国内でも3万円程度する超高級品の様子。このカベルネ・ソーヴィニオンはそこまで高価ではないでしょうが、他国に負けない品質を感じたことは確か。実際、イスラエルはワインの栽培、醸造の発祥地とも言われますし、侮れない存在なのかもしれませんね。
(マルガリット : Margalit)


Yarden Heights Wine Dessert Galilee
ヤーデン・ハイツ・ワイン・デザート・ギャリレ
イスラエル 白 (ゲヴュルツトラミネール)
('99 \4,000位 375ml)

 またまたイスラエルのワインの紹介。イスラエルのワイン造りは約四千年前に遡り、ワインの栽培、醸造の発祥地とも言われますが、現在では、北部に位置するゴラン高原を中心に、高品質なワインを生み出すブティック・ワイナリーが活躍しています。ヤルデンは、ゴラン高原一体に葡萄畑を持つ「ゴラン・ハイツ・ワイナリー」のプレミアムブランド。シリア国境に近い標高1200メートルの高原地帯では、恵まれた気象条件のもと、イスラエル最高のワインが生産されています。
 ヤルデンのデザートワインにはビックリ。ゲヴュルツトラミネールから生まれる甘口は、ライチっぽいフルーツ香、心地よい甘さと旨味を持つワイン。価格は決して安くないですが、十分に納得させられる品質。是非お試しを。
(ゴラン・ハイツ・ワイナリー : Golan Heights Winery)


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