New Arrival
イタリア 2002年9月-12月

■ Italy / Toscana

12/12/2002




Rosso Fiorentino Cabernet Sauvignon
ロッソ・フィオレンティーノ・カベルネ・ソーヴィニオン

トスカーナ 赤 (カベルネ・ソーヴィニオン100%)
('96 \6,000位)

 エトルスコ、アルチバルド、マンモーロなど多彩なセレクションを持つチェンナットイオ。このカベルネ・ソーヴィニオンは、ラベルに使用されている「リュートを奏する天使」を描いた画家ロッソ・フィオレンティーノの名が冠されています。平均年産は約6,000本と少なく、アメリカンオークの小樽で約1年半の熟成が施されます。
 うっすらとバニラがありますが、ブラックベリーの深い果実香に青い茎、シダー、黒胡椒のアロマは非常に内省的。隙のない長熟を感じる硬さ、緊密で旨味を引き立てるタンニン。ボルドー好きの人に愛されそうなエレガントなワインで、外観だけでなく中身も好印象だった一本。
(チェンナットイオ : Cennattoio)


■ Italy / Sicilia

12/9/2002



Don Antonio
ドン・アントニオ
シチーリア 赤 (ネーロ・ダヴォラ100%)
('00 \3,000位)

 ガンベロ・ロッソ2001年版、初登場で3グラスを獲得し話題となったモルガンテ。コンサルタントは、あのリカルド・コタレッラ。5世代に渡ってネーロ・ダヴォラ種のみを栽培しており、1994年に自家葡萄のみを使ってワイン造りをする事を決定。1997年よりコッタレラの助言を仰いでいます。1970年植樹されたネーロ・ダヴォラ100%、20日間の長いマセラシオン、12ヶ月バリック熟成、ノンフィルターで瓶詰め。
 濃さのある赤紅色。シチリアの土と草、ほんのりとバニラ、ウイスキーボンボンとヨード香。濃縮度のあるプラム系の果実に梅風の酸味。シチリアの個性溢れる一瓶。
(モルガンテ : Morgante)


■ Italy / Toscana

11/30/2002



Scasso dei Cesari
スカッソ・ディ・チェザリ

トスカーナ 赤 (サンジョヴェーゼ主体)
('97 \7,000位)

Geallo Dei Muri
ジャッロ・デ・ムーリ
トスカーナ 白 (下記参照)
('01 \2,000位)

 フランスとの縁が深く、すでに19世紀にはカベルネ、メルロー、シラー等が植えられていたというルッカ。この地にあるテヌータ・ディ・ヴァルジャーノは、天才エノロゴと賞されるルカ・ダットーマらの助言を得、1993年に創設、翌年からワイン造りを始めました。近年にわかに注目を集め始めたワイナリーで、ワイナート12号でも大きく取り扱われました。1999年にはワイナリー名を冠したキュヴェ「テヌータ・ディ・ヴァルジャーノ」をリリースし、ブレイクの予感がする造り手。
 スカッソ・ディ・チェザリ : 1998まではこのワイナリーのフラッグシップだったサンジョヴェーゼ主体のワインで、樹齢35年以上の単一畑「スカッソ・ディ・チェザリ」の名が与えられている。紫の強い黒みがかった色合いと同じく、サンジョヴェーゼらしからぬ黒果実系の深さを持つ味わい。カシス、黒胡椒とロースト香。造り込まれた構造の強さは感じるものの、どこか内向的で難解なミディアム・フル。このワインの個性と取るか、まだ若いと取るか、難しいところ。
 ジャッロ・デ・ムーリ : ヴェルメンティーノ50%、トレッビアーノ22.5%、マルヴァジーア22.5%、シャルドネ5%というブレンド。まるでヴィオニエやゲヴェルツを連想させるアロマティックな香り。丸く刺激のないアタックと十分な甘さを持つ果実味に、ピリッと辛い酸が絶妙で、余韻まで心地よさがある。飲むまで知らなかったけど、廉価なところでは2000円以下で買える。イタリア白の中でも最上級のコスト・パフォーマンスだと思う。
(テヌータ・ディ・ヴァルジャーノ : Tenuta di Valgiano)Colline Lucchesi DOC


■ Italy / Trentino Alto Adige

11/17/2002



Cason
カソン

アルト・アディジェ 赤 (下記参照)
('96 \4,500位)

Contest
コンテスト

アルト・アディジェ 白 (下記参照)
('95 '96 \4,500位)

 古くは17世紀にその品質の高さが記録に残されたという畑「ヒルシュプルン」、そこに目をつけたアロイス・ラゲデール氏が1991年に買収。アルプスの渓谷に点在するその畑は標高差が1000mもあり、念入りな土壌研究でゾーンごとに合わせた品種を栽培しています。
 カソン : メルロー60%、カベルネ・ソーヴィニオンとカベルネ・フラン25%、ラグレイン、プティ・ヴェルド、シラーで15%。フレンチオーク、新樽50%のバリックで18ヶ月の熟成。ヴィンテージより熟成を感じる赤茶の入った色合い。針葉樹、腐葉土、枯葉、レッド・ペッパーのメルローらしい湿り気のある熟成香。味わいはイタリアの酸味を中心に土っぽさ、ヨード、辛目の余韻。大きくはないけれど、ほどよく内向的で安心感のあるワイン。
 コンテスト : ピノ・グリージョとシャルドネを主体に、ソーヴィニオン・ビアンコ、リースリング、シュナン・ブラン、セミヨン、マルサンヌ、ルーサンヌ、ヴィオニエという9つのブドウ品種をブレンド。小樽での発酵後、11ヶ月の熟成。ステンレスタンクで4ヶ月、そして2年以上の充分な瓶熟成後にリリースされる。
 1996 : 色は黄金色。アルコール感の高い厚みのある白。ファーストノーズはシャルドネのニュアンスがひっぱり、次々と品種が現われる楽しい個性。太目の酸、余韻の苦味はイタリア的。
 1995 : バニラの強いシャルドネを、他の品種で引き締めた感じ。ミルキーな甘さを持つバランスのとれた果実は丹念に造り込まれた印象。余韻は収斂味がありながら、長く続く大人味。
(カソン・ヒルシュプルン : Cason Hirschprunn) IGT


■ Italy / Toscana

11/13/2002



Rosso di Montalcino
ロッソ・ディ・モンタルチーノ
シエナ近郊 赤 (ブルネッロ)
('98 \4,200位)

 サルヴィオーニは海抜400mに位置するわずか3haの畑から、最高水準のブルネッロ・ディ・モンタルチーノとロッソ・ディ・モンタルチーノ(2つ合わせて年産6000本程度)を生産。 デビュー・ヴィンテージの85年がトレ・ビッキエリに輝いて以来、5度のトレ・ビッキエリを獲得している生産者。
 カシス、ブルーベリー等といったカベルネを連想させるしっかりとした黒果実と赤い花のアロマ。ブラインドで頂きましたが、トスカーナだろうなという事が分かる高いトーンの整った酸。さすがサルヴィオーニ、ロッソでも十分イタリアらしさを楽しめる。
(サルヴィオーニ : Salvioni)


■ Italy / Toscana

11/3/2002



Tenuta di Trinoro
テヌータ・ディ・トリノーロ

トスカーナ 赤 (カベルネ・フラン80%、メルロー10%、プティ・ヴェルド10%)
('98 \11,000位)

Palazzi
パラッツィ

トスカーナ 赤 (メルロー50%、カベルネ・フラン50%)
('98 \11,000位)


Cincinato
チンチナート

トスカーナ 赤 (チェザネーゼ、トロイア)
('99 \12,000位)

Le Cupole
レ・クーポレ・ディ・トリノーロ

トスカーナ 赤 (カベルネ・フラン78%、メルロー11%、チェザネーゼ6%、トロイア5%)
('00 \6,000位)

 2001年秋号ワイナートの表紙を飾ったテヌータ・ディ・トリノーロ。ヴァランドローのオーナーであるジャン・リュック・テュヌヴァン氏と、ピングスのオーナー、ピーター・シセック氏のコンサルタントを受けている凄いワインがあると聞いたのは2000年のことだったと思う。
 テヌータ・ディ・トリノーロ98、パラッツィ98 : この二本を試飲できたのは2001年の春。確かに濃度のあるワインは現代風のボルドーブレンド。がっしりとシリアスなトリノーロと、豊かさのあるパラッツィ。ただ「ヴァランドロー+ピングス」というあまりにも強力な前宣伝からか、そこまで心そそられるワインというほどではなかった。1999年を最後にパラッツィは生産中止になっていますが、その時点ではパラッツィの方が外交的な美味しさがあったと思う。しかし、以下のワインを飲んで、このワイナリーのイメージが全く変わった。
 チンチナート99 : ワイナートの中でも「超レアな傑作」と賞されていたチンチナート。生産量は1300本。チェザネーゼ、トロイアというイタリアの土着品種という事など、これっぽちも感じさせない純粋なアロマ。グラスには、レッドチェリー、カスタード・クリームやクレーム・ド・カシスのようなお菓子屋さんにもで居るかのような甘い香りがいっぱい。樽からのバニラも十分に溶け込み、まさしくフリーランだろうと思わすピュアで浮遊感のあるジュース。時間経緯でふくらみを増し、湧き出す紫の花やアジア風香辛料。今までに体験したことのない味わいだけれど、素直に素晴らしいと思える。
 レ・クーポレ・ディ・トリノーロ00 : ワイナートに掲載されていたバレルサンプルのコメントは「スミレ、ラズベリー、ブルーベリーの香りに、クリスプな酸による軽やかな味わいは、グラン・ヴァンよりすっとイタリア的味わい。しなやかさと優しさもあり、好ましいバランス。美味しい。92〜95ポイント」。まさにおっしゃる通り。酸がキレイ、果実が華麗。2000年のテヌータ・ディ・トリノーロは20000円という価格になっていますが、是非飲んでみたいという気にさせられるセカンドワイン。
(テヌータ・ディ・トリノーロ : Tenuta di Trinoro)


■ Italy / Toscana

10/12/2002



Sassicaia
サッシカイア
ボルゲリ 赤(カベルネ・ソーヴィニヨン85%、カベルネ・フラン15%)
('87 \15,000位)('97 \15,000位)('99 \16,000位)

 1999 : ご存知、サッシカイアの最新ヴィンテージを頂くことが出来ました。99年のインポーターのテキストを書いておきます。「月の豊富な雨のため生育が良く、夏の穏やかな気候のためブドウの木にストレスが皆無。果実は8月末にはすでにとても熟していて、例年より1週間早く(8月末に)収穫が始まり、ワインはフレンチ・オーク(3分の1が新樽)で22ヶ月熟成した後、2001年10月末にボトリング。柔らかさとフィネスを兼備え、タンニンの甘さを特徴とする素晴らしい構成のワインになった。ワインはすでに飲むことも出来るように思われるが、もちろん、サッシカイアのすべてのヴィンテージと同じようにボトルでの熟成でさらに良くなります。」ガンベロ・ロッソで3グラス。
 黒々とした赤紫。カシスやブラックベリーの深さのあるアロマに溶けた樽香。甘草やスミレ、スパイス的な香りはローヌワインにも似ていて、外交的でボリューム感たっぷり。濃密ながら純度の高い果実とミネラルがすっと口中に入り、後にじわっと酸&タンニンが広がる。高級感溢れる99、セラーにしまい込むのもよしでしょう。【D:2002】
 1997 : 二度目の97は約一年ぶり。レッド・カラント、ロースト、スパイス、ナツメグ、コーヒー豆、ミント。丸いメルローのような質感は、以前頂いた時よりもふくらみが増しているようです。【D:2001】
 1987 : やはり酸は独特。若々しい、ふっと入るハーブが心地よく、柔らかみを帯びたゆったり感のある味わいながら、クリアーな果実は今が美味しい飲み頃。【D:2001】
(テヌータ・サン・グイード : Tenuta San Guido)DOC


■ Italy / Trentino Alto Adige

10/1/2002



Granato
グラナート
アテシーノ 赤 (テロルデゴ100%)
('96 \5,000位)

Karanar
カラナール
アテシーノ 赤 (カベルネ・ソーヴィニオン60%、シラー20%、プティ・ヴェルド10%、メルロー10%)
('97 \3,800位)

 ワイナートNo.13 北イタリア特集でも取り上げられていたフォラドーリのワイン。トレンティーノに世界の注目を集める原動力となったと言われるのがグラナート。標高2000mの山に囲まれた狭い平地、カンポ・ロタリアーノにのみ生育する特異な土着品種テロルデゴから造られます。フォラドーリのオーナー、エリザ・ベッタ・フォラド―リ氏がこのテロルデゴのもつ偉大な潜在能力に気付き、その力を引き出そうと「マッサル・セレクション、グイヨ、低い収量」を目指す。
 グラナート : 法的に許されている120hl/haから40hl/haへと収穫量を低減させたというこのワイン。平均20年樹、バリック(80%新樽)で18ヶ月熟成、良年のみの生産。グラナートとは「ザクロ」の意味。
 色は真っ黒、強いレッグ。なるほどザクロを彷彿とさせる小さな赤果実、メントールやシップ、漢方薬、樽のバニラ香、柔らかく甘味があるアロマ。意外にも滑らかなアタック、酸味も強いが全体のボリュームからいうと気にならない、余韻は上あごに届く酸と渋み。ボディ自体はやや平坦だけど料理と合わせると面白いかも?生臭系の非常に個性的な味わい、好き嫌いはあると思う。
 カラナール : カラナールとは、その昔東方からスパイスや布地とともにワイン造りを伝えた人々を乗せていたラクダのことだとか。2haの畑から年産3000本程度。ステンレス発酵、バリック(50%新樽)で15ヶ月熟成。これも良年のみの生産。
 グラナートに負けず劣らずの黒々とした色。ブラックベリー、黒胡椒、スミレの花。色のわりに味わいは爽やか。イタリアらしい酸を中心とした、ミネラリーで緻密なボディにそそられるカベルネ・ブレンド。
(フォラドーリ : Foradori)VdT Atesino


■ Italy / Friuli Venezia Giulia

9/21/2002



Milleuve Bianco del Friuli
ミレウヴェ・ビアンコ・デル・フリウリ
ヴェネチィア・ジューリア 白 (下記参照)
('97 \2,200位)

 厳格なる完全主義者といわれるボルゴ・デル・ティーリョのオーナー、ニコラ・マンフェラーリ氏。元薬剤師の彼は、父親が亡くなってから1981年にワイナリーを開くことになります。以降、栽培・醸造・熟成と細やかなデータを蓄積。データを取りやすくするために、ステンレスのタンクは250〜2000まで倍々のサイズを揃え、樽も通常の225リットルのバリックではなく、125、250リットルサイズを特注し、それぞれのキュヴェにより使い分ける。
 傑作メルローと言われる「ロッソ・デラ・チェンタ」、そしてワイナート誌からミラクルと評された白「ストゥディオ・ディ・ビアンコ」等が有名。このミレウヴェは、シャルドネ、リースリング、マルヴァジア、リヴォラ、トカイ、ソーヴィニョンをブレンド、樽とステンレスタンクで発酵されるボルゴ・デル・ティーリョのスタンダード・ライン。
 鮮やかなパステル色を使ったラベルデザインが可愛い。濃いめの黄色。少し酸化の香りが入る、白い花、ライム、メロン。しかし香り、味わいともに中核をなすのは、鉱物的なミネラル。これだけの品種を使いながらもまとまりがあり、シャープな酸、長い余韻にほんのりと甘味がせり出すあたり、ただ者ではない個性。廉価なところでは2000円以下で買えるので、試されると面白いです。
(ボルゴ・デル・ティーリョ : Borgo del Tiglio)


■ Italy / Toscana

9/12/2002



Chianti Classico "Castello di Brolio"
キアンティ・クラシコ "カステッロ・ディ・ブローリオ"
キアンティ地区 赤 (主にサンジョヴェーゼ)
('97 \3,800位)

 9/5に紹介したバローネ・リカソリのキャンティ。「ワイナート16号」でこの"カステッロ・ディ・ブローリオ" 98、99に高得点が与えられていたので、ファースト・ヴィンテージである97を試してみました。バローネ・リカソリが造るワインにはドメーヌ・ワインとネゴシアン・ワインの二系列があり、自社畑から生まれるのが、この"カステッロ・ディ・ブローリオ"とセカンドワインの"ブローリオ"。97年はサンジョヴェーゼ100%、98年にはカベルネを5%、99年はカベルネとメルローが5%づつブレンドされているということ。
 赤の強いガーネット。「これがキャンティ!」と「これがキャンティ?」が同居する。抜栓直後の鮮明なスミレとブリーベリー、正統派キャンティをイメージさせる繊細な酸。時間経緯により温度が高くなると、オリーブ、レッドベリーのリキュール漬け、赤肉、タイムといった複雑ながら受け入れ易いアロマ。厳しさはこれっぽっちもなくせに、決して開けっぴろげにならない高潔なバランス感。
「スーパー・タスカンのようなスペシャル・キュヴェには断固として反対し、あくまでキャンティ・クラシコにこだわる」という現当主フランチェスコ・リカソリ男爵の姿勢が、見事に具現化されたファースト・ヴィンテージ。
(Barone Ricasoli / Castello di Brolio : バローネ・リカソリ / カステッロ・ディ・ブローリオ)DOCG


■ Italy / Toscana

9/5/2002


 スーパー・タスカン・ブームに圧され地味な印象になってしまったキャンティ。しかし、スーパー・タスカンで用いられた新しい発想、栽培や醸造技術がキャンティにもフィード・バックされ、高品質なものが増えていると言われる昨今。丁度、今月発売された「ワイナート16号」でもキャンティの特集が組まれています。これからは注目でしょう。


Chianti Classico Riserva "Brolio"
キアンティ・クラシコ・リセルヴァ "ブローリオ"
キアンティ地区 赤 (主にサンジョヴェーゼ)
('67 -)

Chianti Classico "Brolio"
キアンティ・クラシコ "ブローリオ"
キアンティ地区 赤 (主にサンジョヴェーゼ)
('65 -)
 シエナの北東約25kmにあるブローリオ城。城を建てたのは名門貴族のリカソリ家で遅くとも17世紀にはすでに「ブローリオ・ワイン」としてヨーロッパで知られていたことが記録から分かっており「元祖キャンティ・クラッシコ」とも呼ばれる名門ワイナリー。(キャンティの歴史とキャンティの混醸比率を定めたベッティーノ・リカソリ男爵についてはこちらで。)
 経営難に陥ったリカソリ家がカンティーナを手放した1970年代から長年にわたり低迷期に陥っていたと言われますが、1993年に元のリカソリ家に経営権が戻り、新生リカソリがスタート。現当主フランチェスコ・リカソリ男爵の「ブドウ本来の特徴とテロワールを大事にする」というコンセプトのもと高い品質のワイン造りを目指し、キャンティ地区のエノロゴ第一人者とも言えるカルロ・フェッリーニ氏を起用。2002年度版ガンベロ・ロッソ誌では「最優秀カンティーナ賞」をも獲得し、名門の復活が伝えられています。以下、ブローリオの古酒2本。近年のものは頂いてないので、是非試してみたい。
 クラシコ・リセルヴァ67 : ブランデーのような淡い琥珀色。枯葉を中心とした、杏のリキュール的な華やかなブーケ。厚みのある酸のアタックと甘味さえ残す舐めるような質感で、全体像は儚いながらも印象的な味わい。約15分頃から落ち始めるのでデキャンタをせず、早めに飲んだ方がよいが、その間の風情は感動的、ブローリオの畑が抜群のテロワールを持つという意味が分かる。余韻まで満足出来る最高の飲み頃は、さすが元祖と言える一本。
 クラシコ65 : 2002年の「65さんいらっしゃい♪」の会にて。ナチュラルに枯れた感じのワインは、上記のリセルヴァほどではないにせよ、ブルゴーニュ古酒の趣がある上品さのある嬉しい誕生年ワインでした。
(Barone Ricasoli / Castello di Brolio : バローネ・リカソリ / カステッロ・ディ・ブローリオ) リカーソリ リカーゾリ ブロリオ


Chianti Classico "Vigneto La Casuccia"
キアンティ・クラシコ "ヴィネート・ラ・カズッチャ"
キアンティ地区 赤 (主にサンジョヴェーゼ、メルロー)
('94 \5,000位)

 キャンティ最高の造り手のひとつカステッロ・ディ・アマは、1972年にワインとは全く縁のなかったローマの4家族が出資して興したカンティーナ。創設当初からボルドー的な考え方を導入、初代エノロゴをシャトー・ムートン・ロートシルトのパトリック・レオンに依頼。また近年ではメルローを用いたスーパー・タスカン「ラッパリータ」でも有名。
 アマにおいて通常のキャンティ・クラシコの上位に位置するのが、この「ラ・カズッチャ」と「ベラヴィスタ」という畑名入りキャンティ。1990年までは4つの畑名入り(サンロレンツォ、ベルティンガ、カズッチャ、ベラヴィスタ)をリリースしていましたが、常に品質の向上にこだわるアマは、そのうち2つを止め通常のキャンティ・クラシコに吸収させると同時に、「ラ・カズッチャ」「ベラヴィスタ」も生産年と本数を限定するように。そして、非常に早い時期に小樽を導入した造り手でもあるアマは、これらにもバリックを使用。

 94年のカズッチャは、50%の新樽にて8〜10ヶ月の熟成。エッジに熟成は見えるものの健全な深いルビー。ハーフドライのバラ、ヨードと乾いた木のアロマと干しブドウ風味。酸味もしっかり保たれ、みずみずしいボディ、強さよりも優しさと端麗な印象のワイン。キャンティらしさを味わうという意味では、もう飲んだほうがいいかも。

 余談だけれども、1995年ヴィンテージから「ラ・カズッチャ」と「ベラヴィスタ」価格が大幅に上がった。この94年までは市場価格で5000円前後で買えたものが、95年から希望小売価格で2万円にもなった。その話を聞き、高くなる前のヴィンテージ試してみようと思い買っておいたもの。
 正直なところ、キャンティと聞くと5000円でも高いと思ってしまう。アマはキャンティに拘りがあるようですし、高級なラインを減らしてでも、基本となるキャンティの品質を上げようとしていると言われますが、2万円のキャンティというのは首をかしげたくなる。以前に比べ市場では滅多に「ラ・カズッチャ」「ベラヴィスタ」を見なくなった気がする。(ワイナート16号で、アマのキャンティが上位独占したので、これからもてはやされるのだろうが。)
(Castello di Ama : カステッロ・ディ・アマ)DOCG アーマ


Chianti Rufina Riserva "Nipozzano"
キアンティ・ルフィーナ・リゼルヴァ "ニッポツァーノ"
キアンティ地区 赤 (主にサンジョヴェーゼ)
('97 \2,700位)

 700年以上の歴史を持ち、16世紀以来、英国の王室やヨーロッパ各国の宮廷にワインを供給していたという名門フレスコバルディ。1855年にはフレスコバルディの祖先にあたる農学士、ブドウ栽培の権威であったヴィットリオ・アルビッツィが、トスカーナに初めて外来品種を持ち込み、カステリ・ポミーノとニッポザーノの畑に植えつけました。以後、最新の栽培法や醸造法にも積極的に着手、現在ではヨーロッパでも最大級の広大な敷地を有する企業に成長。近年ではカリフォルニアのロバート・モンダヴィとジョイントベンチャーを始め、話題となった「ルーチェ」も記憶に新しい。
 サンジョヴェーゼとしては深めのルビー色。赤から黒果実のアロマに黒オリーブ、少しのタール。メリハリのある酸がキャンティらしく、中程度のボディに程よいタンニンが残る落ち着きのある印象。
(Marchesi de Frescobaldi : マルケージ・デ・フレスコバルディ)DOCG


■ Italy / Piemonte

9/1/2002


Barbera del Monferrato "Rossore"
バルベーラ・デル・モンフェラート "ロッソーレ"
モンフェラート 赤 (バルベーラ)
('97 \4,000位)

 たった2.5haの畑からワイン造りを行うユーリ・ファブリツィオ。70年にわたって同じファミリーが所有し、ブドウは全て樹齢60年を超えるバルベーラ。収穫量を抑えたブドウから更に濃縮した果汁を得るために、収穫後に約2ヶ月間陰干しするという。その後マセレーション、発酵後約1200リットルの木樽で約12ヶ月熟成、ろ過をせず瓶詰め。
 センスの良い可愛い外観の中身は深いガーネット色。甘さのあるリキュールやジャムのアロマ。濃厚なレチョートにも似た果実感だと思いましたが、やはり陰干ししているのですね。鮮やかで豊かで広がりのある、甘くてしなやかな質感。素晴らしい造り、こんなバルベーラは初めて。
 ここは隣の畑を所有するフェリーチェ・コッポの影響を受け、また彼の醸造哲学に共感し、彼と共同でワインを醸造することになった為、1997ヴィンテージがユーリ・ファブリツィオの名で販売される最後のワインだということ。このワインは造り続けて欲しい。
(ユーリ・ファブリツィオ : Iuli Fabrizio)DOC


Roero Arneis
ロエロ・アルネイス
ロエロ地区 白 (アルネイス)
('99 \2,300位)

 マッテオ・コレッジアは、1985年、家族と友人のためにワイン造りをしていた父から畑を引き継ぎました。ネッビオーロ・ラ・ヴァル・ディ・プレティやバルベーラ・マルンなど最高のワインを造りあげ、96年が初リリースのダンプセイ(ネッビオーロ種)はいきなりガンベロ・ロッソでトレヴィッキエリ(スリー・グラス)を獲得。ロエロ地区のカナーレにあるため、バローロを名乗れませんが卓越した生産者として知られていました。不運なことに2001年6月、トラクターで畑を開墾している最中に、弾き飛ばしたセメントの塊が顔面を直撃し、この世を去りました。 彼の死後、近隣の造り手や友人が交代で畑作業を手伝い、同じバローロ・ボーイズの仲間であるラ・スピネッタのジョルジョ・リヴェッティがワインの管理をし瓶詰めまでの面倒を見ているといいます。
 彼のロエロ・アルネイスもフルーティーで透明感のある美味しいワインです。日本酒ぽい戻り香、爽やかな中にも余韻からの印象的な苦味があり、骨組みはしっかり感じる白。暑い夏、この季節に飲みたい。
(マッテオ・コレッジア : Matteo Correggia)DOC


以下、今年「無印良飲」に掲載したものを載せておきます。


■ Italy / Piemonte


Gattinara Riserva
ガッティナーラ・リゼルヴァ
ガッティナーラ 赤 (ネッビオーロ)
('90 \5,000位)

 ピエモンテ州のDOCGであるガッティナーラ。ヴェルチェッリ県のガッティナーラ村で産するワインは、バローロやバルバレスコと同じくネッビオーロ種から造られますが、この地方ではスパンナ種と呼ばれます。トラヴァリーニは、1959年創立、この村に35haの土地を持ち、そのうち海抜290〜380mにある18haの畑からワインを産しています。

 熟成感のある美味しいワインは、小粒の赤い果実、タール、鉄分、血のニュアンス。多量の澱から分かるように、タンニンもこなれ、果実味は流麗。ヘタなバローロよりいいなぁ。レストランでバローロ系が飲みたい、でも予算が。。。という時、こんなワインがあれば嬉しい。
(トラヴァリーニ : Travaglini)DOCG




■ Italy / Puglia, Basilicata


APuglia Primitivo
プーリア・プリミティーヴォ
プーリア 赤 (プリミティーヴォ)
('00 \1,200位)
Puglia Negroamaro
プーリア・ネグロアマーロ

プーリア 赤 (ネグロアマーロ)
('00 \1,200位)
Aglianico del Vulture
アリアニコ・デル・ヴルトゥーレ

バジリカータ 赤 (アリアニコ)
('99 \2,000位)
 南イタリアのワインってなかなか飲む機会がないですね。この3本は南イタリアを代表するブドウ品種、プリミティーヴォ、ネグロアマーロ、アリアニコを使ったもの。上2本は長靴のかかと、プーリア州のIGT。下のアリアニコ・デル・ヴルトゥーレは土踏まずにあたるバジリカータ州唯一のDOC。
 プリミティーヴォ : この品種は最近のDNA鑑定からカリフォルニアで栽培されているジンファンデルのベースとなったものだと見られています。甘さのあるアロマやアルコール感の高さは確かにジンファンデルに似たワイン。飲み応えがあるものの、イタリアらしいすっきりとした酸味がバランスよく、味わい自体は辛口。
 ネグロアマーロ : プーリア州で最も多く栽培され、重要な品種のネグロアマーロは、上のワインを一段と強烈にした印象。南ローヌのワインに近く、プラム、レッドベリー、甘草、ジャミーな個性あるアロマ。太陽を浴びたしっかりとしたボディで余韻がちょっとハーヴィーなのがいい。野外のバーベキューなんかにうってつけ。
 アリアニコ・デル・ヴルトゥーレ : カンパーニャ州のタウラージの弟分といわれ、ヴルトゥーレ山南西部の火山質の丘陵で造られるDOC。少し赤茶の入った色調で、上2本と比べると強さより心地よさのあるワイン。乾いた余韻のあるきりっとした辛口です。
(フェウド・モナチ : Feudo Monaci)



■ Italy / Puglia


Castel del Monte Rosato
カステル・デル・モンテ・ロザート
プーリア ロゼ (ボンビーノ・ネーロ種)
('90 \1,850)

 プーリア州は、長靴の形をしたイタリアの踵にあたる南北に細長い州。ワイン産出量もとても多く、シチーリア州についで産出量は第二位。州内25銘柄あるDOCの中で最も名の知れたカステル・デル・モンテは「山の城」という意味。13世紀中頃、南イタリアを治めたフェデリーコ2世が鷹狩用に建てた山上にある城周辺で造られるワイン。
 基本的には早飲みされるロゼ。ある酒屋さんで90年というヴィンテージを見て、興味半分で購入してみたワイン。いやはや南イタリアはこんなものがあるから面白い。その柔らかな熟成香は、飲み頃になった旨い白ワインみたい。「ん?なんで白になるんだ??」とか言いながら、旨い旨いで飲んでしまった一本。
(Riforma Fondiaria : リフォルマ・フォンディアリア)


新着ワイン 目次
新着イタリア 前回

BORDEAUX RHONE, LOIRE ITALY AUSTRALIA
BOURGOGNE CHAMPAGNE CALIFORNIA OTHERS...



class30 "The Wine"