葡萄酒の匠


Domaine d'Auvenay
ドメーヌ・ドーブネ
(France / Bourgogne)



 マダムはドメーヌ設立と同じ年に、夫のマルセル・ビーズと共に、サン・ロマンの高台にあるドメーヌ・ドーブネを購入。現在マダムはラベルに描かれた館に住んでいます。ドメーヌ・ルロワとの違いは、ドメーヌがマダム、ファミリー、高島屋で1/3ずつ所有しているのに対し、ドーブネは100%マダム&夫の持ち物。それ故に人の意見に左右されない、マダム究極のワイン造りが出来る。詳しくは「お題目」にて詳説していますので、参照して下さい。

「今月のお題目」2002年6月:偉大なる生産者:ルロワ(前編)
「今月のお題目」2002年6月(2):偉大なる生産者:ルロワ(後編)
 各畑面積も非常に小さく、限られた畑のブドウから丹念に仕込まれるワインは、ワインのオートクチュール。

確認できる主要な畑を記載しておきます。*** 特級畑 ** 一級畑 * 村名畑 、 で表示。特にドーブネは畑を買い足していますので、まだ種類あると思われます。( )内は各畑の所有面積。Anthony Hanson "Burgundy" より参照。
Mazis Chambertin ***
Bonnes Mares *** (0.26)
Meursault Chaumes de Perrieres * (0.08)
Meursault Les Gouttes d'Or **
Meursault Les Narvaux * (0.73)
Meursault Pre de Manche * (0.1)
Meursault *
Chevalier Montrachet ***
Criots Batard Montrachet *** (0.06)
Puligny Montrachet La Richarde **
Puligny Montrachet Les Folatieres ** (0.51)
Auxey Duress Les Boutonnier *
Auxey Duress Les Clous *
Auxey Duress *
Bourgogne Aligote Sous Chatelet
Bourgogne Aligote


■ WINELIST ■

Domaine d'Auvenay - Grand Cru


Bonnes-Mares
ボンヌ・マール
シャンボール・ミュジニィ 赤 (PN,Pb,PL)
('98 \70,000位)

Mazis Chambertin
マジ・シャンベルタン
ジュヴレイ・シャンベルタン 赤 (PN,Pb,PL)
('97 \65,000位)
 マダムの個人所有となるドメーヌ・ドーヴネ。赤のグラン・クリュはこの二本だけ。それぞれの生産量は、ボンヌ・マール870本、マジ・シャンベルタン582本。
 ボンヌ・マール98 : 今月のお題目:シャンボール・ミュジニー特集」の最後で触れたボンヌ・マール。「ボンヌ・マールとは"良いおかあさん"の意味。豊かなボディ、馥郁とした香り。何よりも飲む人を愛で包む豊かさが、まさに、ボンヌ・マール」 この言葉通り、シャンボールというよりモレ村の個性を示すゆったりとおおらかな熟度のある果実。若いワインなのに何故か落ち着きがある安心感と幸福感。【D:2002】
 マジ・シャンベルタン97 : ご一緒させて頂いた高島屋様のお話では「このワインの状態は本来の70〜80%」ということ・・・どこがいけないのだろう?状態の悪さなど感じられないのに。分かり易いラズベリー、スパイス、粘性の強いパワフルなボディは明瞭で好印象。もっと求める部分があるなら、シャンベルタンの筋肉?余韻の長さ?【D:2002】


Chevalier Montrachet
シュヴァリエ・モンラッシェ
ピュリニィ・モンラッシェ 白 (Ch,PB)
('97 \45,000位)

 ブルゴーニュの偉大な白の代表でもあるシュヴァリエ・モンラッシェ。ドーブネの白の中でも当然最高峰の一本。グリーニッシュで透明感あるゴールド。気高さのある清流の小石、スモークといったミネラル分の強さとレモン・ピール、マロン、洋ナシのアロマ。水分を抜いたような密度は硬さと柔らかさの極端なイメージさえ。しかし味わいの後半でちゃんとフルーツを感じる安堵感・・・とにかく旨い、97なら今でも飲める。もう一度飲みたい。【D:2002】


Domaine d'Auvenay - Premier Cru ...


Puligny-Montrachet Folatieres
ピュリニィ・モンラッシェ・フォラティエール
ピュリニィ・モンラッシェ 白 (Ch,PB)
('95 \20,000)('98 \20,000)

 1989年にマダムが買取ったフォラティエールの畑は0.51ha。ピュリニィでも名の通ったプルミエ・クリュ。上記のシュバリエ・モンラッシェと同じ要素を持つものの、ヴィンテージのせいか双方とも依然硬い。
 95年 : あくまで若さを主張する状態の良さ。グラスの中で小石がぶつかり合うようなミネラルの緊張感。それゆえリースリングと見間違うかのような冷たい質感とオイリーな表面。時間経過により、パイナップル、密の甘味が・・・その頃にはグラスのワインはなくなっているというジレンマ。【D:2001】
 98年 : 「これ開けたくて持ってきたんです」といわれ「えっ、本当に開けちゃうんですか!」と驚いた98年のフォラティエール。ドーブネの白は、赤キャップより時間が必要な気がします。98の生産量たった872本、このワインはNo.0006。
 やはり薫香を中心とするガッシリと強固な第一印象。硬いながらもグラスの中へは、グレープ・フルーツや洋ナシのコンポートといった熟れたフルーツ、そして高級バニラアイスクリームの香。隙のない舐めるような果実味は、余韻で舌の上に乗っかかってくる迫力。あと3年待っても95のようなんだから、開けてよかったのかも?(笑)【D:2001】


Meursault Les Narvaux
ムルソー・レ・ナルヴォー
ムルソー 白 (Ch,PB)
('97 \13,000位)

 ナルヴォーはネゴシアン・ルロワでもよく見る銘柄で、マダムが思い入れのある畑じゃないかなぁと思っています。ナルヴォーという畑はあまりムルソーぽくないと思うのは私だけ?
 冷たいハーブ・ティー、花梨、藁、スモークのアロマ、かすかにハニー。どこか繊細な日本酒を連想させるが、樽の風味ががっしり果実と結びつく堅強さ。高いアルコール感が余韻への苦味へと続く様は、もう少し時間を置いてみたい。【D:2000】


Auxey-Duresses Les Clous
オークセイ・デュレス・レ・クルー
オークセイ・デュレス 白 (Ch,PB)
('98 \10,000位)

 マダム・ルロワ率いるルロワ社の本拠があることでも知られていますオークセイ・デュレス。このレ・クルーは、2001年8月にリリースされるものを、その春に一足早く頂くことが出来ました。白い花やリンゴのシロップ煮を感じるアロマ、まだ若さのある鋭角的な酸味。全体的には、ボリュームのあるものではありませんが、層の厚さを感じるミネラリーなワインは、背筋の伸びたスタイリッシュな女性をイメージさせます。
 その後、二度頂きましたが、素晴らしさは相変わらず。2002年の時点で、まだ若さの分だけ酸が強いけれど、決してそれだけで終わらない練れた果実とくっきりとした輪郭。草原を思わす爽やかさに、ほんのりトースティな香りが交ざる。このアペラシオンでも、随一の品格を持つワインでしょう。98年の総生産量は1454本。【D:2001,2002】


Bourgogne Aligote Sous Chatelet
ブルゴーニュ・アリゴテ・スー・シャテレ
ブルゴーニュ 白 (Al)
('98 \5,500位)

 ドーブネはアリゴテも造っています。95年辺りからあるらしいのですが、私は知りませんでした。スー・シャテレというのはドメーヌの裏手にあるパーセルの名前。
 緑がかった淡い色彩で、オレンジ・ピール、黄色い花、ハーブ系のつめたい香り。アリゴテですので酸はしっかりありますが、それが気にならないほどの果実の立体感さえ。ドーヴネならなんでも感心するというわけではないのですが、こういうアリゴテって初めて。やはり素晴らしいワイン。【D:2002】



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