1868年、オークセイ・デュレスに創設されたルロワ社は、販売用としては熟成されたブルゴーニュ・ワイン最大のコレクションを持っていることでも有名で、そのストックは1622年に造られた最も古いカーブ他、数ヶ所に約200万本を持つ大ネゴシアン。詳しくは「お題目」にて詳説していますので、参照して下さい。 | |
「今月のお題目」2002年6月(2):偉大なる生産者:ルロワ(後編) | |
ネゴシアン・ルロワはブルゴーニュ全域、そしてボージョレやローヌのワインまでリリースしていますが、ヴィンテージにより買い付けるワインが違うため、毎年同じ銘柄があるとは限りません。 |
![]() |
ジュヴレイ・シャンベルタン村の北側に位置するフィクサン。日本においてはあまりにも知名度の低いアペラシオンかもしれません。この村の1級畑の多くは、ジュヴレイ・シャンベルタン最上の畑と同じ「バヨカス階石灰質」の土壌を持ち、頑強で長熟なワインを産出するとされています。高島屋様のお話によれば、83年は非常にバランスが難しく買い付けにおいても細心の注意を払う年、ルロワの中でも今良い状態を保っているのがこのワインという事。 |
Chambertin ![]() シャンベルタン ジュヴレイ・シャンベルタン 赤 (PN,Pb,PL) ('73 \30,000位) ![]() ![]() Chapelle-Chambertin シャペル・シャンベルタン ジュヴレイ・シャンベルタン 赤 (PN,Pb,PL) ('80 \20,000位) ![]() ![]() Gevrey Chambertin Les Champeaux ジュヴレイ・シャンベルタン・レ・シャンポー ジュヴレイ・シャンベルタン 赤 (PN,Pb,PL) ('72 \18,000位) | |
ルロワによるジュヴレイ・シャンベルタン村のワイン。マダムはこの村のワインを大切にしているのか、比較的多くのラインナップを持っているように思われます。 シャンベルタン73 : 幸いにも2度頂いたワイン。一度はややコルクが緩んでいたという事で、少し残念。二度目のものは、エッジはオレンジが入る明るめの色合い。アタックにしなやかな果実は残っているものの、酸の強さを考えるとバランスがいまひとつ。何故か余韻にミネラル分が多いが、コート・ド・ニュイ随一のグラン・クリュとしての迫力には欠ける。よく考えると二回とも、コンディション的にも似ていたような気がする。 シャペル80 : 茶からサビ色がかかった年月を感じる色合い。ドライフルーツ、無花果、旨味のある海苔というブーケ。老齢ながらも姿勢を崩さない紳士、やさしい表情の中にも内実が読み取れ、余韻に伸びていく美しいワイン。 シャンポー72 : シャンポーの畑は、クロ・サン・ジャックやカズティエ、コンブ・オー・モワンヌと共に、この村のプルミエ・クリュの中でも最も北西寄り、丘の頂上近辺に位置します。外観を見ると80年代ともとれる鮮やかな色のワインは、最初からジャミーでまろやかな果実を感じさせます。果実の旨みが舌の中に染み入り、時間と共に広がりを増す様は、ワインの大きさと長命を物語る素晴らしいワイン。 |
「キュヴェ・マドレーヌ・コリニョン」はオスピス・ド・ボーヌが、ニュイ地区にはじめて取得した畑で、オークションにかけられたのは1977年産から。オスピスが持つ1.58haの区画は、レ・マジ・オー(マジの中の上部)に位置します。 |
86年 : 完全なブラインドで頂いたもの。優良な生産者によるニュイのワイン、80年代のやや弱いヴィンテージとまで判別できる個性。パーカー氏は「優良なACジュヴレイ・シャンベルタンも、果熟味があり、しなやかかつスパイシーで、近いうちにも飲み頃になる。」とリリース当時にコメントしてますが、オフの年にも堅実なワインを選択するルロワならではの模範的な村名ワイン。 |
ピーター・ツーストラップによるルロワの古酒。ロゼのごとく明るく澄んだルビー色のワインは、ほうじ茶、タクアンといった和的な熟成香。柔らかく舌に染み入るような果実、繊細な趣からぱっと広がる口中の華やかさ。余韻での繊細なタンニンの広がりがいかにもシャンボール的。村名格でここまでの熟成力に脱帽の一本。きっちりした生産者を選ぶなら72はボルドーよりブルゴーニュが良い気がする。 |
![]() |
![]() ![]() Beaune 1er Cru ボーヌ・プルミエ・クリュ ボーヌ 赤 (PN,Pb,PL) ('72 \15,000位) ![]() ![]() ![]() Beaune-Touron ボーヌ・トゥーロン ボーヌ 赤 (PN,Pb,PL) ('80 \9,000位) ![]() ![]() Savigny-Les-Beaune サヴィニー・レ・ボーヌ サヴィニー・レ・ボーヌ 赤 (PN,Pb,PL) ('80 \8,000位) | |
ボーヌ・プルミエ72 : 30年目のワインとは思えないほどのしっかり感のある色と香り。奥行きはないものの、いちじく、黒から赤のチェリーといった果実味は十分。ただし、このワインは当日持ち込まれた分、味わいに翳りがあったように思います。このワインに透明感があればどれだけ印象が変ったか・・・そう思うと少し残念。 トゥーロン80 : ルロワの80年ヴィンテージはいいです。比較的注目されない年だと思いますが、今本当に飲み頃の美味しいワイン達。基本的には80のシャペル・シャンベルタンに似てる。ボーヌのワインらしくグラスを覗き込んだ瞬間の人懐っこさは一段上で、ひつこさのないラズベリージャムの甘さが素晴らしい。CPを考えるとこのワインに☆をつけたい。 サヴィニー80 : トゥーロンを一回り小さくした可愛さ。ただ果実感は健在で赤いチェリーが揮発香に交ざる。味わい全体はちょっと雑だけど、かえってそこが愛らしいサヴィニー。 |
このワインは通常のものと少し変わっっています。ルロワは栽培農家からブドウ又はワインを買い付け、自社で瓶詰めしているのですが、このボーヌ・ブランは、瓶詰されたものに関してオファーが来たらしく、その品質をマダムが承認し購入したということ。よってコルクには「Leroy」の刻印がありませんが、贋物ではありません。本年日本初リリース。 |
Pommard ちょっとピークを過ぎただろうか?香りは「スーパーで売っている黄色の甘ったるい沢庵」(笑)。プラムや枯れた木の葉のようなニュアンスも残っているものの、味わいも少し酸味が強すぎる。やっぱり、ルロワでも村名クラスの物だと10年位までに飲んだ方がいいのか?保管が悪かったのでしょうか。 |
あまり良い年とはいえないものの、心地よいワインの多い87年。このワインもネゴシアン・ルロワの良さでしょう。15年を経た明るいルビー色のワインは軽やかでいて華やか。ワインのストラクチャーよりも細やかな質感と熟成感を料理と共に味わいたい一本。 |
Auxey-Duresses ルロワのお膝元、オークセイ・デュレス。かすかにナッツ風の香りや、ミネラルを含んだ気さくなワインなのですが、ルロワという名声には及ばないかな。早く飲んであげればよかった。いくらルロワといえど、村名格のワインとしては、年数が経ちすぎていたようです。 |
![]() ![]() Meursault Perrieres ムルソー・ペリエール ムルソー 白 (Ch,PB) ('73 -) Meursault-Charmes ![]() ムルソー・シャルム ムルソー 白 (Ch,PB) ('69 -) |
|
ムルソーの中でも、シャルムは厚みのある豊かな性格。それに隣接するペリエール(小さな石という意味)は繊細なワインと言われます。マダム・ルロワによると、ムルソーの中で最も偉大なワインがペリエール。そして白ワインの基準にしているという事。 ペリエール73 : 普通、白ワインは25年も経つと酸化が進み過ぎていると思われるでしょうが、そんなのは思い過ごしです。このワイン自体が持つ繊細な味わい、それが熟成されてすべての要素が一つに包み込まれた、そんな印象。これがワインなんだなって思います。 シャルム69 : 1969年というブルゴーニュのビッグ・ヴィンテージ、まさに期待度満点のムルソー。しかし熟成を感じさせない若い色は淡くグリーンが入っているようにさえ見える。そのアロマは硬く閉じた印象。味わいもついていかない。 このワインに関して、同席した専門家の方は、「亜硫酸(保存料)の入れすぎだろう」ということ。確かに昔は亜硫酸添加に関して、量が多かったというのは聞いていましたが、多分その通りだろうと思いました。マダムと言えども無欠ではないという一例。 |
88年 : このワインは、星谷さんの書かれた「マダム・ルロワの愛からワイン」を読みながら向かった北欧の国で、たまたま出会った思い出深い1本。 |
ルロワ社の本拠地、オークセイ・デュレスの町からも近いこともあり、マダム・ルロワ自身、白ワインの基準としているのがムルソーのワイン。お話によれば、ムルソーは若いうちにはミネラル(石、鉱物的)なニュアンスが強く、このミネラルがワインが熟成するにあたり重要なポイントというご説明。ワインの出来としては、やや難しい年であったとされる1994年。 このワインの魅力を引き出すには、かなりの時間を要するというのが第一印象。香り、味わいともに意外なまでに閉じているものの、ワインに与える豊かなアルコールのボリューム感。そのふくらみの中にミネラルを含む規律ある姿は、未完の大器。個人的には、今回のすべてのワインの中でも、最も興味を惹かれた一本でした。 |
ピュリニィ・モンラッシェ、プルミエ・クリュの中でも斜面上部、ブラニー村に接する場所にあるのが「シャン・ガン」。実はこの辺りでは、ACピュリニィ・モンラッシェの赤も産出しているらしいのですが、生産量が極めて少ないため、ほとんど市場に出る事はないという事。シャサーニュの赤はたまに見かけますが、私自身、ピュリニィの赤は見たことがありません。 |
Chassagne-Montrachet Morgeot 94年のルロワの白は硬いのでしょうか?当初は香りもたたず、押し黙っている。シャサーニュのフルーツ香も控えめで、ガッシリとしたミネラル、鉱物的なワインはルースリングのような印象さえ。そのポテンシャルには興味あるものの、今開けるには厳しすぎるワイン。 |
以前はサントネーが「コート・ドールの最南端」でしたが、現在ではこのマランジュがアペラシオンとしては最も南。マランジュ3ヶ村のワインは、コート・ド・ボーヌ・ヴィラージュとして売られていましたが、1989年より独立したACとして格上げされました。 |
![]() |
コート・シャロネーズの南端にあるACモンタニーは、あまり聞きなれない名前かもしれませんが、その存在自体も変わっています。ここで栽培を許されているのはシャルドネのみで、当然白だけが産出されます。さらに面白いことに、モンタニーでは、アルコール分が補糖しない状態で11.5%あればプルミエ・クリュを名乗ることが出来、この規定はフランスの他のいかなるアペラシオンにも見られない独自のもの。「プルミエ・クリュ」と言っても畑からくる名前ではありません。 |
![]() |
マダム・ルロワが2000年のためにリリースしたミレニアム・キュヴェ。マダムがこの為に複数のキュヴェを特別にブレンド。故にノン・ヴィンテージ。各ボトルには、シリアルナンバーが入っており、キャプシールはゴールド。 |
定評あるルロワのACブルゴーニュ。97年はややレンガの見える熟成の入った外観。ザクロやフランボワーズの軽い赤果実のアロマ。ボディ全般のバランスのよさはルロワらしく、クレーム・ド・カシスの甘味。余韻の終わり方がやや雑だけど、そこまで求めたくなるのはルロワだからこそ・・・飲み手の我儘。 |
DRCと並んで、ブルゴーニュの巨頭と言われるルロワ。ただDRCとは違い、ルロワは最上のグラン・クリュから、ACブルゴーニュまで幅広くワインを造っています。これは、ルロワが造る最も廉価なワイン「グラン・オルディネール」。言うなれば「偉大なる日常用ワイン」です。 |
![]() |
ルロワはボージョレもリリースしています。このワインは「Nouveau」ではなく「Primeur」と記されています(詳しくはこちらで)。2000年は、ガメイのフレッシュさよりも、酒質のしっかりしたワインはタンニンも感じられ、いつもルロワを飲まれている方々には、満足いくルロワらしいヌーボーなのだと思います。一緒に飲んだ方も言ってましたがヨーグルト的な香りも。 |
![]() |
初めてこのワインの存在を知った時は驚きでした。「どうして、ルロワがヌフ・デュ・パプを造ってるの?なんで、ローヌのビッグ・ヴィンテージ78年物が5000円なの??」ブルゴーニュの大手ネゴシアンはローヌワインも手掛けているところがあります。(その理由はこちらの「お題目」で。) |
Gigondas ルロワは、シャトーヌフ・デュ・パプの他に、このジゴンダスやACコート・デュ・ローヌ等も手掛けています。フレッシュなプラムやチェリー、酸味を中心とする優しいミディアムボディのワイン。特徴的な香水や酵母の香りはやはりルロワ的? 品質としては確かだと思いますが、ジゴンダスという銘柄にしては、ちょっと高いのが玉に瑕。 |